栗山 雅史議員が代表質問を実施

質問日:平成29年6月6日(火)

質問者:栗山 雅史 副幹事長

質問方式:分割方式

 1 有事に備えた危機管理について

北朝鮮が、日本海側へ向けて弾道ミサイルなどを繰り返し発射する状況が続いております。朝鮮半島を含めた日本海近海の情勢がいつにも増して緊迫しています。新聞等の報道によりますと、更なるミサイルの発射や核実験の可能性まで指摘されています。

さて、地方公共団体ではミサイル発射の防衛や、核実験の抑止のための外交など、直接的な行動を取ることはできませんので、基本的には国がアメリカ、韓国、中国との相互の連携の中で、どう対処するのかを検討してもらわなければなりません。しかしながら、日本海沿岸を有している兵庫県としては、万が一の時には、国民保護計画に基づいた武力攻撃事態等への避難・救援などの対処を進めていかなければなりません。有事の際に、兵庫県としてどのような初動対応をとるのか、県民がどのような心構えをすべきかという危機管理について、今こそ緊張感を持って取り組まなければならないのではないかと考えております。また、国から地方公共団体に対して、住民避難訓練の実施について要請があったと聞いています。

そこで、県は現在の情勢をどのように受け止め、県民の安全を確保するためにどのように取り組むつもりなのか、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。

また、朝鮮半島からの避難民対策について、知事は4月18日の定例記者会見で、「兵庫県も日本海側を有しているので、大勢の難民が押しかけてくる可能性も考える必要があるかも知れない。これは既に過去にシミュレーションを行っている」と述べられました。内容については公表をするつもりはないとのことでしたが、とても気になるところです。

避難民の受け入れについては、基本的には入国管理局の仕事でありますので国の業務となりますが、現実的にはボート等でどこからかの海岸から入国する可能性がありますし、そういった際には人道的支援という観点において、地元沿岸市町や兵庫県として身柄の収容場所の確保などの取組みがなされるのではないかと考えています。そのような状況になった場合、治安の混乱も懸念されることから、警察をはじめ、各機関との連携も重要になってくると考えています。

そこで、万が一避難民が兵庫県に逃げてきた場合、どのように対応するのか、またどのような備えがあるのかについて、ご所見をお伺いしたいと思います。

 

 

2 教職員の労働環境について

教職員の突出して多い超過勤務時間については、これまでにも多く質問として取り上げられ、教育委員会としても「教職員の勤務時間適正化新対策プラン」などを通じて、その労働環境の改善に努めてこられてきたところであります。しかしながら、昨今の企業等における残業時間の見直しや休日の取得奨励、ワークライフバランスの推進などが進む中において、特に教職員の労働状況だけは未だ改善されているとは言い難いと感じ、早く何とかして助けてあげたいと強く思っているところであります。

先般の新聞報道にありましたが、文部科学省が行った2016年度の教員勤務実態調査結果によりますと、学校内勤務時間は10年前より増加しており、週60時間以上勤務している教諭が小学校で33.5%、中学校で57.6%にのぼったとされています。これらの教諭は、週20時間以上の超過勤務が常態化しており、おおむね月80時間超が目安とされる「過労死ライン」を上回っています。

兵庫県においても昨年の6月から7月にかけて同様の調査が行われましたが、週平均の超過勤務時間数は、小学校教諭で17時間17分、中学校教諭で26時間15分となっていました。いずれも月80時間を超える「過労死ライン」に迫り、または超えている、劣悪な労働状況が今も続いていると言える調査結果でした。

県はこのような超過勤務の労働状況を受けて、「定時退勤日」の完全実施や、「ノー会議デー」、「ノー部活デー」に取り組み、または校務・業務の効率化や情報化の推進等を進めておられますが、結果的には前回の平成24年の調査と比較しても超過勤務時間は横ばい、若しくは増加しているという結果になりました。もはや、これらの取組みだけでは限界があることは明白であり、業務の分離、職員増による分担、外部委託など、思い切った取組みを進めなければ、超過勤務時間の大幅な改善には繋がらないのではないかと考えています。

巷では、教育現場は「ブラックな職場」とも言われているようです。「教職員の時間外労働にも上限規制を設けて欲しい!」との教職員の声もあります。最近の新卒の就活で学生が重視するポイントは、まさにこの「残業時間が多いか、少ないか」、「休日をきちんと取得できるか」だそうです。企業は、優秀な人材を確保するために、残業時間が減少していることなどを、データを持ってアピールするようになってきています。そんな中、教職員には「俸給月額の4パーセントに相当する教職調整額」を支払っていることを良いことに、まさに「青天井」とも言える超過勤務が常態化しているのではないでしょうか。

教職員の良心や情熱に甘えて、県教育委員会は健全な労働環境を整備していない、出来ていないのではないでしょうか。雇用主である兵庫県として、どのようにお考えか、ご所見をお聞きします。

 

3 認定こども園を含む保育の質の向上について

兵庫県は、姫路市内の認定こども園が、認定を受けた定員とは別に多くの私的契約利用児を受け入れていたことや、虚偽の報告を行っていたことなどが認定取消処分の理由に該当するとして、全国で初めて認定こども園の認定を取り消しました。その後、県は県内すべての認定こども園400園を対象に、園児数や職員数、園庭の面積、収入の状況、給食に関することなどを確認するため、実態調査票を4月に発出し、今月にはその調査票の確認、集計、分析を行うことになっています。

また、5月9日に開催されました県の諮問機関「認定こども園審議会」での協議を踏まえて、「認可・認定手続の見直し」や「指導監査等の強化」、「職員等に対する法令遵守研修の実施」など、再発防止策を7月中旬には取り纏める予定と聞いております。

そういった取組みを進める中で、実態調査の結果は7月に発表されることになっておりますが、お子さんを預けておられる保護者の皆さんは、おそらくその調査結果を見て、自身の実感や保護者間の情報とを比較しながら、認定こども園の実態がどうであるかを確認するのだろうと思います。調査結果と保護者の間で園の実態に対する認識が同じであれば良いのですが、仮に異なった場合には何らかの対応が必要になるのではないかと考えております。

さて、私は今回の事態を受けて、最も重要視しなければならないと思ったことは、言葉を話すことの出来ない乳幼児に対して、十分な食事の提供がなされていなかったことではないかと感じています。閉鎖された空間の中ですから、適切な食事の提供がなされていたかどうかは、園の中に入ってみないとわかりません。現在行われている実態の調査や、再発防止策による監査等の強化などで、今後は適切な保育が維持されるとは思いますが、今一度、保育の質の担保についてどうするべきなのか、県として総合的に検討するべきではないでしょうか。食事をはじめ、子どもの成長に欠かすことの出来ない「遊び」や「お昼寝」、「おやつの摂取」などが適切に行われているのか、また認定こども園の特色でもある幼児教育についても確認しなければなりません。

保育は認定こども園だけでなく、県内の多くの認可保育所や小規模保育事業所等でも実施されています。保育所等への指導は基本的には市町の役割ではありますが、県としても県内すべての保育の質を担保し、向上するための対策や取組みについて検討すべきではないかと考えておりますが、当局のご所見をお聞きします。

 

4 若者流出対策及び地域創生としての首都圏本社機能の県内移転促進について

人口減少や若者の県外流出が続く中、県としては県内37大学との就職支援協定の締結や、高校生への県内企業ガイドブックの配布、各種のUJIターン施策や東京カムバックセンターの設置など、多角的に県内就職の促進や地域創生に繋がる施策を展開されています。しかしながら、今後もその対策を継続、あるいは強めていかなければ、売り手市場の就職市場において、魅力的な企業が集まる東京や首都圏、大阪へと若者が流出する傾向には歯止めをかけられないのではないかと考えています。

私はこの1年間、産業労働常任委員会の委員長として、「人口減少時代における雇用創出と就業人口対策について」を特定テーマとして、委員会の皆さんとともに調査研究を進めて参りました。先日、この特定テーマ調査活動、研究結果を取りまとめたところでありますが、私なりの結論としましては、多くの魅力的な企業が集まる東京に少しでも近づけられるよう、国の支援も借りながら、何とか東京にある本社や本社機能を兵庫県内に移転できないか、どうすればできるのかということを課題にして締め括ったと認識しております。

そんな中、昨年9月、建設機械大手のキャタピラージャパンが、明石市の明石事業所に本社機能の一部を移す方針を明らかにされ、移転されました。経理や総務など管理部門の一部で、100人規模の移転となったそうであります。これは大変嬉しいニュースだったのではないかと思います。

兵庫県は、首都圏などから本社機能を移した企業に対して、法人事業税や不動産取得税の軽減、設備投資費用の補助などを実施されていますが、首都圏からの移転企業数はキャタピラージャパンなど、まだまだ数えるほどです。

現在、全国の自治体間では本社機能誘致策の競争がかなり激しくなっており、独自の優遇措置を強めています。例えば、長野県では法人事業税を3年間で95%減額、富山、石川両県では90%減額しています。法人事業税以外では、石川、長野、富山の3県が不動産取得税の減額措置を設けていますし、鹿児島県では6,000万円を限度に移転経費を補助、福島県は固定資産税の減額措置を行っています。

税制面での優遇や移転経費の補助等の自治体間競争は、イタチごっこのようになっており、いずれはチキンレースのような様相になるかも知れません。そんな中、私は一番カギを握っているのは「兵庫ゆかりの企業、経営者」に対して、兵庫県内移転を働きかけることではないかと考えております。既に、兵庫県の東京事務所やひょうご産業活性化センターの職員さんが、兵庫ゆかりの企業や経営者へのアプローチを続けていると聞いております。その手応えはいかがなのでしょうか。この活動をもっと強めれば、本社機能の移転の可能性が広がるのではないかと考えております。

若者流出対策及び地域創生としての、首都圏そして大阪府や関西圏にある企業の本社機能の県内移転促進について、今後の展開と可能性をお聞きしたいと思います。

 

5 対策の検討が必要な踏切について

県では、踏切による渋滞の解消や歩行者の安全確保を図るため、現在は平成26年度から30年度の5ヶ年を計画期間とした「踏切すっきり安心プラン」を策定、実行中であります。「開かずの踏切」や「歩道が狭く危険な踏切」とされる問題踏切80ヶ所を半減する目標のもと、連続立体交差化や踏切歩道部の拡幅などの対策に取り組んでおられます。そんな中、昨年6月に国土交通省が、緊急に対策の検討が必要な踏切として全国で1,479 箇所を抽出しました。そのうち、兵庫県内で抽出された踏切は、国・神戸市管理のものを除いて71ヶ所でした。

これら71ヶ所の踏切のうち、県が「踏切すっきり安心プラン」で対象としている踏切が48ヶ所ある一方、プランでは対象とされていない踏切が23ヶ所ありました。現在のプランの見直しの際には、もちろん追加の対象になるのかもしれませんが、プランで対象とされていない踏切が23ヶ所あることに対する見解と、この23ヶ所への対応について、県としてはどのようにお考えでしょうか。ご答弁願いたいと思います。

また、緊急に対策の検討が必要な踏切について、国土交通省は、新たな試みとして全国の鉄道事業者と道路管理者が連携し、踏切の交通量、事故発生状況、対策状況等の客観的データに基づき、「踏切安全通行カルテ」を作成しました。踏切安全通行カルテは、踏切の現状を「見える化」し、今後の対策方針等をとりまとめたもので、対策の実施に当たっての基礎になるものとしています。

この「踏切安全通行カルテ」をつぶさに見ておりますと、踏切道がある各市域の今後の対策方針のコメントにバラツキがあることが窺われました。対策には、踏切の除去を目指すことや、踏切内の歩道の安全対策、バイパス道路整備、アンダーパス整備、踏切の拡幅、踏切支障報知装置の設置などがありますが、物理的に対策が難しいものや多額の費用がかかるものが多く、自治体間の財政状態によって、対策の検討が進んでいる自治体と、進んでいない自治体が顕著になっているように感じました。例えば、対象踏切が多い尼崎市をはじめ、姫路市、加古川市、宝塚市などでは、「財政状況が厳しいため鉄道事業者との協議がいまだなされていない」というコメントが散見されました。カルテ作成から時間が経っていないものの、問題となっている踏切は今に始まったことではなく、長い間安全対策が進んでいないわけですから、将来に不安を感じざるを得ませんでした。

また一方、列車を運行する運転士さんからの声では、尼崎市のJR東海道本線の「三反田踏切、七ツ松踏切」では、踏切が閉まっているにも関わらず、踏切内に車や人が残ったり、あるいは無理に横断しようとする人がいたりして、特殊発光信号機、つまりは踏切非常ボタンを押されて、列車を停めなければならない事態が多発していると聞いております。当該踏切では、昨年、車を通行止めにする社会実験が行われ、評判が良かったと聞いておりますが、現在は実験を終え、再び車が通行するようになり、対策が必要な元の状況が今も続いています。

県は、このような対策方針が定まっていない踏切について、県下の自治体の取組み状況や、尼崎市で行われた社会実験の結果を踏まえ、どのように踏切対策を進めていこうとお考えでしょうか。ご答弁願います。

 

6 農地の活用促進について

農業就業人口の減少や営農者の高齢化により、耕作放棄地が増加していることはご承知のとおりであります。耕作放棄地面積は、農林業センサスによりますと、2015年は6,908ヘクタールとなっており、5年前より約1,000ヘクタール増えております。

耕作放棄地の発生は、農業生産力の低下を招くだけでなく、耕作放棄によって農地が荒廃し、病虫害・鳥獣害の発生の温床ともなります。また、水管理においても不具合が生じるなど、地域全体に悪影響を及ぼします。このため、農地が耕作放棄地とならないよう、その適切な利用を進めていくことが重要でありますが、そんな中、農地中間管理機構として兵庫県では兵庫みどり公社が農地を借り受け、集約して担い手に貸し付ける農地中間管理事業を中心に、農地の活用を進めているところであります。

さらに、県は本年度から、耕作放棄地の発生を未然に防止するため、各地域の農協などが主体となって農地の有効活用を図る仕組みとして、「地域農地管理事業」という新たな仕組みを展開されておられます。

この事業は、農協等がコーディネート役となって、市町や農業委員会等の関係機関と連携して、地域での話し合いを進め、貸し手や借り手の意向を反映した「農地利用図」を作成するというものです。そして、その農地利用図をもとに、農地の借り手となる農協出資法人などに対して、農業機械の導入や生産・販売を担う人材の確保を支援することとなっています。本年度はこの事業を県内10ヵ所でモデル的に実施するとしており、将来的にはこの取組みを県内全域に波及させ、農地の有効活用を図りたいとされています。

そこで、農地中間管理事業の進捗状況および「地域農地管理事業」の現在の取組み状況とともに、今後の農地の活用促進についてどのように進めていくお考えか、ご答弁をいただきたいと思います。

 

7 兵庫県知事選挙の投票率向上に向けた取組みについて

投票率の向上に向けた取組みについては、多くの議員からこれまでに度々質問されてきたところであります。来週の6月15日に告示され、7月2日が投開票日となっている兵庫県知事選挙の投票率向上に向けた取組みについても、3月の予算特別委員会で、我が会派の迎山議員から公職選挙法の改正を受けた今後の取組みについて質問してきたところであります。

さて、兵庫県知事選挙の投票率の推移を確認しますと、前回の平成25年執行の投票率は、参議院議員選挙と同日選挙となったこともあり53.47%となりました。知事選挙としては高い水準となりましたが、その4年前の平成21年の知事選挙では36.02%、さらにその4年前は33.33%という水準でした。

ご承知のように、投票は民主主義の根幹であると同時に、県が様々な権力を行使する上での拠り所になるものです。投票をしない人が多い選挙で選ばれた知事が、真に信認されたと言えるのか、などという議論がよくされますが、そういった意味においても投票率の向上は大変重要であると考えています。

昨年の参議院議員選挙から、選挙権年齢が18歳以上と引き下げられました。これを契機に、若者世代に対する様々な取組みも始まりました。また、公職選挙法の改正によって、大学や商業施設などの新たな期日前投票所の設置・増設や、投票所までの有権者の移動支援としての無料バスの運行などにも取り組まれました。その結果、期日前投票者数が増加するなど、一定の効果が出ていると感じています。

しかしながら、投票率向上に向けた課題はまだ残っております。例えば自らの属する投票区に関わらず、投票日に駅や商業施設など利便性の高い場所で投票できる「共通投票所」の設置です。選挙管理事務の管理執行面の課題があるとは思いますが、投票所の選択肢を拡大することは、投票率の向上が期待できます。また、予算特別委員会での答弁によりますと、市町選管が今回の知事選挙に向けて新たな取組みを検討中ということですが、新たな動きについて把握されているでしょうか。県選管と市町選管が情報交換をしっかりと行い、積極的な取組みを進められることを期待しています。

約19億円の予算をかけて実施する選挙です。投票率の向上という結果が得られるよう、意識して取り組まれていると思いますが、今回の兵庫県知事選挙の投票率について、どの程度の目標をお持ちでしょうか。また、選挙公報のインターネットでの公表や、若者世代を中心としたSNSなどへのリンクなど、情報を気軽に入手できる取組みを含めて、投票率向上に向けた具体的な取組みについてお聞きします。

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