北上 あきひと議員が一般質問を実施

質 問 日:令和2年12月7日(月)

質 問 者:北上 あきひと 議員

質問方式:一括方式

 

1 猪名川町「大野アルプスランド」を活用した観光振興について

標高753m阪神地域最高峰の猪名川町大野山を含むひょうご北摂地域は、「ひょうごツーリズム戦略」において兵庫の多彩な観光資源を有する地域として位置づけられていますが、さらなる魅力づくりや県内外への情報発信が課題と考えます。

当該地域一帯は猪名川渓谷県立自然公園に指定され、四季折々の自然を満喫できるなど、地域ポテンシャルの高い地域であります。「北摂里山-新発見-サイクルマップ」に大野山周遊のルートが設定されており、年間を通じて多くのサイクリストが訪れてもいます。360度遮るものがない山頂からは京セラドームやあべのハルカス、瀬戸内海、六甲山や氷ノ山が見渡せ、また夜景や星空も抜群です。8000万年前の白亜紀の時代、大野山周辺は火山活動が盛んであり、火山噴火でできた多くの巨岩が点在しており、不思議な形をした岩を巡りながら雄大な自然を感じることができるハイキングコースもあります。2019年4月には「大野アルプスランド」が、“プロポーズにふさわしいロマンティックな場所”として「恋人の聖地」に選定され、先月1日には記念式典が挙行されモニュメントが披露されました。

「大野アルプスランド」は猪名川町にとって自慢の観光スポットであり、町においては、天文台(アストロピア)の建設、下山道安全対策工事、上水道給水敷設、水洗トイレやキャンプ場炊事場の整備等を進められているところです。

ウィズコロナ・ポストコロナにおける「マイクロツーリズム」の普及、自然体験レジャーや環境学習への関心の高まり、多彩な文化芸術活動や生涯スポーツなど豊かな時間を求める県民意識の変容等に応えるために、県としても町との連携を深め、柔軟かつ積極的な活用を行うことを期待します。多自然地域ならではの魅力と尊厳の確立をめざし「大野アルプスランド」を活用した観光振興の取組を求めますが、県のご所見をお伺いします。

 

2正規教員の確保について

いじめや虐待、貧困等、子どもの人権に関わる課題が山積し、自己肯定感や学ぶ意欲を持てない子どもの存在の顕在化、不登校や特別な支援を要する子どもの増加等、教育課題が複雑化・困難化するとともに、保護者や地域への対応等、その役割は多様化し、教員の業務は増加しています。加えて、コロナ禍、様々な制約を強いられるなかにあって子どもたちのストレスも増大していると推測するところです。そのようななか、子どもと真摯に向き合い日々熱心に教育活動に取組む現場からは、苦悩と疲弊の声が伝わってきます。

先の決算委員会で、維新の会門隆志議員から、本年度県内小中学校の臨時的任用教員が教員全体の9%に上ることが明らかにされ「採用計画が不十分ではないのか」との質問がなされました。加えて門議員は「この質問のきっかけは学校現場からの訴え」であると述べられました。私も同様の「訴え」をかねて再三現場からお聞きをしてきたところです。川西市の場合、本来定員における臨時教員の割合は、小学校で約1割、中学校で約2割という現状です。国の定めた基準によって正規教員が配属されるべき定員枠に、必要な正規教員が十分には配属されないという状況が常態化しており、また臨時的任用教員の立場で極めて長期にわたり学級担任を続けている例も数多見聞するところであります。

定員内臨時的任用教員の職務・職責の実態は、学級運営や教科指導、保護者対応等、正規教員とほぼ同様で多忙であるにも関わらず、勤務労働条件は大きく異なることもあり、学校現場からは人材を確保することが難しいという声もあります。さらに年度途中における産休・育休・病休の教員の代替配置としての臨時的任用職員は一層確保が困難で、学校現場の多忙さを深めることにも繋がっています。必要な人員が配置できず、過度に多忙な状況が続くことは「若者の教職離れ」をより深刻化し、将来的にわたって優秀で良心的な人材の確保を妨げることになるのではないかと憂慮するものです。

定員内の教員は正規採用とするべきであり、必要な正規教員数を確保することで、学校現場の勤務労働環境の向上を図ることが望ましいと考えます。

また、現場で経験を積んだ優秀な臨時的任用教員には、その実績を評価し、正規採用への門戸を広げるべきではないでしょうか。

県教育委員会は、正規教員が配置されるべき定員内に臨時的任用教員が配置されている実態をどのように認識しておられるのか。正規教員の確保についてご所見をお伺いします。

 

3 性犯罪・性暴力防止と被害者支援について

(1)政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく本県の取組と今後の課題について

本県においては2017年4月に「ひょうご性被害ケアセンターよりそい」が開設され、弁護士事務所への付き添いや無料法律相談、臨床心理士によるカウンセリング等の支援が行われており、その相談件数は2018年度426件、2019年度340件に上ります。

また、本年6月、国の性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定され、2020年度から2022年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」とすることが定められました。「方針」には、性犯罪・性暴力の特性として、「加害者の7~8割が顔見知りであるとの調査結果もあり、特に子供は、親、祖父母やきょうだい等の親族や、教師・コーチ、施設職員等、自分の生活を支えている人や友好的だと思っている人からの被害を受けること」や「このような相手からの被害や、継続的な性被害を受けている最中である場合には、被害を他人には言えない状況があること」「男性やセクシャルマイノリティが被害にあった場合、被害を申告しにくい状況があること」等が示されています。今回の質問は、県としてもこれら特性をふまえつつ的確で丁寧な施策の展開を重要とし、政府の「方針」と軌を一にして、「集中強化期間」に臨んでいることを確認するものです。

「方針」では自治体で取られるべき方策として、「ワンストップ支援センターの周知の徹底」、「多様な相談方法の提供」、「ワンストップ支援センターの増設の検討」、特に「病院との連携」は重要視され、「病院にセンターを設置することや、必ずつながることができる中核的病院との提携について、特に中長期的な関係の安定を見据えた公立病院や公的病院への設置や提携を含め、関係強化を図る」等の項目が列挙されています。心とからだに深い傷を負う性暴力被害者には、医療支援、しかも性暴力の特性を理解し多様な被害者に対応できる専門性ある存在が不可欠であることを、「方針」も示していると理解します。

本県では県立尼崎総合医療センターと同センター内に置かれているNPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」が、以前から性暴力被害者支援の体制を整え、警察とも連携しながら専門性ある医療支援を提供して来られ、内閣府の「方針」からみても、県の性暴力被害者支援政策にとって貴重で全国的にも先駆的な取組を実施しています。「支援センター・ひょうご」は「病院拠点型ワンストップ支援センター」として、2013年から継続的に性被害者支援を行っており、内閣府モデル事業に選定されるなど、兵庫における性暴力被害者支援の一翼を担ってこられました。県立尼崎総合医療センターの産婦人科部長でありNPO支援センターの理事長である田口奈緒医師は「当センターは、警察とも連携協力し、また産婦人科以外の小児科、外科、泌尿器科、精神科とも協働で被害者支援にあたっており、被害者の6割程度に医療支援を行っている。支援ニーズの高い子どもの性虐待や、課題となっている男性被害者等、様々な被害への対応が充実できる」とセンターの特徴を述べておられます。本県の性暴力被害者支援を前進させるために、県立尼崎総合医療センターと、NPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」が果たす役割は大きいと考えます。

私は、「ひょうご性被害ケアセンターよりそい」の機能強化にとって、現在もっている県内産婦人科医療機関との協力関係より一歩進めた連携関係を、県立尼崎総合医療センターと進めることが被害者の心とからだのケアに必要不可欠であると認識します。さらに、性暴力被害者支援の医療拠点として、県立尼崎総合医療センターを位置づけることが、政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の「集中強化期間」における取り組みの最優先事項だと認識します。NPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」による「病院拠点型ワンストップ支援サービス」は、現在のところ、県の財政的支援を受けておらず、内閣府男女共同参画局の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧」への掲載すらもなく、医療費公費補助の事務も県の委託を受けられていない状況です。先月の会派予算要望の際、井戸知事からも田口医師らの属人的な熱意と努力で運営されている旨のご発言がありました。相談業務や運営が持続可能であるよう県として必要な支援を行うことが県民の益に資すると確信しています。さらに、広域で人口も多い兵庫県にとって、すでに存在し、実績をあげている病院拠点型「性暴力被害者支援センター・ひょうご」を、将来的に県のワンストップ支援センターとして位置付けることも、有益な選択肢であると考えます。政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく、本県の取組と今後の課題をお示しください。

 

(2)学校等における性暴力防止と被害対応について

性暴力の被害当事者らで構成する民間団体「Spring」が本年8月・9月にインターネット上で行い5,899件の回答が寄せられた「性被害の実態調査アンケート」では、被害当時の年齢について「小学生以下」との回答が4割に上ることが、先日報道されました。学校等における、性暴力防止の取組の必要性を改めて認識するものです。

文部科学省は本年3月に「性犯罪・性被害の予防に向けた教育・啓発に関する取組」を明らかにし、「性犯罪・性被害の予防に関する教育・指導の充実」「相談体制の充実」「関係機関・地域との連携による啓発」「教職員の資質向上」が示されました。

先の質問項目でも触れた政府の「方針」では「性犯罪・性暴力を根絶していくためには、加害者にならない、被害者にならない、傍観者にならないための教育と啓発を行っていくことが必要である」と述べられています。

そこで、学校において、発達段階に応じた効果的な教育・啓発を期待するところです。

また学校等で性暴力被害が発生した際の対応は「目撃者がいないことが多く事実確認が難しいこと」「性の問題は扱いにくいこと」「プライバシーの配慮が必要であること」から、日頃からの準備や早期に「キャッチ」する仕組みがなければ上手くいかないと指摘されています。対応マニュアルの研究・作成、警察や弁護士との連携、研修等に努め、いざという際に児童生徒に寄り添い適切な対応が行えるよう必要な整備を求めるものです。

学校等における性暴力防止と被害対応について、教育委員会の取組と今後の課題をお示しください。

 

4 児童相談所の充実について

(1)専門職員の確保・育成について

昨年度、兵庫県内の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は過去最多の8,308件、この10年間で3.6倍の件数増であります。全国で虐待により幼い命が奪われるケースが相次ぎ、児童虐待への県民の関心は高まり、児童相談所への期待は益々大きくなっています。県においては、来年4月に尼崎市と加東市に児童相談所を新設するなど、機能拡充に鋭意努めて頂いているところです。児童相談所が、県民の期待に応えて子どもの命と人権を守り、保護者を含む家庭全体を支える役割を担っていくためには、専門職員の確保・育成が何より肝心です。児童相談所への児童福祉司配置基準が人口4万人に1人から3万人に1人へ引き上げられたこと等により、全国の自治体が専門職員の採用に懸命になっているところであり、本議会知事提案説明においても計画的な採用と資質向上を図る旨が述べられました。

昨年度、県は「中央こども家庭センター一時保護所」における「パンク状態」を解消するために、受け入れ児童の定員を40人から54人に増やす方針を示しました。必要な職員加配に伴う人件費については、昨年9月県議会補正予算で整えましたが、実際には人材を確保することができず、当初めざした定員増は叶ってない状況です。子どもの人口に対する定員数が全国と比較して極めて少ない状態は依然として続いています。必要な保護の実施については、民間施設への入所や里親のご理解ご協力により行えているものと認識しますが、県施設の受け入れ児童の定員増は、喫緊の課題です。

また一時保護所現職員の年齢構成について、例えば正規保育士は8人の内7名が50歳代、1名が40歳代後半であり、年齢構成に偏りがあると言わざるを得ません。施設運営の面から、また援助技術など専門性の継承の面からも、若手・中堅・ベテランがバランスよく配置されることが望ましいと考えます。

児童相談所の専門職員には、幅広い知識と洗練された援助技術、臨床経験の蓄積によって編みだされる洞察力・交渉力・共感力・調整力など総合的な人間力が求められるのではないでしょうか。私は、専門職に相応しい雇用条件を実現することと、組織内での経験の蓄積・伝授を可能とする職員の年齢構成と人事異動のサイクルを実現することが、人材確保と人材育成に繋がるものと認識するところです。専門職員の確保・育成について県のご所見をお伺いします。

 

(2)一時保護所の今後のあり方について

現在、県の一時保護所は明石市に所在する「中央こども家庭センター」に設置される一ヶ所であり、他のこども家庭センターからの児童の移送や入所中の児童との面接等において距離的な負担が大きいことが課題となっています。広い県域で迅速、円滑、的確に保護を行うためには、複数ヶ所の設置が必要であり、また新型コロナウイルス感染症対応の観点からも、必要な定員の確保を成し遂げる為にも、複数設置が求められています。

県においては、近年、一時保護件数が増加傾向にあり、一時保護所が常に満床状態で児童養護施設等への一時保護委託が急増していることもあり、一時保護所のあり方について有識者検討会を設けられておられるところです。一時保護所への入所について、過去の各こども家庭センター別実人数を調べてみると、阪神間の西宮と川西のこども家庭センターからの子どもが半数前後を占める状況が続いています。入所人員や相談件数の実績から、阪神間への設置が求められており、また中核市の動向等を勘案すれば、特に阪神北地域への設置が必要だと考えるところであります。一時保護所の今後の在り方について、県のご所見をお伺いします。

 

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