越田 謙治郎議員が一般質問を実施

質 問 日:平成30年6月11日(月)
質 問 者:越田 謙治郎 議員
質問方式:分割方式

 

1 地域医療のあり方について

(1)県内市町立病院への支援について

地域医療のあり方は、大きな転換期にあります。平成27年3月に新公立病院改革ガイドラインが策定されて以降、地域医療の柱である公立病院は大きな岐路に立たされています。

県内の市町立病院は県内で30病院ありますが、公立病院は、救急・小児・周産期などの不採算部門や特殊部門に関わる医療を行うため、本質的に赤字になりやすい傾向にあります。また、各自治体での判断や地域的な理由等があり一概に比較はできないものの、公立病院を運営している県内市町における人口一人当たりの繰入額は大きく異なり、平成28年度では最大の新温泉町が約5万6千円となっています。これは最小の相生市の約20倍程度の繰り入れとなっており、県内でも市町により大きな負担の差が生じています。

実際、私の地元である市立川西病院も平成14年度以降赤字となり、平成26年度決算においては経営健全化団体となりました。市立川西病院は年間10億円の財政負担に耐えることができず、市内北部にある病院を市内中心部に移転し、民間病院への指定管理者制度を活用した公設民営化で再出発することが決まっています。

また、近隣では県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合について県市で協議が行われていることや、市立伊丹病院も近畿中央病院を含めた他の基幹病院との連携について議論が始まったとお聞きをしています。

こういった公立病院の岐路の中で、県の果たすべき役割は3つあると思います。一つは共通課題の解消です。医療人材の育成、医療人材の獲得などは多くの自治体で課題となっております。過度な獲得競争が起こりやすいと考えられることから、ゼロサムゲームにするのではなく、県の役割としてポジティブサムになる取り組みを進める必要があります。

二つ目は病院間の連携強化に向けた取り組みです。よく聞く、病院への不満の一つに、「市民病院に行ったけど、市外病院を紹介された」「市民病院では見てくれない」というものです。

しかし、全ての病床機能を全ての病院で見ることは不可能であり、安全性や質の確保の観点からも、医療圏域内における病院間の役割分担が重要になってきます。しかし、それを現場の病院同士だけで行うことは難しく、その調整機能こそ県の果たすべき役割の一つです。

三つめが、運営面での支援です。公立病院の運営は、政策判断で行われるものであり、当然のことながら一義的な責任は、当該自治体にあります。

しかし、公立病院の存在は、それぞれの地域に大きな影響を与えます。医療は、性質上、一つの自治体だけで完結するものではないため、広域自治体としての果たすべき役割もあるはずです。

そのため、それぞれの市町で病院改革についてのあり方を検討するだけでなく、県と県内の公立病院との連携を積極的に進め、例えば公立病院改革の取組についても、県内の事例について情報共有を図るなど、運営面での支援をしていく必要があると考えます。

そこで、あらためて県として公立病院の支援を強化する時期に来ていると思いますが、県として医療人材の育成・確保、病院間の連携強化、及び運営面での支援についてどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

 

(2)統合再編における課題解消について

一方で、今後病院の統合再編は人口減少や少子高齢化に伴い、限りある医療資源を効果的に投入するという観点からは、公立病院の統合再編は一定やむをえないと考えています。しかし、全体の利益として必要な選択であったとしても、目の前にある病院がなくなるということは、その地に住む住民にとっては深刻な問題であることには変わりません。

とりわけ、跡地をどう利用するのかということが大きな課題となりますが、一般論として、統合して病床が減少した場合、使用しなかった病床は医療圏域に返還され、圏域内での配分が検討されます。しかし、全国レベルの病床削減のトレンドの中で、返上した地域が必要となった際に、必ずしも病床が充てられるのかは分かりません。跡地利用は自治体の意向や土地の所有者等の意向もさることながら、地域住民の多くは、跡地に医療機関を求めているケースが多いのではないでしょうか。

ただ、残念ながら市町の公立病院の統合再編は、市町に医療資源の配分をできる権限がないため、跡地利用に明確な答えを出すことは難しい状況にあります。そこで、今後も統合再編の流れが否定できない中で、統合再編等による住民の不安を解消するためには、市町や地域とともに県が一定の役割を果たすべきだと考えていますが、県の方針について当局のご所見をお伺いします。

 

2 産前・出産・産後の一体的なケア等について

ここ数年、産前・産後の支援は少しずつではありますが、充実してまいりました。また、産前・産後の一体的なケアをモットーとする「ネウボラ」も、全国各地に広がっています。

私はこれらの方向性は正しいものの、今の進んでいる状況に課題がないわけではありません。たとえば、日本では子どもの約99%が医療機関で生まれています。また日本の出産の特徴として「里帰り」があるなど、産前と出産、出産と産後が一体的なケアが継続できるとは言えないケースがあります。

このような課題を解決するためには、いくつかの方法が考えられますが、まずは、専門機関が強みを生かした連携を図ることが必要であります。

従来から多くの場面で産前や産後のケアに取り組んでいる産婦人科医、助産師、保健師といった専門家はもちろん、県外では産前・産後を一体的にケアすることに取り組む団体も少しずつではありますが増えてきています。その多くは妊娠・出産を経て心身が大きく変化する母親に対し、対話を重視しながら、母親をサポートするものであります。

しかし、どのような素晴らしい活動をしていたとしても、それそれでバラバラに活動していたのでは効果がありません。より連携する取り組みが必要です。

また、それぞれの取り組みについて、適切な情報に基づき母親が選択できること。その選択を支える仕組みが必要です。

例えば、助産師や保健師といった専門家、様々な活動をされている団体等に一定の研修を受けてもらい、子育て全体のコーディネーター役として、いつでも相談できる体制をつくることも必要です。

実際にどのような体制によって母親に直接かかわっていくのかは市町の大きな責任だとは思いますが、これを実現するためには、県としての人材育成への取り組み、各種団体への呼びかけ、現場の市町のモデルケースをサポートし、全県展開していく取り組みなどが必要です。

そこで、妊娠・出産の不安解消が重要であると考えますが、県として、産前・出産・産後までを一体的にケアする体制についての取り組みについて、当局の方針をお伺いいたします。

 

3 企業との連携によるコワーキングネットワークづくりについて

東京への一極集中にくわえ、関西では大阪への一極集中が進んでいます。東京や大阪ではタワーマンションが建ち、仕事の近くに住むという職住近接が進んでいます。このような一極集中に大きく影響を受けるのは、中山間地だけではなく、高度経済成長期に発展した郊外型住宅団地、いわゆるベッドタウンです。このような大きな時代の流れに対応し、それぞれの地域を維持させていくためには、住まいの近くにいかに仕事をつくるのかということが重要です。

しかし、それは必ずしも大企業の誘致や企業立地を促進するという形だけではありません。都心で働く人を住まいの近くで仕事をしてもらう枠組みを作ることも必要です。例えば、川西市では4万人以上が市外へ働きに出ます。その中には、必ずしも大阪のオフィスへ毎日働きに出なければならない人ばかりではありません。パソコン一つ、インターネット環境さえあればどこでも仕事ができるという人も決して少なくありません。起業へのハードルも下がってきました。また、企業もテレワークなどを推進する傾向にあります。そのような人たちを対象としたコワーキングスペースの存在が大いに注目されています。

実際に、大阪市内ではコワーキングが多く存在しますし、神戸市内でのシェアオフィスは需要が高いとお聞きしています。ITの進展等により大きく進歩した点を私たちは認識しなければなりません。

住まいの近くで仕事をする人、また起業につながる人を増やしていくには、コワーキングに注目していくべきだと考えています。

そのような期待を込めて、いくつかの提案を行います。1つ目として、ソフト面の充実です。起業支援や異業種交流など、どのようなソフトを提供していくのかということが今後の大きな課題です。

2つ目は、ネットワーク化です。コワーカーと言われている人の強みはどこでも仕事ができること。そのような人たちが、どこでも気軽に県内のコワーキングスペースを使うことができれば、その効用はさらに高まり人の移動性も高まります。

3つ目は企業との連携です。企業自体も働き方を見直していく中で、必ずしも通勤電車に乗って都心に出るということだけが働き方ではありません。また、副業を認める会社も増えていく傾向の中で、暮らす場所の近くで仕事をするということは、働き方の見直しという観点からも有用であります。

そこで、県として企業自体が働き方を見直すよう積極的に働きかけるとともに、コワーキングの環境整備を進めるべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

4 郊外型住宅街の今後について

高度経済成長、人口増加の中、私の地元川西市をはじめ各地で郊外型住宅街が開発されました。川西市は昭和42年に「住宅地造成事業に関する指導要綱」を策定し、民間に多くの義務を課すなど、当時の法律の枠組みを超えた取り組みを行い、自然と利便性を調和させた良好な住宅街を生み出し、最盛期人口約16万人の都市へと発展しました。この「川西方式」という方式は、その後、横浜市をはじめ全国800以上の自治体で採用される、当時のまちづくりのモデルとなりました。

ただ、その成功モデルも人口減少、高齢化という状況の中で、そのあり方が問われています。人口の減少により都市部に多くの人が住み着いています。

先ほどの質問でも取り上げましたが、職住近接という状況の中、大阪市内ではタワーマンションが建ち、仕事の近くで暮らすという状況が生まれてきています。つまり、一極集中が進むから人口が減るのではなく、人口が減るからこそ、一極集中が進むというのが実感です。これにより、駅前の中華料理店は店を閉め、地域のスーパーは閉店を余儀なくされました。また、このような生活の質の低下は、さらなる一極集中を引き起こします。

兵庫県は、平成15年度に「明舞団地再生計画」を策定し、明舞団地での郊外型住宅団地再生の取り組みを始めました。また、再生の取組が進められていた川西市及び三木市のニュータウンや明舞団地をモデル団地として郊外型住宅団地の再生方策の検討を行い、それを取りまとめて「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」を作成するとともに、今年度予算でも「郊外型住宅団地再生先導的支援事業」のような、再生コーディネーターの派遣や専門のコンサルタントへの委託支援などの事業が予算化されています。

地域の活性化は県として多くの取り組みがなされておりますし、一義的には地域や市町の責任です。ただ、専門性を有する自治体としての県の役割は決して小さくありません。

そこで、これまでの取り組みをどのように総括され、今後どのように展開していくのか、当局のご所見をお伺いします。

 

5 公社賃貸住宅の適正な維持管理について

兵庫県住宅供給公社は昭和40年に設立以降、県等の住宅政策の中心的な役割を担っており、現在では、公社賃貸住宅として79団地5,276戸の管理、県営住宅として180団地14,303戸の管理など県の住宅政策の一つの大きな役割を担っています。

県では「ひょうご県営住宅整備・管理計画」により、県営住宅の整備・管理の方針を定め、県営住宅の効率的で効果的な建て替え更新などを進められており、厳しい財政状況の中、将来世代への負担軽減と現在ある住宅問題への対応という難しい課題に対して取り組んでいます。一方、あまり注目されませんが、県営住宅だけではなく、県公社所有の賃貸住宅も大きな課題があります。

ハード面では、これまでに建設した建物で古いものでは建築後50年になり、老朽化が進んでいます。コンクリート部分の耐用年数だけではなく、水道管やガス管の老朽化が深刻となる時期です。実際に、私の地元の松が丘団地では、水漏れ、床の軋みなど入居者の皆さんから多くの要望をお受けいたします。

住宅供給公社の現場の皆さんはその都度可能な範囲でご対応いただいていますが、予算の都合上、十分にその要望に応えることができていない所も多くあるのではないでしょうか。県は、厳しい財政状況の中でありますし、公社としても十分な余裕があるとはいえませんが、中長期的な取り組みが必要だと考えます。

また、ソフト面では、居住者の高齢化等による自治会活動の低迷が課題となっています。通常、自治会活動はまさに自治ではありますが、入居にあたって自治会への加入を求められることが一般的になっています。しかし、入居者の高齢化等により自治会による共用部分の維持管理が困難になった西宮市内の公社賃貸住宅では、民間の管理会社へ委託していると聞いています。おそらく、どの地域にも言える共通の課題ではないでしょうか。

そこで、県民の住生活の安定の確保を図るためには、このようにハード・ソフト両面において課題を抱える県公社賃貸住宅の問題についても、県として今後の方向性を検討していくべきだと考えていますが、当局のご所見をお伺いいたします。

 

6 スポーツクラブ21ひょうごの今後の展開について

平成12年度からスタートした「スポーツクラブ21ひょうご」は、今年で18年目となります。各地で様々な取り組みが進められており、地域スポーツの底上げにつながったケースは決して少なくありません。しかし一方で、様々なスポーツクラブでの実施競技において競技人口が減少していると感じており、存続が危ぶまれているクラブがあると聞きます。また、指導者の高齢化という問題や、さらには、補助金がなくなり、活動に関する自主財源を確保できない地域もあります。このように地域スポーツは大きな岐路に立っていることも事実です。

また、このような問題は中学校のクラブ活動でも同様の声が聞こえてきます。指導者の減少や競技人口の減少という状況は、地域スポーツ、中学校のクラブ活動においても課題となっています。

そもそも、少子高齢化・人口の減少の中では、従来と同じ方法で課題を解決することができません。枠組みそのものを考え直す時期にきています。

従来から、クラブ活動の社会教育への移行、外部人材の活用などに向けた取り組みは進めておられます。一方で、受け入れる地域スポーツ側も変革が必要であり、現在の「スポーツクラブ21ひょうご」も、地域スポーツの種をまいた時期から、より機能的な地域スポーツを目指し、中学校区単位での統合再編など、次のステージに向かって取り組むべきだと思います。

そこで、今後も県内の「スポーツクラブ21ひょうご」の充実発展を進めるためには、実施方法や今後の課題を見据えた改善が必要と考えますが、県として今後どのように取り組んでいくのか、その取組み方針について、ご所見をお伺いします。

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