迎山 志保議員が一般質問を実施

質 問 日:令和2年6月15日(月)

質 問 者:迎山 志保 議員

質問方式:一問一答方式

 

 1 協働のための広報について

今年3月31日、広報戦略課から兵庫県広報ガイドライン「協働のための広報」が刊行され、全職員に配布された。そこには、協働とは地域住民がより幸せになるために、自治体職員と地域住民が共に力を合わせて活動することで、広報はそれに必要な住民参画の有効なツールと示されている。加えて、本県は日本における協働概念の揺籃の地であり、全国に先駆けて県民の参画と協働を推し進めてきたことが記されている。

さて、本県が阪神淡路大震災以降営々と培ってきた強みである参画と協働の精神は、あまねく人々に降り注いだ今回のコロナ禍でどう発揮され、また、県民を巻き込む本県の広報戦略、イメージ戦略は県民の力をどう引き出しているのかと思う。

新型コロナウイルス感染症の深刻さが認識され始めた頃から、マスクや消毒液を寄贈したい、ITを駆使して飲食店支援スキームを立ち上げる、困っている子どもへ配食したい、自分はなにもできないけれど医療関係者に寄付したいといった様々な声が届いた。人のために何か役に立ちたい、何かせずにはいられない人が想像以上に多いことに驚くと共に嬉しく思った。

その一方、新型コロナウイルス感染症についての報道が進むにつれ、県民の一部からは本県の対策について不安の声が多く聞かれた。特に大阪府知事が大阪府と本県の往来自粛を唐突に打ち出した頃から、メディアを含めて特に大阪府と比較するような見せ方が大勢を占め、本県の対策が後手後手であるかのような印象を県民に与えた。

しかしながら、ファクトは異なる。大阪府は、多い時には300人以上も自宅療養者がいたが、本県は結果的に1人も出さなかった。退院する際の判断基準を厳しくし、再陽性者対策も行った。日々のPCR検査数については、最も状況が厳しかった時期に、東京、福岡についで多い数をこなすなど、院内感染やクラスター発生の厳しい局面も乗り越えてきた。それにも関わらず、本県の対応に不安を抱くのはなぜだろうか。

ひとえに、見せ方の問題ではないかと考える。周りには初めて県のHPを見た、初めて井戸知事が話しているのを聞いたという人もいる。かつて、これほどまでに県や知事が注目されることはなかったように思う。感想として、情報量が多いのはいいが、一方で文字の羅列が目立つ、テレビ中継された記者会見では専門用語も多く視覚に訴えるものがないため、何がポイントなのかわからないなどの声があった。本県は2年前から広報官を置き、外部専門人材も活用しながら戦略的な広報を推進してきた。各種ポスターやチラシなど目を引くような趣向を凝らしたものが出てきている。今こそ受け手に響く広報の力を発揮すべきではないかと考える。

正確な情報はもとより、県民に安心感を与え、協働の精神をよい循環につなげるような、真に県民が求める広報の展開、現場で奮闘する県職員が誇りを持てるような広報の展開が必要である。

そこで、人のため、本県のためにという県民の思いが行き場を失うことがないよう、また、震災以来県民とのパートナーシップを大切にしてきた本県として、コロナ禍におけるこれまでの広報戦略の振り返りと、今後の取組について、当局の所見を伺う。

 

2 不妊治療へのさらなる支援について

厚生労働省が公表した令和元年人口動態統計の年間推計によると、昨年生まれた赤ちゃんは前年から5万4,000人減少し86万4,000人となった。出生数が最も多かった昭和24年の270万人の実に3分の1以下であるが、出産期の女性人口が減っている中、想定外のものではない。

むしろ気になることは、一昨年より減少率が5%を超え、社人研の減少推移予想を大きく割り込んだことである。そして、ここにきてこのコロナ禍である。この状況は、結婚、出産、子育て期にある世代にも大きな影響を与えた。雇用不安、所得減少による結婚や出産そのものへの不安は当然ながら、様々な状況にある方々から多くの声が届いた。日々感染に怯え、通院にも躊躇し、里帰りも出来ず過大なストレスを抱えた妊産婦、第一子を育てる母親からは乳幼児検診の中止や予防接種ワクチンの不足に怯える声、また保育園が特別保育に、学校が長期休業になる中で余裕のない仕事と家庭の両立などコロナによる経済的、精神的打撃は挙げればきりがないが、結婚や子を持つことへの躊躇に繋がらないことを願うばかりである。

この間、様々な自粛、制約の中に皆が置かれた訳であるが、中でも1日でも早い治療を望む妊活中の方々にとって、4月1日に日本生殖医学会が出した不妊治療延期の検討を促す声明は大きな動揺を与えた。そもそもリミットのある治療をしている中での先延ばしは死活問題となる。

政府がこの度閣議決定した今後5年間の少子化対策の指針となる少子化社会対策大綱では、原案になかった不妊治療への医療保険の適用拡大を検討することが示された。寄せられたパブリックコメントの半数を占める約1,700件が不妊治療関連であり、関心の高さ、支援の必要性の大きさを物語っている。

本県の特定不妊治療費助成では、この状況を鑑み、今年度に限って年齢制限を1歳緩和する措置を取っている。周知を徹底し、今後の情勢に応じた適切な支援をお願いしたい。加えて兼ねてから申しているように県単独追加助成について、夫婦合算400万円未満という所得要件の緩和の検討、治療初期段階を支援することによって時間と経済的な無駄を省く支援への取組や夫の関わりを促すことにも注力をお願いしたい。

そこで、若い世代が減少し、結婚、出産に前向きになれないような状況にある中、強く子供を持ちたいと願い治療に取り組む夫婦へのさらなる支援は、加速度的に少子化が進行する中、意義あるものだと考えるが、当局の所見を伺う。

 

3 ウィズコロナ期における効果的な観光施策について

国が進める予算総額1兆6,794億円にのぼるGo Toキャンペーンは、3,000億円を超える事務委託費の妥当性などが問題視され実施が当初予定の7月からずれ込む可能性が大きくなるなど面目を失ったが、コロナと共に生きることが求められる現状でも旅行への旺盛な意欲は衰えておらず、観光需要喚起は重要な政策の一つである。

例えば、トリップアドバイザーの最新の調査結果では日本人の9割が当面の旅行先は国内と回答しており、そのうち3割は自宅近場を含め移動時間90分以内の場所を望んでいる。JTBが行った調査も同様の傾向を示し、遠方への旅行に対するネガティブな理由として、世間体が悪い、現地のコロナへの対応状況が分からないなどが挙がっている。

12年前のリーマンショック後の観光トレンドは安い、近い、短期間の安近短であったが、今回のウィズコロナでは外近単、三密を避けて個人移動し、近場でのアウトドアやアクティビティを数人で楽しむというスタイルが選ばれる傾向にあるといえる。また、ごく近場に日帰りで訪れるステイケーションやワーケーション需要も見逃せないと考える。

このような旅行者の行動の前提や価値観の変化を適切に捉えて、本県はどのように反転攻勢へのチャンスに活かそうとしているだろうかと考える。今回の補正予算では臨時交付金を活用し、安心旅の推進や拠点整備を図ろうとしており、観光客の安全性、利便性の向上につながるものと期待する。

一方、拡充されるWelcome to Hyogoキャンペーンについては、大型コンベンション開催による県外からの誘客促進やバス旅支援など、現在の志向から少々ピントがずれているのではないかと思われる。ひょうご観光本部においても今年度事業として訪日外国人旅行者向けコンテンツ開発や中国プロモーション事業などが今月公募されている。コロナ収束後を見据えての準備も大切だが、今すぐに求められている事業の立ち上げを急ぐべきではないだろうかと考える。観光関連業がこれほど大きな打撃を受けている中、効果的に成果が出る施策を打っていかねばならない。

コロナ禍でライフスタイルは変わった。金曜日はリモートワークをしつつ淡路島へ移動し、翌朝から休暇を満喫、有馬温泉でテレワーク、家族で県内キャンプ場を制覇する、改めて姫路城を味わい尽くすなど、今、一番行きたい旅先は地元であり、Welcome to Hyogoより、at Hyogo、buy Hyogoである。540万県民は大きな力となる。

そこで、この機においては県民優待、県民割引など県内の魅力を県民が再発見するようなご近所観光支援に特化することで、各地の資源を磨いて収束後の攻勢に備えるべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

 

4 市町の水道料金減免支援について

新型コロナウイルス感染症の影響により家計や企業活動が大きな影響を受ける中、現在、県下31市町において水道料金の減免が決定、実施されている。ライフラインの中でも水道は首長の鶴の一声で取扱を決定出来ることから、市民町民が直面する厳しい生活への支援として減免を決断することは理解できる。減免の内容であるが、期間は3ヶ月から6ヶ月、基本料金に加え従量分も対象とする市町もあり、様々である。参考に、地元加古川市は、基本料金6ヶ月を免除するので、家庭用の場合、月額約6,000円の支援となる。

本県は、これら水道料金の減免を決定した市町に対し、先月1日に3ヶ月分の県営水道料金の免除を打ち出した。あくまでも市町の自主的な取組への支援としているが、時系列的にみると本県の打ち出しが後押しした形で市町が水道料金減免を決定している様子が伺える。

県営水道の供給を受けている各市町の減免実施状況をみると、6ヶ月間が最も多く、3ヶ月間としているのは1市1団体にとどまる。つまり、市町は県の免除に加え独自で負担をすることになるが、その財源は一般会計からの繰入の他、水道事業会計の剰余金や今年度の水道事業の黒字分が見込まれている。

今回、水道料金の減免を決めた自治体の中には、人口減少による料金収入の低下や施設老朽化の深刻な状況など長期的に経営計画を見直す必要のある水道事業もあり、今般主体的で迅速な支援として実施した減免が今後重荷となってのしかかる可能性が大きく、本県として、もう一歩踏みこんだ支援ができないか検討を求めたいところである。加えて、水道事業者が市町であるために企業庁の今回の支援に対する県民の意識は薄く、この際しっかりアピールをしてもらいたいと思う。

その一方、懸念することは、県水依存率は猪名川町の86.9%から尼崎市の0.7%と大きな幅があり、県水を受水していない16市町については今回の企業庁の減免による恩恵にはあずかれないことである。水道料金の減免は全国水道事業者の1割程度が実施に踏み切っているが、本県においては、県営水道受水市町23市町に加え、それ以外の8市町合わせて31市町に広がっており、県水を受水していない自治体においてもその要望の声が高まっている。

ついては、今回の支援の考え方、受水市町に対するさらに踏み込んだ支援への見解について、当局の所見を伺う。

合わせて、県営水道の免除によって市町が水道料金の引き下げができていることのPRについて、当局の所見を伺う。

 

5 受験生のための情報発信について

臨時休業が解除され、ようやく今月1日から本県でも各学校において登校が始まった。スタート時は分散登校、自主登校の形をとった上で本日から通常の形での登校が再開されるところが大半であり、心配が全くないわけではないが、ほっとしている保護者も多いと思う。

しかしながら、失われた3ヶ月の影響は大きく、今年度中の運動会や音楽会、修学旅行の中止や自然学校の日程の短縮等を決定している自治体もある。学習についても授業日数確保のため、夏季休業日を活用する方針が出されている。

中でも高校受験を控えた中学3年生については、自治体によって確保できる授業時間の違い等により、本当に公平な履修の機会が与えられるのか、生徒本人や保護者はもとより、現場の先生方も不安を感じている。

また、進路指導についてもスケジュールがタイトになり、きめ細やかな指導が難しい状況になっている。見学を予定していた高校のオープン・ハイスクールや体験入学、成果発表会などが延期や中止されて足を運ぶ機会がなくなり、総体、総文の中止で目指す学校の判断材料にもなる部活動の状況や実績が分からないなど、受験生の学校選択が一層難しくなっている。

このような状況下での学校選択は、インターネット情報に頼る部分が大きい。各県立高校はホームページを開設しているが内容はそれぞれで、受験生を対象とした学校紹介や入試情報などが詳細に紹介されている学校もあるが、その充実具合はまちまちである。学生の日常生活や生の声、部活の取組や進路先、今ならオンライン授業の取り組み状況など、人生で初めての大きな選択をする中学3年生たちが欲する情報を十分に届けられているだろうかと思う。

各中学校には、国立高専や私立学校からはパンフレットが届き、いつでも手に取れる状況であるが、公立高校を比べるため県教委のホームぺージを開いても、学区ごとの学校一覧が出てくるだけで、内容を知るためにはそれぞれの校名のリンクを開かねばならず、一見して比較検討することができない。

県教委は学区再編で選べる学校を増やし各校の特色化を進めてきたことで、近年、それぞれの学校で独自カラーが打ち出されてきている。しかしながら、その情報発信がおろそかでは、結局は成績レベルで振り分けられ、行きたい学校ではなく行ける学校を選ばざるを得ない状況になってしまうのではないだろうかと思う。

そこで、キャリア教育にも力を入れ、より主体的で幅広い選択ができるような素地は整いつつあると思うが、コロナの影響で過去になく厳しい状況に置かれている今年の受験生たちが悔いのない選択ができるよう十分な情報発信に努めるべきと考えるが、当局の所見を伺う。

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