前田 ともき議員が質問(企画県民部②)を実施

令和元年 平成30年度決算特別委員会(企画県民部②)

日 時:令和元年10月8日(火)

質問者:前田 ともき 委員

 

1 広報力の強化について~ナッジ活用と市町への支援~

平成29年9月議会では、広報・デザイン改革をテーマに、広報戦略監の創設とデザイン・コピー・ウェブディレクションの専門家を採用し、専門家による「助言」ではなく、「制作」する仕組みにし、抜本的に改革するよう提言しました。兵庫県レベルの組織や広報量を踏まえると、内製化したほうがコスト削減・レベルアップにつながると考えているからです。

ここ数年、広報・デザインはようやく変わりつつあることを実感します。しかし、チラシやウェブページなどのクリエイティブはまだ現場の職員が作っている状況です。

素人の職員が一から勉強して、イラストレーターやパワーポイントで制作する。これは非効率であり、現場の士気も上がらないのではないでしょうか。

私も議員として県議会報告チラシを発行しています。

デザイン・制作の書籍は各10冊以上は読み、常に学び続けていますがデザイン作成は専門家に外注しています。やはりプロの制作スピード・質は素人の私が何日かけても出来ないレベルの制作物を数時間で仕上げてきます。

そこで伺います。専門家による「助言」ではなく「制作」する仕組みに変更し、更なる広報力の強化を図るべきでないでしょうか。と同時に広報人材が弱い市町から業務を受託して支援する仕組みも必要ではないでしょうか。

兵庫県全体の広報力の強化。それは、内製化と市町からの受託の次のステージは行動経済学・ナッジの活用です。ずいぶん前にふるさと納税でクラウドファンディング活用を提言しました。その趣旨はゲーミフィケーション効果。これも、行動経済学を活用したものです。広報の究極の目的は対象者が考え方を変える・行動を起こすこと。ナッジは経済的インセンティブではなく、行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択するよう誘導する政策手法です。

例えばがん検診受診率の向上は毎議会ごとに議論になります。

福井県高浜町の事例では、特定健診とがん検診の申し込みフォームをセット受診が一般的な風にデザインを変更するだけで、申し込み率は36%から53%に上昇。コストをかけてシンポジウムやチラシの量を増やすより、ちょっとした工夫で結果につながります。

先ほどの行政手続きコストでも指摘しましたが、書式・様式もこの理論を活用し、合理化が求められます。

今年2月に横浜市、5月に経済産業省でナッジユニットが設置されました。また、厚労省はナッジを活用した受診率向上施策ハンドブックを作成するなど行政での活用が活発化しています。

そこで、本県においても、広報活動にナッジの手法を取り入れ、広報力強化を図ってはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

 

2 オープンデータの現状と課題について

5年ほど前の本会議でオープンデータの推進について提言しました。

その後、カタログサイトが始まり、データセットは250を超え、バリアフリー情報や犯罪発生状況など様々なデータが提供されています。では、それで世の中が何か変わったのでしょうか?また、便利になったのでしょうか?

オープンデータ化を進める事業費と比較して十分な成果を挙げられたのかというと図りかねるところがあります。もちろん、データ利活用の重要性は認識しており、行政は特に貴重なデータを保有し、それは民間事業者が大金を積んででも欲しい。うまく活用すれば大きな社会的インパクトを生み出します。そのため、ひょうご・データ利活用プランが出来たばかりであります。

しかし、現行のカタログサイトでいいのでしょうか?データ利活用プランとの整合性をどう図っていくのか?情報銀行が誕生する中で県の立ち位置や役割はどうすべきなのでしょうか?ニーズの高いデータの選定とデータ提供レベル、どのような経路でデータを出すのがベストなのか?難しい課題であります。

そこで、オープンデータの現状と課題について、ご所見をお伺いします。

 

3 企業版ふるさと納税について

企業版ふるさと納税は2018年度の総額は34億円、個人版は5,000億円超なので大きく出遅れています。出遅れ理由は、返礼品の有無や税負担の差、株主に対する説明責任もあると思いますが、伸びしろはあります。

政府も対策に乗り出しており、今春には寄附対象の事業拡大や自治体の基金も対象とするなど強化がされてきました。内閣府は2020年度税制改正要望に税負担軽減を9割にする大幅拡充を盛り込みました。10月2日付の産経新聞でも北村地方創生担当相は「企業版ふるさと納税の抜本的な強化に取り組む」とコメントされています。つまり、今がチャンスです。

例えば、淡路・但馬の専門職大学の新設では、映画・テレビ局・タレント事務所などメディア系企業向けに、がん患者相談支援センターの新設では、医薬品や保険会社に、また、博物館・美術館も法人向けになど、兵庫にゆかりのある企業や創業者向けにオーダーメイドで政策立案しても良いのではないでしょうか。

谷上プロジェクトの中核で今年上場したチャットワークス、ヴィッセル神戸を有する楽天はスポーツのみならず光免疫療法のがん対策にも興味を示すでしょう。共に政策をつくることは、オープンイノベーション・プロボノといったメリットがあります。

そこで、兵庫の持つ魅力、兵庫にゆかりのある企業といった資産で、ふるさと納税をフル活用し、新たな施策展開を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

 

4 出会いサポート事業の廃止について

過去の決算特別委員会でも指摘しましたが、私は出会いサポート事業はもう役目を終えたと考えています。

とはいえ事業として存続させる。というので様々な改善案を問題提起してきました。

ネットワークの外部性と規模の経済がこの事業の肝であります。その改善点として、居住要件の撤廃です。これは実現しました。が、一番重要な会員データーベースの共有化は実現していません。

登録会員が5,000人レベルではうまくマッチングが成立せず、成婚数は低空飛行であります。ちなみに民間企業ではIBJは会員6万、パートナーエージェントが5.5万人です。

横ばいを続ける出会いサポート事業ですが、出会いをアプリや結婚相談所に外注する流れは右肩上がりとなっています。合コンはオワコン。出会いの主軸はマッチングアプリです。

2019年のオンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、前年比約4割増の530億円。2016年は156億円であり、僅か3年で3倍以上の成長であります。

シカゴ大学の研究者らによりますと、米国では2005~12年の結婚の約3割がオンラインで関係がスタートしており、また、ピュー研究所の調査によると、オンラインデートをしている人や、オンラインデートで配偶者や恋人を見つけた人が知人にいる米国人は、全体の半数に上ることのことです。また、オンラインきっかけの方が離婚率は低く、結婚生活は満足というデータもあります。日本もこの流れが更に加速します。従来型の友人関係や職場での出会いは今後少なくなります。出会いサポート事業は先駆的な取り組みでしたが、もうその役目は終えたのではないでしょうか。

民間によるサービスが充実する中で、運用コストは極めて高止まりしています。過去3か年平均事業費1億3,540万円から平均成婚数で割った、成婚実現コストは90万円。オフラインの相談所なら年間25万円、マッチングアプリなら年間数万円。そして、選択肢も民間のほうが10倍以上豊富。どちらがいいのか自明であります。

そこで、本事業は廃止すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

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