◆18年6月定例会 会派提案の意見書案

意見書 第94号

AYA(思春期・若年成人)世代がん患者の妊孕性温存への支援を求める意見書

AYA世代のがん患者は、治療時期が進学や就職、結婚、出産等と重なるなど世代特有の社会的・心理的問題を抱えており、こうした心身的負担を軽減し、罹患しても尊厳を持って安心して学び、働き、子供を持てる社会生活を営むことを可能とするため、積極的な支援が必要である。
AYA世代がん患者に対するがん治療を開始した場合、妊孕性が失われる可能性があると指摘されており、がん治療の前に、将来の妊娠に備えて卵子や精子等の生殖機能を温存する医療が注目されつつある。
日本癌治療学会が2017年7月に発表した診療ガイドラインでは、がん治療による妊孕性の消失が予想される、40歳未満で治療を開始した全てのがん患者に対し、医師は妊孕性に関わる告知と妊孕性を温存するべく適切な処置をすることを求めている。本県の県立病院においても、AYA世代のがん患者を中心に治療前の生殖機能の温存に関する情報提供を行い、希望する患者には、卵巣等の採取・保存を実施する兵庫県がん・生殖医療ネットワークに紹介する取組を行っている。しかし、治療に伴う生殖機能等への影響など、世代に応じた問題について、医療従事者が患者に対して行う治療前の正確な情報提供は十分とは言えない。
また、情報不足やがん治療に加えて生殖機能を温存するための費用がかかるなど、経済的負担が大きいため、将来の妊娠に備えて卵子や精子等の生殖機能を温存する医療を受けられない患者があることから、その対策は急務である。
よって、国におかれては、AYA世代がん患者の妊孕性温存に係る支援を充実・強化するため、下記の事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 生殖機能を温存する医療に要する費用の助成制度の創設など経済的支援を整備すること。
2 生殖機能を温存する治療に係る情報提供や相談支援が適切に行われるよう対策を講ずること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成30年6月13日
兵庫県議会議長  黒 川   治

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