向山 好一議員が代表質問を実施

第344回 定例県議会 代表質問

 

質問日 :令和元年6月18日(火)

質問者 :向山 好一 議員

質問方式:一問一答  方式

 

1 被選挙権を有しない者の立候補届出について

本年4月に行われた兵庫県下の統一地方選挙で被選挙権がない者が立候補し、多くの無効票が発生するという残念なことが起こった。
1つは、兵庫県議会議員選挙の伊丹市選挙区、もう1つは、播磨町議会議員選挙であった。
公職選挙法の規定では、県議選の被選挙権は選挙期日までに県内の同一自治体に3ケ月以上居住することを要件としているが、その候補者はその要件を満たしていなかった。また、播磨町議選の場合、そもそも播磨町に居住すらもなかった。それにもかかわらず選挙管理委員会は立候補届出を受理し、投開票日までそれを公表しなかった。その結果、県議選の場合、無効票が約3000票、投票総数の約5%に及んでいる。
選挙管理委員会には、「無効と分かっていれば別の投票先を考えた」、あるいは「なぜ立候補を許したのか」という苦情が寄せられたと聞く。
なぜこのような事態に陥ったのか。その大きな理由は、現法体系では告示日に被選挙権の居住要件を満たさない場合であっても立候補の届出を拒否する規定がないこと、被選挙権のない者が立候補していることを選挙管理機関が公表することは選挙の自由公正を害し、選挙の規定に違反するという過去の判例があること、と伺っている。しかし、今回のように多くの無効票が起こりうる状況を放置することは公正・公平な公職選挙の主旨から大きく逸脱している。何らかの対策が必要と考えるが、当局の所見を伺う。

 

2 神戸空港の規制緩和について

さる5月11日に開催された「関西3空港懇談会」で悲願の神戸空港の規制緩和策が示された。その内容は、「午後10時までの運用時間を11時まで延長する」、「1日の最大発着回数60回を80回まで拡大する」ということであった。
確かに、神戸空港が開港して14年間、一度も開かなかった規制緩和への重い扉がようやく開いたことは大きな成果だとは思う。しかし、昨年末の懇談会で井戸知事が提案した「運用時間の深夜0時までを含む3時間の延長」、「1日の最大発着回数を120回に拡大」、「国際チャーター便を出発点とする国際化」と比較すると、新聞記事にある知事のコメント通り「値切られた」格好となっており、誠に残念と言わざるを得ない。
この昨年末の関西3空港懇談会での知事提案は、漠然とした提案ではなく、将来の需要予測、国際線の危機管理、神戸空港のポテンシャルの最大化、特にエアラインの具体的ニーズに裏打ちされたものであると考える。それなのに、なぜ提案の一部しか懇談会では合意できなかったのか、舞台裏の話を含めて伺う。

 

3 北神急行の市営化について

今年の2月定例議会での予算特別委員会で北神急行の市営化について、県土整備部への部局別審査と知事への総括質疑で県の立場や支援策について伺った。しつこいようだが改めて質問させていただく。
予算特別委員会の際に、知事や当局の責任者から「現在の支援スキームは投資余力の少ない中小民鉄等への支援に限定しているものであり、北神急行は運営主体が民間企業であったものが公営団体に変わるケースなので、現制度では支援策はない。しかし、具体的支援内容は神戸市と阪急との最終合意がどうなるかを見極めて検討したい」との答弁であった。
その後、3月29日に神戸市と阪急電鉄が譲渡に関し基本合意し、神戸市としては遅くとも2020年10月までには市営化を実現したいと表明された。その合意内容を前提とした運賃は、現行谷上~三宮間540円を280円と約半額にまで値下げする方針である。その新聞記事を見て北区の住民は画期的な出来事だと手放しで喜んでいる。しかし、それは兵庫県や国がしっかりと継続して支援してくれることが前提となっている。
この基本合意から2か月以上が経つ。神戸市自ら決めた期限まで約1年と迫っていることを考えると、久元神戸市長から兵庫県に具体的支援の要請もあったのではないかと思う。予算特別委員会の知事答弁でも過去の地下鉄西神山手線の財政支援などを引き合いに出され、市営化の助成制度について「国への働きかけを含めしっかり取り組む」と前向きな答弁を行っている。神戸市からの要請の内容と、それに対する現在の検討状況をお聞きする。

 

4 民間賃貸住宅の家賃補助制度の創設について

県の人口推計調査によれば兵庫県の人口は2018年に1万9,107人減となり9年連続で減少するとともに転出超過が続いている。その要因は、自然減を補うだけの社会増が見込めないことにある。このように兵庫県では、東京を中心とした首都圏だけでなく大阪方面への転出に歯止めがかからない状況にある。人口だけが都市の魅力ではないが、活力のバロメーターだけでなく地方交付税にも悪影響を及ぼすだけに放置できない。
兵庫県は、「カムバックひょうごセンター」等数々の人口減少対策事業を行っているが、数値だけ見ると効果を発揮していないし、今後さらに減少に拍車がかかる危惧すら持たざるを得ない。つまり、何らかの思い切った政策を打ち出す必要性を感じている。
そこで、提案だが他府県からの転入者に限って民間賃貸住宅を住宅用に賃借する者に一定額を家賃補助する制度を創設すればどうか。全国的には、現在、持ち家には住宅ローン減税や低金利貸し出しなどの支援制度は結構整備されているが、賃貸住宅には同様の支援制度がほとんどない。他府県からの転入者はまずは賃貸住宅に住むことを考えれば効果的だと思う。
さらに、現在社会問題となっている「空き家」の約5割は賃貸住宅である。「空き家」は倒壊の危険、衛生や悪臭、景観などの環境問題、犯罪誘発などの治安問題も起こしている。住居と言う社会的資産の有効活用の観点からもその活用は重要な問題であり、「空き家」状態になっている賃貸住宅を活用するための家賃補助を行うことなどの制度は社会的にも価値ある制度ではないか。
兵庫県としての独自策としてのこの民間賃貸住宅の「家賃補助制度」の創設についてご見解を伺う。

 

5 がん対策の強化について

本年4月に「兵庫県がん対策推進条例」が施行された。私も昨年2月の一般質問でその必要性を訴え具体的内容まで提案したし、これまで多くの議員が条例化を訴えてきたことを思うと、多くの県民は条例化によって兵庫県が名実ともがん最先進県になってほしいと期待している。それだけに、今後見える形で具体的な施策を提供していくことが何より重要である。
兵庫県条例の特徴は、①がん予防及び早期発見の推進②がん医療の充実③がんに罹患しても安心して暮らせる環境の整備、などが挙げられる。そこで、この特徴を実現させるために何点か提言を行いたい。
まず、がん予防と早期発見のためには、がん検診の充実が何をおいても必要である。再三指摘されているように、兵庫県のがん検診受診率が全国平均より5ポイント程度低い現状をまずは少なくとも平均以上に引き上げることが必要である。
条例第10条に、県民のがん検診受診の努力義務、従業員対策として事業者の検診への協力義務が明記されている。それを謳うのであれば県のそれなりの支援が必要と考える。特に受診の最も大きな障害となる経済的負担の低減には、一定の金額を助成するなど思い切った施策が必要と思われるがご見解を伺う。
また、患者さんへの支援体制として、治療以外の支援は非常に重要であるにもかかわらず、それが十分でないばかりか多岐にわたるニーズに総合的に対処できる体制になっていない。
同僚議員の経験から来る指摘を紹介すると、患者さんとそのご家族の不安や悩みに対処できる施設として脚光を浴びている「マギーズ東京」には、看護師や心理士が常駐し無料で多岐にわたる相談に応じる体制があり、2年間で約13,000名が訪問しているとのこと。条例の趣旨に添い兵庫県に「(仮称)がん総合支援センター」を設け、がん患者さんとその家族への総合的ケアを行えるようにすべきでないか。それは、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして開催される大阪万博のサテライトに整備し、世界に発信すればよいと思うがいかがか。あるいは県立病院の建替え・再編の目玉施設として位置付けることもできる。
このような施設の整備についてのご見解も伺う。

 

6 高齢者交通事故対策について

最近頻繁に起こっている高齢者による重大な交通事故について質問する。
本年4月に池袋で発生した事故では若い母親と幼児が犠牲になったばかりか10名が重軽傷を負った。6月に福岡で起こった事故では運転者と同乗者の配偶者が亡くなり7人が怪我を負った。いずれも状況判断から原因は運転操作の誤りと思われる。兵庫県でも、4月21日に三宮駅前で神戸市バスが歩行者8人はねて2人の若者が犠牲となるという痛ましい事故があり、現場では今なお献花が後を絶たない。運転者は64歳で高齢者というには微妙だが、その原因は同様にブレーキとアクセルの踏み間違いである。ここ数年、このような高齢者による運転操作の誤りによる重大な交通事故の発生が後を絶たず、その都度社会問題となっていることから、そろそろ真剣に抜本的な対策を講ずる必要があるのではないか。
その対策として考えられるのは、一つに運転免許の自主返納を促進すること。二つに運転免許に年齢制限を設けること。三つに一定の年齢以上になれば安全装置付きの車の運転に限定すること等が考えられる。新聞報道によると、現在国では、自動ブレーキなどの安全機能が付いた自動車のみを運転できる免許制度の創設を検討しているが、その免許は選択制であると聞く。それでは、あまり効果が期待できないと考えるが、こういった国の取組に加え、兵庫県でも独自で出来る対策は行っていくべきであり、その1つが免許自主返納の促進策を充実させることである。
現在、県警では協賛企業の協力のもと、バス料金の半額化、タクシー料金の1割引きなどの促進策を実施しているが、その効果は限定的である。その理由は、この程度の促進策では車を手放すこと以上のメリットを感じられないからではないか。バス料金にしても殆どの自治体が高齢者割引を実施しており、タクシー料金も1割引きではお得感はそれほどでもない。思い切ってバス無料・タクシー5割引き、鉄道2割引くらいの特典などを働きかけるべきではないか。
そこで、運転免許証の自主返納促進策の充実に対する県警のご見解について伺う。

 

7 不登校対策について

平成29年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、全国の小中学校における不登校の児童生徒数は14万人を超え、過去最多を記録。本県においても、平成27年度から増加傾向が続いている。
背景には、平成29年2月に施行された教育機会確保法によるものがある。同法は、学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、フリースクールなど学校以外で学ぶ児童生徒の支援を目的とし、休養の必要性も認めている。
しかし、民間のフリースクール等の運営は学校教育法に基づく学校に該当しないため、公的な支援制度が適用されず、その運営は大変厳しい状況である。フリースクール等に委ねる以上、その施設と十分に連携をとりながら、必要に応じてできる限りの支援も検討すべきであると考える。
同法は不登校の児童生徒が通いやすい民間のフリースクールなど、学校以外の教育機会を確保する施策を国と自治体の責務とし、必要な財政支援に努めるよう求めているが、本県としてはどのような支援を行おうとしているのか伺う。
また、フリースクールに頼ることなく生徒に近い学校がいち早くこうした生徒の声を察知し、不登校生徒にならないようにきめ細かい支援がまずは必要である。広島県教育委員会では、本年度からモデル事業として、空き教室や相談室などを転用して専用教室を確保し、担当教員を配置し、それぞれの子供の学習の理解度や関心に合わせた指導、集団生活になじむためのサポートを行っている。
このように、子供が安心して過ごせる居場所を確保し、学校との接点を保ち続けるといった取組を行うことにより、不登校の深刻化が防げるのではないか。
そこで、学校における不登校児童生徒の未然防止、早期対応を図り、不登校児童生徒の増加を防ぐための取組について伺う。

 

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