2019年度以降の行財政運営の枠組みに係る意見開陳

●はじめに

ひょうご県民連合議員団を代表し、2019年度以降の行財政運営方針案について、会派としての意見を述べます。

先の「行財政構造改革の検証」に対する意見開陳において、我が会派は、財政収支均衡の達成という目標だけでなく、2019年度以降も持続可能な行財政体質を構築するために、無駄のない筋肉質な行財政体質へと転換、定着させなければならない、と申し上げました。さらに、「県民のニーズ」にも的確に応え、「豊かさを実感できる新時代の兵庫づくり」を同時に達成できるよう、「スリムで機動力のある行財政体質の構築」を今後求めていくと申し上げたところです。

その観点から、今回提示された「兵庫県行財政運営方針(案)」の行財政運営の基本方針に書かれている内容は、概ね了解できるものと考えていますが、重要となる財政フレームのあり方について、一言意見を申し述べておきたいと思います。

先の意見開陳や質疑でも申し上げましたが、財政フレームは財政運営の目標を定めるための基盤となるものだと考えます。質疑では、国が採用する「中長期の経済財政に関する試算」の成長実現ケースの経済成長率を採用すること、そしてそれが合理性のあるものだと説明されました。しかし、本県同様に財政状況の厳しい北海道においては独自でゼロ成長率を採用していますし、国がもう一つの指標「ベースラインシナリオ」を例示していることを考えると、謙虚な財政見通しを立てる方が現実的ではないかと考えています。今後の考え方として、ぜひ検討してもらいたいと考えております。

 

●各分野の取組に対する意見

各分野の取組に対する意見を述べていきます。

 

(1)組織

はじめに組織についてですが、先の意見開陳で述べた阪神南県民センターと阪神北県民局の統合について、「阪神県民局」として統合を目指した検討を行う、と明記されたことは評価をいたします。今後は、庁舎の設置場所や県民生活への影響等をよく考慮していだき、検討を進めていただきたいと考えております。

 

(2)警察の再編

次に、警察の再編については、従来から申し上げている通り、都市部と中山間地域の警察署では、事件発生率や警察官一人当たりの担当事件件数に差があることから、警察署の定員を増減するなど、弾力的な運用と、警察署・交番・駐在所の効果的な再編と配置をお願いしたいと考えております。

また、高度化・複雑化した犯罪などに対応するため、その体制づくりを推進していただきたいと考えています。

 

(3)職員定数

次に、職員の定員についてです。

定員に関しては、平成30年4月1日の職員数を基本とするとありますが、今後も県への多様な行政課題が増えていくと考えられます。県民の様々な行政ニーズに対して、逆に行政サービスの低下につながらないようにお願いしたいと思います。また、新たな課題や変化にも対応できるよう、適切な職員数の見極めや柔軟な配置について、年度ごとに十分検討していただきたいと思います。

また、災害などの非常時に、職員不足により対応が困難にならないよう、この点についてもぜひ配慮をしていただきたいと考えています。

再任用職員については、記載の通り定年引上げの動向を注視すべきですが、現状の給与の低さやモチベーションの低下についてどう対処すべきか、今後検討を加えていただきたいと考えています。

派遣職員の見直しについては、公社等への県職員派遣による定数実質削減にならないようお願いします。

 

(4)給与

次に、給与についてです。

県は男女共同参画社会づくりに基づき、女性職員の積極的な管理職への登用を図っているところですが、男女を問わず管理職になりたがらない職員が増加しているとの調査があります。今回の方針で、引き続き管理職手当の減額を行うとされていることは大変心配をしております。優秀な職員の確保や、管理職に就く職員のモチベーション向上のためにも、管理職手当の減額が本当に適切な判断であるのか、今後も検討をお願いしたいと考えています。

 

(5)ワーク・ライフ・バランス

次に、ワーク・ライフ・バランスについてです。

業務の効率的な執行を行うためには、働きやすい職場づくりが大変重要です。「兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス取組宣言」に基づき、働きやすい職場づくりを積極的に進めていただきたいと考えています。特に、休暇・休業の取得や、子育て・介護と仕事の両立支援などについては目標を設定し、達成度等をもとに改善を図るなど、各種支援制度の活用促進に取り組んでいただきたいと思います。

(6)一般事業費

次に、行政施策についての一つ目、事務事業の中の一般事業費についてです。

平成30年度当初予算の事業費枠を基本とし、効率的・効果的に施設の維持管理や各種事業を推進するとありますが、事業費の大幅な削減後の水準のままでは、現在と何ら変わりはありません。私どもが申し上げた「すべての県民に潤いのある生活を実現する」という観点について、考慮されているのかが見えないことは大変遺憾であります。これまでの取組みを振り返り、一律の削減ではなく、内容をよく見極めて事業費に濃淡をつけるなど、柔軟な事業費設定をお願いしたいと考えております。

次に新たな施策についてですが、実施の是非の判断基準が見えにくいのが現状です。廃止された事業に比べて本当に優先順位が高いのか、県議会や県民にその見解を明らかにするべきだと考えています。

 

(7)業務の効率化・省力化

次に、業務の効率化・省力化についてです。

ビッグデータやAI・IoT等の先端技術を活用して業務の効率化を積極的に進めていただくとともに、過去のからの習慣で続けているだけの不要な業務の見直しや、諸手続きの簡素化にも積極的に取組んでいただきたいと考えています。

 

(8)投資事業

次に、投資事業についてです。

投資事業については、近年多発する豪雨災害などの防災対策や、また社会基盤施設等の維持修繕などを早急に行う必要があるため、「ひょうご社会基盤整備基本計画」を基本方針として推進し、喫緊の課題に対しては、地方交付税措置のある有利な県債や基金等を活用するとあります。

少子高齢化社会が進み、今後人口減少が避けられない中、県民一人当たりの負担額、返済額が多くなることが想定されることから、将来世代にどの程度の負担が残るかを明らかにし、返済可能能力に応じた投資であることを県民にわかりやすく示した上で、事業の実施を検討すべきであると考えます。

また、投資事業の評価についても、評価そのもののあり方について、適宜検証を行うよう要望しておきます。

関連して、防災・減災対策の強化について意見を述べます。

先に述べたように、社会基盤の整備によって、地震・津波対策や治水対策、土砂災害対策などのハード面は着実に取組んできておりますが、避難訓練などのソフト面の取組みも重要さを増してきました。今後は特にソフト面での対策を強化していただくよう、お願いいたします。

 

(9)公営企業

次に、公営企業についてです。

先の意見開陳で申し上げました、新たな開発に進む方針には不安を感じているということは、改めて申し上げておきたいと思います。採算性を検討するにあたっては、現実性のある具体的な収支計画を明確にするべきであると考えていますので、慎重に検討されるよう要望しておきます。

また、質疑において申し上げた公営企業と一般会計との貸借関係ですが、その整理を検討すると答弁されました。それぞれの独立性を確立することを目標として、県民に誤解されることの無いような財政運営と、わかりやすい財務諸表の開示をお願いしたいと考えております。

 

(10)病院局

次に、病院局についてです。

県立病院をそれぞれの地域の医療機関の中核と位置づけ、県内の自治体病院の再編、ネットワーク化を推進されると明記されていることは、我が会派が求めていたことですので評価します。今後、中長期的な視野での取組みをぜひお願いしたいと考えています。

 

(11)教育

次に、教育施策について意見を述べます。

県立高校については、社会情勢の変化等に対応しつつ、特色のある学科の推進、教育内容の充実等に取り組むとともに、公平な入学者選抜制度の確立と、普通科の単位制における推薦入試の改善を進めていただきたいと考えています。

また、教職員の多忙化対策として、クラブ活動のあり方を見直し、積極的な外部人材を活用することや、業務の思い切った分離・削減の取組みをさらに進めていただきたいと考えています。

 

(12)公社等

次に、公社等についてです。

公社・外郭団体においては、前回も申しましたとおり、収益性が求められる事業については運営を民間に任せ、県の関与を薄くするべきであると考えています。このたびの運営方針では、新西宮ヨットハーバー株式会社については、特段触れられていませんが、県がいつまでも経営に関与すべきではないと考えておりますので、大幅な見直しを求めたいと思います。

 

 

(13)長期保有土地

次に、長期保有土地についてです。

先日の質疑において、企業庁の進度調整地を県有環境林として活用することを検討すると答弁されましたが、時価評価せず簿価で県有環境林特会に移転させることは含み損の先送りとなること、また企業会計から特別会計へ移転させることは県民の負担に移行することを意味していると指摘しました。

答弁では、現在も企業庁において事業化を検討していること、そして引き続き利活用の検討をするとのことでありますので、事業化できるよう新たな発想などで検討をお願いしたいと思います。

その上で、将来的に知事部局と県有環境林特会としての活用を図る協議をすることになる場合は、用地取得の経緯を踏まえ、過去の開発当時の検証、責任のあり方の検証をきちんとしていただくようお願いをしておきます。

 

(14)自主財源の確保

次に、自主財源の確保についてです。

超過課税や法定外税等については、課税の必要性や課税を活用した事業の成果をしっかりと公表し、納税者が納得できるような説明と広報をしていただくようお願いいたします。

 

(15)地域分権の推進

次に、地方分権の推進についてです。

これまでと同様に、国から地方への事務・権限の移譲に向けた働きかけを積極的に推進するとともに、市町で実施する方が効果的であるものについては、財源とともに権限移譲を進めていただくよう、取組みの推進をお願いいたします。

 

(16)但馬空港

分野別では最後となりますが、但馬空港については、これまでにも再三意見しておりますように、実現のめどが立たない羽田直行便への働きかけを取組みの中心として考えるのではなく、新たな路線開拓の検討など、他の利活用について検討を始めるべきだと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。

 

●まとめ

最後に、まとめの意見を述べます。

この11年間の行革の取組で、財政面では収支均衡の達成が見込めるなど着実な成果をあげてきました。その一方で、行財政運営方針にも書かれてあるとおり、今後の行財政環境についても予断を許さないのですから、財政状況が急激に改善するような事態は想像できないと率直に思っています。

しかし、我々は行政サービスの質を低下させることなく、県民の様々なニーズに的確に対応し、豊かさを実感できる兵庫県を実現できるよう、体制を整えていくことが必要だと考えています。

今回策定される運営方針案と条例案は、これからの兵庫県の行財政運営の羅針盤として県民に公表するものです。そうであるならば、我々は希望的観測よりも、現実的な予測を立てた上で、必要な行政目標を立て、県民の豊かさの実現に繋がるような取組みを進めて行くべきだと考えています。

 

県政150年という一つの節目を迎え、先人から受け継いだ私たちの故郷「兵庫県」を、次世代に自信を持って引継ぎ、また安心して次世代に引き継いでもらうために、我々が智恵を絞り、いま出来ることには懸命に取り組んでいきたいと考えています。

この行革委員会での我が会派の意見開陳が、兵庫県の行財政運営方針に十分に考慮されることを期待し、意見表明を終わります。

 

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