石井 秀武議員が質問(予算審査・農政環境部)

予算特別委員会(部局審査・農政環境部)

質 問 者   石井 秀武 委員(ひょうご県民連合)

 

1 養殖経営の強化について

(1)新たな養殖業の現状と課題について

瀬戸内海に春を告げるイカナゴのシンコ漁が3月7日に解禁されました。今年は県水産技術センターが不漁傾向を予測していますが、釜揚げやくぎ煮が季節の味として、また、文化として沿岸地域で定着しており、資源管理が重要と感じています。

本県は、近畿地方の生産額の約3分の2を占める漁業の盛んな県でありますが、漁獲量の減少や魚価の低迷、燃油や資材の高騰など経営環境は厳しい状況にあります。

このような中、経営安定をめざし、従来からノリやカキの養殖に加え、アサリ、サーモン、さらにはアカウニなど新たな品目へ積極的にチャレンジされていると聞いており、先頃も淡路島サクラマスのご当地メニューのお披露情報が報道されていました。

そこで、まず、最近の新たな養殖への取り組み状況についてお伺いします。

 

(2)今後の養殖業の振興について

魚貝や藻類は、まだまだ生態がよく分からない場合や、育成技術の開発が研究途上のものも多く、新たな養殖業が確立するためには、優良品種の育種、種苗の生産、養殖の技術開発など、技術面で研究機関との連携が不可欠です。

また、新たな養殖業をビジネス化していくためには、生産のみならず、流通形態、食べ方、価格帯、客層のターゲットなど、流通・消費まで見通した方針を持って取り組むことが重要で、その方針のもとで、経営への取り組みを誘導し、その普及を図っていく必要があります。

このような観点に立って、今後、養殖業の振興にどのように取り組んでいくのか、当局のご見解をお伺いします。

 

2 都市近郊の立地を活かした施設野菜の生産拡大について

(1)県が開発したオリジナルイチゴの普及状況について

施設野菜の生産拡大を進める、つまり儲かる経営を実現していくためには、①付加価値の高い商品の生産で売り上げを拡大する、②生産コストの低減や生産性の向上を図る、などが考えられます。

付加価値の高い商品としてオリジナル品種の開発がありますが、兵庫県では、農林水産技術総合センターがイチゴの新品種を開発し、2015年2月に「あまクイーン」、「紅クイーン」の愛称を決定するとともに、2020年に7haの栽培面積をめざしています。

この品種の開発は、本県農産物のブランド化を図るためにも重要で、応援してきた者の一人として大きく期待しているところですが、愛称決定から早2年が経過しました。

その後、「あまクイーン」、「紅クイーン」の生産拡大が進んでいると思いますが、その状況と今後の取り組みをお尋ねします。

 

(2)低コスト環境制御技術の開発・普及について

生産コストの低減や生産性の向上を図る点から、環境制御技術の導入が注目され、本県でも、2015年7月、加西市にオランダ式の大規模環境制御温室が完成し、1年余りが経過しました。

約4ha規模で事業費は20億円を超えており、10a当たり投資額は5千万円、30a規模では1億円を軽く越えてしまいます。施設野菜は露地に比べて投資額が高くなりますが、施設園芸のモデルとしても投資額が大き過ぎないか。

大規模温室ほどでなくても、もう少し少額投資で生産性が向上するなら、既存の多くの農業者にも取り組みやすいものとなり、経営改善につながる可能性があります。

そこで、既存の施設に簡単な改善を行い、生産性を向上させる方法が工夫できそうに考えるがどうか。

 

3 農地の有効活用につながる農協の取り組み支援について

農地の集積・集約化を進める農地中間管理事業においては、集落営農法人や大規模農業経営者を中心に約3,000haの農地が貸し付けられていますが、新たに農業を始めたい、規模を拡大したいという方の借り受け希望は1万ヘクタールを超えています。

一方で、耕作放棄地面積は農林業センサスベースで2015年は6,908haで、5年前より約1,000ha増えており、農地の流動化、有効活用がまだまだ進んでいません。

このような中、農協が出資して法人を立ち上げ、組合員の農作業の受託や経営の受託、さらには直接農業経営にまで乗り出す動きが目立ってきました。県下に9法人あり、今後の活動に大いに期待するところでありますが、経営体力が弱く、また、組合員から条件不利農地の利用を余儀なくされているような状況もあります。

折しも農業委員会改革や農協改革が進められていますが、農地の有効活用についても、地域の耕作条件や作付け事情に精通した農業者の協同組織である農協がさらに役割を果たしていく必要があります。

そこで、農業の担い手の一翼として、農地の有効活用に取り組む農協の活動をさらに支援していく必要があると考えるがどうか。

 

4 五色沖の洋上風力発電の導入について

(1)洋上風力発電の導入支援について

本県では、2030年度の温室効果ガス削減目標と再生可能エネルギーの導入目標などを盛り込んだ兵庫県地球温暖化対策推進計画を検討しているところです。

こうした目標を実現するため、特に再生可能エネルギーの導入拡大のためには、太陽光発電に偏らず、風力・小水力・バイオマス発電など多様な再生可能エネルギーの導入が必要であることは理解できます。

一方、この2月定例会に「太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例」を上程し、太陽光発電施設による景観、眺望の阻害、太陽光パネルの反射光による住環境の悪化等によるトラブルを防ぐため、一定の規制をかけることとしています。

来年度、洋上風力発電の導入促進として、環境省公募事業における洋上風力発電の適地抽出モデル地域に選定された洲本市五色沖の洋上風力発電について、具体化に向けた検討調査事業を支援するとしています。

そこで、いま、なぜ、この地域での導入支援が必要なのか、県として導入の意義をどのように考えているのか。また、県が支援する以上、今後、他の地域への導入の可能性はあるのか、ご所見をお伺いします。

 

(2)洋上風力発電導入に係る課題への対応について

五色沖の洋上風力発電の導入により、温室効果ガス削減に効果があること、また、それにとどまらない波及効果が期待できることは一定理解できますが、洋上風力発電には、景観との調和や地域の理解、特に漁業者との調整などが不可欠であることや、洋上ゆえに津波に対する安全性確保など、多くの課題があると考えます。

そこで、このような課題に、どのように対応するつもりなのか、当局のご所見をお伺いします。

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