上野 英一議員が質問(予算審査・企業庁)

質問日:令和3年3月12日(金)

質問者:上野 英一 委員

 

1 株式会社夢舞台の経営状況とその対応について

(1) 夢舞台のホテルの利用状況と株式会社夢舞台の令和元年度決算

北淡路地域の振興と関西国際空港の埋め立て用土砂の採取跡地の有効活用を図るため、ホテル、国際会議場、温室などを整備し、企業庁が出資する株式会社夢舞台が一括して管理運営を行ってきている。

その中でも中心は、201室を有するホテルである。ただ、今回の新型コロナウィルス感染症の拡大で、ホテルの営業は大きな打撃を受けているのではないかと危惧をしている。

去年の3月1日に兵庫県ではじめて感染者が出て、その後、4月7日から第1回目の緊急事態宣言となった。7月下旬からは観光業界への支援のGo Toトラベルキャンペーンが始まった。それと前後して8月には感染のいわゆる第2波がやってきた。

第2波がおさまるにつれ、秋口は旅行客が順調に増えていたが、11月中旬からいわゆる第3波となり、12月28日にGo Toトラベルは停止になり、かきいれ時の年末年始を直撃、そして2回目の緊急事態宣言となって、今に至っている。

この流れに呼応して、ホテルの宿泊客の動向はどうなっているのか。また、令和元年度の株式会社夢舞台の決算状況はどうなっているのか、伺う。

 

(2) 株式会社夢舞台の令和2年度決算と今後の対応

令和元年度で新型コロナウィルス感染症の影響を受けたのは、令和2年2~3月の2ヶ月であって、それが、7,000万円の赤字となると、単純に計算すると令和2年度はその6倍、4億円以上の赤字となるのではないかと心配をするところである。

株式会社夢舞台では160人以上の社員が働いている。その雇用を守っていかないといけない。これまでにも、いろいろな議論がされてきた。2年度決算並びに今後の対応を聞く前に、過去の議論を振り返ってみる。

夢舞台は、周辺の整備も含めて683億円をつぎ込んで平成12年に建設された。平成14年度にホテル施設を企業庁が131億円で買い取り、リースバックをしてきた。その後、平成19年度に企業庁は、減資と増資を合わせた32億5千万円を支援して、累積損失を圧縮し、債務超過を解消してきた。また、経営状況を踏まえ、賃料も大幅に切り下げ、後年度繰延べとした。さらに、平成26年度にショップ等リニューアルに2億96百万円、平成28年~30年度に客室リニューアルで2億3千万円を追加投資してきた。

これは先にも述べたとおり、関西国際空港の埋め立て用土砂の採取跡地の有効活用を図るためと、何よりも北淡路地域の振興を図る目的が大である。株式会社という大原則はあるが、減価償却とまでいかなくとも、せめてランニングコストぐらいは賄えればと我々は議案にも賛成をしてきた。

また、平成21年の第8回公社等経営評価委員会では、「リースバックを考えれば、本来経費計上すべき減価償却ができておらず、実質的には赤字である。今後も引き続き赤字が続くと想定されるのに、ホテル経営を、第三セクターが続けていく意義があるのか疑問である。ホテルは民間に売却、売却が無理であれば廃止という方向性もある」との厳しい意見もあった。

これらを踏まえ、管理者の立場は、出資元の責任者でかつ、株式会社夢舞台の取締役である。たとえていうならば、親会社の社長で、子会社の取締役である。

そこで、①令和2年度はどの程度の赤字となると見込んでいるのか。②株式会社夢舞台は倒産という事態にならず大丈夫なのか。③巨額の赤字をどのように取り戻していくのか。④第3セクターの解散ということもあるのか。について、管理者の見解を伺いたい。

 

2.企業庁の人材育成について

企業庁は、県の組織ではあるものの、地方公営企業法が適用され、同法3条に規定されている「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営」することが求められている。公益性が重視される一般行政部門とも異なるし、経済性が優先する一般の企業とも異なり、ちょうどこれらの中間の存在である。一般行政部門と最も異なる点は、財務分野である。一般行政部門で採用されている官公庁会計は現金の収入及び支出の事実に基づいて経理記帳される「現金主義会計」であるのに対し、公営企業会計では、現金の収支の有無にかかわらず、経済活動の発生という事実に基づき、その都度記録し整理する「発生主義会計」が採用されている。そして、経営に要する経費をその経営に伴う収入で賄う「独立採算」が原則で運営される。

また、業務分野でも、水道用水、工業用水の設備工事は、技術的にみても企業庁しか行っていないし、用地分譲はまさしく民間企業の営業と同じである。

企業庁の職員は約150人であるが、基本は一般行政部門との交流人事により人事配置を行っている。以前は水道関係の専門技術職員は、企業庁独自の職員採用を行っていたが、職域が企業庁だけに限定されることから、現在は新たな採用は企業庁だけで実施せず、一般行政部門との交流人事によって対応している。事務職員が一般行政部門から企業庁に異動になった場合、複式簿記に対応できるのか、技術職員が一般行政部門から企業庁に異動になった場合、水道所管整備業務に対応できるのか、心配なところである。ましてや営業がしたいからと言って県庁を希望する人はいないのではないか。さらには、用地分譲の担当ではその営業をしないといけない。

そこで、企業庁の業務の特殊性に対応するため、人事管理面でどのように工夫しているのか、伺いたい。

NEWS

一覧を見る