◆17年2月定例会 討論

概要 代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

平成28年度当初予算案等に係る討論(賛成)/黒田議員

ひょうご県民連合議員団を代表し、ただいま上程中の平成29年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号議案ないし第49号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。

本定例会に上程された平成29年度当初予算案は、一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせ3兆2,061億円の予算編成となりました。

井戸知事は、平成29年度当初予算案を、地域創生戦略に基づく取組をさらに前進させる「地域創生本格化予算」として提案され、「子育て環境の充実」や「教育の充実」のほか、「多様な働く場の確保」、「暮らしの安心確保」、「地震・津波対策」など、兵庫の未来を担う人づくりや活躍の場の充実、安全安心の確保による元気な地域づくりに重点的に予算を配分したもの、とされております。

この予算案では、歳入歳出収支は前年度と比べて150億円の改善がなされましたが、未だ170億円の収支不足が見込まれ、その対策として来年度も退職手当債100億円、行革推進債70億円を発行せざるを得ない状況です。これは「最終2カ年行革プラン」に基づく財政フレームの範囲内とはいえ厳しい状況に変わりはありません。また震災関連県債残高も3,992億円と依然として県財政に大きくのしかかっており、将来負担比率全都道府県ワースト1位はなかなか返上できない状況です。

このような財政制約の中、私たちひょうご県民連合議員団では、 現在県政が抱える課題について時々に指摘し、その改善を求めてまいりました。昨年11月には9テーマ184項目からなる「予算編成に対する申し入れ」を行い、その後の政務調査会や今定例会の代表質問・一般質問、常任委員会での審査、予算特別委員会における質疑・質問を通じて、来年度予算について慎重に審議を行って参りました。

以下、会派の主張や活動方針等に掲げた我々が考える「実現すべき社会」に基づき、来年度当初予算案などに対し、評価すべき点、積み残された課題などについて意見を述べたいと思います。

まず、わが会派では「地域主権社会の確立」を主張しています。少子化、高齢化が進んでも兵庫が活力ある地域であるために、地域創生戦略に基づき、人口対策と地域の元気づくりを柱に、地域創生にかかる施策が展開されていますが、効果が十分に出るよう施策の絞り込みを行うとともに、市町の自主的・主体的な取り組みへ支援することが重要です。その際の使途や合理性については予算特別委員会総括質問で触れた通りです。

次に「持続可能な行財政構造基盤の確立」についてです。さらに厳しさを増す財政状況を乗り越え、持続可能な行財政運営を行うためには、真の行財政構造改革、つまり、①社会の担い手の拡大、②組織や投資の不断の見直し、③適切なスクラップとビルド、が必要不可欠です。人口減少を直視し、質的な改革をさらに推し進める必要があります。

また目指すべき「健康福祉社会の実現」については、地域の医療連携の推進、とりわけ、県内における救急体制の格差解消に向け取り組むとともに、かかりつけ医の普及・定着を基本に医療機関が効率的に機能するシステムの構築、障がい者・難病患者の就労支援、保育所、放課後児童クラブの待機児童解消など子育て環境の整備、里親・特別養子縁組のさらなる推進なども求められます。

そして、教育に関しては、わが会派では「子どもが輝く社会の実現」を目指しております。すべての子ども達の教育機会を確保する奨学金制度の充実や参加型民主主義を理解・実践するためのシチズンシップ教育の推進、私立学校の経営安定に資する経常的経費の支援や授業料の軽減措置の拡大、「兵庫県特別支援教育第2次推進計画」に基づく多様なニーズへの対応などが期待されます。

命を守る「危機管理型社会の実現」については、来たる大規模災害に備え、市町の業務継続計画策定への支援を行うなど、自治体の災害対応力の底上げを図ることが必要です。また性犯罪被害者への支援については、今回、開設される予定のひょうご性被害ケアセンター「よりそい」において、被害者が希望するサポートが提供されることを期待しています。

また「産業活力社会の実現」に関しては、中小企業の人手不足の解消や若者の県内定着を図るため、中小企業奨学金返済制度の支援期間の延長と支援額の拡充を検討するとともに、「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」の実効性の検証など、雇用就業環境のさらなる整備が望まれます。

このほか、「環境循環型社会の実現」「快適で潤いのある社会の実現」「こころ豊かな共生社会の実現」についても、重要課題として着実かつ力強い取り組みを期待いたします。

以上、来年度当初予算案に対する評価、さらに一層の取組が求められる重要な県政課題について述べてきました。私たちの会派が提言・申し入れなど、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項には、さらなる取り組みが必要な分野や精査すべき課題が少なからず残っているのは述べたとおりでありますが、上程された来年度予算案等については、極めて厳しい財政状況のなか、様々な実態を踏まえ優先事業を選択し必要な額を確保したものであり、県政を取りまく重要課題に対応していこうとする努力がうかがえる予算となっており、評価いたします。

知事におかれましては、今後とも参画と協働を基本姿勢に県民の声に真摯に耳を傾けて頂きたいと思います。そして、今を生きる県民のみならず、これから生を受ける県民への誠意としてこの厳しい財政状況にも真正面から向き合って頂きたいと思います。そしてこの予算が、目的とされる活力ある地域づくりに結びつくものにならんことを強く期待します。

最後に、私たちひょうご県民連合議員団も、井戸知事とともに将来への責任を共有し、すべての県民に居場所と出番がある社会、希望を持って暮らしていける社会、この実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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