黒田 一美議員が質問(企画県民部①)を実施

平成30年度特別委員会 企画県民部①

質問日:令和元年10月8日(火)

質問者:黒田 一美 委員

 

1 新たな行政課題に対応した専門職員の配置について

行革後の県職員の定数については、3割カット後の平成30年4月1日の職員数を基本とする方針が示されましたが、我が会派からは、行政サービスの低下につながらないよう意見を発表したところであります。

昨年9月定例会の一般質問で、「行政サービスの低下を招かないよう、適切な職員数の見極めや柔軟な配置についてどう取り組むか」伺ったところ、当時の企画県民部長は、「災害復旧などの県民の安全・安心に直結する分野や、児童福祉等の当面の行政課題については、重点的に職員を配置するなど、メリハリのある定員配置を行う」との答弁がありました。これを踏まえて、新たな行政課題に対応した専門職員の配置について伺います。

新たな行政課題として急務を要するものが2つあります。

一つは、近年の豪雨や連続する台風被害に対する復旧体制の強化です。

先日、関西電力の方と話をした際、台風第15号による千葉県の電線の倒壊・損傷について、電線を修復する技術は持っているが、周辺の倒木が道路をふさぐなどして作業員が現場に近づけず、停電の復旧が大幅に遅れていると伺いました。これも近年にない「想定外」の被害でありますが、これに限らず、近年多発する自然災害の復旧には、現場に応じた土木技術職員の配置が必要です。

もう一つは、児童虐待に即応できる体制の強化です。

2018年度に全国の児童相談所が対応した虐待件数の速報値は、過去最多の15万9850件で10年前の3.7倍に上ります。虐待通告から原則48時間以内に子供の安全を確認する「48時間ルール」の徹底は子供を守る第一歩です。しかし、そのルールに対応出来なかったケースが2019年6月までの約1年間に1万2千件程ありました。即応できない要因に児相の人手不足が指摘されています。虐待への対応にあたる児童福祉司の増員・配置が必要です。

前回の予算特別委員会の質問の際にも述べましたが、職員定数の3割削減で画一的な対応でなく、こうした新しい課題の現状に沿った職場体制をしっかりと作ってほしいと考えています。今回の職員定数の方針が、そういった課題に対応できない行政の後退となってはならないと要望してきたところであります。

そこで、これらの新たな行政課題に対し、どのようにメリハリのある職員配置を行い、体制の強化に努めているのか伺います。

 

2 就職差別の撤廃について

 (1) 県の非常勤職員の採用について

就職差別の撤廃に向けてはこれまで、「全国高等学校統一用紙」やJIS規格に基づく履歴書など厚生労働省が定める適正な応募用紙の利用、公正な採用選考を行うための「公正採用選考人権啓発推進員制度」、求職者等の個人情報の取扱いを定めた「職業安定法第5条の4」と「労働大臣指針-労働省告示第141号」が実現されるなど一定の成果をあげてきました。

しかし、「適正な応募用紙」ができて44年以上過ぎた今日も、「適正な応募用紙」の趣旨に違反する書面や面接での差別的な質問が後を絶たず、また最近では、就職希望者がホームページ上から登録する「エントリーシート」が増加し、その中に本籍地や家族状況などを記入させる項目を設け、差別撤廃の取組成果を土台から崩すような動きも出てきています。

こうした状況を踏まえ、就職差別撤廃に向けた取組を一層図る必要があります。

特に国や自治体は、就職差別撤廃や人権教育・啓発を推進する立場にあり、まずは自らが率先して実践し徹底する必要があります。

しかし、公務員関係職場でも「適正な応募用紙違反」が後を絶たない現実があると聞いています。

例えば、県の非常勤職員の採用時に「応募用紙違反」があったり、採用後に採用関係書類の提出にあたり、本籍地や出生地、家族状況などを記入させたりする事例があってはなりません。

そこで、本県における非常勤職員の採用に係る「応募用紙違反」の防止など就職差別撤廃に向けた取組について伺います。

 

(2) 県行政と密接な関連のある公社等の職員等の採用について

先程の非常勤職員に加えて、県行政と密接な関連のある公社等の職員等の採用に係る「適正な応募用紙違反」や職員名簿作成時の聞いてはいけない事項の記入強制などの実態の把握と就職差別撤廃に向けた取組についても伺います。

 

(3) 県内市町の非常勤職員や外郭団体の職員等の採用について

先程の質問にあるように、県の場合に限らず、県内各市町における非常勤職員や外郭団体の職員等の採用に係る「適正な応募用紙違反」や職員名簿作成時の聞いてはいけない事項の記入強制などの実態把握に努め、就職差別撤廃に向けた取組を市町に促す必要があると思いますが、それらの状況についても伺います。

 

 (4)私立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

学校の教職員は、人権教育を推進する役割があるとともに、進路指導などで就職差別撤廃を進める重要な立場にあると言えます。

「就職受験報告書」は、生徒が採用試験を受けた後に、学校に報告するもので、就職差別につながる事柄がなかったか点検し、問題があれば是正するためのものです。

「統一用紙違反」を見逃さず無くしていくためには、就職試験を受けた卒業生から「就職受験報告書」を学校に提出させて、就職差別をしている企業やその実態を把握し、労働局における指導が何よりも重要です。

そこで、県内の私立高校において、「就職受験報告書」の取組をはじめ就職差別の実態把握にどのように取り組み、それを踏まえ、就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、今後どのように取り組むのかあわせて伺います。

 

(5) 県立大学の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。

この調査結果について専門家は、「本籍地や出生地」など、仕事に無関係の偏見が採用に忍び込むリスクを高め、個人の心の自由も損なう恐れがある。また、「宗教」、「支持政党」など複数の内容を提示し、「面接官が聞いてはいけない質問だと思うもの」を聞いたところ、「あてはまるものはない」と答えた人が16%あり、認識率の低いものがある。このような面接される側の知識不足も、就職差別に抑止力が働きにくい一因となっている。学校での「キャリア教育」にこうした情報を入れ込んでおくことの重要性がここから見えてくると指摘しています。

この結果から、県立大学においても「受験結果報告書」の取組を行うなど就職差別撤回に向けた取組を推進していく必要があると思います。そこで、県立大学は就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、それを踏まえ、今後どのように取り組むのかあわせて伺います。

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