石井 健一郎議員が代表質問を実施

質問日:平成30年2月22日
質問者:石井 健一郎 議員
質問方式:分割

1.地方分権の推進について

本格的な人口減少社会を迎え、東京一極集中が大きな課題となる中、地域を自らの手で創る地域創生の取組を本格化する必要があるといわれてから久しい。
しかし、これまで東京一極集中の是正や地方の財源確保、また特区制度の利用をはじめ、さまざまな地域創生の提案を行っているものの期待していたほど成果は挙げられていないようにも感じる。
そのためだけではないが、総務省の人口移動報告によると、本県の流出超過が止まらない。県内の市町を見ても、人口増加傾向にあるのは、交通アクセスのよいと思われる一部の市町だけである。さらに、それぞれの自治体がそれぞれの施策を行うことによって、県内市町同士で人口の奪い合いをしている、というような状況もかいま見える。真の地方創生、地域創生の実現のためには、県全体での減少が続く人口を県内の市町同士で奪い合いをするのではなく、協力して県外からの移住等を促進する取組をすることが本筋であり、そのリーダーシップも県の果たさなければならない役目の一つであるという思いがある。
その上で、現在の地方創生は、まだまだ国の関与が強すぎるということもあり、やはり地方が独自の判断で、地域創生の取組を進めていくことができるよう、全国一律の基準に基づく画一的な行政ではなく、地域それぞれの課題に対応できる行政システムを構築するために、改めて中央集権型から地方分権型に転換することが必要だということを感じているところである。
現在の地方分権改革である国の提案募集方式において、本県では、市町における支障事例の解消に向け、県が市町と連携し提案する方式を導入している。そして、本県では、3年連続で都道府県の中では最多の提案を行うとともに、農地転用許可の権限移譲や地方版ハローワークの創設等を実現させたとはいうものの成果は限定的であり、このまま国が進めている提案募集方式で進めても、大くくりの権限移譲というのはなかなか実現できない、ということであろうと思う。
関西広域連合が進めた国出先機関の丸ごと移管は、政権交代により事実上困難になっている。当時は、地域主権戦略大綱や国出先機関の原則廃止に向けたアクション・プランの策定などは非常に前向きに進んでおり、知事におかれても、実現の可能性と期待が膨らんだ時期ではなかったかと思う。しかしながら、政権交代後は政府の地方分権への機運は結果として後退しており、細かな権限・事務移譲や義務付け・枠付けの見直しといった、本格的な地方分権改革とは少しほど遠い取組になっていることは残念である。
今年度国に提言した「中央集権制限法」は、国の役割を外交や防衛、司法等に限定し、それ以外の事務・権限を財源とともに地方に移譲する、そして、その考えに基づき、実証実験方式による権限移譲等を国に提言したところであり、地方分権といった意味においては大変分かりやすい提案であると考えているが、いまだに中央省庁の地方組織の是非については、地方六団体の中でも賛否があることから、政府に対しまとまった提言とはなっておらず迫力に欠けている。全国知事会においては分権改革の一環として国と地方の協議の場に税制改革や地方財政等について協議する分科会を設置することや、国会の常設の委員会として地方分権推進委員会を設置し、国の政策決定過程に参加するとともに、立法時に自治体の自由度をしばられないようチェックしてもらう仕組み等、立法のプロセスに地方自治体が関与する仕組みを提案しているが、その要望は事実上門前払いされている状態であり、現在、地方六団体の存在感は著しく低下している。
そのような状況下においても、井戸知事におかれては、住民に近く、地域の課題を的確に把握している地方自治体に必要な権限と責任、財源を一致させるという地方分権の考えに基づき、地方六団体や関西広域連合の枠組みの中で、地方分権を進める仕組み、地方税財政の充実等を積極的に国に要請しているということはよく承知しており、敬意を表する次第である。
私どもとしては本県として、このような攻めの姿勢を崩すことなく、さらなる提案、働きかけを続けてほしいと願っている。
そこで、今後も兵庫県、井戸知事が全国知事会や地方六団体をリードして、積極的な地方分権の取組を推進されることを期待しているところであるが、井戸知事のご所見を伺う。

2.県立大学の今後の展開について

学生数減少時代を迎え、全国の公立、私立大学では、ある意味で生き残りをかけて特色づくりなど様々な取組が進められている。兵庫県立大学においても同様の取組を進める必要があることはもちろんであろうし、来年度予算において、経済学部と経営学部が再編され、特に、留学生を多く受け入れようとされていることなど、グローバル化の流れに対応した取組を積極的に進めようとしていることは、有為な人材を育成する上でも、他大学との差別化を図る上でも非常に意義のあることだと考えている。
例えば留学生、外国人教員のさらなる受け入れの先進例として、かつて、大分県に立地する立命館アジア太平洋大学を視察に行ったことがある。全学生数に占める留学生の割合は約半分ということで、構内にいると、独特の雰囲気があった。日本人の学生が外国語で学び、日常、外国人とコミュニケーションをとることが当たり前の条件を作り出すことによって、日本人のグローバル・コミュニケーション能力の向上につながっているということを感じた。
我が国における留学生の数は、独立行政法人日本学生支援機構によると、平成29年5月1日現在、日本にいる留学生は約27万人となっている。やはり東京に4割近く集中しているが、本県も第8位の約9,400人ということで、確かに地元でも多くの留学生を見かけるし、所属する大学の垣根を越えた自然発生的な交流も増えたように感じている。また、外国語で教育ができる教員も必要性が増しており、特に外国人教員は、語学のみならず、日本人とは異なった歴史、文化を身に付けているため、グローバル化に対応していく人材を育成するためには有為であるとして、全国で増えているようである。いずれもまずは大学側の積極的な取組が必要であるが、行政としても金銭面での負担軽減や生活環境の整備が大切だ。
また、大学の特色を示す指標の一つとして、その設置地域において教育や研究等の機能を通じて地域社会にどのような貢献しているか、ということがある。たとえば、大学の立地する地域の特性を生かすような学部が編成されたり、研究分野が生まれたりしている。過去においては、地域的なつながりが薄い場合に、地域連携の取組がうまくかみ合っていないようなことや、大学自体が財政的な負担を感じるということはあったかもしれないが、今後は普段の教育や研究活動の一環としてそういった活動を強化していくことが望まれる。
それによって、地域それぞれの特徴を踏まえた、その地域にあったプログラムを用意することができると考えるとともに、地域活性化の人材育成にもつながっていくと考える。
さらに、大学間の協力も大切だ。県内大学でも東京にサテライトキャンパスを設置しているように、他大学や教育機関との連携も増えている。防災先進県、兵庫として東日本大震災の被災地の大学や教育機関との復興支援に関する連携を進めるのも一つの考えだ。地域創生の時代を迎え、そのための人材育成環境整備に向けた取組も更に拡大する必要がある。
他にも、昨今学生数が減少する一方で、働き手のスキル向上を通じた生産性の向上等の観点から社会人の学び直しの場としても脚光を浴びている。
こうしたことに加えて、政府においては、東京一極集中の是正や地方にある大学の振興や地方での若者就労促進を図るための関連法案を今国会に提出中だと聞く。
東京23区内には多くの国公私立大学があるが、その定員増を10年間認めな
いということであるが、この法案が成立すれば、なおさら、本来なら東京の大学へ流出していた学生の確保競争が激しくなるわけであり、その際、兵庫県立大学が学生から選ばれる大学であってほしいと考えている。
そこで、学生数が減少する中でも様々な取り組みが行われているところであるが、新しく歩み始める県立大学の今後の展開について当局の所見を伺う。

3.待機児童問題の解消について

待機児童問題は、本県のみならず全国的な課題として、よくマスコミでも取り上げられる。受入体制をどれだけ整備しても待機児童が発生するというように見える状況は、当局にとっても大変なことであると思うが、それによって女性の活躍促進や働き方改革、我が国の経済発展につながるということから、今後更に力を入れていただきたいと考えてる。
さて、国においては、昨年6月子育て安心プランを策定した。平成32年度末までに全国の待機児童を解消するため約22万人分の予算を確保する、そして、平成34年度末までの5年間で、現在72.7%の女性就業率を80%に対応できる約32万人分の保育の受け皿を整備する、というものであったが、12月には更に目標を前倒しし、平成32年度末までに約32万人分の整備を行うとの方針が示された。国の本気度が伝わってくる内容ではあり、こうした国の姿勢は、現実に待機児童問題で困っている方々にとって、一つの安心材料になると考える。
ところで、本県の待機児童の状況はと見ると、国の資料によると、平成29年4月1日時点で1,572人の待機児童があるとされている。この数字は、東京都の8,586人、沖縄県の2,247人、千葉県の1,787人に次ぐ全国4位の数字であり、本県よりも人口が多い神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県を超えているわけであるから、やはり少し多すぎる、対策が追いついていない、ということが言えると考えている。
ところで、今回の予算案では、申し入れを受け第2子以降の保育料軽減の拡
充が提案された。
それは大歓迎ではあるが、その一方で、来春の入園に向けた抽選に漏れ、待機児童になることが決定した、という方々が私の身近にもいらっしゃる。保育環境が充実すると新たな需要が喚起される傾向があることから、やはり国の方針は方針として、やはり県として早急に、そして抜本的に解決を図るための何らかの手を打っていくべきと感じている。
そこで、待機児童の解消について、県として、どう取り組んでいこうと考えているのかご所見を伺う。

4.兵庫県保健医療計画について

現在、兵庫県保健医療計画の7回目の改定に向け、パブリックコメントが行われている。2018から2023年の6年間が計画期間とのことであるが、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年対策、あるいは、それ以降の超高齢社会対策を進める上で、この6年間は非常に重要な期間になると考えている。
昨年度策定された兵庫県地域医療構想を見ると、2次救急医療の圏域内完結率が低かったり、将来的に病床が過剰と判断された地域があるが、こうした地域は、病床が過剰なのではなく、必要な医療が不足しているともとれる。
今回の計画案では、それを受けてのことだと思うが、2次保健医療圏域内で、医療資源の地域偏在がさらに進まないよう配慮するため、準保健医療圏域が導入されることとなっており、県としては、当該圏域の中核病院の取組や病床、医師等の医療資源の確保などの取組を支援するとされている。つまり、圏域の統合あるなしに関わらず、そして、居住地域に関わらず、等質の医療が受療できるということが期待できる内容となっていると理解している。
あとは、その実現性をどう図っていくのかが課題ということになると思う。
特に、各市町の公立病院では、それぞれの病院が生き残りをかけて取り組んでいるが、必ずしも地域全体でより良い方向に向かっているとは限らない。県民に適切な保健医療サービスを効率的に提供していくためには、今後、医療圏域内における病院間の連携を果たしていく必要もあると考える。
そこで、県としては、住民が身近な圏域内で受けたい医療を受療できるよう、医療機関の適切な役割分担、相互連携が進むよう、しっかり取り組んでいただきたいと考えるが、所見を伺う。

5.アンテナショップのあり方について

現在、東京都内には大半の道府県のアンテナショップが開設されているほか、本県の豊岡市ほか市独自で開設しているところもある。各自治体や特産品の知名度アップ、特産品の販路拡大等が主目的であるが、アンテナショップによっては観光プロモーションや移住者獲得のための役割等も期待されている。兵庫県においては兵庫県特産物発信協会が運営する兵庫わくわく館がその役割を担っている。アンテナショップはメガ店舗と中小店舗に大きく分かれているが、兵庫わくわく館は中小店舗であり、実際に訪れたところ、店内は特産品が山のように積まれており、販売も好調であるとのことである。
自治体がアンテナショップに費用を投じるのはその発信力に期待することであるが、その費用負担については様々な意見がある。兵庫県の場合は五国の国と言われるように、首都圏の方からすると神戸はともかくとして全体イメージがつかみにくい県である。広大な県域を持ち、かつ、五国それぞれが歴史と文化に裏付けられた特色のある兵庫県なので、仕方のない面もあるとは思うが、現在の場所と店舗規模でその役目を十分果たせるかというといささか心許ない。特産品も多種多様であるが、現在は県では棚を借り上げて五つ星ひょうごの物産を置いているとのことである。そのため、県としてこれからアピールするものを置く自由度は当然低くなるというデメリットもあるが、そういったアンテナショップに過剰な投資は避けるべきだという意見も根強い。たとえば、京都市のアンテナショップについては移転先を検討したが、オリンピックが終わるまでは家賃が高騰しているということで、その後に再出店するという計画のようであり、一定理解できる。一年間100万人以上の集客をする店舗が4店舗、10万人未満が22店舗あるとされるが北海道や沖縄はともかく、集客は店舗の大きさに起因するところも多い。アンテナショップは広さや立地、雰囲気、飲食店、広報等の機能がそろえば、その地域をアピールする一つの核となりうるということは認めなければならない。兵庫県は先ほど申し上げたとおり、首都圏ではイメージされにくいということからすれば公費負担の是非を問わなければ基本的にはそういった機能を備えることが望ましいと思われる。
県単独で運営するとすれば費用対効果をどのように考えるか、また、民間との連携強化等による費用負担の分担や公民連携の運営方法、県下各市町と協調等を考える時期が来ているのではないか。はっきりとしたイメージをもたれにくい兵庫のイメージづくりや国内外客の更なる集客という点についてはやはり一定の効果があろうと考えられる兵庫のアンテナショップの今後の在り方を検討する必要があると思うが県の考えを伺う。

6.インバウンドの取組推進について

(1)ラグビーワールドカップ2019日本大会に係る取組について

いよいよ来年9~11月にかけて、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催される。ラグビーワールドカップの主催者によると、40万人以上の外国人が観戦者のため訪日するとも予測している。
ラグビーワールドカップの特徴は、開催期間44日間と他のスポーツ大会と比較し長く、試合間隔も1週間程度空くことである。そういった中、強豪国からの観戦客というのは、予選から決勝ラウンドまで長期間開催国に滞在することが通例になっているとのことであるから、その間観光を楽しむ観戦者も多いと思われる。
また、ラグビーワールドカップはこれまでの第1回大会から第8回大会までオセアニアやヨーロッパ等のラグビーの強豪国で行われ、強豪国以外では日本が初めての大会でもあり、初来日する観戦者も多いと思われる。特に、ヨーロッパやオセアニアの富裕層が観戦に訪れる傾向があることから、アジア以外の地域の新しいインバウンドに今後繋がることが期待される。
さらに、今回のワールドカップは全国12都市で開催され、本県でも、9月~10月にかけて神戸で4試合が行われることとなっているが、日本政策投資銀行によると12都市の経済波及効果は2,330億円と試算されており、大きな経済効果も期待されている。ラグビーワールドカップに続いて2020年には東京オリンピック・パラリンピック、2021年には知事も力を入れているワールドマスターズゲームズ2021関西と観光インバウンドを進化させるビッグイベントが続く。ラグビーワールドカップは今後のインバウンド需要開拓や受入ノウハウを得る上で大切な機会だと考えられ、全国の開催都市では、インバウンド獲得に向け様々な取組も行われているようだが、本県においては、ラグビーワールドカップのための取組は特段行われないとも聞く。
最近、本県の2017年のインバウンド消費額が2014年と比べて67億円減少したという記事を見た。対して、大阪は6,288億円の増、京都府が1,198億円の増であった。2014年時点での大阪府との差は6.7倍、京都府とは3.2倍であったものが、わずか3年で大阪府とは29.8倍、京都府とは8倍になっている。この差については、既に当局も原因を分析し、来年度予算案にもそのあたりが反映されているものとは思うが、やはりそれも踏まえて、ワールドカップラグビーの機会を捉まえて、神戸以外の兵庫の魅力を伝え、誘導する県独自の取組は必要だと考える。
そこで、ワールドカップラグビーという好機に係る県のインバウンドの取組について伺うとともに、ワールドカップから東京オリンピック、ワールドマスターズゲームズへと続く世界的なスポーツイベントの機会を捉まえたインバウンドの取組について、併せて伺う。

(2)SNSの活用について

中国広東省のテンセント社でWeChat等の説明を受けた。その際、知事は、
インバウンドに活用したいという話をされていた。日本へのインバウンドの
主要国は東アジア及びASEAN地域であり、訪日旅行者数は近年大きく増えている。その順位は中国、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナムであり、2010年と比較すると2016年で約2倍から5倍増加しており、また、その人口もインドネシアの約2億6千万人、フィリピン、ベトナムは約1億人であり今後のインバウンドが期待される。県下でも多くなったベトナムからのインバウンドもこの6年で約5.6倍になっている。
ASEAN地域の各国はそれぞれの文化や言語も多様である。最近ではASEANのインドネシアやマレーシア等に多いムスリム向けインバウンド対策としてのハラル認証もよく聞かれるようになった。言語についても多様であり、日本語や英語で情報発信しても、中国同様に理解を得にくい。兵庫県へのインバウンドを増やすためにはターゲットとする国において知名度を高める必要があり、特に兵庫県のイメージが高いとは言えない中、インバウンドを増やすためにはそれぞれの言語での情報発信を心がける必要がある。ASEAN地域では中国同様、スマートフォンも普及しており、SNSの利用も多いと聞く。テンセントでの説明にもあった通り、現地の人に情報発信してもらうことを始め、現地語での情報量をいかに増やすかということが今後の課題であるように思う。
来年度予算案には、新規事業として試験的にWechat等のSNSを活用して、中国向けにひょうごゴールデンルートの魅力発信を行う事業が挙げられているので、期待しているところであるが、こういった事業については他の自治体と横並びになる前にスピード感をもって一気に実施することがアドバンテージにつながると考えている。
そこで、今回の取組に加え、中国はもとよりASEAN諸国でSNSを活用した積極的なインバウンド対策を更に行うことが重要であると考えるが、当局の所見を伺う。

7.神戸ビーフのブランド維持と生産拡大に向けた新たな取組について

神戸ビーフは日本でも指折りのブランドを確立している。最大の特徴は霜降りであるが、最近では健康志向もあり、牛肉全体としては赤身肉を好む傾向もある。昨年9月に開催された全国和牛能力共進会では期間中に約42万人が来場した。この催しは5年に1回開催され和牛のオリンピックとも言われている。雌雄それぞれの個体や集団の良質な肉をつくる能力を競う9つの区で順位付けを行うが、鹿児島県や宮崎県、大分県が賞を獲得する常連となっている。
霜降りを増やす試みはほぼ限界ということであり、和牛の特長を活かしつつ、外国産牛肉との価格競争も考慮し、美味しい和牛を低コストで提供するための改良が今後の課題である。和牛については現在、A5ランクの割合が増加しており、全国各地でブランド牛として販売されており、現在は和牛イコール霜降り肉といっても過言ではない。また、他地域からの血統導入に慎重な伝統的な但馬牛産地であるわが県と違い、他県は、霜降りが多く、肉量も豊富な大型牛を作り出すために、優秀な牛を全国から集めて改良に取り組んでいるのが、最近賞を受賞している九州等の新興産地であることも留意する必要がある。一方、神戸ビーフは国内はもとより海外での知名度は高く、神戸ビーフのブランド維持については、様々なブランド牛が供給される中、特に注意をしていかなければならない。近年、神戸ビーフを看板にする店が増えているが、偽装の問題も起こっている。こういったところには特に注意を払いブランド維持をしなければならないが効果的な対処が果たして出来ているか疑問に思う。
現在の和牛の肉質改良は牛肉自由化前後から約25年が経過し、霜降りのいわゆる高品質肉づくりの技術も標準化してきている。優秀な成績が期待できる種牛に人気が集中し、差別化が難しくなることはもとより、血統の偏りによる弊害も指摘されている。現在、種牛としての能力を持つ和牛の改良に取り組んでいる県は多くあるが、もとをたどれば兵庫県はじめ中国地方にルーツを持つ牛が大半である。小柄であるが、霜降りの状態が良いと言われる但馬牛の血統が大型牛との交配の試みが続けられている。県内畜産農家においても大型化をはじめ様々な改良が試みられている。
神戸ビーフの高いブランド力を維持するためには、枝肉重量や脂肪交雑といった産肉能力だけでなく、神戸ビーフの特長である美味しさを考慮した改良、情報発信力の強化と需要を支える供給量の増産対策が重要と考える。そこで、今後の生産規模の拡大はもとより、神戸ビーフの需要に見合った供給を行うための新しい試みを考える時期が来たのではないかと思うが、県の考えを伺う。

8.都市公園の維持・管理について

都市公園については、高度成長期の末期にその整備が本格化され、住民一人あたりの面積でも基準を満足しており、県民のリクリエーションの場としてその使命をこれまで果たしてきている。都市公園の整備も一段落しているところではあるが、都市公園の使命として時代に応じたリニューアルもこれから必要であることとあわせて、維持管理費や老朽化対策は公共施設全般の問題である。一般の公共施設では、それぞれの行政や政策的な役割が明確であるが、都市公園はリクリエーションを目的としたものでもあり、維持管理費の負担は出来る限り圧縮、または出来る限り民間委託されることが望ましい。
しかし、全国的に人口が減少に転じ、予算の厳しい制約がかかる中、その財源確保が問題である。特に震災にあった兵庫県ではこれまで厳しい行財政改革を進め、ようやく来年度の収支均衡達成を見込んでいるものの、震災関連の県債もまだ多く残っている状態であり、その解消にはまだ10年程度かかるということである。県もこれまでネーミングライツをはじめ様々な収入増対策を進めてこられたと思うが、公共施設においてこれまで以上に収入を生み出し、維持管理費の負担を減らすことを更に積極的に進めて行く必要があると思う。
国交省が2017年に都市公園法を改正し、カフェや売店など収益施設を設置する民間事業者を公募により選定した場合、その事業者に対し、設置期間を延伸する等のインセンティブが適用されることとなった。官民連携の事例であるが、大阪城公園においては、電通、読売テレビ等民間企業5社による大阪城パークマネジメント株式会社が設立され、指定管理を受けて、大阪城公園に新たな賑わいの空間づくりを行い、一定の成功を収めていると聞いている。これは都市公園ではないが、神戸港開港150周年記念事業の一環として、メリケンパークが昨年4月にリニューアルオープンしたが、そこに西日本最大級のスターバックスがオープンし、さらなる賑わいづくりに寄与していることは、大いに参考にすべきではないかと思う。
都市公園は都会のオアシスとも言われるように立地自体に観光地と同様の価値があるといえる。本県においても、様々な都市公園を有しているところであるが、地域の賑わいづくりや維持管理費の負担軽減、さらには新たな収益確保のため、官民連携などに積極的に取り組む必要があると思うが県の考えを伺う。

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