越田謙治郎議員が代表質問を実施

第313回定例会(6月)代表質問
2012年6月8日(金)

民主党・県民連合の越田謙治郎です。ただ今、議長より発言の許可をいただきましたので、民主党・県民連合を代表し質問をさせていただきます。

さて、この第313回6月定例議会は、議会基本条例成立後初めて開催される議会であり、これから兵庫県議会が未来に向けて一歩を踏み出す大きな意味を持つ議会だと思います。
私たち民主党・県民連合も、より県民に信頼される議会、二元性の代表の一翼を担い、より機能する議会を目指し全力で活動して参ります。
また、今年度より新しい21世紀兵庫長期ビジョンがスタートしています。兵庫県が「創造と共生の舞台・兵庫」を目指し、スタートをする大切な議会でもあります。
そのような、重要な議会において登壇することに強い責任を感じながら、一問一答方式で質問をさせていただきます。
今回、6つの質問をするに当たり、私は「責任」ということを一つの大きなテーマとして掲げました。世の中が変化をしても、互いに立ち向かい責任を果たす、これは年頭に井戸知事が述べられた言葉です。今、目の前にある課題に立ち向かっていく、そんな責任。県民の生命、とりわけ、子どもたちの命を守る責任。事業を進めるに当たって、県民に対する説明責任。未来のビジョンを示し、たとえ困難であったとしても、一歩ずつ進んでいく責任。それぞれの責任をどうやって果たしていくのか、そんな観点で質問をさせていただきますのでよろしくお願いします。

1 省エネルギー社会に向けた取組について

質問の第1は、「省エネルギー社会に向けた取組」についてです。
福島原子力発電所の事故を契機に、私たちは、これまでのエネルギーのあり方について見直さなければならなくなりました。
事故発生時の健康や環境への影響、放射性廃棄物の処理が世代を超えた問題になること等を考えると、将来的に、電力供給に占める原子力発電への依存度を減らし、再生可能エネルギーの割合を増やしていくといったエネルギーシフトを着実に進めていかなければならないと考えています。
一方、電力供給不足が県民生活に与える影響、従来まで原子力発電が占めていた電力供給への割合、輸入資源の高騰による経済への影響などを考えると、現時点で原子力発電を完全に排除するという選択肢は、合理的な選択とは言えません。
このような中、関西電力管内では約15%の節電が必要だと言われており、関西電力大飯原発3号機、4号機の再稼働問題が国民的な議論となっております。現在、国では、地元の福井県等と最終調整を行っており、大飯原発の再稼動も現実的なものとなってきました。

2 通学路の安全対策について

質問の第2は「通学路の安全対策」についてです。

(1) 通学路事故ゼロ計画の策定について

本年4月、京都府亀岡市において集団登校中の児童らの列に車が突入し、計10名の方が死傷する痛ましい事故が起きました。まずは、亡くなられた方のご冥福と事故に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げます。
私も子どもを持つ一人の親として、このような事故の報道があるたびに、胸が張り裂けそうな思いになります。
無免許の少年による居眠り運転が原因とのことであり、一義的には加害者の責任ではありますが、事故現場となった通学路は、国道の抜け道で交通量が多く、PTA等から再三、安全対策の要望が出ていたとの報道もされております。
警察庁の統計によれば、昨年中の児童・生徒の交通事故死者数は全国で155人に上り、日本スポーツ振興センターへの届け出から想定すると、そのうち少なくとも35人は登下校中の事故だと言われております。
このような痛ましい事故から、子どもを守っていくことは、私たち大人の責任です。とりわけ、本来楽しいはずの登下校中に事故にあうという不幸な出来事をなくしていくため、早急に実効性ある対策を打ち出していかなければなりません。
事故後、すでに多くの学校において、通学路の再点検や所管警察の協力のもと、通学路の見守り活動などが行われています。また、国においても、文部科学省、国土交通省及び警察庁が、先月末に、全公立小学校が地元の警察署等と連携し、8月末までに通学路の安全点検を実施するよう、都道府県教育委員会などの関係機関に通知していますし、今月中には通学路の安全対策に関する有識者会議を設置すると聞いております。
もちろん、このような動きに関して否定するものではありませんし、子供を持つ親としてはありがたい動きだと思っています。
しかし、この事故の前から多くの学校において、日常的に通学路の安全点検などは行われています。問題は危険だと認識されているにもかかわらず、様々な理由により、安全対策が十分に行われていない通学路があることです。
大切なことは、通学路の点検で終わるのではなく、いかに見直しから改善までの実効性あるものにしていくかということです。
さて、通学路の安全対策では、地域の特性や交通事情等を最も把握している個々の学校や市町教育委員会が中心的な役割を担うべきだと、私は考えております。
学校、道路管理者(県・市)、警察、地域が一緒になって「通学路事故ゼロ計画(仮称)」を策定し、「どこが危ないのか?」を点検するだけではなく、それぞれの箇所に対し「どうすれば危険を回避できるのか?」を明確にする。さらに「実際に対策は行われたのか?」をしっかりと検証することが必要だと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。

(2) 通学路事故ゼロに向けたハード対策について

通学路の安全対策では、地域の特性や交通事情等を最も把握している個々の学校や市町教育委員会が中心的な役割を担うべきです。しかし、学校や教育委員会だけで解決できる問題ではありません。
たとえ、危険箇所の把握ができたとしても、歩道整備やガードレール設置には道路管理者の協力が必要です。
そこで、ハード対策にかかる県当局の今後の取組姿勢についてお伺いします。

(3) 通学路事故ゼロに向けた交通規制・取締について

先ほどから繰り返し申し上げておりますが、通学路の安全対策は、学校や教育委員会だけで解決できる問題ではありません。
実際、私も市議会議員の経験があり、学校関係者だけではなく、保護者の方々や地域の皆さんと通学路の安全対策についての意見交換をすることがありました。
そのとき感じるのは、やはり一番重要なのは、子供を車と分離するなど、所轄の警察署による取組だと考えます。
現在、毎月5日には交通取り締まりを行っており、地域住民としてはありがたい話ではありますが、抜本的な対策は通行規制や速度規制であり、警察の積極的な協力が必要だと考えます。今後の、通学路事故ゼロに向けた県警の取組姿勢をお伺いします。

3 広域的な防災対策の推進について

質問の第3は、「広域的な防災対策の推進」についてです。
県では、本年4月、平成21年台風第9号災害検証委員会からの提言に基づき、水害・土砂災害時における市町の的確な避難勧告等の発令・伝達に資するため、県版の「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(水害・土砂災害編)」を作成しました。
一つの災害がもたらした不幸な出来事と真摯に向き合い、冷静な分析と検証を通じて策定されたものであり、防災先進県兵庫の取り組みとして高く評価できると考えています。
今後、このガイドラインを参考に、避難勧告を実際に発令する各市町において有効なマニュアルが作成されることにより、二度と不幸で悲しい事態を招くことがないように、切に願っております。
しかし、このような県の取組を評価する一方で、兵庫県としてここで取組を終えてしまっていいのか、ということが今回の質問にあたっての私の問題意識であります。
つまり、避難勧告や避難指示を出し、災害発生時の住民の安全を確保するのは、基礎自治体の市町が一義的に取り組むべき課題であることから、このガイドラインに基づく各市町のマニュアルは、その市町で暮らす住民の安全確保を前提として策定されます。
またそもそもの市町地域防災計画についても、市町域を対象として策定されることから、本来であればその市町の住民であるか否かに関わらず対象となるはずですが、当該市町の住民を主眼において策定される場合も多いのが現実ではないでしょうか。
例えば、東日本大震災での例を見ても、大規模災害が発生した場合には、当該市町内で避難活動が完結するわけではなく、市町の境を越えて避難者が押し寄せる場合もあるでしょう。こうした場合には、現在の市町の防災計画等では対応し切れない事態が生じることも容易に想定されます。
私は、県民がどこにいても危険を回避するための十分な情報を入手し、適切な避難ができるようにすることは、県としての大きな責任であると考えます。
そこで、今後、各市町の防災計画等において、市町域を越えて避難して来る人々に対してどのように対応していくかという視点を盛り込むよう各市町に働きかけるとともに、県としても、各市町間における取組の連携、調整を進めるなど、より広域的な視点からの支援に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4 県立こども病院移転に対する県民理解の促進について

質問の第4は、「県立こども病院移転に対する県民理解の促進」についてです。
県は本年2月、「県立こども病院建替整備基本計画」を策定し、県立こども病院の移転先をポートアイランドとすることを発表しました。これに伴い、今年度予算では、設計管理費として約5800万円が計上されています。
この件に関しては、従来から代表質問、一般質問、さらには委員会審査などで議論がなされてきましたが、1970年から40年以上が経過し施設も老朽化していることから病院の建替そのものには、県民の中にも異論はないところだと考えます。
しかし、移転先であるポートアイランドの立地特性から、「津波の影響はないのか?」「災害発生時のアクセスやライフラインは大丈夫なのか?」「液状化の心配はないのか?」など疑問の声が上がっています。
また、神戸市中央市民病院と隣接することから、「仮に大災害が発生した場合、一度に県内の周産期医療が崩壊するリスクがあるのではないか?」という声が根強くあるのも事実です。
広い兵庫県における周産期医療の地域バランスについても、将来的な検討課題のひとつだと考えます。
さて、県は、津波を懸念する声に対しては、予定地が津波高を現行防災計画の2倍と想定した場合でも浸水する危険性がないことを、液状化等を懸念する声に対しては、阪神・淡路大震災時に顕著な液状化が発生しておらず、災害発生時の液状化の可能性は極めて低いことなどを挙げ、移設予定地の安全性を強調しています。
確かに私は、大きな医療機関が連携することで、救われる命があると考えます。しかし、子をもつ親の立場とすれば、「安全」という言葉だけでは、必ずしも「安心」して利用できるわけではありません。
県立こども病院が県内に住むすべての子供の最後の砦であることを考えれば最大限の安全対策を講じることは当然のこととして、想定外の大災害や大事故が発生した場合であっても、医療機能を保持し、継続して必要な医療を提供できる体制にあることを示す必要があるのではないでしょうか?
今後、計画に基づき、平成27年度開設に向けて事業を推進していく中で、県民が安心して利用できる状況をつくらなければ、子ども最後の砦としての、県立こども病院の特性は十分発揮できないのです。県民全体が理解を示せるだけの必要かつ十分な説明する責任があると考えます。
そこで、今後、県民の懸念や不安を払拭するため、どのような形でその理解を求めていくこととされているのか、その方針について、当局のご所見をお伺いします。

5 更なる県内分権の推進について

質問の第5は、「更なる県内分権の推進」についてです。
「地方分権の推進は、国と地方公共団体とが共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあることを踏まえつつ、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」
平成7年に成立した地方分権推進法の中でうたわれた理念です。
この理念は、その後の地方分権改革推進法や、いわゆる地域主権改革一括法にも受け継がれており、地方分権、地域主権社会の構築は、党派を超えた共通課題であると同時に、地方政治を担う多くの政治家の共通した思いでもあります。
さて、この度の地域主権改革一括法の全面施行を迎え、国から都道府県への分権という点では、「義務付け・枠づけの見直し」「施設基準等の条例委任」、さらには各省庁の補助金を整理し、地域自主戦略交付金が創設されるなど、確実に地方自治体の自由度が高まっています。
実際に、兵庫県では、県営住宅の子育て世帯や新婚世帯の入居収入基準を緩和するなど、地域主権改革により、着実に社会が変わっていくことが現実になってきています。
また、47法律に係る事務が移譲されるなど、都道府県から市町村への権限移譲も徐々に進みつつあります。
このような状況を踏まえ、国から県への権限移譲、財源の自由度の高まりの流れを、基礎自治体である市町へとつなげ、その自由度を更に高めていかなければなりません。
今回の法令改正により市町に移譲されるのは、あくまで許認可や届出等に関わる事務権限が中心であり、県民にとって、身近な場所でサービスが受けられるという点において一歩前進ですが、必ずしも市町の真の自由度が高まったとは言えません。
より一層、その自由度を高めるためには、法令に基づく移譲に限定せず更なる権限移譲に取り組むとともに、市町が自由に使える財源をいかに増やしていくかが重要です。
さて、本県では、平成11年に事務処理特例条例を制定するなど、これまでから市町への権限移譲に取り組んできました。さらに、今年度には「県から市町への権限移譲検討会議」を設置するなど、積極的に市町への権限移譲を進めようとする県の姿勢は評価できます。
そこで、このような県の姿勢がそもそもの地方分権、地域主権の理念に沿った取組として実を結ぶよう、更なる県独自の権限移譲に積極的に取り組むと同時に、これに伴う財源についても、より市町の自由度を高めるような仕組みで、事務権限と一体的な移譲に取り組むべきだと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

6 インクルーシブ教育の推進について

質問の第6は、「インクルーシブ教育の推進」についてです。
障害者の権利に関する条約第24条によれば、インクルーシブ教育とは、「人間の多様性の尊重、精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加するという目的の下、障害のある者と障害のない者が共に教育を受ける仕組み」であり、「障害のある者が教育制度一般から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な合理的配慮が提供される等が必要」とされています。
本県では、従来から特別支援教育に積極的に取り組んでおり、兵庫県特別支援教育推進計画に基づき、着実に拡充されてきました。今年度には阪神昆陽特別支援学校が開校、平成26年度には、県立姫路高等技術専門学院跡地に新しい特別支援学校の開設が予定されています。私は、このような、支援を必要とする子供たちに対する教育を充実させようとする県の姿勢そのものを否定するつもりはありません。
しかし、現在、県が進めようとしている教育は、はたして「県民の求めるインクルーシブ教育となりえるのか?」という点に関しては疑問が残ります。例えば、阪神昆陽特別支援学校では、阪神昆陽高校と施設の共同利用や教科での共同学習、イベントを共同で行うと謳っておりますが、それだけでは必ずしもインクルーシブ教育とは言えないのではないでしょうか。
そもそもインクルーシブ教育とは、誰をも排除しない、障がいの有無によって分離しない教育であり、様々な違いをもった子供たちが、同じ空間で学ぶ教育です。
高校教育においても、地域や地域の中で共に暮らす友人たちから分離することなく、ともに学ぶ環境を整備することこそが、私たちが目指すべきインクルーシブ教育の姿です。
現在、中央教育審議会において「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」が設置され、本年5月に特別委員会報告(案)が出されるなど、今後の特別支援教育の在り方は、大きく変わろうとしています。
また、姫路市に新設される特別支援学校の事業推進にあたっても、総合事業等審査会から、今後の課題の一つとして、国が一般児童・生徒との共生社会に向けた教育を打ち出していることを踏まえ、県として特別支援教育のあり方を検討するよう提言も出されています。
このような状況を踏まえ、県として特別支援教育のあるべき姿を今一度しっかりと検証し、目指すべき今後の方向性について明確な姿勢を打ち出すとともに、とりわけ、本来の理念を尊重したインクルーシブ教育を推進していくべきだと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。
仮に大飯原発が再稼働した場合、関西電力管内の約15%の電力不足はほぼ解消すると言われています。しかし、2基がフル稼働するのには、正式決定から約6週間要すると言われており、電力需要の急増が予想される7月には間に合わないため、電力危機が回避されたとは言えないのです。
また、今回の再稼働は、政府による暫定的な安全判断を前提としており、原子力規制庁発足までの一時的なものとなる可能性もあります。
つまり、たとえこの夏の電力不足を乗り切ったとしても、9月以降はまだ不透明な状況であり、節電の取組を継続する必要があるのです。
さて、私たちは、未来に向けて長期的にエネルギーシフトを実現していくため、一歩一歩前進していく責任があります。しかし、もう一方で、今回の東日本大震災による経験と教訓を契機に、今、我々がまずなすべきことは、エネルギーの使い方を真剣に考え、我々自身のライフスタイルのあり方を改めて見直していくことではないでしょうか。
それは何も従来の節電のような「クーラーを我慢しましょう」という市民の自発的な取組に頼るのではなく、むしろ社会のあり方自体を見直し、省エネルギー社会へと向けて我々自身のライフスタイルの転換を図っていく、その道標を具体的に示していくことが、エネルギーの消費地として果たすべき責任だと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

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