上野 英一 議員が一般質問を実施

質 問 日:平成30年12月10日(月)
質 問 者:上野 英一 議員
質問方式:分割方式

1 積極的な地域支援について

2014年5月、増田寛也氏を座長とする日本創成会議・人口減少問題検討分科会が「増田レポート」と後に呼ばれる提言を提出し、それを受けて9月に発足したばかりの第二次安倍改造内閣が「まち・ひと・しごと創生本部」を設置して以来、すでに4年が経ちました。このままでは、少子化と人口流出で維持困難な自治体(消滅可能性都市)が出ると、増田レポートが恐怖心をあおることで、そもそも地方創生は始まったという覚えがあります。

この地方創生の関連予算は、地方創生交付金や事業費、その他政府の様々なプロジェクトをあわせ、当初予算ベースで2017年度には1兆7,761億円、2018年度には1兆7,844億円の予算が付けられています。しかし、結果として、目立った成果は上がっていないように感じます。

地方創生の実質的な目的は、地方の経済成長と人口増加にあったといってよいと考えており、県の地域創生戦略でも、人口対策と地域の元気づくりとして10項目の基本目標により取組を進められておりますが、地域の暮らしにおける現状はもっと厳しいものとなっているのではないでしょうか。

そこで、以下2点について伺います。

(1)地域再生大作戦の成果と啓発について

中山間地である神崎郡では、私が県会に選出されてからの12年間でも、人口減少・高齢化が一段と進み生活基盤が崩れつつあります。特に、高齢者を中心に交通手段の確保、買物手段の確保に困っているのが現状です。

私は10月の初めに、高知県で開催された自治労の全国自治研集会に参加をしてきました。第2分科会「まちの元気を語るかよ~町ん中と山ん中の活性化~」に出席をしましたが、高知県においても地域活性化については相当な課題であり、積極的な取組みを展開されているようで、その中での講座②では、高知県産業振興推進部・地域産業振興監・物部川地域担当者から「集落活動センターを核とした地域の維持・活性化の取組」の講演を受けました。県勢事情にもよりますが、高知県では、7ブロックに分けてそれぞれに地域振興監を置き、7ブロック全体では約70人の職員を配置しています。県は市町職員と一緒になって、廃校になった小学校区単位で集落センターを設置して、さまざまなソーシャル・コミュニティビジネスを展開しているとのことでした。

その取組としては、①集落活動サポートとして、草刈り、農作業等の共同作業の実施やよろずサービスの実施。②生活支援サービスとして、食料品、ガソリン等の店舗経営、移動販売、宅配サービスの実施。過疎地有償運送の移動手段の確保。③安心・安全サポートとして、高齢者等の見守り活動の実施。あったかふれあいセンターとの連携。デイサービス等の福祉サービスの実施。④健康づくり活動として、健康づくり事業の実施。健康活動づくりの拠点づくり。⑤防災活動として、防災研修、自主防災活動の実施や防災拠点づくり。ヘリポートの整備。⑥鳥獣害対策として、集落ぐるみの防除対策の実施。ジビエ(鹿肉、猪肉)の取組み。⑦観光交流活動・定住サポートとして、自然や食等の体験づくり、宿泊施設の運営、交流イベントの実施、移住相談窓口の開設。⑧農林水産物の生産・販売として、集落営農、耕作放棄地の解消、地域資源を生かした有望品目づくり、薬草、山菜など新たな作物への挑戦。⑨特産品づくり・販売として、地域資源を生かした加工品づくり、直販所の開設・運営。⑩エネルギー資源活用として、小水力、太陽光発電等の導入、エネルギーの売電等のしくみづくり。⑪その他の活動として、冠婚葬祭サービスの実施、行政事務等の受託など様々な取組を進める集落センターの設置を県と市が一体となって行っています。また、財政面での支援として、これらの活動に対し、3年間を限度に集落センターの設置等に、市町・県がそれぞれ1/2ずつトータル6千万円を措置しているとのことでした。

兵庫県においても、もちろん過疎化、高齢化等の進展により、多自然地域を中心に地域の活力が失われつつあることから、平成20年度から地域の自主的・主体的な取組による賑わい創造や活性化のため、地域再生大作戦に取り組まれています。今後も少子高齢化の影響から逃れられない状況の中で、地域を維持していくためには、このような取組はますます重要となってくるのではないでしょうか。

そこで、地域再生大作戦の具体的な取組の成果を伺うとともに、県内にはまだまだ多くの問題を抱えている地域があると思います。これら課題を抱えている地域が他地域の先進事例を参考にするためには、これら成果を広く情報発信し、県民に知ってもらう必要があると思いますが、どのような取組をされているのか、あわせてお伺いします。

(2)コミュニティビジネスによる地域創生の実現について

私の住む神河町旧寺前村は11集落で約1,300世帯ですが、地域唯一のスーパーマーケットが、昨年9月に倒産・閉店となりました。何の前触れもなかったため、たちまちに高齢者をはじめ住民には大きなショックと、日々の買い物に不自由をすることとなり、多くの住民の方々から、私をはじめ町役場や町議会議員、区長さん方に何とかして欲しいとの声が寄せられることとなりました。

この対応として、11集落の区長さんたちと協議の結果、運営会社(株)寺前村振興公社を立ち上げて寺前楽座「まちの灯り」として、今年の7月30日にグランドオープンしました。総務省の地域経済循環創造事業交付金のほか、寺前財産区からの支援など8,200万円の資金を確保し、運営会社の代表取締役には私が、専務取締役に最初から立ち上げに共に奔走をした町議会議員、幹事に代表区長外が就任しました。実際には取締役全員が無報酬です。資金もそうですが、立上げにあたって何よりも、リードを取る人間が必要であったこと、そして地域に暮らす住民が主体となってはじめて、行政の支援が受けられることになったと考えています。将来的には、移動販売車や買い物送迎バスの運行、弁当の宅配サービスまで行いたいと考えています。

また、隣の宍粟市波賀町でも同じ状況になっており、現在、議論がなされています。比較的人口減少の問題が深刻でない福崎町でも、移動販売車の運行が10月から週4日4ルートで商工会が実証実験を行っています。福崎町の中心部では、大型スーパーや24時間スーパーなどが数多く展開をしていますが、移動販売の利用状況は盛況です。高齢者だけでなく、子育て中のお母さん達が、子供を連れて多く買い物に訪れています。

このように、多自然地域等における地域課題は多種多様であり、先に述べた高知県の集落センターが掲げる課題も広範にわたっています。このような課題解決の方法として、コミュニティビジネスの活用があるのではないかと考えています。それぞれの地域課題をその地域の県民が主体となり、行政や地域企業を巻き込んで解決することができれば、コミュニティの再生や働き場づくり、県民の協働よるふるさと意識の醸成などにつながるのではないでしょうか。

しかし、地域の県民が主体になる、すなわちリーダーの養成・誕生がなくてはなりません。

そこで、多自然地域等の地域課題を解決して地域創生を実現するためにも、コミュニティビジネスの積極的な展開とリーダーの養成が不可欠であると思いますが、ご所見をお伺いします。

2 統一地方選に向けた取組について

来年4月には統一地方選挙が行われる予定ですが、選挙においては、これまでも兵庫県だけでなく、全国的な問題として「一票の格差」と「投票率の低さ」があると考えています。

この「一票の格差」については、我々議会において、昨年度、議員定数等調査特別委員会の中で色々と議論を重ね、私もこれまで3期に亘り、特別委員会の委員として議論に参加をしてきました。

その結果、来期以降の議員の総定数を1名減の86人にすることを決めた所でありますが、その議論の中では、近年地方部における人口減少により、生活基盤そのものが失われている大きな地域課題を生み出していること、そのため、合区による議員定数の削減は、地域課題の解決と云う観点からも由々しき問題であるという意見もあり、今後も地域代表選出のあり方として特例選挙区の扱いについて調査研究することが、委員会報告書に記載されることとなりました。

先の積極的な中山間地支援の質問でも述べたように、地域課題の解決に向けた取組において、リーダーの役割を果たす中の一人として、県会議員の新たな役割が生まれているのだと考えています。

私個人の意見ではありますが、選挙区の配当基数0.5を下回る場合の扱いとして、公職選挙法第15条第2項にあるとおり、選挙区の人口が、議員1人あたりの人口の半数以上にならない場合は強制合区の対象となる規定となっています。私は、今こそ人口減少という時代背景を考えて、強制合区の根拠である「議員1人あたりの人口の半数以上」を「議員1人あたりの人口の4割以上」あるいは「3割5分以上」と公職選挙法の改正がなされるべきだと考えています。

本題に戻りますが、一票の格差については議会において積極的な議論を行い、今後の検討課題は残ったものの、県民の意思を県政に反映する機能を十分に発揮できるよう検討を行ってきたところでありますが、一方、実際の投票率が低ければ、一票の格差の是正等に向けた議論は生かされず、十分県民の意思が反映されないのではないかと懸念します。

来年は統一選であることから、投票率は上がるものと考えられますが、2016年に実施された参院選と2017年に実施された衆院選では、全体の投票率が約1ポイント減少しているのに対して、18歳では3ポイント以上、19歳では約9ポイントの減と若者の投票率の減少が大きくなっています。これからの日本を支えていく若者にもっと政治に関心をもってもらえるようにしていかなければならないのではないでしょうか。

そこで、来年の統一選に向けてさらに投票率を上げるために、どのように周知等に取り組まれるのか、特に若者の投票率向上に向けて、これまでの投票率の結果を踏まえて、どのように改善されようとしているのか、ご所見をお伺いします。

3 不登校対策について

今国会で改正入管難民法が成立しています。労働者不足の解消が目的で、その解決策が、手っ取り早く外国人労働者となっているのだと考えていますが、同時に国内の多様な人たちの労働参加を図ると云うことも重要であると考えています。

昨年度の全国における、年度間に連続または断続して30日以上欠席した不登校者数は、小学校から高校生までおよそ19万3千人に上り、その約半数が90日以上の長期欠席者であります。また、不登校の子供たちがそのまま、ひきこもりになる可能性も高いのではないかと推察されます。

今年、内閣府は初めて40から64歳の実態調査に乗り出すことを発表しましたが、ひきこもりの人たちは、40歳以上も含めると、およそ100万人と推計する専門家もおり、この人たちが社会参加をすれば本人にとっても、社会にとっても経済的価値は相当なものとなると考えられます。そのためにも、不登校生徒たちを無くすることが重要ではないでしょうか。

そこで、以下3点について伺います。

(1)フリースクール等との連携や支援について

平成29年度全国の公立学校で不登校生徒数は、小学生34,732人(0.55%)、中学生104,295人(3.38%)、高校生37,493人(1.68%)計176,520人(1.51%)。兵庫県では、小学生1,490人(0.52%)、中学生4,979人(3.63%)、高校生830(0.78%)計7,299人となっています。

小・中学生の不登校生の内、フリースクール等何らかの学びの場に通っている児童生徒は約2~3%、適応教室での対応は約10%程度と言われています。多くの児童生徒が自宅にひきこもったままでいます。県では、不登校担当教員の配置、県立但馬やまびこの郷の運営、県立但馬やまびこの郷サテライト事業の実施等の①「不登校対策のための推進体制の整備」や、②「未然防止のための取組」、③「早期発見・早期対応のための取組」等を行っていますが、限界があるのも事実であります。不登校の生徒達とマンツーマンでじっくりと話を聞き、自らの心を開き自らの立直りを支援するには、今の体制では限界があるのではないかと考えます。

そこで、教育機会確保法が成立をし、不登校児童生徒への対策としてフリースクールの活用については9月議会で谷井議員が質問し西上教育長の答弁もありましたが、学校以外の場における学習活動等多様な学びの確保の観点から、フリースクール等との積極的な連携と支援、例えば県内のフリースクールとの定期的な意見交換や調査、また、実際に通う生徒個人に対する通学定期の証明や就学支援金の支給等の支援を行うべきではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

(2)不登校の子ども達への対応について

小・中学校において、不登校でも、ほとんどの場合卒業証書は授与されています。不登校等で進路発見が困難な状況にありながらも、自分の生き方や進路を見つけたいという人への支援のための一つに県立神出学園があります。

神出学園は、私立生野学園を参考に設立されたと聞いておりますが、生野学園の取組は、全寮制で生徒と教員が寝食などを一緒にしながら、常に1対1の状態に近く、とことん話を聞き、寄添いを中心に生徒の自立・立直りを図っておられます。週末にはそれぞれ家庭に帰り、家族との関係を構築され、また、親の会があり2か月に1度泊りがけで保護者同士の交流があり、学園祭や運動会などにも親の会も積極的に参加をされています。それは、卒業後も継続されています。30年間で900人以上の卒業生を出しており、殆ど退学者はいなく、就職しても生野学園を第2の故郷として、今だに多くの卒業生が訪れているだけでなく、親の会の活動も続いています。

しかし、このような学校の存在が、不登校で悩んでいる子供たちの元に情報としてなかなか届かないこともあると聞いています。

そこで、不登校の子供たちに対する情報提供等、進路指導はどのようになっているのか、お伺いします。

(3)夜間中学における学び直しの機会の提供について

夜間中学の充実について、これも9月議会で谷井議員から質問をされておりましたが、私の方からも関連して質問したいと思います。

学び直しの場の一つとして、夜間中学が挙げられますが、県内では神戸市立兵庫中学校北分校、同丸山中学校西野分校、尼崎市立成良中学校琴城分校があります。また、篠山市では、夜間中学がないため、ボランティアが自主的に夜間中学を運営している所もあります。

現状の夜間中学は県東部に偏っていますが、姫路市を含む東西播磨地域には1,400人超の中学未就学者がいると言われており、姫路市において、有志が中心となって夜間中学設置の動きがあると聞いており、先日公立の夜間中学の設置を考えるセミナーが姫路市民会館で開催されたとの記事も見ました。尼崎や神戸は交通の便もよく、通いやすい場所ではありますが、兵庫県は東西・南北ともに広い県土を有しており、せっかく行きたいとの希望をお持ちになっても、物理的な制約で断念せざるおえない可能性も考えられます。そのため、県西部等においても夜間中学の設置が期待されているのではないでしょうか。

そこで、夜間中学における学び直しの機会の提供について、県の方針と現在の取組状況をお伺いします。

 

 

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