北上 あきひと議員が質問(予算審査・財政状況)

質問日:令和3年3月5日(金)

質問者:北上 あきひと 委員

 

1.地方財政計画の評価について

令和3年度の地方財政計画は、歳出において給与関係経費は前年度を若干下回っているものの、これは退職手当等の減少が影響しているためであり、職員数は保健所人員拡充を含め総数で増やす等、積極的な見積もりを行っていると言えるのではないでしょうか。また社会保障関係費の伸びを中心に補助事業が増加し、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用した地域デジタル社会推進費は皆増です。加えて「まち・ひと・しごと創生事業費」の1兆円は維持されました。これらにより一般行政経費が増加しています。一方で、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の国直轄・補助事業について、令和2年度国第3次補正予算により措置されることから投資的経費が減少しました。

歳入においては、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税・地方譲与税が大幅に減少するなか、地方特例交付金等、地方交付税、臨時財政対策債が増加しています。

この結果、水準超経費を除く交付団体ベースの一般財源総額は、前年度から2,414億円増の61兆9,932億円となりました。

県では、新型コロナの影響により財政状況がリーマン・ショックを超えて悪化することが懸念されることから、国に対して十分な財政措置が講じられるよう強く要望してきたことと思います。

令和3年度の地方財政計画の評価について、県のご所見をお伺いします。

 

2.県税収入見込みについて

県は、昨年9月県議会では、新型コロナウイルス蔓延の影響により、県税等の収入が令和2年度当初フレームから約2000億円減少する可能性があると言及されました。このたびの当初予算における県税及び特別法人事業譲与税収は、2020度当初予算額から919億円の減となる7,647億円を計上されています。令和2年度当初フレームからの減少額は、昨年9月時発表の見込み額の凡そ半分になりました。

今年1月に閣議決定された「令和3年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」では、年度中の経済の回復が見込まれていますが、一方では、感染症による内外経済の下振れリスクや、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるとされており、経済の先行きは不透明な状況が続くと思われます。2月の月例経済報告によると、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られるとされています。

こうしたなか、主な税目についてどのように見込まれたのか、お伺いします。

 

3.財政フレームのフロー指標について

令和3年度当初予算をもとにした財政フレーム見直しによると、実質公債費比率は令和5年度17.4%、令和10年度は18.1%になる見通しで、令和10年度における過去3年間の平均は17.9%となり、辛うじて18%未満に納まる見通しとなっています。

前提となる内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の実現可能性は厳しく、また大型投資事業実施の有無を含め不確定要素が多いなか、地方債発行額や借入れ時の利子をどう見込むのか、積算根拠について県のご所見をお伺いします。また、将来的に社会保障関係費の占める割合の増加が予測されるなか、財政構造の硬直化を危惧するところですが、フレーム見直しにあたっての実質公債費比率をはじめとするフロー指標に対する認識について、県のご所見をお伺いします。

 

4.シーリング強化について

県税等の減収対策として様々な手法を駆使しておられ、シーリング強化もその一つです。新年度予算における効果額は、15億円であります。

国や多くの自治体でも何らかの形でのシーリングを導入しており、シーリングは予算抑制の一つの有用策であると認識するところです。しかし一方、要求段階で予算額が決められるため「社会経済の実情にあわせた必要な事業に取り組めない」、また逆に「不要な事業であっても、基準のなかであれば細かく査定を行わないなどによりシェアの固定化を招いてしまう」等の弊害が指摘されています。他県においては、従来行っていたシーリングを廃止し、各部局には必要と思われる事業を自由に要求してもらい、財政部局等が必要性を充分に検討精査して優先度の高いものから予算計上する方策に変更した例も見受けられます。

シーリング強化による、県民サービスや職員の働き方改革への影響をどう分析されるのか、メリット・デメリットをどう評価されるのか、また今後の在り方について県のご所見をお伺いします。

 

5.個人住民税の税収確保に向けた取組について

県税の徴収歩合は毎年向上し、収入未済額も着実に減少しているところであります。そのようななか、令和元年度個人県民税の収入未済額は未済額全体の78.6%となっており、依然として高い割合です。県税収入の確保を果たすには、県税収入の約3割を占める個人県民税を如何に徴収していくかが大きな課題となっていると考えます。

 

(1)個人住民税徴収支援に係る取組状況と結果について

個人県民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が叶うものではありません。令和2年度は、個人住民税特別対策官を中心として、市町の徴収能力向上を図り、個人県民税の徴収を確保するための支援を行っていると聞き及んでいますが、どのような取組を行い、どのような成果があったのか、また今後どのように進めていくのか伺いします。

 

(2)個人住民税特別徴収に係る取組状況と結果について

平成30年度より、個人住民税特別徴収の徹底が図られました。特別徴収実施率の上昇に伴い、個人県民税の徴収歩合も上昇していると聞き及んでいるところであり、その効果は大きいと認識するところです。特別徴収義務者に、制度の意義を一層周知し、併せて事務負担軽減や利便性向上図ることによって、特別徴収の実施率向上に努めて頂きたいと考えます。これまでどのような取組を行い、どのような成果があったのか、また今後どのように進めていくのか伺いします。

 

6.コロナ禍における県税デジタル化の取組について

行政側の課税や徴収手続きにおけるデジタル化についても、業務効率化に加え、法務局・金融機関等の関係職員との接触機会を減らし、コロナの感染拡大防止を図る観点から、同様にデジタル化を推進・拡大していくことが課題であると考えます。そこで今後の課税・徴収におけるデジタル化の取組について、県のご所見をお伺いします。

 

7.県民緑税について

県民緑税は昨年12月議会県議会における十分な審査を経て、引き続き5年間の延長を決定したところであります。県民緑税は、県にとって大きな財源であり森林再生や都市緑化は環境や防災の観点から、今後必要な施策であると認識するところです。一方、森林環境税との「二重課税」ではないか、との疑義や不満を漏れ聞くこともあります。超過課税である県民緑税については、課税にあたってはそもそもの必要性や税率、期間設定について丁寧な精査を行なうとともに県民・事業者への十分な説明を尽くしその目的等の理解を得ることが肝要であります。そこで、改めて、県民緑税の必要性と税率、期間設定の考え方、納税義務者である県民・事業者の理解の状況について、県のご所見をお伺いします。

 

8.県財政への県民理解と予算編成過程の透明化について

県においては、毎年2回定期的に財政状況の公表を行う等、県財政の実態を県民に理解を頂くための努力を続けておられるものと認識します。

少子高齢化等による税収減少や社会保障関係費の増大等によって、財政状況は将来にわたり厳しさを増すことが予測されるなか、財源の確保・配分に対する住民の理解納得をえることは益々重要であり、全国の自治体でも様々な取組が模索されているところです。既に近隣府県や県内市町でも「予算編成過程の公開」等が実施されています。

県財政についての県民理解を深める取組の状況と成果について、また予算編成過程の透明化等、更なる取組について、県のご所見をお伺いします。

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