向山 好一議員が代表質問を実施

質 問 日:令和2年9月28日(月)

質 問 者:向山 好一 議員

質問方式:分割 方式

 

1 新型コロナウイルス感染症への今後の対策について

(1)この冬に向けての感染防止対策について

いまコロナ対策で最も危惧されていることはこれから流行期に入るインフルエンザとの同時感染の拡大である。

その対策として、まずはインフルエンザの流行を抑えること、つまり予防のためのワクチン接種を幅広く行い感染を未然に抑えることが重要である。特にコロナ感染による重症化のリスクの高い高齢者には限りなく高い比率でワクチン接種をする必要がある。しかし、例えば平成30年度の兵庫県下のインフルエンザワクチン接種率をみると65歳以上で49.1%と広く行きわたっている状況にはない。従って、この冬にはインフルエンザの予防接種について広く周知し、接種率を上げていく必要があるが、一方で、インフルエンザ予防接種の需要が高まったところで、ワクチンが不足していては意味がないと考える。

そこで、希望する人すべてが予防接種を受けられるようにワクチンを確保しなければならないが、今年のインフルエンザワクチンの安定供給について万全な体制になっているのか、当局の所見を伺う。

さらに、コロナ感染の検査体制の拡充も不可欠である。今なおPCR検査対象者の運用が厳格で限定的であることから、医療・介護従事者等の希望者などでPCR検査を受けられない事例が後を絶たない。

兵庫県では現在、公的機関と民間検査センターの連携で一日最大1,820件のPCR検査が可能になっているが、実績として最大で800件程度にとどまっている。

そこで、今回の補正予算で抗原検査を354,000件実施することを提案されているが、実際の検査数が追いついておらず検査数を増加させるためには、行政検査の運用基準を見直し、全ての希望者にどちらかの検査が行えるようにすべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

 

(2)新型コロナにより影響を受けた世帯における私立高校入学生への支援について

このコロナ禍で県民所得の減少は深刻である。直近のデータによると我が国のGDPは年換算で28.1%の減少、兵庫県の毎月勤労統計でも4、5月は4%程度のマイナスになるなど、明らかに県民所得は大幅に落ち込み、県民生活は非常に厳しくなっている。県民の経済的負担軽減に行政として出来る限り応えていくことは必要不可欠だと考える。

これまでの経済対策は、事業者には国や県において、持続化給付金、有利な融資、雇用調整助成金、休業要請事業者経営継続支援金等々十分とはいえないまでもそれなりの対策を打ってきた。一方、個人には10万円の特別給付金や特別な貸付金はあるものの日々の暮らしの窮状を救うものにはなっていない。国にさらなる救済策を求めるとともに県として独自にできることを特に個人向けに行うべきだと考える。

今年4月から国の制度により私立高校の授業料は年収590万円未満世帯まで実質無償になり、それを超える世帯も兵庫県の独自策として段階的に授業料が軽減される制度に拡充した。しかし、来年4月に私立高校に入学する生徒は20万円から30万円程度の入学金が必要となる。

そこで、例えば国の根幹をなす教育への投資、困窮する子育て世帯への救済策として、家計収入が急変した世帯に対し私立高校の入学金が免除できる程度の支援を時限的に行ったらどうかと考えるが、当局の所見を伺う。

 

(3)新型コロナ対策の総合的な検証について

2月頃から現在に至るまで県庁あげてこの未体験のコロナ対策にあたってきた。そのプロセスの中で効果的であった施策、不備だった点、改善すべきこと、広報のあり方、県民から寄せられた数々の要望等、様々なノウハウや教訓が蓄積された。また、第1波が落ち着いた7月には、新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症等の対策を実施するプロジェクト組織として感染症等対策室を新設し、第2波に備えて人員を増やし、調整機能の強化に取り組んできた。

そこで、第1波、第2波を経験したこの時期にこれまでのコロナ対策を総括・検証し、専門家等の意見を踏まえて一定の評価を行い、長い取り組みになることが予想される今後のコロナ対策に活かすべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

 

2 ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催について

知事肝煎りのワールドマスターズゲームズ2021関西の開催が目前に迫ってきた。今回で10回目、アジアで初めて開催されるという大きな節目の大会でもあり、国内3万人、国外2万人、150か国から合計5万人の選手の参加を見込む超ビッグイベントである。兵庫県では11市町で15競技種目が行われ、のべ約1万5,000人の選手の来訪を予定している。

一方で、この新型コロナ感染が収まらない中で予定どおり開催できるのかとの懸念も拡がっている。ワールドマスターズゲームズ2021関西より2か月後に開催される東京オリンピックパラリンピックは早々と今年の6月10日に大幅な簡素化を実施するという方針を発表している。

競技数は及ばないものの、参加選手数は東京オリンピックの約5倍になることを考えれば当初の予定通り開催することに賛同する参加者、関係者、そして県民は少数ではないだろうか。しかも参加資格は30歳以上なら誰でも参加でき、家族連れで訪れ観光を楽しむ参加者も多いことを考えると、東京オリパラより安全管理が難しいことは容易に想像できる。

さらに、このワールドマスターズゲームズ2021関西の成否は東京オリパラに直接影響を与えることを考えると、コロナ対策を徹底して安心安全な世界規模のビッグスポーツイベントとして終わることが至上命題だと考える。

ワールドマスターズゲームズ2021関西は競技参加者以外にも競技団体、ボランティア、協賛企業など関係者は多数にわたり、現在は準備の最終段階に入っている時期だと考えると、簡素化を含めた運用上の見直し、徹底したコロナ対策について最終的な判断をする時期に来ているのではないだろうか。

計画通り開催するかどうかの最終方針は、11月4日に開かれる国際マスターズゲームズ協会の総会で報告することとなっているということだが、それならばこの時期にある程度の方向性を持っておくべきだと考える。

そこで、ワールドマスターズゲームズ2021関西の成功に向けた、現在の検討状況について、組織委員会の会長で県実行委員会会長でもある井戸知事の所見を伺う。

 

3 県民緑税の事業見直しによる県民の税負担軽減について

私は2年前の平成30年の9月議会の一般質問で、県民緑税の事業と森林環境譲与税による事業とは類似・共通するものがあるので、令和2年度までを期間とする第3期において森林環境税事業との関連性をしっかり検証し、県民緑税を廃止するか減額すべきではないかとの指摘をした。

その時の知事の答弁は、「森林環境譲与税は条件不利地の間伐、県民緑税は森林の防災機能強化とまちなみ緑化という大切な役割があり両方必要だ」との趣旨の見解を述べながら、2つの税の使用目的に共通する面があることと認めつつ、災害に強い森づくり事業検証委員会で指摘の点も含めて検討したいとのことであった。

いよいよ第3期事業終了の時期を迎えた。私はこの際、思い切った県民緑税事業の見直しを提案したい。

その根拠は、まず県民緑税の2つの事業である災害に強い森づくりにしても県民まちなみ緑化にしても、第3期の計画を順調にクリアしているのに加え、15年間の継続的な取り組みによって相当に整備が進んでいることである。特に防災面においては、本来の事業に加え、国の防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策や、緊急自然災害防止対策事業を活用し、治山・砂防事業を積極的に行い相当の防災対策が進み、これからもその分野の予算によって整備が可能であるし、新たに始まった森林環境譲与税事業で広い意味での森林整備が進む。

2点目は、県民感情である。いずれ森林環境税として新たに一人当たり1,000円が課税される。このコロナ禍で収入が減少しているのに森林整備に関連性のある住民税の超過課税800円に加えて 1,000円が増税されることに県民の理解は得られるだろうか。

そこで、県民の苦しみに応える責任として、森林整備という点で共通している部分を効率化する、あるいは不急な事業を見直すことによって、まずは県民緑税を減額し税負担を軽減すべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

 

4 スーパーシティ構想の活用について

今年5月、国会で国家戦略特別区域法の改正案、いわゆるスーパーシティ法が成立した。スーパーシティ構想とは、自治体が複数のデータを連携させ情報基盤を整備し、そのビッグデータを民間事業者がAIやICTを駆使しながら複数の規制緩和を活かして、自動運転、ドローン配送、キャッシュレス決済などを実現し未来都市を作っていこうとするものである。

政府は既に昨年から自治体にアイデア公募を行っており、全国から56団体が応募し、兵庫県から神戸市と養父市が応募している。その内容は神戸市が六甲山上に自然調和型オフィスを誘致し新たなビジネス拠点とする、養父市は過疎化が進む中山間地で新たな住民サービスを展開し生活の利便性を高めるというものである。

兵庫県にはそれ以外に地域活性化総合特区として、淡路島があわじ環境未来島構想を掲げ特にエネルギーの完全自給を目指しているが、なかなか思うような成果が得られていない状況である。そのような中、パソナの本部機能の一部が淡路に移転し1,200名程度が勤務することが発表され注目を集めている。

近年の日本は東京一極集中に象徴されるように大都市への人口集中が進み、経済の効率を高め利便性の向上を実現してきた。しかし、それが密な空間を生みコロナの感染拡大を引き起こした。ポストコロナ、ウィズコロナの生活スタイルが模索されている現在、ゆったりとした空間、豊かな自然環境のもとで仕事がしたい、暮らしたいという志向が高まっている。その志向を受け入れるためには、豊かな自然環境にあっても大都市並みに情報にアクセスでき、その情報を生活や仕事に活かせる環境が整備されていることが大前提と考える。

兵庫県はスーパーシティ構想に対し後ろ向きの姿勢の印象を受けるが、いま例に挙げた神戸市の六甲山上でのビジネス型、養父市の住民サービス型、淡路のスマートエネルギー型、それぞれの特徴を活かし兵庫のパッケージ型未来都市の実現というのは非常に夢のある構想だと考える。

そこで、兵庫県も一体となってその実現を支援すべきだと考えるが、当局の所見を伺う。

 

5 新型コロナウイルス感染症に伴う児童生徒の心のケアについて

8月20日の神戸新聞に「新型コロナの校内感染が不安で県内小中学校で254人の生徒が登校できなくなっている」との記事が掲載された。

県内の公立学校は、2月末から3か月にわたり臨時休業になり、再開されたと思うと7月の下旬から夏休みに入り、盆明けから再開している学校もあり、極めて不規則な学校生活を強いられストレスが溜まり、「感染が怖くて学校に行きたくない」、「授業のスピードについていけない」と子供たちに不安が広がっている。新聞社の調査では254名かもしれないが、それは氷山の一角でしかなく、今後も心のケアを必要とする児童生徒は増える可能性は大きいのではないか。

さらに、その対応をすべき教職員は感染防止対策に加え、臨時休業明けの授業準備や保護者等へのさまざまな対応などで心身とも疲弊している。

そこで、例えばスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家の増員を行うなど子供たちの心理面での不安に対応する必要があるのではないかと考えるが、教育委員会としての具体的対策について、当局の所見を伺う。

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