石井 秀武議員が一般質問を実施

質 問 日:令和3年6月7日(月)

質 問 者:石井 秀武 議員

質問方式:分割質問・分割答弁方式(1~3:一括、4~6:一括)

 

1 第3期ひょうご教育創造プランについて

西上教育長は、平成30年4月に企画県民部長から教育長に就任し、この10月に任期を迎えられる。主に財政畑を歩んできた経歴から一転、教育という新たなフィールドで、兵庫の教育のため、この3年真摯に取り組んできたと受け止めている。

ひょうご教育創造プランは、本県の教育全体に関する非常に重要な基本計画である。教育長の就任の年に、第3期ひょうご教育創造プランを策定し、予測困難な時代の中で、子どもたちには変化に柔軟に対応できる力とともに、これからの社会を創造していく力の育成が重要であるとして、未来への道を切り拓く力の育成を重点テーマとして掲げた。そして令和元年度からは、新しいプランに基づき、児童生徒の学力向上、県立高校の魅力づくり、特別支援学校の整備、学校のICT化等着々とプランを実行している。

新たな分野での、初めての挑戦として臨んだ第3期プランの策定にあたってどのような思いを込め、またその推進にあたってはどのようなことに注力して進めてきたのだろうか。

令和2年の年明けからは新型コロナウイルス感染症が拡大し、移動や密集の自粛など人々の自由は制限され、世界的な交流の遮断、経済活動の停滞など感染拡大に伴う様々な影響も広がり、世界も日本も揺れ続けている。教育においても、一時は学校の一斉臨時休業を余儀なくされるなど、前例のない対応を迫られ、再開後の教育活動においてもあらゆる制限を受けてきた。兵庫が誇るトライやる・ウィーク等の体験教育においても、これまで通りの実施ができず、試行錯誤の中で工夫されてきた。一方で、学校での一人一台端末の普及にみられるようなICTを活用した新たな動きも急速に広まり、ポストコロナの世界は新たな時代の始まりとも言われている。

まさに、第3期プランの重点テーマである未来への道を切り拓く力が、子ども達だけではなく、教師、学校、教育行政そのものに今求められている。このような激しい変化の時代だからこそ、このプランの前文に記載している「いつの時代においても教育に必要とされるもの(不易)」が何であるのか、「今この時代に合わせて教育に必要とされるもの(流行)」が何であるのか、が見えてくるのではないかと感じている。

そこで、この1年あまりの間、教育長の立場で様々な判断をしてきたと思うが、コロナ禍というこれまでに無い事態を経験し、兵庫の教育に対する思いや、子ども達が身につけるべき力について、今どのように考えられるか、プラン策定時から変わったこと、変わらなかったことは何かについて、当局の所見を伺う。

2 今後の県政を担う職員の採用について

大多数の大学新卒の年齢である22歳人口は、2010年代ほぼ横ばいで推移してきたが、少子化の影響を受け、新卒採用の2021年問題といわれているように、2022年以降減少に転じるとされており、2022年度の採用、つまり今年2021年度の就活から、学生の獲得競争が激化すると言われている。

このような中で、県が新規採用において優秀な人材を採用するには、民間、または他の地方自治体との争奪戦となることは明らかであるが、兵庫県職員一般事務職(大卒程度)の採用試験の受験者数の競争率は、就職氷河期の2000年頃には30倍程度あったものが、2018年度は3.9倍、2019年度4.8倍、2020年度5.3倍となっており、受験者数は低迷している。

感染症や災害が頻発する近年において、県民の公務員に対する期待と需要は高まっている一方で、公務員に向けられる視線は厳しさを増している。そのため、公僕として県政を支え、県民のための仕事を高い志とやりがいを持って遂行できる優秀な人材を獲得していくことは、最重要課題である。

また、デジタル改革関連法案が成立するなど、デジタル化が喫緊の課題である行政にとって、情報の基礎知識は無くてはならない社会常識となっている。

そこで、将来の県行政を担う職員採用にあたって、どのような人材がふさわしいと考えているのか、また、その適性をどのように見極めるのか、優秀な人材を獲得するために不可欠な受験者の確保についてどのような取組を行うのか、当局の所見を伺う。

 

3 知事選挙に向けた投票率向上のための啓発について

来月の7月1日に告示され、7月18日が投開票日となっている兵庫県知事選挙の投票率向上に向けた取組について伺う。

2019年の統一地方選挙では、都道府県知事選挙を除き、各選挙ともに投票率が過去最低記録を更新した。

兵庫県知事選挙の近年の投票率は、参議院議員選挙と同日実施であった平成13年と平成25年を除き、昭和61年の選挙から計6回、30%台で推移してきた。前回平成29年の選挙ではなんとか40.86%と僅かに回復したものの、昭和26年には80%近い投票率という時代があったことを考えれば長期低落傾向にある。

一方で、昨年来の新型コロナウイルス感染症への対応において、 各自治体の対応が比較され、首長の記者会見が度々報道されるなど、都道府県知事に対する世間の関心は高まっていると感じる。

民主主義の根幹たる選挙の重要性を鑑みれば、投票率の向上は非常に大きな課題である。総務省が平成29年に出した投票環境向上に向けた取組事例集によれば、全国では、大型商業施設、大学、高校、病院等での共通・期日前投票所の設置や、投票所の設備を備えた車による移動式期日前投票所の設置、交通弱者への移動支援などの取組が見られる。

県内でも初めて、播磨町が今年の知事選における共通投票所を設置すると発表した。町内に13か所設置してきた投票所を約半数の7か所にし、代わりに全ての投票所に共通投票所を併設することで、播磨町の選挙人は町内全ての投票所どこでも投票できることになる。費用の面では二重投票などを防ぐためのシステム導入費用などにコストはかかるが、投票所を半減することで運営費用は圧縮できるとしている。

また神戸市が令和3年2月に記者発表したところによると、 今秋に予定される神戸市長選挙において、候補者名が印刷された投票用紙に○印を書いて投票する記号式投票を採用するとのこと。神戸市は、特に若い有権者の低投票率が全国的な課題とされている中、投票方法が簡単になることによる有権者の利便性の向上や、新たな制度採用による話題性を高め、投票率の向上を目指すとしている。

そこで、今年7月の知事選挙では、新型コロナウイルスの感染対策を行ないながら取組を進めていかなければならないが、コロナ禍での他県の先行事例も踏まえ、投票率向上に向け具体的にどのように取り組むのか、当局の所見を伺う。

 

4 二重行政の解消と特別自治市に係る神戸市への対応について

平成27年12月定例県議会では、特に観光、農業等各分野での連携の取組みについて質問し、「より適切な役割分担のもと、相協力するべき組織については、できるだけ一体的な運用が図れるように努力する」との答弁があった。新長田合同庁舎での協調やUNOPS・GICの誘致など、県市の関係がこれまでになくうまく進んできたと感じている。これは知事と市長の関係(端的に言うと自治省の先輩)によるところが大きいのではないだろうか。しかし、知事交代後もこの関係は継続できるのだろうか。県神戸市調整会議や同連絡会議という形式的な場は有するものの、日常的な事務レベルの連携はとれているのだろうか。とりわけ、最近の特別自治市の法制化を巡る久元市長の発言や、アートや植物と融合したアクアリウムをはじめとする新港突堤西地区の再開発、神戸市の音楽ホール計画の中止など、大きなプロジェクトについて、報道で初めて市の発表を知ることも多く、今後も県と市が適切に連携していけるのかと不安に感じている。特に神戸市が民設民営で神戸港に県内最大の1万人収容規模のアリーナを整備することについて、令和元年12月定例県議会で明石公園のリノベーションの一環として今後の利活用を考える中で、アリーナの規模やイベント需要、地域に求められる施設機能などを具体的に打ち出すことにより、どのような関心が寄せられるのか、サウンディングしていってはいかがかとの質問に対して、知事から前向きな答弁があり、その後県が大規模アリーナの検討を大々的に発表していたことを踏まえると、真の意味での二重行政の解消に向けての議論が実務的に行われているのか甚だ疑問に感じる。

そこで、二重行政の解消に向けた神戸市との連携及び意思疎通を図るとともに、特に警戒心の強い特別自治市の法制化をめぐる神戸市の動きについて、神戸市の成り立ちの背景などを踏まえた適切な対応を神戸市に求めるべきと考えるが、当局の所見を伺う。

 

5 選択と集中の実現について

平成24年2月定例県議会では、過去のしがらみの中で進めていこうとする施策の検証が必要で、場合によっては立ち止まる勇気も必要と指摘し、「スクラップ・アンド・ビルドに徹し、ゼロベースの見直しを行う」との答弁があった。以降も選択と集中の徹底、シーリングの強化、事業数の10%削減といった言葉が、予算編成方針や知事答弁で述べられている。

これについては、平成20年度から30年度までの行革の成果として、廃止が2,728事業、新規事業が1,327事業となっており、差引1,401事業が削減されている。

一方、新規事業について、平成25年度予算特別委員会では、チャレンジ枠の意義と効果について指摘し、「大変ユニークな事業もあがっている。手始めであり、温かく見守っていただきたい」との答弁があった。それ以降、毎年のように、チャレンジ枠、地域創生枠、県政150周年記念事業枠、すこやか兵庫枠、リーディングプロジェクト特別枠、ポストコロナ対策特別枠のように新規要求枠が設定され続けている。

平成25年の答弁で、知事は「チャレンジ事業は、新たな発想で取り組もうとするものであり、その効果にも期待しているが、チャレンジ事業を検討する過程が重要だと思っている。検討を重ねていくことが期待する原点である」との趣旨の答弁をしている。私から見ると、本県では、最も柔軟な発想で新規施策を立案できるのが知事という印象であるが、これまで設定されてきた新規要求枠を検討する過程で、独創的な新規事業の立案等、知事が期待したような十分な意義があったのか、当局の所見を伺う。

また、この新規要求枠の中身を見ると、時に名称やスキームを変えて新規枠という名の下で毎年同じような事業が続いているケースもあるのではないかと考えている。

私はやめられない事業には二つのパターンがあると分析する。一つは、先進的な事業・モデル事業と認識して開始したが、役割を終えた、或いは、十分に成果が上がらないにも関わらず、中止が決断できていない事業である。このような事業の有無も含めて、再精査するためにも、個々の事業を再度ゼロベースで検証していく必要があるのではないだろうか。

もう一つは、地元や海外の企業、有識者等との個別の繋がりを活かして事業を開始したものの、思った成果があがっていないような事業である。このような地縁などによる繋がりを活かした事業について、決して全否定するものではないが、相手もビジネスライクな側面を有していると考えられることから、少し立ち止まって考える必要もあったのではと考えている。我々県議会としての役割も反省すべき点はあると考えるし、県当局としても助言できる環境になかったのかとも思う。これら二つの要因により事業をやめる勇気を持てなかった部分が今でも残っているのではないだろうか。

そこで、適切にスクラップ・アンド・ビルドが行なわれてきたのか、今回の行財政運営方針の総点検について、今後どのようにして成果を上げられると考えているのか、当局の所見を伺う。

 

6 関西広域連合の行く末と新しい形での道州制について

東日本大震災でのカウンターパート方式、ドクターヘリの共同運航、さらにはワールドマスターズゲームズの誘致などこれまで成果を上げてきたことは間違いなく井戸知事の功績である。但し、私も連合議会議員を務めたが、年々その活気は失われてきた感も否めない。それを最も感じているのは、知事本人ではないだろうか。そこで提案であるが、今こそ、実績を積んだ関西広域連合を母体とした道州制への移行を本気でめざすべきではないだろうか。これまで、知事は、道州制へは一貫して慎重な姿勢を示す一方、「連邦制をめざすのであれば選択肢の一つ」や、令和2年9月定例県議会では、「新しい広域連携のあり方の検討として、新しい形での道州制も関西広域連合での検討に含まれることもある」との答弁があった。コロナの状況が収まれば、大阪府市の二重行政の問題が再燃するかもしれないし、都構想の次は道州制という風潮になるかもしれない。コロナを契機に、地方の行政形態への関心も高まっている。特に今後のデジタル化の進展は国や都道府県のあり方に大きく影響してくるものと思われる。そして何より、明治以来、繰り返される市町村合併に比べ、都道府県の数だけが当時のままという事実は変わっていない。次の知事は、井戸知事のように理路整然と道州制の問題点を答えていくことができるだろうか。国や大阪から押しつけられる道州制よりも、関西広域連合の実績を母体とする道州制を、兵庫県が主導してめざしてはと考える。道州制への警戒が強い近隣府県にとっても井戸知事が提唱する道州制ならば、比較的受入れやすいのではないだろうか。

そこで、井戸知事には、知事退任後、自由な立場となられる中、これまでの各府県首長や経済界、国とのパイプを活かし、関西広域連合を発展させた形での道州制の設立に向けて尽力いただきたいと節に願うところである。国出先機関の丸ごと移管への答えとなるであろうし、地域主権改革の成果の継承にも繋がると考えるが、当局の所見を伺う。

NEWS

一覧を見る