2017年度当初予算編成に対する申し入れ(全文)

2017 年度当初予算編成に対する申し入れ事項

Ⅰ 「地域主権社会」の確立に向けて

① 地域創生にかかる施策展開にあたっては、効果が十分に出るよう施策の絞り込みを行うとともに、必要な特区や規制緩和が実現するよう国に強く求めること。
② 県独自の県内分権を進めるため、「権限移譲検討会議」において、移譲事務交付金の増額など財源も含めた移譲を進めること。
③ 関西広域連合設立以来、災害対応など広域的な行政課題への実績を重ねている状況を踏まえ、国出先機関の移管やさらなる国の事務・権限の移譲に向けて、国に対し、関西全府県が一体となって、より一層働きかけを行うとともに、市町の意見が反映できる仕組みを構築すること。
④ NPO法人との連携、多様な主体のさらなる参画と協働を進めるため、いわゆる4号指定条例の制定に取り組むとともに、寄附文化の醸成・定着を図ること。また法改正により昨年10月から利用が可能となった保証協会融資についてもNPO法人の新しい財政基盤強化策として積極的に取り組むこと。
⑤ NPO法人への施策展開については、従来の基金による委託事業等一過性の事業でなく、県政のパートナーとしての連携を進め、ともに課題解決にあたること。
⑥ 幅広い主体の県政参画を促すため、審議会等において、公募による女性や若者の委員を一定割合確保するなど、多様な意見を反映させること。
⑦ 効果のあるU ターン就職を推進するため、県内学生の高校卒業時及び大学卒業時の進学先、就職先を調査して状況を把握すること。また、J ターン、I ターンについては対象を絞り切れないものの、兵庫県の魅力を高めて就職、県内定着に結び付けていくこと。

Ⅱ 「持続可能な行財政構造基盤」の確立に向けて

① 平成30 年度に収支均衡を実現することはもちろん、持続可能な行財政基盤を確立するための不断の改革に取り組み、新たなプラン策定後は、行革の総仕上げに向け、改革を着実に推進すること。
② 事務事業の見直しにあたっては、一律の削減ではなく「選択」と「集中」の観点から取り組むこと。とりわけ、県民生活に直結する医療・福祉・教育などに関しては慎重に対応すること。
③ 部局間の連携の促進、県と市町との役割分担の明確化、昨年度から本格的に導入された班制の効果検証等により、効率的な行政サービスを提供すること。
④ 職員定数が抑制される中、行政サービスの低下を招かないため、一人ひとりの能力の向上と適切な人員配置に取り組み、効率的な業務執行体制を確保するとともに、あらゆる角度から無駄を廃止するなどの業務改善を行うこと。
⑤ 職員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、在宅勤務制度の拡充など多様な働き方の推進を図ること。また2010 年度に政府や労使代表で合意された有給休暇取得率の目標である70%を早期に達成するため、県庁の職場環境の整備を図ること。
⑥ 投資事業を行うにあたっては、厳しい財政状況と人口減少を前提に、「国土強靱化」の名の下での過度な投資事業は慎しみ、特に県政150 周年にあたってはメモリアルなハード事業の展開を避けること。また、「つくる」「つかう」「こわす」といった、施設のライフサイクルコストに加え、施設建設等で発生した県債の利子など将来世代に渡って発生する負担額の総額を明らかにすること。
⑦ 補助金や委託料について精査を行い、横断的な歳出削減に取り組むこと。
⑧ 一昨年度策定されたICT戦略を活用し、農業・教育・警察など様々な行政分野の最適化と、オープンデータ化による新しい行政サービスの創出に努めること。
⑨ 自治体公会計における複式簿記への早期移行を図るとともに、県民にわかりやすい会計資料を作成し、公開すること。

⑩ 県民局及び県民センターが果たす役割をさらに明確にするとともに、阪神間の統合や丹波地域の一体運営も含めた再編を検討すること。
⑪ 全ての公社等外郭団体について、その存在意義や事業の必要性を絶えず検証するとともに、派遣する県職員の退職者に関しては、その必要性について慎重に判断すること。
⑫ 公社等外郭団体については、監査委員の監査対象とならない団体であったとしても、出資者として監査体制の強化や、十分な情報の開示、透明性の確保と効率的な運営を求めていくこと。
⑬ 公的施設、県有施設については、長寿命化や計画的な補修を図るとともに、人口減少を前提とした中長期的な観点から、総量の適正化を図っていく方向で見直しを進めること。また、市町への移譲や国などの施設との集約にも取り組むこと。
⑭ 公的施設の管理運営については、原則として公募により指定管理者を選定するとともに、指定管理期間の長期化を検討するなど、経営の安定性にも配慮した制度運用の改善に努めること。また、地域住民との協働による維持補修活動の展開も図ること。

Ⅲ 「健康福祉社会」の実現に向けて

① 2013 年度から2017 年度までの第2期特定健康診査等実施計画において、全国目標である特定健康診査実施率70%、特定保健指導実施率45%を実現するために、国民健康保険の加入者(とりわけ40,50 歳代)に対して、健診の必要性を啓発するとともに、受診しやすい環境整備に取り組むこと。
② 企業の健康診断において、肝炎ウィルス検診のさらなる実施やピロリ菌検診を求めていくこと。
③ アルコール依存症対策を推進するため、健康被害の啓発、断酒会など、総合的なアルコール健康被害の防止策と計画策定について検討すること。
④ 難病対策について、国の対象疾患の拡大状況を確認しながら、対策のさらなる充実強化を国に働きかけるとともに、県としての施策も検討すること。
⑤ 人生や生活の質を指すQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上や社会保障費の抑制をめざし、認知症・メタボリックシンドローム・ロコモティブシンドローム対策を強力に推進し、健康寿命全国1位を目指すこと。
⑥ スポーツ・運動施設を健康寿命延伸のためのインフラとして位置づけ、スポーツ・運動施設の整備推進や誘致のほか、学校運動施設の一般開放を推進するなど、質・量ともに十分なレベルになるよう、取り組むこと。
⑦ 地域の医療連携を推進するため、2次保健医療圏域を単位とした医療機関の適切な役割分担、相互連携を進めること。とりわけ、県内における救急体制の格差解消に向けて取り組むこと。
⑧ 小児科、産科、麻酔科などの診療科偏在及び地域偏在の解消を図るため、就労環境の整備やインセンティブ付与により、へき地での勤務を可能とする医師の養成に積極的に取り組むこと。
⑨ 腎疾患対策として、腎移植施設の確保・充実に努めるなど地域バランスを踏まえた医療体制の充実を図るとともに、災害時の水の確保など対応を万全にすること。
⑩ かかりつけ医の普及・定着を基本に、医療機関が効率的に機能するシステムの構築に取り組むとともに、開業医不在地域に対する支援を行うこと。
⑪ 潜在看護師の活用や、認定・専門看護師の育成、訪問看護の起業支援など看護師の確保対策のさらなる推進を図ること。
⑫ 県立病院の運営にあたっては、適切な公的負担の下で、自立した経営が確保できるよう、医療資源の有効活用や、職員の経営意識の向上及び計画的な経営改善に取り組むこと。また、医師・看護師の確保に努め、特に女性医師の再就職にも配慮すること。
⑬ 県立病院において、インシデントや医療ミス、医療事故の発生予防に向けた、医療安全対策に取り組むこと。
⑭ 市町介護保険計画に、24 時間の訪問介護が実施されるよう働きかけるとともに、ケアプラン作成時における医療職、ケアマネージャーとの連携を促進させて、地域医療と介護事業の連携を強化すること。また、介護保険の運用上の解釈等多様な課題を抱える市町並びに事業者への支援、相談体制を充実させること。
⑮ 地域包括ケアシステムの構築に向けたモデル事業の実施や、制度上の課題を明らかにするための調査を実施し、積極的に市町に情報提供すること。
⑯ 介護人材を確保するため、介護福祉士を含む介護職員の処遇改善やキャリアアップへの支援策を講じること。
⑰ 認知症高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、認知症疾患医療センターの拡充と、認知症サポート医の養成、かかりつけ医の対応能力向上など、地域医療体制を早急に構築すること。
⑱ 若年性認知症について、課題を検証するとともに、職場や地域社会における理解の促進を図ること。
⑲ 精神障がい者が社会的入院から退院し、地域での生活をスタートするために、訪問看護の充実とともにピアサポーターの活用を図ること。また、関係団体の支援も得た上で、地域ごとにピアサポーターの育成を図ること。
⑳ 障がい者・難病患者の就労については、福祉的就労から一般就労への移行に対応するため、教育機関・福祉関係機関やハローワーク、企業との連携を図りながら、個人の特性や希望に応じた職業訓練、職業指導に積極的に取り組むとともに、障害者応援企業支援員による障がい者の支援に積極的な企業の開拓に努めること。
㉑ 県の物品調達等においては、障がい者就労事業所への発注や、同事業所へ仕事を発注している企業等への優先的な配慮を行うこと。
㉒ 成年後見制度を利用する知的障がい者について、判断面における支援の充実を図ること。
㉓ 重度障害者医療費助成事業を引き続き実施するとともに、現在助成の対象となっていない身体障害者手帳3級の腎疾患患者へも拡大すること。
㉔ 今年4月に施行された障害者差別解消法について、県民への周知に引き続き取り組むとともに、譲りあい感謝マークの普及等関連施策を推進すること。また、聴覚障がい者に対する合理的配慮として、コミュニケーションツールである手話通訳の機会の確保のため、派遣費用の助成等を行うこと。
㉕ 障がい児を持つ親が子育てと仕事を両立できるよう、長時間受入れ可能な施設を整備するなど、支援を拡充すること。
㉖ 知的障がい者の高齢化・重度化に対応できるように、居室や風呂場・便所などの改修に対し公的補助を行うこと。
㉗ 障がい者施設において1日のうちで特に多忙となる夕方から夜にかけて、支援内容の質の低下を防ぐため、十分な支援職員が配置できるよう、公的補助を行うこと。
㉘ 子育て世代の経済的負担軽減、市町における子育て支援策への支援などの対策を展開すること。
㉙ 乳幼児の子育てに関わる電話相談事業の拡充を図ること。
㉚ マタニティハラスメントの実態を把握し、安心して出産・子育てできる体制を構築すること。また、児童虐待との関連性が指摘されている未受診出産の増加を食い止めるため、市町、保健所等との連携を図ること。
㉛ 若年者に対し「ワーク・ライフ・バランスの取り組み」や「妊娠・出産の知識・リスク」についての啓発を行い、十分に情報を届けること。
㉜ 少子化対策としての晩婚化・晩産化対策に積極的に取り組むこと。
㉝ 不妊症・不育症に対する経済的負担の軽減に向けた支援のさらなる充実を図ること。
㉞ 保育所の待機児童解消や「認定こども園」の設置促進、休日保育の充実、 病児・病後児保育、24 時間保育など、保護者ニーズに応じた保育サービスを展開・支援すること。
㉟ 小1の壁対策としての学童保育の充実を図るため、ひょうご放課後プラン事業の放課後児童クラブと、放課後子ども教室との連携をさらに推進すること。
㊱ シングルマザー、シングルファーザーへの支援など、多様な家族形態に配慮した子育て支援を展開すること。
㊲ 「三世代同居・近居の推進」や「地域の子育て家庭への見守り拠点」設置の取り組みに力を入れること。
㊳ 男性にさらなる家事参加を促し、子どもを産み育てやすい環境づくりを行うこと。
㊴ 認定こども園の会計について、透明性を確保するための指導を行うこと。
㊵ 2016 年までに県内自殺者を1,000 人以下に減少させるという目標を確実に達成し、「自殺者ゼロ」に近づけるため、引きこもり相談支援セン
ター等での相談体制の充実、精神科医療の適切な受診環境の整備など、実効ある対策を推進すること。
㊶ 増加傾向にある児童虐待通報件数、及び児童虐待の恐れのある児童の一時保護先の確保が困難になってきていることに鑑み、一時保護施設の拡充、新設を検討すること。
㊷ 各学校において、主幹教諭や人権教育担当教員などが中心となって、児童虐待の早期発見に取り組むこと。また、カウンセリングマインド実践研修を引き続き実施し、全教職員の資質向上を図ること。
㊸ 市町におけるDV対策基本計画の策定や、支援センター機能の設置などの支援を十分に行うこと。また、市町、警察、NPO等の民間団体などとの連携のもと、相談体制及び被害者へのサポート体制の強化と、加害者への教育の充実を図ること。
㊹ 乳児院・児童養護施設の質のばらつきを是正し、よりきめ細かな支援を実現すること。
㊺ 里親となる家庭と子どもとのマッチングがスムーズに図られるよう、家庭養護促進協会と緊密に連携し、きめ細かなサポートを行うこと。また、里親との適切なマッチングを進めるため、幅広く里親を募るとともに、推進員のコーディネート力を強化すること。さらに特別養子縁組制度の普及・充実を図ること。
㊻ 生活困窮者自立促進法の施行を受け、一昨年度のモデル事業の結果を踏まえ、中間就労などの支援策を展開すること。
㊼ 生産者・事業者に食の品質管理を徹底させるため、兵庫県版HACCP認定制度のさらなる拡充を行うこと。また、消費者から誤解を受けない食品表示のあり方について、事業者と行政、消費者団体等で検証・検討し、食の安全を確保すること。

Ⅳ 「子どもが輝く社会」の実現に向けて

① 少人数学級の着実な推進などにより、読み・書き・計算をはじめとする基礎・基本の学力の確実な定着や、一人ひとりの個性・能力を伸ばすことなど、児童生徒の発達段階に応じた教育環境づくりを推進すること。
② コミュニケーション力を育むため、児童生徒同士の対話を通じた学習法であるピアラーニングの視点を教育現場に導入すること。
③ 読書活動推進指定校の実践状況、効果検証を行い、学校における読書教育をさらに推進すること。また、司書の配置の推進にも努めること。
④ 土曜チャレンジ学習事業をはじめとする、専門家や民間企業の知見を活用した出前授業を更に推進すること。
⑤ シチズンシップ教育の実施に当っては、参加型民主主義を理解、実践するために必要な価値観やスキルを身につけることを目的とすること。
⑥ 生まれ育った環境に関わらず、あらゆる人が教育を受ける機会を拡大させ、貧困の連鎖を断ち切るため、奨学金制度を貸与ではなく、条件付きで給付するなど充実を図ること。また、貸与型奨学金の利用に関しては、生徒や保護者に対し、返済にかかるリスク等に関する説明を十分に行うこと。
⑦ いじめの未然防止、早期発見、早期対応に資するPTCA教育支援の実効的な活動方法を検討すること。
⑧ 学校管理職特別研修や主幹教諭実習等を通じて、教職員やスクールカウンセラーの対応力・生徒指導力の充実を図ること。
⑨ 不登校児童・生徒の解消については、相談・指導体制、児童生徒・保護者支援、体験活動の充実など総合的な取り組みを着実に推進すること。また、フリースクールの役割について検証すること。
⑩ 食育のより一層の推進及び学校における食物アレルギー対応の充実のため、栄養教諭が全校に配置されるよう義務標準法における栄養教諭の定数拡充に取り組むとともに、栄養面だけでなく、食べるということの大切さ、作り手への感謝など、食にまつわる幅広い教育を行うこと。
⑪ 通学時の交通事故を最大限減少させるため、警察、道路管理者、地域住民一体となって安全対策を実施するとともに、危険箇所に関する地域への周知徹底を図ること。
⑫ 市町立学校施設の耐震化については、整備促進に向けて、引き続き国への要望と市町への働きかけを行うこと。
⑬ 「兵庫県特別支援教育第2次推進計画」に基づき、多様なニーズに対し、具体的な課題解決に努めること。
⑭ LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障がいに対する県民の理解を深めるため、学校行事の地域への開放や、地域行事への児童生徒の参加を促進させること。
⑮ 特別支援学校の過密解消に努め、教育環境の整備を進めること。また、新設校開校に当っては、事前に地域の協力体制を構築すること。
⑯ 高等学校においては地域ボランティアとの創意工夫を凝らした取り組みや、多彩な活動を推進していくため、学校運営費の維持・増額を図ること。
⑰ SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校は、地域の理科教育底上げのための協働事業を積極的に行うこと。
⑱ 新通学区域については、2017 年度まで毎年実施する意見調査の結果等を踏まえ、適切な検証及び情報提供を行い、生徒や保護者の不安解消に引き続き努めること。
⑲ 教職員の勤務時間適正化対策プランによる改善状況を検証するとともに、多大な負担となっている部活動の一部民間委託・日数の上限設定のほか、校務システムの推進による効率化や管理職の意識改革の実施など、着実な取り組みを行うこと。
⑳ 各学校のホームページの掲載内容や方法、更新頻度に差がある状況を改善し、充実した運営を行うこと。
㉑ 児童養護施設の入所児童の進路について、自立するために必要な教育を選択できるよう、教育・福祉の支援を充実すること。
㉒ 日本語指導が必要な児童生徒に対する日本語習得の機会の充実と、高校進学率の改善に取り組むこと。
㉓ 公教育の一翼を担う私立学校については、経営の安定に資する経常的経費の支援に加えて、授業料の軽減措置の拡大を図ること。また、部活動の全国大会出場など特別な活動にかかる臨時的な経費についても配慮すること。
㉔ 県立大学が兵庫の知の拠点として、多様化する社会ニーズに対応できるよう大学改革を行うとともに、県内就職を後押しする取り組みも推進すること。
㉕ 県立大学の優秀な学生の確保と教育機会の提供拡大のため、入学・在学時の成績に応じた給付型奨学金へ制度拡充を図ること。

Ⅴ 「危機管理型社会」の実現に向けて

① 発生が懸念される南海トラフ巨大地震や山崎断層帯地震をはじめ、津波、洪水、土砂崩れ、集中豪雨、高潮等の自然災害に備えて、基盤整備とそれに係るシステム構築を急ぐこと。
② 集中豪雨が頻発していることから、河川においては、総合治水条例に基づく計画的な掘削作業や貯留施設の設置などの対策に早急に取り組むこと。また、土砂災害対策として、特別警戒区域の追加指定を急ぐとともに、住民への危険情報の周知徹底を図ること。
③ 「減災」の観点からのソフト対策として、適切な間隔で避難訓練等が実施されるよう市町と連携すること。また、2013 年度に策定された避難所管理運営指針の実効性を高められるよう周知徹底し、多くの県民が共有できるようにすること。
④ 災害に備え、市町の業務継続計画策定への支援を行うなど、自治体の災害対応力の底上げを図ること。
⑤ 障がい者や高齢者などの災害時要援護者に対する支援体制を構築すること。また、在日外国人や増加する外国人観光客のためにも、やさしい日本語や英語を利用したアナウンス体制の構築も図ること。
⑥ 広域防災拠点等における備蓄倉庫の被災者用物資については、防災会議等の意見を踏まえ、内容を臨機応変に変更すること。
⑦ 県有施設の耐震化工事にあたっては、県民の安全・安心という観点から、特に災害時の活動拠点や避難等の拠点となる施設について、優先順位を明確にして早急に取り組むこと。
⑧ ホテル・旅館等多くの人が利用する民間集客施設については、耐震診断や工事等に助成制度がある大規模施設だけでなく、資金面に余力のない中規模の施設についても支援を充実させること。
⑨ 計画停電時や大規模停電の際の交通インフラの機能停止・ライフラインの途絶等による混乱を回避するため、セーフティネットの構築を図ること。
⑩ 大規模災害時には医療現場で大きな混乱が予想されることから、医療機関のみならず警察、消防などと機動的な連携が図れるよう、訓練等を通じ、平素から役割分担の確認等を行うこと。
⑪ 関西広域連合の防災対応能力の充実等をもとに、関西が首都機能を代替する最適な都市圏であることを、国に対して具体的に提案していくこと。
⑫ リスク分散の観点から、企業の本社機能の関西誘致についても積極的に進めること。
⑬ 警察は、犯罪のハイテク化や国際化など、社会の変化や犯罪の性質の変化に柔軟に対応するため、専門的知識・技能、語学力を有する者など専門性の高い人材を確保、養成すること。
⑭ 警察署間での定員見直しによる繁閑差解消や警察官の定数欠員状態の解消を図ること。
⑮ 警察署の整備にあたっては、経年劣化や耐震性などを主な判断基準とするのではなく、地域の実情を十分に反映した上で、検討を行うこと。
⑯ 「改正暴対法」や「暴力団排除条例」の適切な運用を通じ、暴力団による組織犯罪への対策や、薬物・銃器の密輸・密売事犯の徹底検挙を推進すること。
⑰ 近年、社会問題となっている特殊詐欺については、取り締まりを強化するとともに、実際の手口を実践的に紹介する啓発を絶えず行い、被害の未然防止・拡大防止対策に取り組むこと。
⑱ 巧妙化・複雑化するサイバー犯罪については、専門捜査員の技能向上を図るとともに、犯罪の情報集約・分析を推進し、警察組織の総合力を発揮して対策に取り組むこと。
⑲ 覚せい剤、危険ドラッグなど違法薬物の危険性について教育する場を確保し、使用の未然防止に努めること。
⑳ 再犯防止に向け、出所後の社会復帰を踏まえた取り組みを行うこと。
㉑ 体感治安向上には、郡部で実施されている各交番・駐在所のパトロールカードが有効であることから、都市部においても積極的な活用を図ること。
㉒ 犯罪多発地域や公園周辺などの公共空間において、市町が防犯カメラを設置したり、機器の入れ替えをする際の補助制度を創設すること。
㉓ 政府での検討結果を踏まえ、録音・録画などの客観的記録の保管に可能な限り取り組むなど、取り調べの適正化に取り組むこと。
㉔ 女性警察官が働きやすい環境を整備すること。また、女性警察官の採用拡大に努めること。
㉕ 犯罪被害者等の精神的負担並びに経済的負担を軽減するための諸施策を推進すること。
㉖ 性犯罪被害者への支援については官民連携により引き続き支援体制の充実を図るとともに、精神的負担軽減のためのピアサポーターの育成などを検討すること。
㉗ 年間6,000 件以上発生している自転車事故については、自転車の利用実態や事故発生原因などを調査した上で、事故の減少に努めること。同時に、自転車保険への加入促進を図るとともに、自転車利用に係る交通安全教育、通行環境の整備などを並行して進めること。
㉘ 県内道路の速度規制の見直しを今年度中に完了するとともに、道路事情の変化や新基準に合わせた信号機の廃止も含めた最適化を図ること。
㉙ 駅へのホームドアの設置については、事故発生率の高い1 日あたり10 万人以上の利用者がある駅から、国、基礎自治体、鉄道事業者との協議、検討を積極的に始めること。

Ⅵ 「産業活力社会」の実現に向けて

① 産業集積条例の活用等により、国内外の優れた企業、研究所の誘致に取り組むとともに、産官学連携や関西イノベーション国際戦略総合特区の活用も図りながら、地場産業の活性化、雇用創出を推進すること。とりわけ、「京」や「SACLA」など世界有数の科学技術基盤の活用により、研究機関や裾野の広い企業誘致に取り組み、新しい産業の育成に努めること。また、医療産業などの成長産業の海外展開を支援すること。
② 中小企業の振興に関する条例に基づき、中小企業が地域経済及び雇用を支えるという理念のもと、雇用環境の整備や事業承継の推進、新たな事業展開の促進等に対し、具体的な支援策を講じること。
③ 中小企業に対する多様で円滑な資金供給のため、不動産に依存しない融資条件緩和の検討や、新しい金融サービスの創出に努めること。
④ 若者やシニアの起業創出を促進させるため、裾野の広いコミュニティビジネスの創業・育成支援を行うこと。また、ビジネスコンペの開催などにより、業として成り立つコミュニティビジネスの誕生を促すこと。
⑤ 中小企業の人手不足の解消、及び若者の県内定着を図るため、中小企業奨学金返済制度の支援期間の延長と、支援額の拡充について検討すること。
⑥ 海外事務所を活用し、県内企業の海外進出のみならず、外国企業の兵庫県誘致など県内雇用・投資を生み出す機能を強化すること。
⑦ 他府県との連携を行うことで、海外事業展開時のネットワークの拡大を図ること。
⑧ 離職者が切れ目なく次の職場を見つけることができるように、雇用のマッチングなど正規雇用につながる支援を行うこと。
⑨ 離職に伴って住む場所を失った人たちの住宅確保や生活資金・能力開発資金の貸し付け等の離職者支援制度の拡充に取り組むこと。
⑩ 今年から運用を開始した「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」が定める労働者保護が、下請負者に雇用される労働者及び派遣労働者にとっても実効性あるものとなっているのか、常に検証を行うこと。
⑪ 介護・育児休業の取得率向上や時間単位の有休取得など、より柔軟な働き方を支援し、2020 年までに年次有給休暇消化率70%を達成すること。
⑫ 事業所・マンション内のこども園や託児所の設置・運営を支援すること。
⑬ ひょうご仕事と生活センターについては、四者合意を踏まえ、ワンストップサポートの事業体として、企業における多様な働き方の取り組みを支援すること。
⑭ いわゆるM字型カーブを解消するため、出産、育児による不利益が生じないよう、企業に対する働きかけを強化するとともに、相談体制を充実させるなど、女性が働き続けられる環境を整備すること。
⑮ 特に、中小企業の出産・育児・介護休業や休暇制度の実効性について検証するとともに、利用が促進されるよう支援すること。
⑯ 障がい者の法定雇用率を早期に達成すべく、企業に対して制度の普及・啓発や先進事例の紹介、採用後のサポートや特例子会社設立への支援に取り組むこと。
⑰ 正規雇用と非正規雇用の均等待遇・均衡処遇の実現に向け、賃金のみならず、教育訓練機会の充実についても、公的教育訓練機関と企業内教育訓練との連携により取り組むこと。
⑱ 兵庫県内の多彩な地域資源を十分に生かした「魅力ある観光地づくり」を進めるとともに、明確な目標を定め県内観光産業の振興に努めること。また、県内のインバウンド客の8割以上が神戸市を訪れていることを踏まえ、神戸市と連携した誘客の取り組みを進めること。
⑲ コンテンツツーリズムや温泉地での浴衣体験等の日本文化体験、スポーツツーリズム、アグリツーリズムなどニューツーリズムの振興を通じて、兵庫の新しい観光資源の開発に努めること。
⑳ 成長著しいアジア・イスラム圏からの観光客への観光プロモーションを促進するとともに、旅行会社を中心とした民間企業との人材交流も含めて、効果的な事業執行に努めること。
㉑ 空の観光導線である神戸空港だけでなく、海の観光導線である神戸港にも着目し、高成長を続けるクルーズ市場を的確に取り込み、関西の海の玄関口としての地位を確立すべく、神戸市と連携した取り組みを進めること。

Ⅶ 「環境循環型社会」の実現に向けて

① 家庭や企業に対する節電行動の推進については、各種広報媒体による呼びかけのほか、節電につながる設備・システム等への投資に対する支援を行うこと。
② 太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、小水力のみならず、地熱や波力・潮力などの新たな再生可能エネルギーの実用化に向けて、さらなる研究を進めること。
③ エネルギー分散化の観点から、民間の発電設備の導入について、助成や融資の要件緩和などインセンティブによる、積極的な導入をさらに後押しすること。
④ 県庁や学校、警察署などの行政施設においても、エコガラスなどの高気密・高断熱化を新築時の設計や改修で推進することで、省エネ対策を進めること。
⑤ 特定物質(温室効果ガス)排出抑制計画・措置結果報告制度等の改正によって新たに導入された、事業者の計画書等の導入制度を活用し、温暖化防止を推進していくとともに、中小零細企業にも温室効果ガス排出抑制への取り組みを促すこと。
⑥ 第4次兵庫県環境基本計画に基づき、リサイクル運動を推進し、廃棄物の最終処分量を減少させること。
⑦ 環境負荷低減のため、低公害車の普及を図ること。
⑧ 「兵庫県バイオマス総合利用計画」の推進に当っては、肥料化・飼料化はもとより、新しいエネルギー源、生分解性プラスチック等の新素材原料などの活用を進めることにより、廃棄物ゼロをめざす農のゼロエミッションを推進すること。ついては、多様で多段階な利活用を行うことで、産業横断的、地域一体的な取り組みとすること。
⑨ 力強い農林水産業を確立するとともに、環境創造型農業推進計画に基づき、ひょうご安心ブランド農産物の生産・消費拡大を図ること。また、消費者にとって身近な小売店の協力を得て幅広いPRに努めること。
⑩ 県産農畜水産物の中からブランドとしてふさわしい品目の選定や品質の改善、新品種の開発を進め、ブランド商品としての優位性を明らかにして、生産から流通、販売までの一連のブランド戦略を確立するとともに、「ブランド指導相談室」を中心に、専門家を6次産業化プランナーとして派遣し、生産から加工、流通までの一貫した取り組みに必要な技術支援や人材育成を進めること。
⑪ 地域団体商標をさらに増加させ、効果的な宣伝活動によって日本全国の主要都市や海外への販路拡大を積極的に推進すること。
⑫ 農薬の適正使用に関しては、さらなる安全使用に取り組むとともに、農薬管理指導士の認定についても引き続き推進すること。
⑬ 生産履歴の記帳やトレーサビリティシステム、農業生産工程管理手法(GAP)の一層の導入促進を図ること。
⑭ 米をはじめ、野菜、大豆などの県産農畜水産物を、学校、老人福祉施設、病院などの給食に導入するため、学校関係者や市町教育委員会、関係団体との前向きな協議を続けること。
⑮ 整備した優良農地を適切に確保するため、土地の利用関係を適切に調整すること。
⑯ 農地や農業用水は、農業生産の基盤としてだけでなく、水源涵養等の公益的機能を有しており、これらの機能を維持する観点から、農地、農業用の水路、井堰、ため池等の整備・保全等の取り組みに対して支援を行うこと。
⑰ 耕作放棄地対策として、兵庫みどり公社を活用し、農地の集約を進めるなど、市町の農業委員会や農政担当課、JAなどとの連携の中で、必要な支援策を検討すること。
⑱ 農業者の高齢化が加速することを踏まえ、新規就農者の育成・確保に取り組み、就農前研修や就農給付金の交付など、円滑な就農と早期の経営確立の促進を図ること。併せて、就農支援センター機能の充実・強化によるきめ細やかな支援を図ること。
⑲ 企業の農業参入に対する技術支援・指導を積極的に行うこと。
⑳ 新規就農の成功事例や、農山漁村のゆとりある生活の魅力を効果的に情報発信すること。
㉑ 特区を活用した、農山漁村で経験を積む外国人労働者に対する受入れの検討を行うこと。
㉒ 都市から地方への移住、都市と地方の交流の促進、集落の維持・活性化を推進すること。とりわけ、県内の多様な風土を生かしたアグリツーリズムの機運醸成を図ること。
㉓ 兵庫楽農生活センターの学習・交流機能を十分に活用するとともに、市民農園の確保と一層の利用促進を進めること。
㉔ 従来型の集落活性化のみにとどまらず、地域住民の判断として集落の発展的な移転・統合を選択肢の一つとして可能とする地域のあり方を検討すること。

Ⅷ 「快適で潤いのある社会」の実現に向けて

① バリアフリー新法に基づき、公共交通、公共施設等の社会基盤の整備・リニューアルを進めること。また、民間施設についても同様の協力を求める
こと。
② 年齢、性別、障がいの有無、文化などの違いにかかわりなく、全ての人が安心して暮らし、支え合い、社会参加できるユニバーサルデザインのまちづくりを推進すること。
③ 「ひょうご21 世紀交通ビジョン」実現のため、公共交通の利用促進、交通安全対策、交通事故防止、高齢者の移動性確保など、地域の課題やまちづくりなどの政策と関連付けた総合的な交通政策を推進すること。
④ 2013 年度に制定された交通政策基本法に基づき、市町との連携を深め、県のまちづくり・教育・福祉・観光施策推進のため、地方自治体・事業者・市民の役割を明確にした「県交通基本条例」の制定を行うこと。
⑤ 人口減少が進む中、今後増加の一途をたどる空き家対策として民泊や介護施設など、居住以外の新たな活用に向けた規制緩和を検討すること。
⑥ 本年4月に策定された「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」や明舞団地再生に取り組んだ経験を生かしながら、住宅の高付加価値化や大学、企業と連携した再生に向けた取り組みを、同様の悩みを抱える県内団地に拡充すること。
⑦ 安全・安心で持続可能な住生活が実現できるよう、環境配慮住宅や長期優良住宅の普及、既存住宅の「省エネ化」、「バリアフリー化」、「耐震化」、「リノベーション」の促進を図るため、各種事業、助成制度の充実に取り組むこと。
⑧ 生活・住宅困窮者にとって、公営住宅は重要な「セーフティネット」であることを踏まえ、新婚・子育て世帯の優先入居や、低所得者、高齢者への支援に努めること。また、中長期的な視点から、効率的で効果的な県営住宅の整備、維持管理を進めること。
⑨ 県民まちなみ緑化事業については、県民へのさらなる周知を図るとともに、制度利用者の拡大が実現できるよう努めること。また、効果的に緑化が進むよう、専門的・技術的なサポートなどを通じて、良好な維持管理を支援すること。
⑩ 都市緑化対策の充実のため、県民緑税の都市部への更なる充当を検討すること。

Ⅸ 「こころ豊かな共生社会」の実現に向けて

① 障がい者、被差別部落関係者、在日外国人、性的マイノリティ等への差別撤廃に向けた行政を推進すること。
② 「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」に基づき、県民意識調査を踏まえながら、性的マイノリティやインターネット上の問題など新たな人権課題についても積極的な対策を講ずること。
③ 「戸籍謄本等第三者取得に対する本人通知制度」の県内実施を進めるため、県民への制度周知に取り組むとともに、実施を検討している市町を支援すること。また、職権用紙の不正使用防止に向けた関連士業との対話を進めること。
④ 地域の人権啓発センターとして隣保館の継続的な運営充実を図るとともに、地域に開かれたコミュニティセンターとしての整備を促進すること。
⑤ 「ひょうご男女いきいきプラン2020」の推進に当っては、毎年実施する達成状況の調査結果を踏まえ、プランが進捗していないと考察できる項目については、全庁的な意識共有を図り、職員研修に取り組むこと。
⑥ 外国人県民が日本人と同様に能力が発揮できるよう、生活面、教育面などの課題解決に取り組み、誰もが暮らしやすい地域づくりを進めること。
⑦ 2015 年度に策定された「ひょうご多文化共生社会推進指針」に基づき、社会情勢の変化に対応しながら、これまで以上に日本人県民と外国人県民とがともに地域の構成員として支え合い、協働して地域づくりを進めることができるよう、支援すること。

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