竹内 英明議員が質問(財政状況について)を実施

令和2年度決算特別委員会 【財政状況について】

質問日:令和3年10月6日(水)

質問者:竹内 英明 委員

 

財政調整基金100億円の知事公約について

1.財政フレームで捕捉されていない1,549億円の簿外債務について

(1)貸付金債権320億円のみ計上し、債務を計上していない企業庁との貸借関係について

① 年度をまたぐ基金の貸付けを実質公債費比率の算定から除外する「地方債に関する省令」規定について(財 政)

9月21日に開催された第1回行財政運営調査特別委員会で示された行財政運営方針の見直しの「課題と検討方向について」では、公営事業の運営の企業庁の中で「一般会計と企業会計との賃借関係の整理を検討」が示された。そのなかで企業庁・地域整備事業会計からの一般会計長期貸付金は220億円、同企業資産運用事業会計・一般会計長期貸付金100億円、合計320億円となっている。県債管理基金の中の320億円の企業庁の地域整備事業会計に対する貸付金で、この320億円を実質公債費比率の算定に含めていることに対して、2009年度の決算特別委員会で私が問題だと指摘した。この貸付金を実質公債費比率の基金残高に含めるのは、まず総務省の「地方債に関する省令」に違反している。

○地方債に関する省令(総務省令)

第三条第2項 当該年度の前年度の減債基金残高のうち年度を超えて一
般会計又は特別会計に貸し付けられたものの額がある場合における前項の規定の適用については、当該額を当該年度の前年度の減債基金残高から控除するものとする。

減債基金である県債管理基金の320億円を年度を超えて、つまり複数年にわたって地域整備事業会計に貸付けている。だから実質公債費比率の算定から除外すべきと私が指摘した。実質公債費比率がはじまった2006年度にこの総務省令は定められたので、2006年から2020年まで15年間、兵庫県ではずっと省令違反状態を続けている。資金がなくて苦肉の策だったかもしれない。しかし、あのときほど財政は悪くない。

知事は宮城県、大阪府の財政課長を都合5年もされてきた。こうした省令を知っておられるかもしれない。このままで本当にいいのか当局の所見を伺う。

② 債権債務の相殺による320億円の貸付債権の消去について(財 政)

こうした法令抵触は早期解消が必要である。県債管理基金から320億円を企業庁の地域整備事業会計に貸付けている一方、地域整備事業会計が220億円、企業資産運用事業会計が100億円をはじめ406億円を一般会計に貸付けている。県と企業庁の貸し借りを清算すれば、320億円は、基金残高から減じることができる。すぐにでも相殺すべきだが当局の所見を伺う。

 

(2) 土地開発公社・住宅供給公社の預託金155億円を県債によらず借入し、債務を計上していないことについて

県外郭団体の基金を含む特定目的基金から県債管理基金に集約した基金883億円については、外郭団体による資金集約も含めいずれ県のものとなるという議論がある。万が一、返さなくていいというなら、債務はないということも理解する。先方がどういうか知らないが。しかし、土地開発公社の100億円・住宅供給公社の55億円、計155億円の預託金は、実質公債費比率の算定に使うことは、認められないと考える。

① 解消すべき土地開発公社の預託金100億円について(財 政)

土地開発公社の預託金100億円の財源は、一般会計からの依頼に基づき、尼崎臨海部の21世紀の森用地を先行取得し、一般会計に売却した代金108億円の一部である。先行取得の際の財源は公社債をあて、県からの支払いをもって償還する予定であった。ところが、その金額を県に預託するようになった。行政用語、地方自治法にも地方財政法にも一切出てこない用語である。

兵庫県土地開発公社の財務諸表を調べると、預託が始まった2009年度には公社債、現在は金融機関からの借入で、284億円の残高がある。問い合わせると、預託金の100億円に加えて、企業庁の地域整備事業会計に対して尼崎臨海部の用地を売却した代金として分割払いで81億円を受け取る予定であったが、企業庁が支払いを停止したこともあり、181億円の借入れは残ったままという。

外部借入れをしてまで県債管理基金に預託する必要はないと考えるが、当局の所見を伺う。

②「公有地の拡大の推進に関する法律」「地方住宅供給公社法」の規定、両公
社の定款・預託の経緯について(財 政)

公有地の拡大の推進に関する法律(財務)第十八条は次のように規定している。

7 土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券の取得

二 銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金

8 前各項に定めるもののほか、土地開発公社の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。

兵庫県土地開発公社定款(余裕金の運用)では次のように規定している。

第24条 この土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

(1)国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券の取得

(2)銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金

地方住宅供給公社法(余裕金の運用)では 次のように規定されている。

第三十四条 地方公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債、地方債その他国土交通大臣の指定する有価証券の取得

二 銀行その他国土交通大臣の指定する金融機関への預金

三 その他国土交通省令で定める方法

兵庫県住宅供給公社定款(余裕金の運用)では、次のように規定されている。

第29条 この地方公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

(1) 国債、地方債その他国土交通大臣の指定する有価証券の取得

(2) 銀行その他国土交通大臣の指定する金融機関への預金

(3) その他国土交通省令で定める方法

両公社の資金運用は、こうした規定に反している。両公社において最も重要な根拠法の条文や法令にない「預託」といった行為での資金運用を行っている。コンプライアンス上のリスクが大きすぎる。県が県債管理基金の残高を多く見せるためだけ、それ以外のメリットはないので、県から求めたのだろうと推測するが、こうした「預託金」運用について、両公社から異論や懸念はなかったのか、どういった法令解釈でもって、両公社から預託させたのか。その法的根拠や経緯について当局の所見を伺う。

③ 預託金を将来負担比率の算定には含めていない理由について(財 政)

これら155億円は県債管理基金の残高には加えられ、基金積立て不足を埋める財源として活用された一方、同じ地方財政健全化法の財政指標である「将来負担比率」の充当可能基金としては使われていない。この資金がいずれ公社に返済され、県債の償還財源には充当できないことを充分理解しているから将来負担比率では使っていないのだと理解する。明らかに二重基準だが、どのように考えているのか当局の所見を伺う。

④ 地方債によらない借金を続けること、公益財団法人 兵庫県体育協会による県への貸付け1億円について(財 政)

県議会文教常任委員会の外郭団体の参考人質疑の際に、同財団の基本財産としての運用のうち、投資有価証券として、兵庫県との1億円の金銭消費貸借金契約が計上されていたのが判明した。金銭消費貸借金契約とは、民法上の借金契約そのものである。以前質問したときは「県の財政が厳しいが、県債発行のタイミングとずれていたことから、県債の発行時期ではないけれども、縁故地方債という扱いにしろと財団にいったという記録が残っている」趣旨の報告があった。この方法をとると地方債残高には入らない。つまり総務省の地方債データや実質公債費比率などの財政指標にも反映されない。この件は地方財政法に違反しないのか。今後どう扱うのか当局の所見を伺う。

 

(3) 企業庁の一般会計に対する「長期未収金」105億円について

①決算審査意見書に個別明記して注意喚起することの必要性について(監 査)

過去に県が企業庁      から購入した淡路(臨海)佐野地区の代金207億円(2003年最大)の半額約105億円が長期未払金になっている。県立淡路佐野運動公園はとっくに供用開始しているのに代金が未払いのままということだ。10年間で企業庁に支払う予定だったという。

これは企業庁の決算書やその附属書類にもその個別の内容は明記されていない。監査委員の発行する決算審査意見書にもない。以前には審査意見書に個別の項目と金額が記載されていたが、こんな大きな金額の長期未収金がいつの間にか記載されなくなっている。

そこで監査委員事務局にお伺いする。2006年度の審査意見書には「長期未収金」として「淡路地域の佐野地区等に係る126億円~」という説明があり事実を把握したが、現在その個別の記載はなくなった。こうした長期未収金という要注意債権は、監査委員は把握されていると思う。

105億円の未収金である。議会や県民にも広く知らしめること、つまり監査として指摘することは重要な役割である。多額の長期未収金は、個別金額を明記して注意喚起をしておく必要があると思う。経緯も含めて今後の指摘事項として加える必要があると思うが、当局の所見をお伺いする。

②県債管理基金には現金が2,313億円(2020年度決算)もあるのに企業庁に
支払いを行わない理由について(財 政)

県債管理基金には現金が2,313億円(2020年度決算)もあるのになぜ企業庁に支払いを行わないのか。これによって先に指摘した、企業庁が土地開発公社に対して未払いとなっている81億円も企業庁から返済可能となるのではないか、当局の所見を伺う。

 

2.行財政運営方針の最終年度に実質公債費比率が「17.9%」となる理由について(財 政)

目標の全ての終着地が「実質公債費比率18%」未満という考え、そのためにはグレーゾーンでも法令の解釈を曲げてでもなりふりかまわず数字をつくる。何より実態と全く違う財政状況を県民に知らせてしまっている。

県債管理基金の額、すなわち借金をどれだけ減らしたかという極めて重要な基金の額や他の都道府県とも比較できる財政指標が変わってしまう。債務を計上しないことで基金額は1,549億円も見せかけ貯金となっている。まず、何よりも「実質公債費比率18%未満」という目標ありきの姿勢は改めるべきだと思うが、当局の所見をお伺いする。

 

3.齋藤新知事に期待すること

(1) 指摘してきた方法を用いたこれまでの財政運営に対する新知事の受けとめについ(財 政)

指摘してきた方法を用いたこれまでの財政運営等を新知事に説明したか、知事の受け止めはどうであったか、当局の所見を伺う。

 

(2) 財政課題を「オープン」にした上での知事公約の見直しについて(財 政)

今日も様々なことを指摘した。他会計や外郭団体とのやりとりは私の知る限り全体を指摘したつもりである。「地方債すなわち県債を発行せず、企業庁や外郭団体からの借入によって、一般会計・県債管理基金をよく見せていたこと」、県債管理基金にはお金があるのに支払わずに未払いとすれば、結果として基金にお金が残り、実質公債費比率が良くなるとしいった話などである。

1549億円、県債管理基金から控除すべき金額があるということ、これは現在の「行財政運営方針」の財政フレームには含まれていない。

知事は、選挙の際に33億円の財政基金を100億円にするという公約を掲げられている。これだけだと67億円を生み出せばいいが、財政フレームには330億円の要調整額という課題があり、足すと400億円である。それに加えて、1500億円の課題があるということである。67+330+1549でざっと1946億円、2000億円近い金額である。

それはこうした財政の課題を知らない中での話であると考えざるをえない。まず、こうした課題を当局側からもオープンにして、知事公約の見直しも含めて県民に改めて示す必要があると考えている。新知事本人には、私が本会議の場で聞いていくとして、企画県民部としてどう考えるか、県政推進室長も兼ねておられる部長にお伺いしたい。

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