黒田 一美議員が質問(産業労働部)を実施

平成30年度決算特別委員会 産業労働部

質問日:令和元年10月10日(木)

質問者:黒田 一美 委員

 

1 就職差別撤廃に向けた取組について

就職差別の撤廃に向けてはこれまで、「全国高等学校統一用紙」やJIS規格に基づく履歴書など厚生労働省が定める適正な応募用紙の利用、公正な採用選考を行うための「公正採用選考人権啓発推進員制度」、求職者等の個人情報の取扱いを定めた「職業安定法第5条の4」と「労働大臣指針-労働省告示第141号」が実現されるなど一定の成果をあげてきました。

しかし、「適正な応募用紙」ができて45年以上過ぎた今日も、「適正な応募用紙」の趣旨に違反する書面や面接での差別的な質問が後を絶たず、また最近では、就職希望者がホームページ上から登録する「エントリーシート」が増加し、その中に本籍地や家族状況などを記入させる項目を設け、差別撤廃の取組成果を土台から崩すような動きも出てきています。

日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。

こうした状況を踏まえ、特に国や自治体は、就職の機会均等を確保し、雇用の促進を図る立場にあることから、就職差別撤廃に向けた取組を一層図る必要があると考えます。

そこで、県内の就職差別をどのように把握し、その結果を踏まえどのようにして就職差別撤回に向けて取り組んできたのか伺います。

 

2 公正採用選考人権啓発推進員研修の参加率の向上について

国民の職業選択の自由、就職の機会均等を確保し、雇用の促進を図るためには、事業主が人権問題についての正しい理解と認識のもとに、公正な採用選考システムの確立を目指して、差別のない正しい選考を行っていくとともに、人権啓発の研修のなど、一層の取組を行うことが必要であります。

この趣旨を徹底するために、厚生労働省の提唱により、100人以上の事業所について「公正採用選考人権啓発推進員」(以下、「推進員」といいます。)を選任するよう勧奨されています。兵庫労働局では、50人以上の事業所に選任するよう勧奨しています。

推進員は、国民の就職の機会均等を確保するという視点に立って、採用方針・採用計画をはじめ、求人(募集)活動、選考基準、選考方法、採決決定等について点検し、差別のない正しい採用選考システムの確立を図るなどの役割を担っています。

公共職業安定所は、推進員がその役割を果たすのに必要な援助を図るため、研修会の開催等を行うこととしております。

厚生労働省職業安定局就労支援室が2016年5月に公表した「公正採用選考人権啓発推進員研修参加状況調べ」によりますと、推進員の研修受講率は全国平均47.3%(これは3年間で1回以上受講した事業所の数の割合)ということであり、いわゆる「名ばかり推進員」が半数も存在することが明らかになりました。数字の取り方が違うので単純に比較できませんが、一昨年度、兵庫労働局は「県内4793社の企業の推進員のうち研修参加者は1004名で、参加率は21%だった」と報告されました。大変残念な結果であり、これは、推進員の就職差別を無くそうとする意識の低さの現れではないでしょうか。

就職差別を無くすためには、まずは事業主の人権意識の高揚を図り、事業主が推進員を選任して、推進員研修に参加させる意識付けをさせる必要があります。事業主に推進員の研修参加を促す取組は非常に重要であり、その役割は労働局だけでなく行政も担うべきだと考えます。

そこで、本県においても推進員研修への参加率向上に向けて、労働局と連携しながら、研修の周知徹底、参加依頼など積極的な啓発を行うべきだと考えますが、これまでの取組と今後の取組について伺います。

 

3 保育士養成訓練について

この10月から幼児教育・保育の無償化が始まりました。今後とも、新たに喚起される保育の需要に対応していかなければなりません。

本県では、民間教育訓練機関等に委託して、人手不足が著しい介護・福祉分野等を中心に離職者訓練を実施しています。本県の職種別訓練計画数を確認いたしますと、保育士養成コースの定員は、平成30年度、令和元年度ともに126人。介護分野の定員と比べますとほぼ同じではありますが、情報通信や事務・経理等の定員と比べますとかなり少ない状況です。

特に待機児童の問題で、無償化で入所希望者が増え、市町によっては保育所の増設を行うことからも、保育士の養成・確保は益々必要となってきています。

そこで、これまで保育士希望者を受け入れられる定員となっていたのか、保育士の需要に応えるためにも充実した訓練定員の設定や予算確保に努める必要があると思いますが見解を伺います。

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