上野 英一議員が質問(予算審査・健康福祉部)

第339回定例県議会 予算特別委員会 <健康福祉部>

 

質問日:平成30年3月7日
議員名:上野 英一

 

1 介護サービスの充実強化について

(1)介護保険施設の整備状況について

2025年問題に対してそれぞれの市町は、高齢者保健福祉計画等を立てて施設整備を進めていると理解をしている。平成30年度予算にも地域介護拠点整備97施設、高齢者福祉施設の開設準備85施設等が計上されているが、13年間運営してきたグループホームが、この3月末で閉鎖する状況もある。

そこで、地域によって異なるであろうが、2025年に向け、利用者ニーズに応える基盤整備となっているのか伺う。

(2)介護人材の確保について

特養では定員に対して待機者が3倍とよく言われている。また、施設整備が出来たとしても介護スタッフが集まらないとも聞いている。確かに、国の調査によれば、介護分野の有効求人倍率は、平成29年で全職業1.5倍に対して3.5倍になっていたり、地元の特養でも16床増床したがスタッフが集まらず利用者の受け入れが出来ずにいる、と聞いたりすることから、介護人材の不足は全国的なものであると認識している。

県としてもその対策のため、福祉人材確保対策の推進や強化、介護人材確保に向けた市町団体支援、介護職場の労働環境の改善などといろいろ予算計上されているが、先程の質問で伺ったような施設整備を進めていくのであれば、それと並行して、介護人材の確保が実効あるものになるよう取り組んでいかなければ、先程紹介した施設のように整備された施設が機能しないことにもつながりかねない。

そこで、介護人材の確保について、具体的にどのように取り組んで行くのか伺う。

2 無届け有料老人ホームについて

札幌市で1月31日の深夜に生活困窮者らの自立支援住宅で火災が起こり11人が死亡した。また、昨年の12月に神戸市中央区で火災が起きた7階建て集合住宅は、事実上、有料老人ホームとして運営されながら、老人福祉法に基づく届け出がされていなかった。

札幌市の例では、入居者を高齢者に限定していなかったため、有料老人ホームとは見なされないようであるが、神戸市の例では、有料老人ホームの届出をするよう市から促されるような状態だったようである。

また最近、ホームホスピスという施設が増えている。一般社団法人全国ホームホスピス協会のホームページから抜粋すると、「ホームホスピスは、病や障害があっても最期までその人らしく暮らせる「家」です。」「私たちは住み慣れた地域の中にあるもう一つの「家」にケアを必要とする人々が暮らし、ホスピスケアのチームが入ってサポートする仕組みを「ホームホスピス」と呼んでいます。私たちは、ホームホスピスをそのような仕組みを持つ「家」であると同時に、その地域の保健・医療・福祉とつながって、誰もが住み慣れた地域で最期まで安心して暮らしていけるまちを実現することを目的とした活動の拠点ととらえています。」「痛みやその他の身体的なケアだけでなく、生活者として人生の幕を閉じるまで、医療面とともに生活面での対応を重視していますから、住まいを中心に医療や介護、予防そして生活支援が一体となったケアの体制が必須となります。」などと書かれている。

2018.1.1現在、九州10件、近畿13件、中・四国3件、中部2件、関東7件、東北7件となっている。他協会もあるので、相当数があると推測出来る。殆どが空き住宅をそのまま使用している。

因みに姫路市の「ひなたの家」は、1階部分をホームホスピスとして6LDK(和室2,洋室4、トイレ2,浴室1)、2階に訪問看護・訪問介護事業所の事務所及び看護師2名(4LK、トイレ1、シャワー室1)と家主の居住スペースがある。定員5名程度、ケアの体制として、利用者の症状に応じて、介護保険・医療保険を適用して必要な時に必要なケア(訪問看護・訪問介護)を提供し、それ以外の時間帯は、急な対応が必要な場合に備えて、介護職員が1名24時間体制で待機している。夜間等、急な医療的処置が必要になった場合は、2階の看護師が対応し、担当の訪問診療医と密に連携をとり、安心して生活していただけるよう配慮している。

利用料金は、

1ヶ月単位で入居の場合

入居一時金 30万円

毎月の費用12万円(家賃4万5千円、光熱共益費3万円、自費介護管理料4万5千円)、その他 介護保険、医療保険の利用者負担分、食費は別に必要。

1日単位での利用の場合、

1泊2日で6千円(朝11時~翌日11時まで)、延長1千円/時間となっている。

この実態をどのように考えるか、家賃等を取っているが民泊施設の一種のようにも見える。そこへ、介護保険制度の訪問看護・訪問介護を行うことからも、

実態は有料老人ホームであるが、姫路市のホームページで、同市の有料老人ホームを確認しても、もちろん「ひなたの家」は掲載されていない。

こうした実態は有料老人ホームといえる施設が無届けの状態では、冒頭に申し上げた事故等に繋がる可能性も高まるなど、入居者の安全・安心の確保が脅かされないとも限らない。

空き住宅をそのまま使用すると設備投資費用がかからないし、安価で良質のサービスが提供できるならば、比較的費用のかかる施設に入りたくとも経済的に入れないという方々の受け皿として良との考えもあるが、今後さらに高齢者が増えていくことにより、札幌市や神戸市のような例がますます増えてくるという懸念もあるため、如何なものか、と考えている。

そこで、無届け有料老人ホームへの対応のあり方について、当局の所見を伺う。

 

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