東日本大震災被災地に係る調査を実施

政務調査会長 小池 ひろのり

 

今回の東日本大震災の現地調査に、民主党県民連合議員団として第1班で7名、第2班で4名の計2回、延べ11名を派遣した。
日程は第1班は5月15日出発、第2班は5月19日出発とそれぞれ3日間ずつ、関西広域連合の兵庫県が担当する宮城県を中心に被災地の調査を行った。震災後、できるだけ早く現地調査を行うべく調整を行っていたが、被災地の甚大な被害状況を鑑み、また仙台空港が閉鎖中、新幹線も不通で、現地までのアクセスがない状況であったため、受け入れ態勢などで逆に迷惑をかけてはいけないと考慮し、基本的に自己完結型の調査体制で視察を行った。
伊丹空港より向かった空から見下ろす被災地は、余りにも広域に及ぶ被害状況であり、海岸線から約3キロ、南北に幅数百キロに渡って何も残っていない荒野が延々と続き、津波の威力に驚愕した。
はじめに到着した、震災から2ヶ月経過した仙台空港は、ようやく臨時便が飛ぶくらいまでには開港されていたが、仮設空港という感じで、大きく立派な外観とは違い、空港の一部の手狭なところで、チェックインを行っていた。お手洗いも仮設のような建物であったが、中は清潔で、日本人の衛生感、几帳面さを垣間見た。現地同行者より、震災直後の仙台空港は2メートル位の高さまで津波が押し寄せ、駐機中の飛行機や車が流され、ガレキと汚泥で道路は寸断され荒れ地にただ建物だけが残っている状態であった。水が引いた後、在日米軍のパラシュート部隊、自衛隊と、続いてヘリコプターで運ばれた重機の活躍で、直ちに何とか滑走路を確保。空港としての機能を回復、まず救援物資の集積拠点を確保し、その後、物資運搬車輛のための道路を復旧したと伺った。
空港から市役所周辺まで、田畑も住宅も、まさに根こそぎ津波に洗い流され、一面ガレキと汚泥に埋もれていた。辛うじて残った鉄筋のビルの3階(地上16メートル)の屋上に、津波の鉄砲水で押し上げられた車が乗っており、そのすぐ横に漁船が打ち上げられ、その地域の車はすべて廃車となって転がっていた。あらためて津波の恐ろしさを痛感した。
津波を免れた海岸から離れた地域では、例えば仙台市内のように1階は水に浸かってしまった家屋が多数見受けられたものの、地震による崩壊はあまり見られなかった。神戸のようにブルーシートに覆われた屋根もあまりなく、少なくとも宮城県では地震の被害より、圧倒的に津波の被害が甚大であった。
南三陸町、閖上地域も同様に田畑は冠水、住宅は流され、原風景を知らない者にとっても   あまりの悲惨な状況に言葉を失うことがたびたびであった。
被災地の各地に仮設住宅の建設が進められていたが、入居抽選の当落で住環境において非常に格差が出始めており、すべての被災者の方が安全・安心に暮らすことができるような住環境の整備が急がれる。また、既に仮設住宅に入居された方についても、入居後の継続的な心のケアや入居後に判明した住環境問題に対応するための追加工事など、引き続き、被災者のニーズに即した支援が求められている。
宮城県内の市役所、町役場、ボランティアセンターを訪問するたびに、兵庫県からのご支援には本当に感謝する旨のお言葉をいただき、大変誇りに思い、また派遣された県職員・県警の警察官が寝食を忘れ、親身になって懸命に働く姿に感動した。
福島県に入り、宮城同様、海岸線一帯の広域な被災に愕然とした。そして原発の被害も重なり、原発より20キロの南相馬市では、歩いている人はまばらで、幹線道路の飲食店もほとんど開店されておらず、避難していない住民の不安は今後益々募っていくであろうと推察された。避難区域外の福島県内の市町においても、安全な野菜を販売しているにもかかわらず買われることなく売れ残り、商売できない深刻な風評被害状況を伺った。
全国から駆けつけてくれたボランテイアも、連休終了とともに、一気に減少した。被災地ではまだまだボランティアの方々にお手伝いしてほしいことがたくさんあり、これからも息の長い支援が必要で、会社員がボランティアのための有給が取得できるよう、企業に有給の有効活用を提案していく必要がある。
家屋の崩壊だけであれば、再建という意欲も出ようものだが、一面の荒れ地になってしまった地域を目の当たりにして、再び戻って家を建てる気持ちになるのかどうか。行政もまち作りのプランが立てていけるのか。土地の権利も絡み、余りにも広大なため換地も考えられず、住民の安全を考えた場合、どのような支援ができるのか。私たちは、阪神・淡路大震災から復興した実績をもとに、被災地住民を激励し、これからの復興計画の策定を行う環境づくりなど、被災地の実状やニーズに応じて、引き続き惜しみない助言、支援を行っていく所存である。この度の東日本大震災の被災地が、このような様々な支援を受けながら地域主体で復興に向けた取り組みを進められるよう、自助・共助・公助の考えのもと、国としても積極的に復興支援に取り組むことが、被災者にとって一番心強い後押しとなることは間違いない。

以上

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