相崎 佐和子議員が質問(予算審査・財政状況)

令和2年 令和元年度予算特別委員会(財政状況)

 

日 時:令和2年3月5日(木)

質問者:相崎 佐和子 委員

 

1 財政フレームにおける下方修正について

1期目1年目の県議の目で県財政と令和2年度予算を見て、特に不安を感じた2点について伺う。

1点目は「財政フレームにおける下方修正」である。

令和2年度、兵庫県は「10年以上の行財政改革の取り組みにより県財政は一定落ち着き見せた。これからは新しい兵庫を創るステージへ」として、新規の大規模プロジェクト、すなわち県庁舎等再整備、但馬空港の滑走路延長の要否を含めた機能強化の検討、但馬における専門職大学の新設、大規模アリーナの建設検討などの積極投資を打ち出している。

もちろん、10年にわたって厳しい行財政改革プランを遂行して一定の成果を出 したことは大いに評価しているし、各プロジェクトはいずれも必要かつ有意義な事業であること間違いはない。また、投資的経費において、インフラ整備や防災減災対策については優先度が高く、地方財政計画の水準を基本として取り組む方針に異論はない。

ただ、県財政はどん底を脱したとはいえ未だ厳しい状態であり、そんな中で新規大規模プロジェクトを矢継ぎ早に打ち出すのは、果たして財政的にやっていけるのかと、1期目1年生として率直に不安を感じている。

この不安について、過日の本会議では「県庁舎整備に伴う影響については別枠としているが、その他の施設整備の実施については財政フレームの枠の中において推進する」と答弁があった。ならば安心と思いきや、その財政フレームすなわち「行財政運営方針」は、今年度からスタートしたにも関わらず1年目にして早速下方修正であり、財政フレーム自体が信頼性の高いものなのかに不安を感じるところである。

行財政運営方針が1年で下方修正となった原因を考察するに、1つは試算前提において、国が示す経済成長率のうち「成長実現ケース」を採用しているからではなかろうか。

内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」の中で「成長実現ケース」と「ベースラインケース」の2ケースを提示しており、兵庫県はこのうち成長率が高い「成長実現ケース」を、試算前提として採用している。しかし、方針は1年目にして下方修正を余儀なくされた。試算前提とする国の成長実現ケースについて、確実性に疑義を感じざるを得ない。

「成長実現ケース」の確実性については、第一生命経済研究所の調査によると、経済成長について成長実現ケースが明確に過大推計になっている」と結果を出している。また2019年GDPにおいて予測では実質1.3%名目2.4%だったのが、実際は実質0.9%名目1.8%で大幅に予測を外したにもかかわらず、1月に発表した最新試算では「景気は緩やかに回復傾向」として成長を見込んだ予測値を出しており、「政府の認識がやや甘いのではないか」(日本総研)などの声も上がっている。

これらの状況から県の財政フレームの試算前提において「成長実現ケース」ではなく「ベースラインケース」を採用するほうが、より確実な財政運営が可能だと考える。もしくは県独自の経済成長率で試算するほうが、自立した行財政運営が可能だと考える。

この点はこれまで何度も提案されているが、答弁は「成長実現ケースを採用する」とのことである。ならば懸念するのは、見込んだ成長が実現せず財政フレームの下方修正が今後も続いた場合、フレーム内で取り組むとしている新規の大規模プロジェクトを実施してよいのか、ということである。

そこで、ハイリスクとも言える「成長実現ケース」を採用し続けてフレーム下方修正が続いた場合、フレーム内で取り組むとした新規大規模プロジェクトをどうするのか、場合によっては見直しをするのか、ご所見を伺う。

 

 

2 県税収入における当初予算額と実績額の乖離について

1期目1年目の議員として不安に感じた2点目は「県税収入における当初予算額と実績額の乖離」である。

令和元年度の県税収入において、当初予算より県税と地方法人特別譲与税を合わせた県税等で332億円不足として減額補正予算が組まれている。補正を組まざるを得ないとの観点から補正予算の議案には賛成するところである。

ただ、当初予算に対して332億円もの減収には驚いた。緊急事態の際にのみ使用するイメージだった減収補填債まで使用しての減収に、そもそもの当初予算おける収入見込み額が妥当であったかと不安を感じた。これまではどうかと遡ると。前年度の平成30年度も県税収入において当初予算額より減収となり、2月補正で35億円の減額補正を行っている。

財政は「入るを量りて出ずるを制す」と言われるが、当初予算額と実績額の乖離を鑑みるに、そもそも入るを的確に量れているのかに疑問を感じ、ならば出ずるも制することが困難であると思いいたる次第である。

さらに、このたび新型コロナウイルスの影響で当初予算を審議している現時点から、県税を含む歳入全体の低下が容易に予想できる状況である。

そこで、当初予算の県税収入について、どのように見込んで編成したのか、また新型コロナウイルスの影響により、現時点での見込みよりさらに県税が減収するであろう事態に対して、どのように考えているのか、ご所見を伺う。

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