石井 秀武議員が質問(財政状況)を実施

日 時:平成30年10月10日(水)
質問者:石井 秀武 委員

1 会計事務の適正化について

私は昨年度まで監査委員として県の事務をチェックしてきましたが、その際、感じた課題点をもとに質問したいと思います。

毎年度、決算監査において、多くの会計事務の誤りが散見されます。もちろん人が行うことですので、ミスはどうしてもなくすことはできません。県の事務は県民の多様ニーズへの対応や幅広い事務を処理されており、また、この11年間の行財政改革に取り組みにより職員数も減少するなど、職員の一人当たりの業務は増加する一方です。そのため、会計事務をはじめとする様々な事務に十分な時間を割くことが難しくなっていることも一因ではないかと考えています。ミスをなくすことはできませんが、どのようにしてミスをなくしていくのかという視点が必要ではないでしょうか。

国では、昨年度、地方自治法等の一部を改正する法律により、監査制度の充実強化及び地方公共団体の長や職員等の損害賠償責任の見直し等とともに、内部統制制度の導入を決めました。これは、あらかじめリスクがあることを前提として、組織的に適正な業務が執行されることにより、マネジメントが強化され、政策的な課題に対する重点的な資源の投入が可能となったり、職員にとっても業務の効率化等により安心して働きやすい魅力的な職場環境が実現されるという考えによるもののようです。

現状でも、知事は会計事務等に係る独立した権限を会計管理者に付与し、支出命令と支出命令確認を分離することなどにより、会計事務の適正な執行を確保していること、また、議会や監査委員制度等の外部機関がチェックすることなどが行われており、一定機能している所ではありますが、今後、本格的に導入される内部統制制度を参考にして、現時点においてもリスクの可視化等について、取り組みを進めることが必要ではないかと考えます。

そこで、これまで会計事務の適正化につなげるために、各部局への指導にあたってどのような工夫をされているのか、またその結果どのような改善につながったのか、お伺いします。

 

2 業務改善へのICT技術の活用について

2点目は「業務改善へのICT技術の活用について」です。

前の質問でも述べましたが、県の事務は県民の多様ニーズへの対応するため、幅広い事務の処理が必要となっていること、また行財政改革により職員数が減少しているなど、職員の業務量は年々増加してきていると認識しております。

本定例会で、2019年度以降の行財政構造改革に関連する議案が提出され、審議されましたが、その中では、「社会経済情勢の変化等を踏まえて県民ニーズを的確に捉えた施策を展開」とありますが、今後も職員の増員は見込めません。人口減少対策やインバウンド対策、防災・減災対策など、今後も多様な行政ニーズが想定される中、一方で、職員のワーク・ライフ・バランスにも対応していく必要があるなど、業務量の増加と職員の働き方改革を両方達成するためには、如何に業務の効率化を進めるかが鍵になってくるのではないでしょうか。私は、業務の効率化には、ICTを積極的に取り入れることが必要と考えます。

昨年、政府においては、平成28年度に施行された「官民データ活用推進基本法」に基づき、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を策定しました。基本法では、地方のデジタル化を推進するため、都道府県における基本計画の策定を義務づけており、数はまだ多くはありませんが、近畿では滋賀県が既に計画を策定されているなど取り組みが進められています。本県でも、今年度より「ひょうご・データ利活用推進本部」を設置して、全庁的に取り組んでいるとお聞きしています。

そこで、他府県でもAIやRPAといったICT技術の内部事務への活用について検討が始まっていると聞いていますが、本県におけるこれまでの内部事務へのICT活用の取り組み、また今後新たに作成する基本計画において、業務効率化をどう位置づけようとされるのか、お伺いします。

 

3 事業評価について

これまでの行革の取り組みにより、限られた財源の中、「選択と集中」また「スクラップ・アンド・ビルド」により、全体としては効果的に事業を進められてきたと感じています。

そのような中、事業の執行にあたり1点気になる点があります。監査委員として本庁だけでなく、県民局についても事業の執行状況について監査を行ってきましたが、県民局で実施している事業の中には、例えば本庁でも行われている民間企業を使った地元就職説明会が実施されているなど、本庁で実施している事業と似たような事業、また本庁や市町で実施した方がメリットがあるのではないかと思われるような事業もわずかに見受けられました。

当然、当初予算要求の際には厳しい目で事業の必要性等を確認された上で、事業を実施しているのですが、全庁的横断的にその必要性を確認するようなシステムになっているのでしょうか。

今年度、収支均衡をはじめとする財政運営の目標を概ね達成する見込みであり、2019年度以降は新たなステージに立つこととなりますが、財政状況としては依然厳しい状況が続きます。そのため、今後も事業効果を十分精査した上で実施していく必要があると思います。

そこで、これまで県民局・県民センターを含む全県的な視点でどのように事業効果等の評価をされてきたのか、ご所見をお伺いします。

 

4 借換債の前倒し発行について

(1)金利が上昇した場合の影響について

県では、県債が有利に調達できる超低金利環境を踏まえて、起債許可条件の範囲内で借換率の引き上げを行い、基金に留保した上で、今後の金利上昇局面における金利負担や借換債の縮減のために活用するため、借換債の前倒し発行を平成28年度から実施しており、平成28年度は400億、平成29年度は450億の計850億円の前倒し発行を行っています。

現在は日銀のマイナス金利政策によって、超低金利環境が継続していますが、いずれは、異次元の金融緩和政策の出口戦略が描かれ、金利が上昇すると見込まれる中、利子負担の軽減につながる有効な手法ではないかと評価しています。

そこで、日銀が平成25年4月に量的・質的金融緩和政策を導入して以降、10年国債の金利1%前後から徐々に低下していると思いますが、仮に導入前の水準まで金利が上昇した場合、県の財政にどの程度の影響があるのか、当局の所見を伺います。

 

(2)基金に留保した資金の活用について

過去2年間、借換債の前倒し発行による調達を行ってこられたのは、金利が低い水準にあると判断されたということだと思いますが、今年度は金利環境をどのように分析し、前倒し発行を予定しているのかどうか、所見をお伺いします。

また、基金に留保した資金については、いずれ借換債の縮減のために活用する必要が生じますが、金利が上昇したタイミングを捉え、前倒し調達のメリットを生み出すためには、非常に難しい判断が必要と考えます。

そこで、基金に留保した資金の活用について、現時点でどのような方針で実施しようとしているのか、当局の所見をお伺いします。

 

5 社会保障に係る財源の確保について

今年3月に地域創生戦略が改定されましたが、その中で人口対策のうち自然増対策として、従来からある「子ども・子育て対策」に新たに「健康長寿対策」が加わり、あわせて取り組むことになりました。

自然増対策については、兵庫県の活力の維持を考えた場合に基盤となるものであり、長期的な視点での対応が必要ではないかと考えております。しかしながら、子ども・子育て対策では子育て環境の整備などに予算が必要ですし、一方の健康長寿対策では高齢者がいつまでも地域で暮らしていけるよう、医療・介護・住まい等、幅広い分野にわたる地域ぐるみの支援体制の構築が必要となるなど、高齢者の割合が増加していく中、今後も必要な予算は右肩上がりとなることが見込まれます。

決算資料を見ると、消費税率が5%から8%に引き上げられましたが、それに伴う増収額は385億円と平成28年度から29年度にかけて6億円増加しているものの、その充当については社会保障の充実分が40億円増加したのに対して、安定化分は34億円の減少となっています。つまり、税収はほぼ平年度化して大きく増えない中において、保育所定員の増加などによって保育所運営等にかかる充実分により、多く予算を回さざるを得なくなる一方、介護報酬など社会保障の自然増に充てられる分が減少すれば、その分県の財政運営が厳しくなるのではないでしょうか。

そこで、県民の安心を確保するためにも、社会保障の財源をしっかりと確保することが必要と考えますが、特に財源確保にあたっては国への働きかけが重要と考えますが、どのようにお考えであるのか、ご所見をお伺いします。

 

6 宿泊税の導入について

県では訪日外国人旅行者の急増など、近年の兵庫のツーリズムをとりまく環境の変化等を踏まえ、「ひょうごツーリズム戦略」を策定し、誘客対策に積極的に取り組んでおられます。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されますし、少子高齢化が進む中で、地域経済を支えるためには外国人観光客の誘客対策が重要となってきているのではないでしょうか。

もちろん、国内観光客への対策も重要です。例えば、誘客促進の取り組みの中には、Wi-Fiの整備やキャッシュレス化など、国内外の観光客を問わず効果があるものもあります。こうした国内観光客にも効果のある環境整備を進めるためにも、財源確保は必要なものと考えます。

我が会派の竹内議員が、平成29年度予算特別委員会において、兵庫県でも宿泊税の導入を検討すべきではとの質問をしましたが、その時は「宿泊動向への影響の分析などが必要であり、導入には産業労働部とも連携しながら研究を深めていきたい。」との回答でありました。東京都の導入から16年、この10月には京都市においても宿泊税を導入するなど、徐々に導入が広がってきています。また、税導入による大幅な観光客の減少も聞きません。

そこで、本県としても国内外の観光客を呼び込むための様々な観光振興施策を展開するにあたり、これらの施策の財源として宿泊税の導入を検討していくべきでないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

 

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