中田 英一議員が一般質問を実施

質 問 日:令和3年9月29日(水)

質 問 者:中田 英一 議員

質問方式:一括方式

 

1.投資的経費の配分について

兵庫県では阪神淡路大震災からの復旧・復興で傷んだ財政の立て直しのためとして、シーリング削減など一律に各部局の予算が削られていくといった厳しい行革が行われてきた。

そのため、毎年定量的にかかる維持管理費用も削減せざるを得ない状況が各所にうまれ、例えば県土整備部の所管する道路路肩の草刈りや、舗装の修繕、県警の所管する道路標識・道路標示・安全設備の更新など、必要な管理・補修ができていない箇所がどんどん後回しになり、ツケが溜まっている。

一方で、こうした維持管理費用を抑える方法は存在する。

例えば、草刈りが必要な路肩を防草シートやコンクリートで覆ったり、前議会で我が会派の相崎議員からも指摘があったが、信号灯器をLED化すること等により、維持管理費を抑えることができる。

ところが、「縦割り行政」と揶揄されるように、部局ごとの予算枠に大きな変動をつけられない構造もあり、中長期的にみれば全体として費用を節約できる方法があっても、その対策が十分に進んでいないように思われる。

知事は県政を刷新するという目標を掲げて当選された。

そこで、これまでできなかったこの構造を刷新し、特定の部局や工種などに重点的に予算枠を配分するなど長期的に見て維持管理費用を抑えられるような箇所への思い切った投資を期待したいが当局の所見を伺う。

 

2.青野ダムのダム湖周辺の管理・活用について

三田市にある青野ダムは、治水と飲み水の確保を目的とした多目的ダムである。京阪神からのアクセスも比較的良いこと等から関西有数の釣りのスポットになっている。また、本年UNBYというアウトドアメーカーがこの湖畔のロケーションに目を付け本社機能を移転し、多くの集客を得ている。

また、湖畔には、現在の緊急事態宣言下では禁止となっているがバーベキューなど火気が許容される公園も三田市で整備しており、コロナ禍で都市部への密集が敬遠される傾向が定着しつつある昨今、さらに多くの人々がアウトドア・レジャーを楽しむ場となっている。

さらに、隣接する県立有馬富士公園の休養ゾーンでは「地球アトリエ」という集客施設の整備が進められており、数年後にはさらなるレジャーの集積地になることも期待されている。

しかし、一方で、マナーの悪い訪問者によるゴミ問題や不法駐車などが近隣住民を困らせている。特に湖面に漂うゴミについては、飲み水としてのダムの水質を低下させるものであるうえに、放置すればそこにもっとゴミが捨てられるという悪循環をもたらすことから、定期的な除去・回収と合わせて、そもそもの抑止対策が重要となっている。

個人的には、ダム敷地から伸びる雑草による周辺農業や生活への支障についての苦情も受けており、ゴミや不法駐車と合わせて総合的な対策を検討すべきと考えている。

具体的には、利用者から適切な使用料を徴収し、それを財源に見回りや周辺整備を実施することはできないか。そうすれば、利用者にとっても周辺住民にとっても、環境にとってもより良いダムの活用となりダム湖周辺の地域活性化につながると考えられる。

このような取り組みについて、公園を整備・管理する三田市への支援や、民間活力の導入に対するサポートなどを県が行うことはできないか。今後のダム湖周辺の管理方針と合わせて伺う。

 

3.公共交通の支援について

JR西日本は10月2日からの秋のダイヤ改正で、利用にあわせた列車ダイヤの見直しとして、兵庫県内山陽線(相生~上郡)等の一部路線において、昼間時間帯26本の運行を取りやめることとなっている。

人口減少や地方の過疎化によって、収益性の低下する地方公共交通は従来と同様の形では維持することが難しくなっていたところに、新型コロナウイルス感染症での度重なる緊急事態宣言による自粛、テレワーク推奨などの人流抑制の影響を受けて、交通事業者は甚大な損失を被っている。

JR西日本にとどまらず、これをきっかけに、あるいは近い将来に公共交通全体として更なる減便・撤退が続発する可能性もある。

今月のコロナ感染者数や病床使用率等の指標に関しては減少傾向にあるが、冬場を迎えて再度感染者が増加して公共交通の利用者が激減する恐れも十分にある。

バス路線では、コロナ禍の影響による乗客数の急激な減少により、一部で従来の補助要綱では要件に該当しなくなってしまう県単独補助路線が生じることが確定的となっている。

また、これから台風シーズンを迎え、近年の温暖化等による異常気象、豪雨災害の激甚化傾向も踏まえれば、今後、山間を走る神戸電鉄等が、土砂崩れ等の被災により、復旧に莫大な修繕費がかかることも想定される。

このような状況を知事の「地方も取り残さない」という方針に照らせば、鉄道については災害に備えた事前防災対策等への支援や、バスにおいては補助要件の緩和措置といった個別的な支援など、コロナ禍が続く中で、引き続き地域を支える公共交通全体を底支えするような取組みが必要になると考える。

人口減少社会、地方の過疎、異常気象にコロナが加わった公共交通を取り巻くこの厳しい状況を、県としてどのように対応していこうと考えているか伺う。

 

4.消防車両の標準規格“兵庫モデル”の策定について

兵庫県下に消防車両はおよそ2900台あり、主に各市町の消防署や消防団に配備されている。

三田市に工場のある消防車両メーカーのモリタでは、国内シェアの約6割を誇っているが、驚くことにそのほとんどがオーダーメイド・受注生産で、「それぞれの地域の実情に合わせる」という趣旨でこうした方式になっているとのことである。

しかし、オーダーメイド生産では、発注を受けてからしか製造に入れないため作り置きができず、また、毎回設計図から起こさなくてはならないためどうしても製造コストが高くなってしまう。また、受注の多い年度末に仕事が集中するなどメーカーにとっても工場を安定的に稼働できず、労働者にとっても不規則な就業となってしまい、発注者にとっても納品時期が延びるといったデメリットがある。

地域の実情に合わせることも大切であるが、ほとんどの自治体で行政費用の削減が続くなか、消防車両の適切な更新ができているか、今後も持続的にできるのかについては疑問が残る。

そこで、消防車両の製造コストを引き下げるため、引いては各市町の購入費用を下げるために、オーダーメイドではなく既製品にあたる標準規格「(仮称)兵庫モデル」を策定し、スケールメリットを出せるような取り組みを検討してはどうか。

消防車両と言っても、1台数千万円のポンプ車から1台数億円のはしご車まで幅広く存在するが、標準化によって仮に1台平均で100万円安くなるだけでも、県下の2900台で29億円。長めに10年更新としてみても年間約3億円市町の経費が下げられる計算になる。

一方メーカーにとっては、製造コストが下げられるということは、拡大する国際市場への競争力が高まるということにつながる。より計画的な生産が可能となり、労働者の負荷が低減されることにもなる。

本来は国レベルで取り組むべき問題であるが、国がやらないのであれば次は広域自治体である県が主導して進めるべき事柄であると考える。

近い将来に発生が予測される南海トラフ地震をはじめ、災害に対する広域連携は今後ますます必要性が高まると考えられることからも、広域で共通の車両・機材を使用できる「兵庫モデル」を検討すべきではないか。

 

5.消防団員数とその活動の確保について

消防団活動は火災発生時に地域の安全を守るというだけでなく、各種災害や行方不明者の捜索、あるいは地域活動の積極的な参画など多方面にわたり地域を支える重要な意義を担っている。

しかし、年々団員の確保が難しくなり、従来は自営業者の加入が多かったが、高齢化や担い手不足から、近年は被用者いわゆるサラリーマン団員の割合が増加している。

一般的にサラリーマン団員は自営業の団員にくらべて、仕事の調整が難しく消防団活動に参加しにくい傾向にある。

具体的には、消防団員に対して、火災をはじめとする災害発生時に加えて、豪雨警戒や本部待機といった出動要請もたびたび発されるが、就労先の規定が整備されていなかったり、規定はあっても十分周知されず労働者の消防団活動を許容する風潮が内部に無かったりすれば、団員にやる気があっても活動が制限されてしまうこととなる。

消防団員の段階には2つある。1つ目は「ただ入団する段階」で、その次に「活動に活発的に参加する段階」である。県では、消防団への入団を後押しするような各種取組みを実施しているが、入団したものの実際の活動ができなければいわゆる「幽霊団員」となってしまうことから、ここでは2つ目の「活動の確保」に絞って伺いたい。

県では、この点についても「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」第10条3項に従って、「人事委員会規則」第2条8号ないし第3条の規定で、消防団活動がある場合には職務に専念する義務の免除が認められているが、現場においては十分浸透しているようには感じられない。消防団員が活動しやすい環境作りに、県としても是非率先して取り組んで頂きたいと考えている。

また、民間企業にも同じような制度・考え方が広がってはじめて、いわゆるサラリーマン消防団員がもっと活動しやすくなり、消防団活動全体が活発化することから、民間事業者への積極的な働きかけも重要と考えるがどうか。

 

6.カルチャータウンの地区センター用地について

カルチャータウン中心部に長年空き地となっていた「地区センター予定地(南ブロック)」について、今年6月、三田市・兵庫県・関西学院大学との3者で「神戸三田国際公園都市の地域振興に係る連携協力協定」が締結され、その具体的な事項として、関西学院大学の学生寮とインキュベーション施設を併設した複合施設を整備するという内容で当該土地が兵庫県から関西学院大学に譲渡されることとなった。

地元議員として当初から当該土地の利用方策を提案してきたため、概ね前向きに進み出すこととなり嬉しい限りであるが、当初の構想と異なる面については、地域住民に対して丁寧な説明と理解を得る活動が不可欠であると考える。

具体的には、当初は商業施設や文化的施設、行政窓口や金融機関などカルチャータウン住民の便益に通じるような施設も入る中高層のファミリー向け住戸が構想されていたが、当概協定の「インキュベーション施設」はカルチャータウン住民よりは少しターゲットが広く三田市民や周辺住民くらいが対象になりそうであるし、住戸部分はファミリー向けが学生の単身向けに変わっている。

企業庁はこの街を切り拓いた北摂特別会計の事業を引き継いだ事業者であり、当該土地を売り渡して終わりとするのではなく、引き続きまちの発展のために取組んでもらいたいと考えるが、今後、住民の意見をどのような方法で汲み取り、関西学院大学が設置することになる施設の計画に取り込んでもらうのか、具体的な方策とスケジュールについて伺う。

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