黒田 一美議員が質問(健康福祉)を実施

平成31年 平成30年度決算特別委員会(健康福祉)

日 時:令和元年10月9日(水)

質問者:黒田 一美 委員

 

1 隣保館のバリアフリー化について

隣保館は、地域社会全体の中で福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行うことを目的として市町が設置し、運営されている社会福祉施設であります。

施設には会議室や調理室、教養娯楽室、多目的利用室などがあり、また休日も開館可能となっていることから、クラブ活動やレクリエーション等の各種地域交流活動を実施することができるなど、地域に根付いた施設と言えます。そのため、地域の子どもから高齢者まで様々な方が利用されることから、平成14年の厚労省事務次官通知においても、隣保館設置運営要綱の中で、「2階以上の建物については、昇降機を設置するほか、段差解消等のための傾斜路等の整備を図る等、その環境整備に務め、高齢者や障害者の利用に配慮すること」との記載があり、各市町において国の補助メニューを活用してエレベーターの設置を進めている状況であると認識しています。

利用者として高齢者も多いことから早期にエレベーターの設置等のバリアフリー化を進めるべきであると考えますが、一方、国の予算は十分ではなく、例えば、現状県内にある85館のうち、2階以上の隣保館は76館、うち59館についてはエレベーターが未設置という状況です。

そこで、早期にエレベーターの設置等のバリアフリー化を積極的に進めるべきと考えますが、県としてどのように市町へ支援をされようとしているのか、またバリアフリー化に対する今後の方針について、当局のご所見をお伺いします。

 

2 就職差別に対する取組について

日本国憲法では第22条第1項に、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されており、職業選択の自由が保障されていますが、これまで採用選考にあたり本籍地や出生地の記入を求められたり、面接時に宗教や支持政党を聞かれるなど様々な就職差別が行われてきました。

特に、採用選考にあたって最も大きな人権問題として同和問題がありますが、昭和50年12月に全国の被差別部落の所在地を示し、住民の職業や世帯数等を記載した「人事極秘・特殊部落地名総鑑」という冊子が販売され、上場企業を中心に200社以上が購入していたことが明らかになりました。この問題に対して、関係行政機関が一体となって啓発・指導を行っていますが、その後もこのような差別はなくならず、調査会社等から依頼を受けた司法書士等がその権限を悪用して戸籍謄本を不正に取得する事件などが起きています。

今年5月に連合が採用選考における就職差別の実態を把握するため、インターネットリサーチにより全国の18~29歳の男女1,000名に対する「就職差別に関する調査」を行いましたが、採用試験の応募にあたり応募書類等で「本籍地や出生地」の記入を求められた56%、面接にあたり「家族構成」を質問された経験がある39%など、まだまだ就職差別につながる状況にあることがあきらかとなっています。

そこで、就職差別の撤廃にあたり、以下2問についてお伺いします。

 

(1)県による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の充実について

国ではこのような各企業での同和問題をはじめとする人権問題についての正しい理解と認識のもとに、公正な採用選考システムの確率をめざして、人権啓発の研修の実施など差別意識の解消に向け、常時使用する従業員の数が50人以上である事業所など一定規模以上の事業所について、「公正採用選考人権啓発推進員」を選任してもらうよう、推奨を行っています。

しかしながら、兵庫労働局からは「研修参加者は1,004名で、参加率は21%だった」と聞いており、名ばかりの推進員が非常に多いことが明らかとなっています。

県では、毎年8月を「人権文化をすすめる県民運動」推進強調月間とし、人権に関する講演会やコンサート等を盛り込んだ県民参加型の人権啓発フェスティバル等の開催や、人権啓発テキストの作成、また(公財)兵庫県人権啓発協会が発行する「ひょうご人権ジャーナルきずな」の中では企業における取組を特集されるなど、様々な啓発等の取組が行われておりますが、実際に企業内で人権に対する意識改革の取組を進めていただくためには、公正採用選考人権啓発推進員に対して、これら県の取組を積極的に情報発信し、イベントへの参加や人権啓発の重要性を認識していただくなどの必要があると考えております。

そこで、県として民間企業における人権意識を高めるため、どのような取組をされてきたのか、また今後の取組方針についてどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

 

(2)県内市町による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の支援について

次に、県内市町の取組に対する支援です。県と同様、市町においてもそれぞれ人権啓発に関する取組をされており、私も市町が主催する地元市民向けのイベント等に参加をしたことがあります。

市町の方が地元企業とのつながりが強く、企業の担当者と話をする機会も多いのではないかと思うのですが、先程の県の取組と同様、積極的なアプローチがなされていないように感じており、市町における人権啓発のさらなる充実が必要ではないでしょうか。

就職差別においては、就職において採用される側でなく、採用する側の意識改革が重要です。そのためには、先程の質問と同じく、公正採用選考人権啓発推進員への市町の人権に関する取組の情報提供や参加の呼びかけが必要と考えています。

例えば、市町の人権啓発のニュースや人権啓発の情報を民間企業や公正採用選考人権啓発推進員へアプローチするよう、市町へ働きかける必要があります。

そこで、これまでの市町と連携した就職差別撤廃に向けた人権啓発の取組について伺うとともに、民間企業へのアプローチについて、どのように進めようとされているのか、ご所見をお伺いします。

 

3 ドクターヘリによる広域救急医療体制のさらなる充実について

次にドクヘリの運用に関連して質問いたします。

先日、関西広域連合議会の8月定例会において、ドクターヘリ事業の充実強化や体制づくりなどについて質問をしたところですが、関西広域連合では現在7機体制で対応されており、年間の出動件数は平成25年度の2,414件から、平成30年度は4,711件に倍増するなど、2千万府民・県民の安全安心を支えているとの答弁がありました。

一方、兵庫県においても、広域救急医療体制を確保するため、現在、兵庫県ドクターヘリと公立豊岡病院ドクターヘリの2機に加え、兵庫県消防防災ヘリや徳島県及び鳥取県ドクターヘリを加えた体制で県内全域をカバーしておりますが、その出動件数は増加してきており、特に公立豊岡病院ドクターヘリでは平成29年度に全国で初めて出動件数が2千件を突破するなど、当時42道府県で配備されている52機中、8年間連続で出動件数がトップとの報道も目にしております。

今後も、ドクターヘリを運用してしっかりと県内の広域救急医療体制を維持していただきたいと考えておりますが、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を始めとする出動の増加や、近年大規模な自然災害も多発する傾向にあり、大規模災害が発生すれば関西広域連合による被災地支援のためにヘリの数が減った状態での運行も想定されます。

このように、今後も出動件数の増加や不測の事態が発生する可能性が高くなることが想定され、例えば先程の公立豊岡病院ドクターヘリが運航している但馬地域、丹波北部地域をはじめとして、広域救急医療体制を十分確保するためには、さらなる充実強化に向けた検討が必要ではないでしょうか。

そこで、現状の体制に関する評価を伺うとともに、今後の充実強化についてどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

 

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