石井 秀武議員が一般質問を実施

第346回 定例県議会 一般質問

質 問 日:令和元年12月10日(火)

質 問 者:石井 秀武 議員

質問方式:分割方式

1 サイクルツーリズムによる地域振興について

サイクルツーリズムは自転車による健康づくりとともに、地域の景観を楽しみながら走ることができることから新たな地域資源として活用できる可能性があり、全国の各自治体で様々なイベント等が開催されています。

また、国では海外からの訪日外国人旅行者の観光のスタイルが買い物中心の「モノ消費」から、体験型中心の「コト消費」に変化してきたことから、インバウンド効果を全国へ拡大するため、「サイクル観光」による積極的な取組を進めようとされています。

このように、身近な自転車を活用することにより交流人口の拡大をもたらす地域創生につながる可能性が大いに期待できることから、私はこれまでもツール・ド・ひょうごや六甲山を活用したヒルクライムの実施などについて提案を行ってきたところですが、兵庫県においても関係するイベントとして、距離が50㎞以上となるロングライドでは、丹波のツール・ド・丹波や山陰海岸ジオパークコウノトリチャレンジライドin但馬、私も今年は9年ぶりに参加しましたが、第1回大会の設立に少し関わり、今年10回目の開催となった淡路島ロングライド150など、多くのイベントが開催されるようになりました。さらに各県民局等が関係する地域のイベントも開催されています。

また、新たな取り組みとして、先日大鳴門橋への自転車道の敷設に向けた風洞試験を徳島県と協力して実施し、大鳴門橋全体の耐風安定性に問題ないことが発表されました。この大鳴門橋の自転車道が完成すると、人気を集める「アワイチ」から四国へ周遊できる新たなコースが可能となり、さらに、将来的に海外からも高い評価を受けている「しまなみ海道」と結ぶことができれば、瀬戸内海を1周する「セトイチ」への期待も高まり、世界に誇れるサイクリングロードとなる可能性もあります。

このように、兵庫県でも着実に根付き、さらなる展開が見込めるサイクルツーリズムですが、今後も発展させるためには、走行環境の整備や国内・海外の方に来てもらうために必要な受入環境の整備、各地域の特色を活かした魅力づくり、魅力を伝えるための情報発信・プロモーション、関係地域との連携など、多くの課題があると考えています。

地域活性化につながるサイクルツーリズムを積極的に推進するには様々な課題に取り組み、「セトイチ」などは他県との連携を進めていく必要がありますが、現状では個々のイベントに個別に対応している状況です。

私は県内各地で取り行われようとしている自転車を利用した大会を開催時期や大会スタイル、例えば自転車の大会といっても、ロングライドをはじめ、ヒルクライム、クリテリウム、エンデューロ、タイムトライアル、シクロクロス等々さまざまな大会があり、それぞれに根強いファンがいる中で、全県を網羅しながら戦略的に大会を構成していくことにより国内外に発信力を持った県独自の魅力ある大会に育てていけるのではないかと考えています。これも一例ですが「関西シクロクロス」の大会も県内には会場がないようで、こういった大会を誘致することも重要だと思います。

そこで、更なる交流人口の拡大に向け、地域創生の推進策としてサイクルツーリズムを積極的に活用するにあたって、大会の効果的な集客のために、地域バランスを踏まえた開催時期や場所の調整等を行うことで、大会の参加者はもちろん大会を支える方達にも参加しやすい環境を整えるなど、県全体を見渡し、総合的な判断ができる体制づくりが必要と考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

2 総合リハビリテーションセンターの今後の展開について

先月、総合リハビリテーションセンター開設50周年記念式典が開催されました。式典の中で、センターの創設に関わった澤村顧問による基調講演があり、センター設立時のさまざまな困難や、2次圏域毎に地域リハビリテーション広域支援センターを整備する兵庫県方式が介護保険の導入の際に厚生省で採用され、現在、全国での地域リハシステムの整備の基礎となったことなど貴重な話があったと伺っており、あらためて兵庫県の総合リハビリテーションセンターの果たしてきた役割の重要性を再認識させられたところです。

この総合リハビリテーションセンターは医療・福祉の多様な施設機能を生かし、高度で専門的な医学、社会、職業リハビリテーションサービスを一体的に提供するなど、障害者や高齢者の自立した生活や社会参加の支援に加え、近年では福祉のまちづくり研究所を核として、最先端技術を活用した医療・介護用リハビリロボット等の拠点化を推進されるなど、兵庫県においてリハビリテーションの県域拠点として重要な役割を発揮されております。

しかしながら、9月にあった報道では、厚労省ががんや救急など高度急性期又は急性期医療の診療実績が少ない病院や近隣に機能を代替できる民間病院などがある病院等について「再編統合について特に議論が必要」と位置づけ、その再編の検討を求めた公立・公的病院のリストの中に、兵庫県立リハビリテーション中央病院が含まれておりました。総合リハビリテーションセンターはセンター内にある各施設が連携し、入院から社会復帰までの一貫したサービスを提供しており、専門医やセラピスト、看護師等チームアプローチによる高度で専門的なリハビリテーション医療を提供するリハビリテーション中央病院は欠かせません。今後も各施設が一体となって兵庫県におけるリハビリテーションの拠点としての役割を果たすよう、国に対してもリハビリテーション中央病院の重要性をしっかりと認識していただくように働きかけていただきたいと思います。

また、総合リハビリテーションセンターは、今後も地域の拠点となるような取組を積極的に展開する必要があると考えます。

開設50周年を記念して職員から募集し選定されたキャッチフレーズ「『FROM HERE!』ここから!」には、センターの持続的発展を目指すという強い思いが込められており、また式典後の懇親会で陳所長が総合リハビリテーションセンターの今後について、①場所:総合リハから全国へ、②質:レベルの向上、③時:未来に向けてという3つの思いを込めて発信していくとの発言がありましたが、是非その意気込みで取り組んでいただきたいと思います。

そこで、変化し続ける社会環境の中、先進的な取組をこれからも進めるために、どのように展開されようとしているのか、当局のご所見をお伺いします。

 

 

 

3 小規模林業への支援について

兵庫県の森林率は67%であり、その4割を占める人工林の多くが主伐期を迎えておりますが、全国的には昭和30年頃には9割を超えた木材自給率が4割を下回る状況となっており、我が国の林業はなかなか元気を取り戻せていないと感じています。

森林の公益的機能の発揮に向けて、人工林資源を、伐採・利用し、再造林、保育と続く林業生産サイクルを円滑に循環させ、林業が産業として十分に成り立っていくよう取り組んでいく必要があり、県においても、平成29年に兵庫県県産木材の利用促進に関する条例を議員提案により制定し、条例制定を契機として、県産木材の利用促進を通じた林業・木材産業の発展と、森林の多面的機能の持続的な発揮に向けて、林業の収益性向上や県産木材の新たな需要開拓、担い手の育成等のさまざまな取組を進めておりますが、その中で林業の収益性向上としては、主伐・再造林の推進に向けた低コストモデルの構築や高性能林業機械の導入促進を進められています。

しかし、県内には高性能林業機械の導入を進めて規模拡大を目指す企業的な事業体以外に、家族経営的な小規模の担い手もまだまだ多いのではないでしょうか。

私は今年4月末に徳島県で、家族経営で自ら所有する山林を経営されている自伐型林業の取組を視察してきました。そこでは、森林に小規模で壊れにくい作業道を張り巡らす「高密度路網」を整備して搬出コストを抑え、皆伐ではなく間伐や択伐による持続可能な林業経営をされていました。確かに林業を成り立たせるには、伐採利用が可能な森林の集約化や高性能林業機械の導入による生産性の向上、流通の合理化といった施策が重要であることは間違いありませんが、一方で森林の自然災害や地球温暖化の防止等の公益的機能の維持・向上を図るには、森林整備の一翼を担っている小規模の担い手に対する支援についても、しっかりと対応していく必要があると感じます。

この小規模な担い手の中には、森林を持っていなくても、地域の森林所有者から森林管理を請け負うことで新規に参入される方や、都会から移住して他の業種と組み合わせて行う方もあると聞きます。

そこで、主伐・再造林はもちろん進めていただきながら、家族経営的な小規模の担い手であっても、持続可能な林業経営ができるよう、森林環境譲与税を活用するなど、県独自の財政的な支援も含めて積極的に支援していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

4 明石公園のリノベーションについて

私は10年前の平成20年2月定例会において、明石公園のあり方の質問をしました。その時は「新行革期間を経て、築城400年などを迎えるときに一定の方向性が得られるよう、着実に検討を進めていく」との回答でありましたが、今年はその明石城築城400周年を迎えています。

県土整備部においても、県立都市公園の魅力向上のための事業アイデアや収益施設の市場性の有無の把握について、今年7月から都市公園等のマーケットサウンディング調査をされております。

民間の力を活用して、様々な視点から明石公園のあり方を検討していくことは重要であり、特に明石公園の魅力向上としては明石城を活用し、城と一体となった検討が必要です。その上で、老朽化が進み今後大規模改修が必要なスポーツ施設などをどうするのかといった検討が必要と思いますが、その検討案の中にアリーナの新設を検討ができないでしょうか。私は全国でいろんな施設を見てきていますが、近接するスポーツ施設と共存するアリーナは大変魅力あるものになると確信しています。

6月定例会でも質問があったように、県内の施設では老朽化や収容人数の関係から、コンサートなど多目的に利用が可能で国際レベルの大会が開催できる施設の整備は、スポーツ振興や地域の活性化の観点からも選択肢の一つとして考えられます。

また、先日の新聞記事では、関西は首都圏に比べてアリーナの少なさが指摘されており、大阪では大阪・関西万博の開催までに万博記念公園内に民間事業者が整備して運営する民設民営方式により2~3万人規模を収容可能な国内最大級のアリーナが誕生することで大阪に需要が移る可能性もあることから、知事も「新アリーナは検討しないといけない課題」と発言されていました。

一方、国ではスタジアム・アリーナが地域活性化の起爆剤となることが期待されることから、多様な世代が集う交流拠点となるようなスタジアム・アリーナを2025年までに20カ所を整備することを具体目標として掲げています。

このような状況の中、明石公園は文化財保護法に基づく史跡の指定を受けている城跡に加え、史跡の保存に伴う空間的な制約や既存のスポーツ施設をどうするかなど、公園のあり方を検討するにはさまざまな課題等があることは認識しておりますが、都市近郊で交通アクセスも非常によい立地環境にあります。史跡保存等の課題点の整理やニーズを十分に把握した上で、史跡や既存のスポーツ施設との一体的な整備により、地域活性化につながるリノベーションの検討が求められているのではないでしょうか。

そこで、明石公園の今後の利活用を考える中で、アリーナの規模やイベント需要、地域に求められる施設機能などを具体的に打ち出すことにより、どのような関心が寄せられるのかサウンディングしていってはいかがでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

 

 

5 競技スポーツ強化に向けた取組について

県では、平成24年に概ね10年間のスポーツ施策の基本的な考え方や具体的な方向性を示す「兵庫県スポーツ推進計画」を策定し、スポーツ立県ひょうごの実現に向けて様々な取組が行われています。

計画では、重点目標として「競技力レベルの向上」を掲げられておりますが、県民の運動やスポーツに対する意識を高めるためには、選手の活躍が重要な要素であります。先日のラグビーワールドカップでは、日本は史上初となるベスト8進出を果たしましたが、この快挙により私の周りでも、ラグビーの「にわかファン」が増え、広くスポーツに対しても興味を示す方が増えました。

このように、選手やチームの活躍はスポーツへの関心に大きく影響し、さらに地元ゆかりの選手が活躍すれば、その競技人口の増加にも影響することが推測されますが、トップアスリートは簡単に発掘・育成等ができるものではありません。ジュニア期からの継続的な支援が重要となります。

私はこれまでから、国内最大の総合体育大会である国民体育大会に向け た競技力の向上について提案してきました。兵庫県スポーツ推進計画では、平成18年に開催されたのじぎく兵庫国体後の目標は、男女総合成績となる天皇杯、女子総合成績の皇后杯ともに8位以内の順位を目指すとなっていますが、のじぎく兵庫国体後、2億5千万円を越える強化費をかけ目標としている8位以内の成績もあったものの、それ以降はなかなか10位以内の成績が得られず、強化費自体も約1億8千万円に削減され、今年度の「いきいき茨城ゆめ国体」では天皇杯13位と残念な結果となっています。せめて目標である8位以内に入るよう、しっかりと来年度の予算確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。

また、強化にあたっては必要な予算確保だけではなく、トレーニングの質の向上も重要です。先日、文教常任委員会の管外調査で福岡県の「タレント発掘事業」について調査を行いました。この事業は、個人の運動能力や形態特性に応じた競技種目に導く「競技種目選択型」モデルであり、小学4年生から中学1年生までを対象とした、子どもたちの能力を「見つけ・育て・活かす」事業です。平成16年度から開始され、一次選考会に申し込まれる児童・生徒数も増加傾向にあるなど参加者数が増加しています。また、成果についても平成16年度以降、国際大会出場者46名、全国大会優勝者63名を輩出しています。

兵庫県においても同じような取組をされておりますが、福岡県の事業の中で特に目をひいたのは科学的に能力等の情報分析をされ、その結果に基づき課題や特性を明らかにしたり、自己の能力適性や目標に応じた競技種目の提示などを行っていた点です。従来の競技指導は、指導者の過去の経験に基づく強化指導が中心だったと思いますが、このような客観的な情報に基づいた強化が今後ますます求められていくと考えています。

そこで、「スポーツ立県ひょうご」として、県内の競技スポーツ強化に向けて、必要な予算の確保はもちろん、アスリートを支える基盤づくりとして科学的な視点での効果的なトレーニング等を取り入れるなど充実が必要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

 

6 西神中央駅周辺のリノベーションに対する安全・安心の確保について

神戸市では現在、西区役所の新庁舎移転整備が進められており、この機会を契機として神戸市の西部地域や東播地域を含むエリアにおける商業・業務・文化などの都市機能の拠点として神戸市営地下鉄西神・山手線の西神中央駅周辺一帯のリノベーションに取り組まれています。西区新庁舎は令和3年度に竣工予定であり、西神中央駅周辺の本格的な文化・芸術ホールや機能を大幅に拡充した新西図書館の整備、新たな人を呼び込む住宅供給についても、今年4月に整備事業者の公募が行われるなど、着実に新たなまちづくりが進められています。

この西区は昭和57年に垂水区から分区し、当時9万4千人であった人口が平成27年度には24万8千人と約2.6倍に増加しました。特に西神ニュータウンでは約1千人から10万人と大幅に増加している中で、この庁舎移転整備と駅周辺のリノベーションが完成すれば、さらなるまちのにぎわいにつながり駅周辺の利用者が増えると考えられることから、今以上に治安の維持が求められます。

開発の中心に位置する西神中央駅には、すぐ近くに県民の安全・安心の確保の要となる神戸西署がありますが、神戸西警察署管内の大幅な人口増に伴い事件・事故等の事案も増加したことから、警察官の定員が増員されたことで狭隘化が進んでいます。実際に神戸西署は今年度の警察署員の定員は324人と県内6位、管内の人口は今年4月時点で24万940人の県内4位、また5年平均でありますが、刑法犯認知件数は約2,000件で県内10位、人身事故発生件数は約1,400件で5位、110番受理件数は約17,400件で5位と県内でも人口・事件等ともに上位を占めています。このような実態もあり、また、神戸西警察署の利用者からは駐車スペースが不十分であり不便であるとの声も伺っております。

私はこれまでも定例会の一般質問で、警察活動への支障や利用者の利便性向上の観点から神戸西警察署の整備に関する対策を講じるよう指摘してきましたが、増築による若干の狭隘化の解消を図っていただいたものの、根本的な解決には至っておりません。

老朽化が進む警察署については、計画的な耐震化や建て替え等による整備に取り組まれていると思いますが、神戸市が進めている西区役所の駅周辺への移転やリノベーションによる人口増に加え、現在、検討が進められている警察署等の再編整備により、全県的な警察職員の配置の見直しが行われることから、この機を捉えて神戸西警察署の整備促進についても検討すべきではないでしょうか。

そこで、今後も県民の安全・安心を確保するため、警察力の充実を図るには、核となる神戸西警察署の環境整備の見直しについて、早急に検討を進める必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

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