長野県北部地震の被災地に係る調査を実施~田畑、農道に深刻な被害 新潟県・水力発電所の調査も~

政務調査副会長 徳安 淳子

民主党・県民連合議員団(永富正彦幹事長)は、5月31日から6月2日にかけて、長野県北部地震の被災地を訪れたほか、自然エネルギーを活用した発電所を視察した。
参加したのは、小池ひろのり議員、藤井訓博議員、宮本博美議員、芝野照久議員、永富幹事長、岸口実議員、石井秀武議員、石井健一郎議員、上野英一議員、大塚たかひろ議員、池畑浩太朗議員、徳安淳子議員、東野としひろ議員の計13人。

(1)長野県議会へ訪問、北部地震の被災状況、インフラ等の復旧及び応急仮設住宅の建設状況などについて、当局より説明を聴取。
  • 他府県に救助に向かうヘリの一部が、急きょ本県に救援に向かわれ、孤立はすぐに解消された。職員も派遣、支援体制を継続している。
  • 震源地付近の土砂崩れ、道路の陥没など、生活に直結するインフラの復旧整備を現在すすめている。仮設住宅は現在建設・入居を順次進めているが、住民が孤立しないように特に考慮しているとのこと。
  • 農業用施設が半壊状態であり、農地調査は未着手だが、来年の作付けまでには間に合わせる予定。
  • 栄村が被災地であることの認知度を高めるために、イベントがあれば栄村を取り上げ、現状報告につとめている。
(2)特定非営利活動法人 栄村ネットワークの松尾理事から、今回一番被災を受けた、栄村の被災状況、復興に向けた取り組みについて調査を実施。
  • 栄村は、3月12日(土)午前3時59分に長野県北部で発生した震度6強の直下型地震により、甚大な被害を受けた。発生から2時間以内に震度6弱の最大余震が2度もあった。しかし、集落の結束は固く、被災者は避難所へ近隣住民が助け合って、混乱なく非常に落ち着いて行動した。特に30代から50代の消防団員が、一時帰宅の被災者の付き添いや、無人となった各集落の入り口で不審者の出入りがないか24時間体制で監視を行うなど、一生懸命お世話をされていた。
  • 被害現場の視察からは、家屋は外観は老朽化しているようでも、豪雪対応型に建築されているため躯体が強固であり、全壊というより傾いた家が多く見受けられた。集落近くの山頂付近まで細い農道を車であがったところ、途中地割れ、陥没などで、ブルーシートで覆われた部分が多く、家屋や建物より田畑や農道・水路の方がかなりの被害を受けていた。田畑復興で農家の負担を軽減するには、国の支援が不可欠で、もし支援がなければ、耕作放棄地が増加するような印象を受けた。
  • 中条川の土砂崩れ現場では、重機が土砂を撤去する作業を行っていたが、あまりにも広大な土砂災害であり、作業終了までには相当期間を要する模様である。
  • 高齢者の生きがいである、田畑で自給する作業を続けるためにも、仮設住宅を集落ごとに建設してほしいという村民の要望をお聞きした。また、今後は景観にあった、高齢者向けの公営住宅の建設の要望もあるとのことである。
(3)草津町役場にて、地熱エネルギーに関して、温泉への影響などについて調査を実施。
  • 地熱発電は、地上からのボーリングで穴を開け、熱水等を汲み上げて発電するものであり、国策事業の中で代替エネルギーの一環として、隣村の嬬恋村が推進準備を2008年より開始した。
  • 一方、草津町役場としては、研修会やこれまでの地熱発電所を視察、周辺温泉地の温泉・水源の枯渇、地震の誘発や土砂崩壊、熱水に含まれる有害物質による環境汚染など、地熱発電の温泉への悪影響を目の当たりにした。
  • 草津は、温泉が唯一の収入源であり、地熱発電所建設により、当地も同様に温泉が枯渇する可能性があるため、町会議員は全員反対を表明している。
  • 地熱発電により温泉が枯渇した場合、発電所からの影響についての因果関係、立証責任の追及が非常に難しいとのこと。
  • 今後の地熱資源の活用については長短を含めて、じっくりと検討していく必要がある。
(4)黒部川電力(株)姫川第6発電所を訪問し、水力発電の現状などについて調査を実施した。
  • 同社は北陸電力(株)と電気化学工業(株)の半々の出資により卸供給事業者になった。
  • 事業仕分けで、補助金をカットされた。今後は国策事業で、水力発電を代替エネルギーとして取り組みを推進してほしい。同規模建設には、400億近くかかるが、小規模なら5億で建設可能であり、原子力に依存するだけでなく、CO2を排出しない再生可能なエネルギーとして、検討していただきたい。
  • 総合制御室では電子制御盤がならび、従業員数32名と少人数で管理し、毎夜1名が宿直体制で必ず24時間体制で監視してるとのこと。
  • 屋外にはモニュメントが飾られ、歴史と誇りを感じた。
  • 最後に水力発電推進ビデオを拝見し、今後の支援を依頼され、調査を終了した。

※栄村のような中山間地での災害は、兵庫県にとっても看過できない災害であり、視察をふまえて防災、災害後のあり方を一考することとなった。
※原子力発電からの代替エネルギーについて、地熱、水力とそれぞれ視察を行った。県内での電力供給について、今後しっかりと議論を進めていく上で、大変有意義な意見交換であった。

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