黒田 一美議員が質問(予算審査・産業労働部・労働委員会)

質問日:令和3年3月10日(水)

質問者:黒田 一美 委員

 

1 エッセンシャルワーカーが働く県内中小企業が行う感染症対策への支援について

エッセンシャルワーカーとは、エッセンシャル=本質的、不可欠な、ワーカー=労働者、直訳すれば、「必要な不可欠な労働者」です。

今回のコロナ禍で労働者への価値観を持って言われるようになりました。

コロナ禍で外出自粛が要請されている時、感染リスクが高いながらも社会生活に欠かせない仕事で働いている方々がエッセンシャルワーカーです。

医療・福祉従事者、教師、保育士、警察、消防、交通機関、流通、スーパーやコンビニ、飲食業などで働く人、ゴミ収集、さらに行政の窓口、電気、水道、下水道、ガス等のライフライン維持のために現場で働く方々です。いずれも感染リスクが高いものの、生活に欠かせない労働です。

兵庫県では、新型コロナウイルス感染症対策として、中小企業、事業者に対し、過去から新しい生活様式(ひょうごスタイル)にあわせて、従業員の労働環境確保のために取り組む接触感染や飛沫感染の感染防止対策等への支援を実施し、来年度当初予算案でも、適切な感染対策の上、継続的にサービス提供ができるよう感染防止研修や事業継続計画(BCP)策定支援などにかかる予算が計上されており、これらはその事業所で働くエッセンシャルワーカーへの支援でもあります。

民間でもホテル予約サービスの会社で感染リスクから家へ帰ることが不安なエッセンシャルワーカーを対象とした「ホテルシェルター」として1泊3000円と低価格で支援をしています。

そこで、産業労働部としても、エッセンシャルワーカーの方々が働く中小企業への支援を行なっているところですが、エッセンシャルワーカーの方々の感染への危険性をできる限り低減し、安心して働ける職場環境をつくるための取組みが不可欠であると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

 

2 緊急雇用対策について

新型コロナウイルス感染拡大の影響による県内経済の落ち込みにより、雇用情勢の悪化が続いています。

本県の有効求人倍率は、令和2年7月に約5年ぶりに1倍を下回りました。以降、7ヶ月連続で1倍を下回って推移しています。令和3年1月に前月の0.91倍から0.95倍と少し持ち直したものの、飲食や宿泊など大きな打撃を受けている業種もあり、雇用状況は楽観できないとの見方が強いです。

また、厚生労働省が集計する新型コロナウイルス感染症の影響による本県の解雇等の見込み労働者数は、2月26日時点で累計2,396人と全国で7番目の水準となっています。感染拡大の影響を受け、今後、更に離職者が増加していくことを懸念しており、雇用情勢に対する一層の注意が必要であると考えています。

このような状況を踏まえ、悪化する雇用情勢を下支えするためにも、緊急的な雇用対策が必要と考えますが、県として今後どのように雇用対策を進めていこうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

 

3 公契約条例の制定について

2020年10月1日、最低賃金が1円引上げられ、900円に改定されました。17年連続の引き上げであります。

ただ、依然として、建設労働者の適正賃金・単価の確保については課題が残っていると私は認識しています。以前から兵庫県建設労働組合連合会は、県の発注する契約において、元請業者は下請業者に対して十分な労務単価の保障、すなわち設計労務単価での支払いをするように県に指導を求めています。 同組合連合会の調査によると、例えば、2019年の常用の大工では、設計労務単価の2万1,200円に対して1万5,618円しか受け取っていないなど、賃金の実態は設計労務単価よりも低く、しかも、民間事業と比較をすると公共事業のほとんどの職種で低くなっています。

公共工事における建設労働者の適正な賃金単価の確保は重要な課題であり、直近では平成30年12月に丹波篠山市で公契約条例が制定され、賃金下限条項を含む条例も三木市、加西市、加東市で制定されています。

令和2年2月定例会でも我が会派の上野議員が、この公契約条例の制定について質問をしており、その際、知事は、「本県では全ての県契約において、最低賃金額以上の賃金支払いと労働関係法令の遵守を求める要綱を制定して、運用しており、実効性を確保している」との答弁がありましたが、最低賃金の遵守については実効性が確保されてはいると思いますが、やはり実態は設計労務単価との乖離が生じています。

建設業界はコロナ前から深刻な人手不足の問題を抱えており、その状況はコロナ禍にあっても変わらず、賃金を含めた処遇改善が喫緊の改題であると考えています。

また、公契約条例がないと低価格での契約が横行し、現場では利益確保のため少人数となり、労働条件が悪化するとともに元請けから下請け、孫請けと各段階で経費が引かれ、労働者は賃金では生活できない、ワーキングプアになる懸念もあります。

県の発注する契約で、設計労務単価との乖離が生じ、低賃金、労働条件悪化を進めてはなりません。

そこで、改めて、労働者の賃金単価を向上させるために、兵庫県として公契約条例の制定を求めますが、ご所見をお伺いいたします。

 

4 新技能習得訓練(プラスワン訓練)の実施について

質問の第四は、資格取得の支援による建設人材の育成・確保についてです。

明日は、東日本大震災からちょうど10年の節目を迎え、テレビ、新聞でも大きく報道がなされています。私も阪神・淡路大震災に遭いましたが、毎年のように豪雨や台風、地震等による大きな自然災害が各地で発生し、甚大な被害により、復旧・復興まで長期にわたり不自由な生活を送る実態があります。

建設業は、災害等での迅速な復旧・復興の最前線で活躍する地域の守り手であり、安全・安心の担い手として、また、普段は、住民生活の向上や地域経済の発展を支える地域インフラの整備・維持にと、重要で不可欠な役割を担っています。

しかし、近年の急激な少子高齢化に加え、事務系職場志向の高まりにより、未来の地域の担い手となる若者の県外流出が進んでいます。特に建設業界では、コロナ禍のなかでも人手不足が顕著で、高齢化も深刻な状況です。

一方、最近の建設現場では機械化が進展しており、また建設業界が多様な働き方を推進していることもあり、女性や高齢者、未経験者も活躍の場が広がっております。こうした職場環境の変化を背景に、これまで建設業に関わりの薄かった県民にも参入いただけるよう、人材育成・確保を進めることが何よりも重要であると考えています。

来年度は、産業労働部でも、新たな知識・技能の習得による労働者の生活基盤の安定に加え、建設業の担い手確保のため、新技能習得訓練に取り組むとのことですが、どのような事業展開と支援を行うのか、当局のご所見をお伺いします。

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