2012年度当初予算編成に対する申し入れ

2011年11月14日
兵庫県知事 井戸敏三様
兵庫県議会民主党・県民連合議員団
幹事長  永富 正彦
政務調査会長  小池 ひろのり

 本県の経済・雇用情勢は、東日本大震災後の落ち込みから、供給面の制約が解消され、生産面を中心に回復の動きが見られつつあるものの、個人の所得、消費動向へは反映されておらず、依然として厳しい状況が続いています。
 特に、為替相場は、東日本大震災直後に記録した最高値を、先月さらに更新する異常事態となっており、輸出企業の生産拠点の海外移転による産業空洞化、さらには、この冬も続けられる節電対策による生産活動の停滞は、国内景気の大きな足かせとなっています。
 こうした経済環境下にあって、雇用の確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネットとして県の果たすべき役割はますます重要となっています。加えて、産業・雇用政策は勿論、医療・福祉や教育の充実、農業再生や環境対策、防災・危機管理といった多様化・高度化する行政需要を的確に県政へ反映していく必要があります。
 また、この夏の台風12号、台風15号による相次ぐ台風災害や近い将来発生が予想されている東南海・南海地震をはじめとする自然災害の発生の恐れ、さらには、福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の拡散など、県民の安全・安心を守るために取り組むべき課題は山積しています。
 もとより本年は第2次行革プランスタートの年ではありますが、平成22年度決算においては、一部の財政指標について改善が見られるものの、依然として全国最悪に近い財政状況にあることから、限られた財源の中で収支のバランスを取りながら、これまで以上に施策の優先順位の明確化と「選択と集中」を徹底し、政策目的の達成に向けたメリハリのある予算編成を徹底させていく姿勢が欠かせません。
 こうした考えのもと、兵庫県議会民主党・県民連合議員団では、厳しい財政状況のもとにあっても、県民が将来に希望を持つことができる社会の実現に向けた予算が編成されるよう、ここに県政として優先的に取り組まれるべき8つのテーマ、計88項目からなる申し入れ項目をとりまとめました。
 井戸知事におかれましては、2012年度当初予算編成にこれらの項目を適切に反映くださるよう、ここに申し入れを行います。

Ⅰ 真の分権型社会の構築と県民の参画と協働に向けて

1 地域の自主性及び自立性の向上

(1) 地域の自主性及び自立性の向上

1、地方税財源の充実強化や税源移譲に伴う自治体間の財政力格差の拡大を防ぐ新たな制度の導入などの財政調整制度の強化を、国に対して積極的に働きかけ、その実現を図ること。
2、国と県の役割について、広域行政に純化されていく県と総合行政体としての国との役割分担の明確化に向けて、さらなる検討を進め、国に対して強力に働きかけること。

(2) 県と市町の役割の見直し

1、市町が自律的な行財政運営を行い、それぞれの能力を高めることができるよう、広域・専門的な視点からのきめ細かな支援や情報提供に努めること。
2、県と市町の役割分担や機能のあり方などについても議論を深めるための協議の場を設定すること。
3、合併による市町規模の拡大や地方分権関連法令の整備等を踏まえ、「県から市町への権限移譲等推進計画」の見直しを行い、市町の能力や実情に応じた一層の事務の権限移譲を推進すること。
4、定住自立圏構想等を踏まえ、市町間の連携・協力による地域活性化への取り組みに対する 支援を進めること。

(3) 「関西広域連合」による取り組みの強化

1、中央集権と東京一極集中を打破し、地方分権の突破口を開くために設立した「関西広域連合」の設立趣旨を踏まえ、国に対し権限移譲を積極的に求めていくとともに、「関西広域連合」を中心とした近隣府県との連携強化により、国からの権限移譲の受け皿となりうる成果を着実に示すこと。
2、広域的な行政課題として取り組むことが有効な事業については、関西広域連合による取り組みとして推進すること。
3、東日本大震災等による被災地への広域支援の実情等を踏まえた「関西広域防災計画」の策定を進めること。

(4) 防災副首都の関西誘致

1、関西における首都代替機能の設置促進に向けて、関西を国土・防災・有事に関する法律や計画等に位置づけることを強く国に対し求めていくこと。
2、企業の本社機能の関西への誘致をより積極的に進めること。

2 行財政構造改革の推進

(1) 行財政構造改革の推進

1、国の政策転換や経済情勢など、県を取り巻く環境の変化を踏まえながら、第2次行革プランに沿って、徹底した事務事業等の見直しを行うこと。
2、県民・市町・関係団体等の声を十分に踏まえ、行政サービスの低下を招かないよう実効ある県民本位の行財政構造改革に取り組むとともに、県民・市町・関係団体等への十分な説明を行うこと。
3、事務事業改革については、簡素で効率的な事務執行体制を整備するとともに、部局間の連 携、市町との役割分担という視点をもって実効性の向上に取り組むこと。特に、医療・福祉・教育など県民生活と直結する施策については、現場主義を基本姿勢として取り組むこと。
4、県政全般に関する政策立案を担当する政策監の実効ある機能強化を図ること。
5、試験研究機関の運営については、人材の確保を考慮した研究テーマの選定や企業等との共同研究における中立性の確保、さらには、外部資金の獲得については、資金獲得自体が自己目的化することのないよう注意すること。
6、県及び公社等が保有する用途未定地や未処分資産の取り扱いについて、公社等経営評価委員会の報告も踏まえ、期限を設定した具体的な対応を進めること。
7、県及び公社等の職員の不祥事根絶に向けて、公務員倫理を徹底すること。
8、団塊の世代の大量退職や、行財政構造改革により職員の減少が進む中、職員一人ひとりの能力の向上と適切な人員配置等に取り組み、行政サービスの低下を招かない効率的な執行体制を確保すること。
9、職員のメンタルヘルスの確保については、精神保健専門医の配置による産業医の充実に加え、職員のメンタルヘルス診断の実施やメンタルヘルス研修を通じた管理職の意識の向上に取り組むこと。

(2) 定員・給与等について

1、定員については、財政改革のための一律削減ではなく、毎年の事業量を精査したうえで、必要な人員の確保を前提として決定すること。
2、給与については、人事委員会勧告を尊重するとともに、職員の生活実態を考慮したうえで、まじめに働いた職員が報われる人事制度の構築や職員のモチベーションを保つ施策等を積極的に進めること。

(3) 県民局のあり方の精査

1、地方分権の進展、市町の行政体制や政令市・中核市の状況等を踏まえ、再編された県民局や地方機関の状況について必要な検証を実施すること。
2、県民局が現地解決型の機能を発揮していくため、管内市町の様々な行政サービスの課題を的確に把握し、類似事業を県民局が実施しないよう配慮すること。また、住民サービスの格差解消に向けた調整やマネジメント能力の向上を図るとともに、権限や予算を本庁から委譲すること。
3、県と市町との役割をさらに精査し、県民局が果たす役割を十分明確にした上で、再々編も含め、調査・研究を進め、県民局の再々編に当たっては、10県民局を一律体制とするのではなく、地域の実情に合わせた組織体制とすること。
4、「地域ビジョン推進プログラム」の展開に当たっては、様々な活動団体との連携により、新たな参加者を増やしながら、県民の主体的な活動のさらなる促進や、県民同士の交流の拡大を図ること。

(4) 公的施設・県有施設運営の改善

1、指定管理者制度導入については、公共性・安全性、利用の公平性等に十分に配慮するとともに、公募による指定管理者の選定を積極的に推進すること。
2、指定管理者の選定に当たっては、民間のノウハウを積極的に導入する視点から、選定対象が公社等外郭団体に偏りすぎることのないよう配慮するとともに、透明性や公平性を確保するため、評価項目や配点の事前公表等に加え、サービス要求水準や設定根拠の明確化を図ること。
3、指定期間については、現行の標準指定期間である3年を延長するなど、制度運用の改善に努めること。
4、指定管理者の業務実態の把握に努め、得られた評価結果が業務改善に反映されるよう万全を期すること。
5、廃止を検討する公的施設については、市町への移譲が円滑に進むよう、地元住民への十分な説明、協議を行うこと。
6、県有施設に関しては、その管理運営に係る基本方針や具体的な整備計画を定め、全庁的な保有総量・利用調整のあり方の見直しを含めた検討を行うこと。

(5) 投資事業の改革

1、依然として高い水準にある投資事業規模をさらに精査して、真に必要な事業とその優先順位を定め、実施するとともに、大型プロジェクト事業を見直し、地域生活関連投資事業を推進すること。
2、ダム建設については、社会情勢の変化を踏まえ、必要性や緊急性を客観的に評価し、工事途中での事業廃止も排除せず、事業計画を再検討しながら慎重に進めること。
3、事業実施にあたっては、費用対効果の高い整備手法を採用するなど、事業費の削減を図り、予算の内訳や使途の妥当性、事業の実施過程の透明性を確保するほか、費用対効果の事後検証を行うなど、県民への説明責任を果たすこと。
4、最低制限価格の適正な設定や総合評価落札方式の充実等によるダンピング受注の排除など、より一層の競争性・公平性の向上や談合防止効果の高い入札・契約制度に向けてさらなる改善に取り組むこと。
5、事業費の一部を市町や団体に求めるものについては、費用負担について市町等の十分な理解と協力を得ながら進めること。

(6) 公社等外郭団体の改革

1、監査委員の監査対象とならない団体についても、監査体制の強化や、十分な情報開示の実施、透明性の確保と効率的な運営を図ること。
2、県からの派遣職員や県OB職員は、在職期間が短く、運営に対して長期的な展望や責任が持ちにくいことなどから、一律の基準でOB職員を派遣するのではなく、各団体の実態を十分に踏まえた職員配置を行うこと。

(7) 企業庁事業の改革

1、地域整備事業については、民間ノウハウの積極的な導入などにより分譲促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に応じて、事業の廃止等も視野に入れた戦略への見直しを図ること。
2、水道用水供給事業については、水需要の増加が今後期待できず、老朽化施設の更新に多額の支出が見込まれる中、総合経営計画(後期6カ年)で示した黒字経営の継続、企業債残高の削減に向けた経営改善を着実に推進すること。

3、参画と協働の推進と共生社会の実現

(1) 県民の参画と協働・個性を生かす地域づくりの推進

1、県民と行政が協働して地域課題に取り組んでいくため、情報提供の充実やボランタリー基金等を活用した活動への助成など、多様な活動への支援を一層充実するとともに、活動を評価できる仕組みづくりを進めること。
2、改正NPO法の施行や「新しい公共」をより充実させる観点から、地域社会の担い手の一つとなるNPO法人の設立や財政基盤の強化に向けた支援を充実させること。
3、いわゆる団塊の世代や若い世代をはじめ、障がい者や外国人など多様な主体の参画による地域づくり活動を支援すること。
4、国が進める総合特区の仕組みを活用しながら、地域住民やNPO、企業等と協働した、「あわじ環境未来島構想」の実現を目指すとともに、県内各地域の活性化を図るため、ハード・ソフト両面から、持続可能で夢のある施策への一層の取り組みを進めること。
5、高齢者が第二の人生を生き生きと充実して暮らせるよう、人材バンクやシルバー人材センターの有効活用など、培ってきた知識や経験、ノウハウを社会に還元し、活用できる仕組みづくりを進めること。

(2) 人権尊重の行政の推進

1、高齢者や障がい者、被差別部落関係者、在日外国人及びHIV感染者等への差別撤廃に向けた行政を推進するとともに、全ての行政部門間で人権尊重の理念を徹底させること。
2、広く人権尊重の普及高揚を進める教育や研修・啓発活動を推進するなど、人権啓発の一層の充実への取り組みを進めることにより、差別が無く、県民全てがお互いを認め合いながら共に生きる「共生社会」の実現を目指すこと。
3、(財)兵庫県人権啓発協会の事業充実を図ること。
4、隣保館の運営・整備の充実を図ること。
5、「人権文化をすすめる県民運動推進市町補助」の充実を図ること。

(3) DV・家庭内暴力対策の推進

1、配偶者や恋人に対する暴力、児童虐待、高齢者や障がい者への虐待については、各地域において、警察も含めて全庁的に取り組む体制を構築するとともに、地域、学校、行政、警察、専門機関、関係団体等の連携の強化に努めること。
2、相談体制の強化やサポート体制の確立、加害者への教育の充実等により、効果的な抑止及び被害者の救済・支援に取り組むこと。
3、DV対策については、民間施設も含めた被害者保護施設の整備促進を図ること。
4、デートDVへの対策については、中高生対象の研修会を計画的に実施すること。
5、各市町におけるDV対策基本計画策定、支援センター設置への働きかけを強化すること。
6、こども家庭センターを県民局単位に設置し、児童福祉司等専門職員の増員など児童福祉機能を充実強化すること。
7、親からの虐待などにより家庭で生活できない子どもたちの受け皿の充実に向け、人材の確保・育成など専門的なケア体制の整備や児童養護施設の小規模化など、きめ細かな支援が行える環境整備を進めること。
8、離婚した両親の影響を受ける子どもたちの健全な育成の場として、安全に安心して親子が面会できる「面会交流支援センター」の設置に取り組むこと。
9、高齢者への虐待防止については、市町との緊密な連携を図りながら、虐待防止ネットワークの構築や老人福祉施設職員への研修機会の充実など、有効な対策を講じること。

(4) 男女共同参画社会の実現

1、「新ひょうご男女共同参画プラン21」に基づく諸施策を進めるとともに、その実効性を担保するため、県民、企業、市町等の積極的な意識改革を進めるなど、その浸透を図ること。
2、女性と男性がともに仕事と家庭の両立を図れるよう、家庭内での理解を深めるとともに、ワークライフバランスの確立に向けて取り組むこと。
3、ワークライフバランスに取り組む中小事業所への支援を充実すること。

(5) 自殺対策の推進

1、自殺者の増加に歯止めをかけるため、マスコミとの協力体制の構築も含め、職域、学校、地域等とも連携しながら、相談体制の充実、精神科医療の適切な受診環境の整備等を推進するとともに、自殺対策本部を中心に、気づき・見守り体制や心の健康を守る体制の充実を図ること。
2、「平成28年度までに県内自殺者を1,000人以下に減少させる」目標を達成するため、その具体的な取り組みと自殺者減少目標数に関する年次計画を作成するなど、戦略的な取り組みを進めること。
3、精神保健的な視点だけではなく社会・経済的な視点をも含めた有効な対策を進めること。
4、自殺者が特に多い30歳代から50歳代の世代への対策については働き方との関連もあることを認識し、関係団体との連携のもと、全庁横断的な課題として、取り組みを強化すること。
5、うつや引きこもり問題についても、学校、地域、関係機関等との連携による、総合的な対策に取り組むこと。

Ⅱ 健康福祉社会の実現に向けて

1 健康づくり対策の推進・医療体制の充実

(1) 県民の健康づくりの推進

1、食生活の改善や運動不足・ストレスの解消など、県民一人ひとりによる生活習慣の改善や社会全体での健康づくりを支援し、県民の健康づくり運動の定着を図ること。
2、特定健康診査(メタボリックシンドローム健診)・特定保健指導のより円滑な実施に向けては、医療保険者や市町等と連携し、健診従事者の養成や医師会との連携など、実施体制を整備するとともに、健診受診率及び保健指導実施率の向上を図ること。
3、歯の健康づくりについては、歯周疾患の予防を基本に、各健康福祉事務所等を窓口として歯科衛生士の能力が十分に発揮される体制の整備に努めること。
4、生活習慣病対策については、医療・保健・福祉の各分野が、情報を共有し、さらなる連携強化を図りながら施策を展開すること。

(2) 地域医療の確保

1、地域の医療連携を推進するため、二次保健医療圏域を単位とした医療機関の適切な役割分担、相互連携を進めるとともに、かかりつけ医・総合医の普及定着を基本に、医療機関が効率的に機能するシステムの構築に取り組むこと。
2、小児科、産科、麻酔科などの診療科偏在及び地域偏在を解消するため、就労環境の整備やへき地医の養成などに積極的に取り組むこと。
3、産科医の負担を軽減するため、助産師の確保対策の充実と助産院の設置支援を進めること。
4、地域の公立病院等、不採算部門を抱える地域医療機関への支援に取り組むこと。
5、県内医療機関における小児科医・産科医の確保への支援や地域医療体制における輪番制を確立すること。
6、小児救急医療電話相談体制を充実させること。
7、阪神北地域で実施されている小児急病センターの全県的な拡大を図るため、より一層市町や医師会との協議を進めること。
8、地域周産期母子医療センターのさらなる充実を図ること。
9、市町や医師会に対し、休日歯科診療事業の実施に向けて、働きかけを行うこと。

(3) 疾病対策の推進

1、「がん診療連携拠点病院」の機能を強化すること。
2、がん対策については、地域医療機関等との医療連携を図り、県内各地域における医療水準の均てん化を進めるとともに、早期発見に向けた診断力の向上や、情報提供と相談支援体制の充実など、患者の立場に立った総合的な対策に取り組むこと。
3、肝がん対策については、肝炎ウイルス検診の受診率向上を図るとともに、肝疾患診療連携拠点病院と専門医療機関・協力医療機関、地域のかかりつけ医との連携による治療体制の強化を推進すること。
4、アレルギー性疾患対策の充実を図ること。
5、新型インフルエンザ対策については、ワクチンの円滑な接種や抗インフルエンザウイルス薬等の適切な備蓄、発熱外来の運営、パンデミック時の病床・医療機能の確保に向けて医療機関との調整を一層進めるなど、万全の対策を講じること。
6、難病患者対策については、国の認定を受けていない疾病も含めて、課題と対応策等の検討を行うとともに、対策の充実強化を引き続き国へ働きかけること。
7、社会環境の変化に伴って急増している各種精神疾患に対して、その未然防止となる引きこもりへの対応を含め、ひきこもり家族教室の拡充など実効ある対策を十分に取り組むこと。
8、音楽療法・園芸療法については、療法の効果に関する研究への支援の拡充や統一的な認定制度確立に向けた国への働きかけ等により、技術水準の向上と療法の普及促進を図ること。

(4) 県立病院の円滑な運営

1、より良質な医療の提供に向けて、診療機能の高度化・効率化に努めるとともに、適切な公的負担の下で、自立した経営が確保できるよう、医療資源の有効活用や職員の経営意識の向上など、計画的な経営改善に取り組むこと。
2、各病院における経営改善への取り組み状況を積極的に開示し、医療サービスの見直しを行う場合には、県民への説明責任を適切に果たすこと。
3、患者が安心・納得して治療に専念できるよう、治療方針を決定する際には複数診療科の医師等がグループを編成して決定できるよう、チーム医療体制を充実すること。
4、医療事故ゼロをめざし、事故防止に向けた取り組みを強化すること。
5、不育症(妊娠しても流産、早産してしまうケース)の専門外来を設置するなど、成育医療に対応する診療機能を充実すること。
6、県立がんセンターについては、存命率の向上をはじめ、診療機能のさらなる高度化を図るとともに、全県のがん診療連携拠点病院として、高度専門医療、研修事業、相談事業等の運営機能を充実すること。
7、粒子線によるがん治療については、早期の保険適用を強く国へ働きかけること。
8、ターミナルケアへの注目が高まる中、看護師養成課程で学んだ「看取りケア」が県立病院で実践されるよう県立大学看護学部との連携を図ること。
9、給与の改善、女性医師の働きやすい職場環境づくりや臨床研修制度の内容充実など、医師確保対策を強化すること。
10、尼崎病院と塚口病院の統合再編については、統合再編基本計画に基づいて、県立病院本来の役割を再確認し、地元尼崎市との役割分担を明確にした上で、関係者や地域住民の理解を得ながら進めること。

(5) 食の安全確保と食育の推進

1、「食の安全安心と食育に関する条例」に基づいて、食の安全安心の確保と食育に関する諸施策を総合的かつ計画的に展開すること。
2、食育推進計画が、県内全市町において策定されるよう支援すること。
3、地域の伝統的な食文化や農業への理解を深め、守り、継承する取り組みを進めるとともに、生涯にわたって健全な食習慣が維持されるよう、若い世代を対象に、いずみ会や地域の中で活動している市民団体などの協力を得ながら食生活改善対策を推進すること。
4、食の安全安心の確保に向けた生産者・事業者の自主的な取り組み、食の品質管理の強化を推進すること。
5、食品表示並びに輸入食材に対する管理・検査体制の充実や、食品情報に関する理解を促進すること。
6、HACCP手法やトレーサビリティシステムの導入促進、ポジティブリスト制の施行に対応した残留農薬等への検査体制の強化、食品営業施設等への監視の強化、未審査の遺伝子組み換え食品の流通防止体制の強化等を推進すること。
7、すべての遺伝子組み換え食品や、クローン動物由来食品の表示の義務化について、国へ働きかけること。

2 介護・高齢者福祉の充実

(1) 充実した高齢者医療制度の確立

1、本格的な高齢社会の到来に備え、老後における健康の保持と適切な医療の確保に向けた施策充実を図ること。
2、後期高齢者医療制度については、現行制度の廃止・新制度への移行にあって、被保険者の利用に支障を来たさないよう、適切に対応すること。

(2) 介護サービス基盤の充実

1、地域包括ケアの中核的機能を担う地域包括支援センターの機能強化や地域医療と介護事業の連携の強化などによる地域ケアの総合的な推進を図ること。
2、介護予防サービスについては、地域間格差の発生を防止するとともに、サービス受給者にとって最も効果的な制度となるよう、職員への研修の充実等により、市町への支援、事業者への指導等を強化すること。
3、介護職員の処遇改善やキャリアアップへの支援等により、介護人材を確保するとともに、多様なニーズに対応した介護施設の整備を進めることによって、介護サービス提供体制の充実を推進すること。
4、要介護者が地域に住み続けられるよう、地域密着型の小規模介護施設の整備の推進のほか、在宅生活を支える施策の推進や相談体制の充実・強化など、実際に介護にあたっている家族への支援にも取り組むこと。
5、いわゆる「介護難民」や「医療難民」の発生を防止するため、療養型病床の廃止等に際しては、地域介護・福祉空間整備等交付金などを活用して老人保健施設等への転換等を支援すること。
6、福祉、建築、消費者行政等関連部局との連携による情報の共有や市町職員や訪問介護員の研修の充実等を図り、介護保険に伴う住宅改修トラブルの発生防止に努めること。
7、公営住宅等の空き部屋等の小規模・多機能ホームとしての活用などを検討すること。
8、専門的なノウハウを持つ民間企業やNPOと協働し、公営住宅や民間住宅におけるグループホーム等の設置や、自治体保有の土地を利用したケアハウスの整備に取り組むこと。
9、介護保険サービスの内容を効率的・効果的にチェックできるシステムが、サービスの利用者や家族にとって利用しやすいものとなるよう引き続き国に働きかけること。
10、生活援助員(LSA)の資質の向上に努めるとともに、その増員に向け市町を支援すること。
11、市民後見人養成制度の拡充を図るとともに、修了後の活動に対しても支援すること。

(3) 認知症対策の推進

1、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、介護サービスの充実を図ること。
2、地域住民の認知症に対する理解促進に努めるため、認知症サポーターの養成のほか、地域ぐるみの見守り体制の整備に取り組むこと。
3、認知症疾患医療センターを老人福祉圏域ごとに速やかに配置するとともに、認知症サポート医の養成、かかりつけ医の対応能力向上や診療機関の多くに「物忘れ外来」を設置するなど認知症に対応できる地域医療体制を早急に構築すること。
4、若年性認知症の患者を支援するため、課題の検証及び職場や地域社会における理解促進を図ること。

3、障がい者福祉の充実

(1) 障がい者福祉サービス基盤の確保

1、障がい者自立支援サービスの提供主体である市町の体制整備を支援し、人材養成や相談支援体制の整備、在宅重症心身障害児者への支援等を含めたサービス基盤の確保に取り組むこと。
2、障がい者福祉制度の抜本的な見直しにおいては、サービス利用に支障を来たさないよう、適切に対応すること。
3、障害者自立支援法の廃止・新法制定も見据え、市町との連携のもと、低所得者の負担低減に取り組むこと。
4、障がい者サービスの基盤充実、人材育成、就労支援などの環境整備を一層推進すること。
5、手話通訳派遣事業については、手話通訳者の養成に努めるとともに、派遣事業の拡充を市町に働きかけること。
6、障がい者の居宅生活の推進に向け、障がい者に創作的活動及び生産活動の機会や社会との交流の場を提供する地域活動支援センター並びに10人未満の小規模作業所の運営を支援するとともに、小規模作業所等から地域活動支援センターに円滑に移行できるよう各種支援を充実すること。
7、障がい者ヘルパーを積極的に養成すること。
8、訪問型歩行訓練士の派遣事業については、視覚障がい者の社会参加と精神的自立をさらに促進するため、事業の拡充に努めること。
9、県立聴覚障害者情報センターについては、聴覚障がい者への周知や運営について、十分に配慮すること。

(2) 就労・社会参加支援の充実

1、障がい者の自立に向けて、就労に加えスポーツや芸術文化を通じた社会参加を支援すること。
2、就労については、福祉的就労から一般就労へ移行していくため、農業分野を含む多様な就業形態の実現と就業の場の拡大等、企業等との連携を通じた取り組みを推進すること
3、県の物品調達等における障がい者就労事業所への優先発注等により、障がい者の就労の場の拡大を図ること。
4、障がい者雇用の成功事例の共有など、雇用者側に対して、障がい者雇用の不安解消に向けて取り組むこと。

4、生活困窮者支援の充実

(1) ホームレス自立支援の推進

1、ホームレスへの巡回相談の結果等も踏まえながら、兵庫労働局や市町、民間支援団体等とも連携し、保健・医療の確保、安定した居住場所の確保、就労支援や生活支援の充実など自立に向けた総合的かつ実効性の高い支援を展開すること。

5、少子化対策・子育て支援の充実

(1) 少子化対策の総合的な推進

1、21世紀の成熟社会において、子育てが負担にならない家庭像の構築をはじめ、総合的な少子化対策を展開すること。
2、「ひょうご仕事と生活センター」との連携のもと、ワークライフバランスへの実効ある施策展開に力点を置き、労働施策と連携した少子化対策を推進すること。
3、不妊治療に対する支援体制の更なる充実を図ること。
4、企業の子育て支援力アップを積極的に支援し、女性が意欲と能力に応じて働き続けられる社会構造への変革を図ること。

(2) 子育て支援の充実・青少年健全育成の推進

1、保育所の待機児童解消・保育サービスの地域格差解消等に向けた取り組みを進めること。
2、教育や医療も含めた子育て全般に係る経済的支援を拡充するなど、福祉対策から少子化対策への転換を図りつつ、子育て環境の充実を図ること。
3、家庭や地域における教育力を高めるため、「まちの子育てひろば」や「子育て応援ネット」など一体的な子育てや実践的な家庭応援活動等を引き続き積極的に支援すること。
4、「認定こども園」の設置促進、医師会と連携した病児・病後児保育、24時間保育などの保育所機能の強化や学童保育の充実等、保育の質の確保・向上に努めること。
5、保育ママ制度の導入・充実や、学生ボランティアが子育て支援に参画し易いしくみの構築、青少年を守り育てる県民スクラム運動の充実などにより、地域全体で親子の「学び」や「育ち」を支える環境づくりと青少年の健全育成を推進すること。
6、駅前や商店街等への保育所の新増設、定員の増や弾力化、分園の設置などに関して市町を積極的に支援すること。
7、事業所内に保育施設を設置する事業主に対し、設置経費だけでなく運営経費への助成も充実させること。
8、認定こども園について、十分な情報提供等により保護者が的確に選択できる仕組みを構築するほか、真の幼保一元化の実現に向けて国に対して制度改革・改善を働きかけること。
9、認定こども園については、保護者の就業の有無に関わらず、すべての子どもが受け入れられ、また職員配置をはじめ認定基準に基づき適正に運営されるよう、施設等への指導を徹底すること。
10、保育料及び乳幼児医療に係る自己負担については、受益と負担のバランスに考慮しつつも、少子化対策の観点から支援策の充実に努めること。
11、青少年愛護活動推進協力員等を中心に、地域住民、学校、事業者、行政が連携し、良好な社会環境づくりを推進するとともに、犯罪等から青少年を守る取り組みを積極的に展開すること。
12、不登校やひきこもり、いじめなど、青少年をとりまく課題の深刻化に適切に対応し、家族を含め、青少年各個に応じた課題解決への支援体制を強化すること。

6、消費者保護の推進

(1) 消費者行政推進体制の整備

1、関係部局間の連絡調整が確実に行われるよう庁内の体制整備を行うこと。
2、全市町に設置された消費生活センターにおける消費生活相談員等を一層充実するなど、必要な支援を行うこと。

(2) 消費者への情報提供・相談対応の充実

1、消費者トラブル・消費者被害情報の収集と迅速な情報提供等に努めるとともに、消費生活センターにおける相談能力、相談体制の充実を図ること。

Ⅲ 新たな兵庫教育の推進に向けて

1 基礎学力の定着と個性を生かす教育の推進

(1) 発達段階に応じた教育環境づくりの推進

1、少人数学級の着実な推進などにより、読み・書き・計算をはじめとする基礎・基本の学力の確実な定着を図ること。
2、一人ひとりの個性・能力を伸ばすなど、児童生徒の発達段階に応じた教育環境づくりを推進すること。
3、教職員等の定員増を図り、35人学級編制を推進するとともに、小学校高学年における「兵庫型教科担任制」を検証し、より効果的な展開を図ること。
4、子どもたちの学ぶ環境について検証し、基礎的、基本的な学力向上だけでなく、探求心を育て、創造性、個性を伸ばす教育環境づくりを推進すること。
5、子どもの活字離れを防ぎ、また豊かな心や想像力を育むため、学校や地域、家庭が協力して読書活動を推進すること。
6、図書館活用教育については、県内すべての小・中学校の現状把握・検証を進め、必要に応じた図書費の助成を行うとともに、専任の司書教諭の配置などによる充実を図ること。
7、社会人・職業人として自立していくため、教育段階に応じた倫理観の醸成や労働教育の充実を図ること。
8、特別支援教育については、増加傾向にあるLD、ADHD、高機能自閉症等を含めた障がいのある児童生徒一人ひとりのニーズに応じた教育・対策を推進すること。
9、市町が行う特別支援教育への支援に取り組むこと。
10、障がいの重度化や多様化、後期中等教育の充実に対応するため、規模過大校への対応の優先など地域の実情に配慮し、計画的に特別支援学校の整備を推進すること。
11、特別支援学校の生徒の卒業後の自立に向けては、職業教育の充実をはじめ、生徒の能力が発揮できるよう適切な指導を行うこと。
12、小学校英語活動の充実に向けて、担任教員に対する研修の充実や専任教員を配置すること。

(2) 特色ある高等学校教育の展開

1、学校の創意工夫を生かした特色ある取り組みや、学びたいことが学べる魅力ある学校づくりのための施策を積極的に展開すること。
2、県立高等学校教育改革第二次実施計画に基づき、魅力ある高校づくりを推進するために実施した、単位制の導入、総合学科や特色ある専門学科の設置など、これまでの取り組みを検証すること。
3、近年、生徒が急増している定時制・通信制高校については、多様化する生徒に対応するため、現状に即した高校づくりを進めること。
4、適切な教職員や外部講師の配置、施設等整備の充実を図ること。
5、高校生地域貢献事業「トライやる・ワーク」については、これまでの評価を踏まえ、地域安全活動や社会教育推進活動などへ一層幅広い展開を図るとともに、持続的なボランティア活動につながるように配意すること。
6、学区内における学校間交流を促進し、地域と一体となった特色ある普通科高校の構築を支援するとともに、必要に応じて専門学科と職業高等学校との単位互換を可能とすること。

(3) 県立大学の自律的かつ効率的な運営

1、全庁的な行革への取り組みや、少子化という時代背景の中で、地域社会への還元、社会貢献、県政への連携といった視点に立ち、県立大学のあるべき姿を確認しながら自律的かつ効率的な運営を行うこと。
2、学生や地域にとってより魅力ある大学とするため、環境防災学科の創設など、学部・研究科等のさらなる個性化・特色化に向けた取組を統合時の理念も踏まえながら推進すること。
3、専門性の高い管理栄養士の養成、地域ケア開発研究所を拠点としたネットワークの早期構築による看護と介護の連携、中型放射光施設ニュースバルの産業利用など、広い分野で地域への貢献に積極的に取り組むこと。

2 豊かな人間性を育む教育の推進

(1) 「生きる力」を育む教育の充実

1、「自然学校」や「トライやる・ウィーク」等の成果の検証を行い、児童生徒の発達段階に応じた一貫した体験教育や、金銭・ITなど、実生活に直結した教育を推進すること。
2、いじめや不登校などの問題行動等に適切に対応できるよう、県立但馬やまびこの郷での取り組みをはじめ、心のケアが必要な子どもたちに対する支援システムを確立するとともに、教職員の資質向上に向けた各種研修の実施等、人的支援の充実を図ること。
3、復興担当(心のケア担当)教員制度で培った人的資源とそのノウハウを生かし、子どもたちの心を支える取り組みを充実・強化するとともに、小学校へのカウンセラーの配置を拡充すること。
4、「兵庫県環境学習環境教育基本方針」に基づき、幼児期、学齢期などライフステージに応じた環境学習・教育を推進すること。

(2) 学校における総合的な食育の推進

1、食育に係る学校の指導体制や子どもへの指導内容の充実強化に努めること。
2、関係部局とも連携して米飯給食の拡大や日本型食生活・地元産農林水産物の積極的な導入を進めること。
3、公立中学校への学校給食の導入推進について調査・検討を行うこと。
4、栄養教諭を県内全校に配置するなど、学校給食の充実を図り、総合的な食育を推進すること。

(3) 人権教育の推進

1、「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」「人権教育基本指針」「外国人児童生徒にかかわる教育指針」に基づいた具体的な取り組みを推進すること。
2、教育事務所に配置している人権教育推進員を拡充すること。
3、子ども多文化共生教育支援事業の充実を図ること。
4、指導力の向上と人権意識の高揚を図るための指導者研修の充実を図るとともに、人権教育資料(副読本等)の充実を図ること。

3、家庭・地域社会教育の充実

(1) 学校・家庭・地域が一体となった教育の推進

1、学校・家庭・地域の協働のもと、自然体験、社会体験、芸術体験、ボランティア活動などの体験学習の機会を充実すること。
2、情報・環境・福祉・人権・多文化共生など、時代の要請に対応した教育を推進すること。
3、学校施設の整備・活用等により、小・中学生が放課後安全に過ごせる子どもの居場所づくりをより一層推進するとともに、学童保育の充実にも努めること。
4、オープンスクールを推進する中で、地域住民との連携を深めるとともに、防犯の専門家、警察OB等の地域学校安全指導員を配置するなど、学校の安全確保対策に取り組むこと。
5、「ひょうごっ子いじめ相談24時間ホットライン」での相談事業と子ども家庭センターとの連携を強化し、いじめへの適切な対策を講じること。
6、不登校児童・生徒の解消については、相談・指導体制、児童生徒・保護者支援、体験活動の充実などを含む再登校プログラムを策定し、総合的な取り組みを着実に推進すること。
7、中学卒業者や高校中退者等に対する進路等の相談体制を充実すること。
8、緊密化・複雑化が進む国際社会の状況を踏まえ、相互に信頼・尊重しあえる児童生徒の育成を図るため、国際理解教育をより積極的に推進すること。

4、学校教育の環境の整備

(1) 教育を受ける機会均等の保障

1、高校授業料無償化の導入も踏まえ、私立学校を含めた公教育における公費負担を確保することによって教育を受ける機会の平等を図ること。
2、勤労青年等への教育機会確保を図るため、定時制高校の募集定員の弾力的運用に努めること。
3、定時制高校の統合再編に当たっては、通学の利便性等を十分に考慮し、教育を受ける機会が損なわれることのないよう、交通アクセスの確保を行うこと。
4、阪神地域において新たな多部制単位制高校とともに設置される2つの分教室の取り扱いについては、存続期間を3年に限定することなく、社会情勢や現場実態を勘案しながら、柔軟に対応すること。
5、定時制高校については、公立学校である定時制高校が受け持つ意義・役割を十分に踏まえ、多様化する生徒のニーズに対応した魅力ある高校づくりを進めること。
6、通学区域の検討については、県内各地での説明会やパブリックコメントを実施してきたところであるが、本来の公立高校の役割や県内各地域の実情を踏まえるとともに、保護者をはじめとする県民への十分な説明と理解を得ながら、その是非を含めて慎重に進めること。
7、児童養護施設に入所している児童の進路については、教育・福祉の両面から支援すること。

(2) 安全・安心な学校づくりの推進

1、県立学校の施設設備は、災害発生時の児童生徒の安全を確保するとともに、応急的な避難所としての役割を果たすため、計画的に老朽化対策や耐震化を進めるとともに、市町立学校施設の耐震化促進を支援すること。
2、学校、家庭、地域が連携した安全マップづくりなど、安全・安心な学校づくりに地域全体で取り組むこと。

(3) 教職員の勤務環境の改善

1、多忙化している教職員の勤務実態を踏まえ、勤務時間の適正化やメンタルヘルスケアをはじめとする教職員への支援体制を充実するとともに、業務・研修のあり方を見直すなど勤務環境の改善を図ること。
2、国による40人学級の見直しなど、教育環境の変化を踏まえ、教育現場での正規雇用・非正規雇用それぞれの処遇改善を進めること。
3、学校で教員の研修が行えるよう、教育現場における人員配置の充実を図ること。
4、モンスターペアレントへの対応策を強化し、現場の教職員に負担をかけないよう、教育委員会が責任を持って対応すること。

5、芸術文化・スポーツの振興

(1) 芸術・文化の振興

1、地域の特色を生かしつつ、地域ぐるみで伝統文化や伝統芸能などを継承すること。
2、若手芸術家をはじめとした芸術・文化の担い手を育成し、兵庫の芸術・文化の創造・発信を進めること。
3、県民が芸術・文化に触れる機会の拡充に努めるほか、地域での多様な活動の場づくりを進め、兵庫ならではの豊かな文化の広がりと定着に取り組むこと。
4、県立尼崎青少年創造劇場は、関西の演劇発展上重要な役割を担っていることから、人材育成を含めた、将来のあり方を示して事業を展開するとともに、アメニティの改善の検討を行うこと。

(2) スポーツの振興

1、のじぎく兵庫国体・のじぎく兵庫大会の開催成果を継承・発展させ、地域スポーツの定着、生涯スポーツの振興などスポーツ活動のすそ野の拡大と定着に努めること。
2、総合型地域スポーツクラブの永続的な運営のための支援を国に働きかけるなど、生涯スポーツ社会の実現への取り組みを進めること。

Ⅳ 県民が安全で安心して暮らせる治安体制の充実と危機管理に向けて

1 治安の向上

(1) 総合的な地域安全対策の推進

1、犯罪情報の積極的な公開等を通じてまちづくり防犯グループの活動を支援すること。
2、ボランティア団体、自治体など関係機関・団体、事業所等との連携や、住民が中心となって取り組む地域安全まちづくり活動への支援を通じて、地域の犯罪や交通事故の抑止力の強化に努めること。
3、警察OBの有効活用等による交番機能の強化など、地域の防犯体制の充実・強化を推進すること。
4、住民が必要とする地域の犯罪情報や被害防止に役立つ防犯情報については、犯罪捜査の妨げにならない限りにおいて、迅速かつ具体的に情報提供し、これらの情報を地域で共有できるネットワークづくりを推進すること。
5、地域社会全体が一体となって、少年の健全育成に携わる「地域の子どもは地域で守り育てる」活動をより活性化させるとともに、関係機関・団体等と緊密に連携し、少年の非行防止と健全育成に向けた総合対策を展開すること。

(2) 犯罪の抑止と徹底検挙

1、犯罪のハイテク化や国際化など、社会や犯罪の性質の変化に柔軟に対応するため、警察組織・人員の効率的な運用や初動捜査体制の整備など、捜査力・執行力の充実・強化を図ること。
2、経済事犯やサイバー犯罪など県民の身近で発生する生活経済事犯の予防に向け、取締りの強化や関係機関との密接な連携による普及啓発活動を実施すること。
3、サイバー犯罪や犯罪の国際化等に対応するため、専門的知識を有する国際捜査官やハイテク犯罪捜査官等の積極的な採用や養成に努めること。
4、地域安全活動の充実、強化を図り、犯罪検挙率のより一層の向上に取り組むとともに、特に県民の不安感を増大させる街頭犯罪・侵入犯罪や悪質、巧妙化する重要凶悪犯罪や重要知能犯の早期検挙に努めること。
5、「暴力団排除条例」の適切な運用による暴力団等による組織犯罪への対策を強化するとともに、銃器や薬物の密輸・密売の防止を推進すること。
6、暴力団対策については、組織や資金源等の実態解明の徹底、中止命令等行政命令の積極的な発出等に取り組むとともに、特に準構成員については、新たな把握手法を確立すること。
7、国際機関や税関など関係機関との連携を強化し、銃器の密輸・密売の取締りを徹底するとともに、銃器の潜在化傾向に対処するため、警察に積極的に情報提供がされるよう県民の意識啓発を図ること。
8、高齢者団体・福祉関係団体、学校等に対する振り込め詐欺や悪徳商法、携帯電話の契約トラブル情報の啓発・情報提供に努めるなど、被害の未然防止対策をより一層強化すること。
9、薬物の乱用を防止するため、取締りの徹底、啓発活動の充実、再乱用防止対策の推進等、一層効果的・積極的な取り組みを推進すること。
10、警察官現員の維持確保、警察官OBや民間人の活用、育休中警察官等の定数外措置の検討などに取り組むこと。
11、人口急増地域や新興住宅街等地域では実情に応じて交番を設置すること。
12、科学捜査活動や交通取締り等に係る各種装備や資機材については、各警察署の状況を十分に把握し、充実を図るほか、特に車両装備については、効率的な運用により機動力の向上に努めること。

(3) 総合的な交通安全対策の推進

1、交通実態の的確な把握・分析を関係部局が連携して積極的に進め、総合的な交通安全対策を推進すること。
2、県民参加型の交通安全活動などを一層推進し、交通規則・マナーの遵守について、さらなる啓発に努めること。
3、飲酒運転や悪質な駐停車、無理な追い越しや車線変更、運転中の携帯電話使用等の取締りをさらに強化するとともに、自転車による事故の防止などに重点的に取り組むこと。
4、暴走族の集団暴走の徹底した取締りはもとより、暴走行為をさせない・暴走族を許さない環境づくりを推進すること。
5、交通事故多発地点の原因分析や通学路の安全点検を実施し、その結果に基づき必要な交通安全施設の設置を進めること。
6、違法駐車の確認事務の民間委託については、受託した法人や駐車監視員に対して、駐車監視員の遵守事項や具体的活動要領等の教養訓練を実施すること。
7、警察と県土整備部が連携し、構造上、渋滞・事故を起こしやすい形状の道路などを的確に把握・分析し、交通安全対策に活かすこと。

(4) 信頼される警察行政の推進

1、生活者の視点に立った警察活動を展開するため、警察署協議会の適切な運営等を通じ、県民の要望・意見の的確な把握と適切な対応に努めること。
2、警察署協議会については、効果的に機能するよう一層の活性化に努めるほか、委員の委嘱対象者や委嘱期間の再考、協議内容についても交番など地域の意見を取り入れるなどの工夫を行い、協議内容を積極的に開示するとともに、委員の意見が警察署の業務運営に広く反映されるよう署間の情報の共有化を一層推進すること。
3、冤罪を生むことのないよう、被疑者取調べの可視化も含めて捜査における取調べの適正化に取り組むこと。
4、積極的な情報公開や、取調べの可視化による警察行政の透明性の確保を進めること。
5、警察における厳正な監察の実施など、自浄機能の強化を図り、信頼される警察行政の推進に取り組むこと。
6、不祥事事案が発生した際には、県民が再発防止などに向けた県警察全体での取り組み内容を十分に知ることができるように、広報体制を充実し的確な情報発信を行うこと。
7、警察職員の職務執行に関する苦情については、的確に処理するとともに、警察活動の改善に繋がるよう適切にフィードバックさせること。

(5) 犯罪被害者対策の充実

1、犯罪被害者等の精神的負担を軽減するとともに、再び平穏な生活を営むことができるよう、犯罪被害者等早期援助団体への運営支援等を強化するなど、犯罪被害者等への支援の充実に取り組むこと。
2、犯罪被害者支援に関する条例を県内全ての市町で条例化がなされるよう支援すること。
3、犯罪被害者のために設置されている県内市町の窓口は、専門性の観点から、規模の小さな市町の対応が困難であることから、早期支援団体である犯罪被害者支援センターの充実を図り、支援の仕組みについて整備すること。

2 災害対策の推進

(1) 東日本大震災の被災者・被災地に対する支援の強化

1、東日本大震災で被害を受けた被災地の早期復旧・復興に向けては、関西広域連合としての取り組みを中心に、本県がリーダーシップを一層発揮して、被災地及び被災自治体への支援を強化すること。
2、各種相談体制等の充実化を図るなど、より積極的な取り組みを行うこと。

(2) 防災・危機管理体制の充実

1、関西広域連合が策定を進める「関西広域防災計画」との整合を図りながら「地域防災計画」を適正に見直すこと。
2、近い将来に発生が予想されている東南海・南海地震などの自然災害や、感染症、テロ等の危機管理事案、さらには大規模事故災害などに迅速かつ的確に対応するための全庁的な連携を強化すること。
3、被災直後に支援を行うNPOやボランティア団体等の育成を促すほか、県立大学や「人と防災未来センター」との連携による人材育成、被災地支援のノウハウの蓄積及び支援システムの研究を進めること。
4、行政、警察、消防、保健・医療機関などの県域を越えた広域的なネットワークの構築など、危機管理体制を充実するとともに、県民の生命・身体及び財産を保護するために必要な措置を図ること。
5、高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫などへの対応を徹底すること。
6、新型インフルエンザの発生に対しては、県が策定した「新型インフルエンザ対策計画」に基づき、発生時においても社会機能を維持するための必要な対策を講じること。
7、「兵庫県国民保護計画」の実効性が高まるよう、県民参加型の取り組みに配慮しながら、県民の生命・身体及び財産を保護する措置を的確に実施すること。
8、消防団活動については、県民及び事業所等の理解を促しながら、地域の結束力を強め質量ともに充実を図ること。

(3) 自然災害への対応

1、発生が懸念される東南海・南海地震や山崎断層帯地震等の地震、津波、洪水、土砂崩れ、高潮等の自然災害に備える基盤整備やシステムの構築、災害対応にかかる広域での連携などを進め、「減災」の観点から、ハード整備・ソフト対策が一体となった防災体制の確立に取り組むこと。
2、住民の防災意識の向上、円滑な避難の確保や地域の被災特性に応じた地域防災力の向上、広域での連携、応援態勢の確立などに一層取り組むこと。
3、防災訓練は、企画段階から住民と一体となって取り組むなど、効果的・実戦的な訓練とすること。
4、高齢者や障がい者などが避難できる災害時要援護者の避難システムづくりを早急に進めること。
5、東日本大震災や台風災害等の教訓を踏まえ、山の管理の徹底や治山事業の推進等も含めた総合的な治山・治水対策を推進すること。
6、台風災害等を教訓として、被災渓流の復旧対策はもとより、県下全域での治山ダムの重点整備を推進するなど、森、山、川、海の流域全体にわたり、ハード・ソフト両面からの対策を講じること。
7、台風や局地的な集中豪雨等異常気象を踏まえ、避難勧告や避難指示の基準など、危機管理のマニュアル等の見直しを進めること。
8、水害対策としてハザードマップの普及啓発に努めること。
9、河川整備については、昨今の集中豪雨、ゲリラ豪雨の頻度が増している中で、調整池などの貯留施設や浸透施設による流域対策を含め、雨水貯留施設の整備など、流域全体での総合的な治水対策を講じること。
10、県住宅再建共済制度については、引き続き制度及び運用の改善に努め、一層の加入促進を図るとともに、全国制度創設に向けて、国や都道府県に強力に働きかけること。

(4) 阪神・淡路大震災からの復興のフォローアップ

1、被災高齢者等の生活復興やまちのにぎわいづくりなど、震災復興における残された課題に対応するとともに、復興の過程で生まれた先導的な取り組みの定着・発展に努めること。
2、「ひょうご安全の日」の普及などにより、阪神・淡路大震災の経験と教訓を災害文化として継承・発信すること。

Ⅴ 産業の活性化、雇用就業対策の推進及び国際化の推進に向けて

1 産業活性化対策の推進

(1) 活力ある兵庫の産業の構築

1、ものづくり産業を支える中小製造業や基幹産業と大学、大型放射光施設、京速コンピュータ「京」等の知的資源を有機的に結合することにより、ナノ、情報通信・エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネルギー、ロボット(人工知能)などの技術分野を重点として産業の活性化を図ること。
2、「産業集積条例」を効果的に機能させ、産学官の連携のもと、国内外の優れた企業、研究所の誘致に取り組むとともに、地域の特性に応じた産業の集積・地場産業の活性化を進め、新たな雇用の創出につなげること。
3、次世代スーパーコンピュータの神戸市への立地を契機とした研究機関や大学の集積と、それらを核とした産学連携による技術開発や新産業創出を通じ、地域産業の振興を図ること。
4、「兵庫県放射光ナノテク研究所」を有効に活用し、企業等への研究支援を効果的に行うとともに、放射光を活用した多様な共同研究を推進するほか、研究成果を積極的に公表し、企業等からのオファーなど集積力を一層高めること。
5、本県の優れた産業基盤や立地優遇制度等をアピールし、地域バランスも考慮して国内外からの企業・研究所の誘致や県内企業の域内投資を促進すること。
6、環境と経済を統合する産業活動スタイルを創造するため、エコテクノロジー関連企業に対する経営支援策を充実させること。
7、新産業の創出に係る助成等について、国、県のメニューが効率的に利用されているかを検証し、新企業として設立、存続するための助成、助言の仕組みなどについて整備すること。
8、産学集積群の基盤を強固にするため、金融機関や投資ファンド等のノウハウ、資金面での協力を得ながら、中小企業や大学研究室、若者などの先端性、成長性の高いベンチャー企業を積極的に育成すること。
9、企業誘致の促進地域である但馬、丹波、淡路地域において、設備投資補助に対するインセンティブ強化を図るなど、バランスのとれた企業立地に向けて戦略的に取り組むこと。
10、阪神港国際コンテナ戦略港湾として、アジア主要港湾との競争に勝ち抜くため、国内産業の活力創出や西日本の港湾拠点、ハブ化に向けた積極的な港湾戦略の構築に関係自治体と連携して取り組むこと。

(2) 中小企業の自立と地域経済・雇用の活性化の推進

1、(財)ひょうご産業活性化センターや工業技術センターの機能強化・充実を図り、中小企業における開発力・技術力を高めるとともに、知的財産の創造・蓄積・活用を支援し、次代の兵庫経済を担う多様な成長産業の創出を図ること。
2、中小企業の自立と地域経済・雇用の活性化を推進すること。
3、第2次行革プランに基づく投資事業費総額の削減を着実に実行する中で、公共事業依存型の地域経済からの脱却を進めるとともに、省エネルギー等、新しいライフスタイルや価値観に対応した実需要の創出など、切れ目のない経済・雇用対策を実施し、地域経済・雇用の活性化を推進すること。

(3) ものづくりブランド戦略等の推進

1、産地の個性や蓄積を生かした魅力あるブランドの創出支援や多様な地場産業、ものづくりの情報発信の強化など、ものづくりブランド戦略を推進すること。
2、産地企業が有力セレクトショップと連携し、大都市で行う情報発信や販売活動などの取り組みを支援するアンテナショップ開設支援事業を首都圏において一層拡充すること。

(4) ものづくりを支える人材の育成

1、ものづくりの優れた技術・技能を有する匠や企業内人材の育成、技術の産業化を担うプロ人材の育成など、ものづくりを支える技術・技能、特に、科学技術人材の厚みと資質の向上を図ること。
2、「ものづくり大学校」の活用やソフト事業(未来の匠、ひょうごの技体験講座等)を確実に実施し、学校教育段階から職業生活の各段階に応じた総合的・体系的な人材育成の仕組みを構築すること。

(5) 地域とともに成長する商店街づくりの推進と中心市街地の活性化

1、生産者団体等と一体となって取り組む特産品の開発など農商工連携の強化や流通改善、販売ルート開設等商店街の主体的な活性化に向けた取り組みを支援すること。
2、大規模商業施設の進出により、衰退が著しくなっている商店街に対して、街路灯の設置や石畳の敷設などのハード面のリニューアルに対する支援を行うこと。
3、地域商業の活性化を図るため、都市計画の視点からの商業活性化対策や、中心市街地活性化法に基づく「中心市街地活性化基本計画」の認定に向けた支援を行うこと。

2 雇用就業対策の推進

(1) セーフティネットの構築

1、雇用維持や労働法令の遵守について、企業に対して積極的に働きかけること。
2、厳しい雇用情勢に的確かつ迅速に対応していくため、離職に伴って住む場所を失った人たちの住宅確保や生活資金・能力開発資金の貸し付け等の離職者支援制度について、その拡充に積極的に取り組むこと。
3、緊急対策として実施している雇用創出事業については、真の雇用就業につながるよう、農林水産、福祉等との密接な連携を図るとともに、適切なフォローアップを行いつつ、尊厳をもって働くことのできる雇用の場の創出を図ること。

(2) ワークライフバランスの推進

1、中小企業も取り組みやすい、仕事と家事・育児・介護とを両立する支援制度を拡充し、県内企業への持続的なシステムをモデル事業化し、促進させること。
2、ワークライフバランスの達成に向け、先進的な取り組みを進めている企業等の事例を県下に広く発信し、啓発についても積極的に推進すること。

(3) 雇用対策の充実

1、求人・求職の適切なマッチングの推進やワークシェアリングによる雇用機会の拡大等により、雇用の創出・確保を図ること。
2、雇用のミスマッチ解消のため、「兵庫しごとカレッジシステム」等で把握した個別企業ニーズに対応したオーダーメイド型の訓練や地域産業に係る人材育成のための訓練をより充実するとともに、就業待遇の改善に向けた取り組みを進めること。
3、常用雇用と労働条件の時間比例を原則とする「短時間正社員制度」について、労働者の希望に応じて選択できる制度として導入が促進されるように支援を行うこと。
4、正社員になれず不安定な雇用を余儀なくされている者について、しごと能力の向上への支援や企業への正社員としての雇用促進の働きかけなどの対策を講じるとともに、若年者の雇用の安定については、少子化対策の観点からも積極的に対策を進めること。
5、雇用・福祉・教育分野における担当部署の連携体制を構築し、就業体験等による職業意識の涵養や、若者しごと倶楽部等におけるキャリアカウンセリングなどの取り組みを推進すること。
6、若者しごと倶楽部のサテライト展開等による若者の職業的自立の支援や、再チャレンジを可能とする募集・採用制度の普及などについて、国や市町、労使団体とともに推進すること。
7、障がい者の雇用については、法定雇用率のみならず、障がい者が働きやすい環境整備に向けて助成制度を拡充すること。
8、企業に対する障害者雇用率制度の普及・啓発、採用後のサポートや特例子会社設立への支援等を推進するとともに、福祉関係機関やハローワークとの連携を図りながら、障がい者の特性や希望に応じた職業訓練、職業指導に積極的に取り組むこと。
9、障がい者の能力等に応じた多様な就業形態の実現と就業の場の拡大、さらにはジョブコーチをはじめとする専門人材の拡充等により、障がい者の自立を促進すること。
10、うつ・精神障がい者の雇用について、臨床心理士を配置すること。
11、雇用対策の一環として、高齢者の活力と経験・知恵を積極的に地域づくりに生かせる取り組みを進めること。
12、中高年齢失業者の早期再就職を支援するため、個別カウンセリングや就職活動実践プログラムなどを充実すること。
13、兵庫労働局をはじめ関係機関と密接な連携を図り、高齢者のニーズに応じた就業機会を拡充すること。
14、高齢者の生きがいづくりや社会参画の推進につながるよう、一貫性があり、実効性の高い支援策を推進すること。

(4) 非正規雇用の待遇改善

1、勤労者の生活の安定・充実、社会保険の空洞化の防止等の観点も踏まえ、非正規雇用から正規雇用への転換を促進すること。
2、正規雇用と非正規雇用の均等待遇・均衡処遇の実現に向け、賃金のみならず、教育訓練機会の均等についても、公的教育訓練機関と企業内教育訓練との連携により取り組むこと。
3、非正規雇用の待遇改善を率先して推進するため、ワークシェアリングなど雇用政策に係る新たな「兵庫方式」を構築すること。

3、 東日本大震災による影響への対応

1、東日本大震災による経済・雇用情勢への影響に対しては、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、本県の産業活動と雇用促進の持続・発展に取り組むこと。
2、被災企業の活動の継続・再開や、本県への避難者の就労支援等を積極的に進めること。

4、交流の拡大

(1) ひょうごのツーリズムの振興

1、多彩な地域資源を生かした交流人口の拡大による地域活性化に向け、関係団体や市町等と連携し、全国からの観光客誘致を図る大型観光交流キャンペーンや地域ぐるみの交流の仕組みづくりへの支援等を推進すること。
2、広域連携の一層の推進などにより、ひょうごのツーリズムの振興を図ること。
3、県内経済の活性化や雇用創出につながる誘客促進に向けた取り組みを強化すること。
4、産業ツーリズムを推進するため、県内の産業遺産の認知に努め、コース設定等の企画・開発に取り組むこと。
5、交流人口の拡大による地域活性化に向け、観光地の包括的活性化支援や効果的なプロモーションを推進すること。

(2) 国際交流の推進

1、友好・文化・経済等の各分野において多彩な国際交流を展開するとともに、外国人県民との相互理解を深め、外国人材の活用も視野に入れた地域の活性化を図ること。
2、海外事務所を現地に密着した事務所として最大限活用し、友好親善のみに止めるのではなく、本県が強みを有する環境ビジネス面での交流を進めるなど、経済的なつながりに発展する取り組みを推進すること。
3、訪日外国人について、本県への誘客を促進する取り組みを推進すること。
4、外国人県民が日本人と同様に能力が発揮できる環境整備を図るため、国際理解・人権、交流、生活、雇用、まちづくり、保健・医療、住宅、教育、行政への参画等の各分野で、外国人県民が抱える課題解決に向けた取り組みを進め、国際性豊かな共生社会の実現を目指すこと。
5、あらゆる分野での国際交流の機会を増やすとともに、利用者の視点に立って外国人県民インフォメーションセンターのさらなる充実を図ること。
6、医療通訳の確保・育成に取り組むこと。
7、海外資本・企業等の県内誘致による経済交流を推進すること。
8、地球温暖化対策への取り組みが急がれる中国等の国々に対して、県内企業が展開する環境ビジネスを積極的に支援すること。
9、海外事務所を活用したネットワークの形成、アジアとの観光交流の推進や、海外における観光PRの実施など、国際ツーリズムを推進すること。
10、在日外国人無年金障がい者に対する障害者特別給付金を拡充すること。
11、公立学校で日本語指導が必要な外国人児童・生徒が増加している中、小学校段階から将来の進路を見据えた指導体制を地域やNPO等も交えて構築すること。

Ⅵ 環境適合型社会の実現に向けて

1  総合的な環境施策の推進

(1) 環境適合型社会の形成

1、環境適合型社会の実現に向けた意識の醸成に努め、県民・事業者・行政の自発的・継続的な環境配慮行動の実践への取り組みを支援・促進すること。
2、県自身も、すべての施策の企画立案段階から環境に配慮した事業展開を図り、環境適合型社会の形成に取り組むこと。
3、環境学習については、庁内連携を十分に図りつつ、民間団体や環境関係団体など多様な主体の参画のもと、県内の豊かな自然や野外施設などの豊富な資源を活用しながら体験型の学習・教育を推進すること。

(2) 実効性あるエネルギー政策と地球温暖化対策等の推進

1、県民生活の安定と持続可能な経済成長の実現に向けた、エネルギーの安定供給と省エネルギーの推進等の課題に対応するため、県自らの率先行動をはじめ、家庭や企業での省エネルギー・節電行動などを着実に推進すること。
2、太陽光、風力、バイオマス、小水力発電等の自然エネルギー導入の取り組みを拡大すること。
3、地球温暖化防止対策やヒートアイランド対策として、建築物等への屋上緑化や太陽光発電などグリーンエネルギー導入に対する支援の充実を図ること。
4、産業部門におけるCO2排出削減を積極的に進めること。
5、さらなる環境負荷低減に向けて「環境率先行動計画・ステップ4」に基づく施策を着実に推進するとともに、民間施設における適正温度設定の取り組みを促進すること。
6、電気自動車を「環境・資源問題」の有望な切り札の一つと位置づけ、普及を推進すること。
7、オフセット・クレジット(J-VER)制度を活用し、CO2排出削減と森林整備などへの投資によるカーボン・オフセットの取り組みを企業等と協力して推進すること。

2 循環型社会の構築・地域環境負荷の低減

(1) 循環型社会の構築

1、廃棄物の発生量増加に伴う最終処分場の不足や、不法投棄による環境の悪化に対応するため、地域の特性に応じたリサイクル・システムの構築を推進するとともに、地域住民と連携した不法投棄の未然防止・早期解決などを進めること。
2、ごみ排出削減については、一人ひとりの意識改革と実践を基本に、実践モデル市町の指定等による意識啓発や、レジ袋削減の県民運動としての展開を図ること。
3、自動車リサイクル法のさらなる推進に向け、新産業としてのリサイクル事業への支援、適正な流通の確保、処理業者による適正な処理の徹底等を進めること。

(2) 地域環境負荷の低減

1、大気や騒音の環境基準を達成していない地域を中心とした交通公害対策をはじめ、地域的な環境問題の解決を図ること。
2、有害化学物質対策として、特に法規制の対象となっていない物質について調査研究を進め、県内における環境の実態把握と排出削減に向けた事業者等の自主的な取り組みを推進すること。

3、生物多様性の保全

(1)森林・里地・川・海等の自然再生の推進

1、「生物多様性ひょうご戦略」に基づき、瀬戸内海の保全と再生等、具体的な取り組みを進めること。
2、「新ひょうごの森づくり」と「災害に強い森づくり」を着実に推進するとともに、里山の管理・再生のための薪ストーブ導入助成など、地域と直接つながる施策に取り組むこと。
3、まちなみ緑化事業については、都市部と郡部への予算配分に十分留意するとともに、長期的計画を明示し、計画の達成度及び効果について県民に積極的に開示すること。
4、森林を共有の財産として、企業、団体、市民など社会全体で参画・協働し、保全していく活動を推進すること。

(2) 野生動植物の保全と共生

1、シカの年間捕獲目標の拡大や野生動物防護柵の設置支援、アライグマ・ヌートリア等の外来生物等の捕獲を拡大すること。
2、森林動物研究センターの研究成果を有効に活用した森林動物専門員や指導員の普及指導活動によって、農林業被害や生活被害の軽減を図ること。

Ⅶ 食料自給率の向上と活力ある農山漁村づくりの推進に向けて

1 食料政策の総合的な推進

(1) 戸別所得補償制度による農業政策の転換

1、戸別所得補償制度を最大限に活用して、本県農地の有効利用と、食料供給基地としての生産力を高めるため、市町・JA等関係機関と連携して制度への理解促進を図るとともに、農家経営の安定、担い手育成、県産農産物の作付拡大を進めること。

(2) 安全・安心・良質な農林水産物の安定供給の実現

1、消費者が安心して農林水産物を選択できるよう、農薬等の適正使用管理の徹底を図るとともに、人と環境にやさしい栽培技術等の導入などを促進すること。
2、生産者に対する食品表示適正化の指導や、安全で衛生的な処理加工の管理手法の導入を推進すること。
3、生産履歴の記帳やトレーサビリティシステム、農業生産工程管理手法(GAP)の導入に向けた取り組みを進めること。

(3) 食と農への理解促進と食品リサイクルの推進

1、住民・消費者・特に子どもを対象とした農業体験活動・食体験活動や、生産者と消費者の交流活動を通じて、食と農への理解の促進を図り、地産地消を推進すること。
2、次世代に対する「食育」や日本型食生活実践の観点から、米をはじめとした県産農林水産物の学校、老人福祉施設、病院などの給食への100%導入に取り組むこと。
3、学校給食への米、野菜、大豆など地元生産物の導入については、具体的な目標数値を設定して着実に推進するとともに、地域内での生産から流通、消費までのシステム化を図ること。
4、米飯学校給食の実施回数の維持・向上に努めること。
5、地産地消の推進については、農産物直売所の拡大や「旬産旬消」の取り組みを充実させるとともに、県産県消の拡大をめざし、都市部でも県内の農林水産物が容易に購入できる仕組みづくりを推進すること。
6、兵庫楽農生活センターの学習・交流機能を十分に活用し、市民農園利用の一層の推進や、幅広い世代の楽農生活実践への支援に努めること。
7、食料自給率向上の観点から、フードバンク運動やドギーバッグ運動などの取り組みへの支援を通じて、食品廃棄物の発生を抑制するとともに、食品残さの飼料化など、食資源の有効利用を推進すること。
8、食資源の利活用については、県民に十分な意識啓発を行うとともに、民間事業者、市町等と連携し、兵庫県バイオマス総合利用計画に定める目標達成に向けて、一層推進すること。

2 農林水産業の活性化

(1) 6次産業化の推進

1、農林漁業者による2次・3次産業分野への働き掛けを促進するため、地域の農林水産物の特徴を生かした商品の開発・生産、市場の開拓、人材育成など、生産から加工・流通・販売までの取り組みに対する支援を行うこと。
2、環境やエネルギーなど新分野への取り組みとして、遊休農地等を活用した資源作物の栽培や稲わらや間伐材等の未利用資源を含むバイオマス資源を活用した燃料や製品の生産を支援するなど、農山漁村をバイオマス活用の先進地域とするための施策を推進すること。

(2) 農水産物ブランド戦略の推進

1、消費者や実需者のニーズを把握し、ブランドとしてふさわしい品目の選定や品質の改善、新品種の開発などを通じて、他県産よりも優れた商品の生産に努めること。
2、地域団体商標の活用など、効果的な宣伝活動を実施することにより、全国の主要都市や中国をはじめとする海外への販路拡大を積極的に推進すること。
3、「兵庫県認証食品」については、関係者との連携のもと、生産、流通、消費の拡大を進めるための仕組みを構築するとともに、PRの強化に努めること。とりわけ付加価値の高い「ひょうご安心ブランド」の効果的なPRと消費の拡大を図ること。

(3) 担い手対策の推進

1、農林漁業・農山漁村の担い手対策として、家族経営、集落営農、法人経営等の多様な主体による規模拡大や効率化を積極的に支援すること。
2、認定農業者及び集落営農組織の育成を着実に推進するとともに、各地域の特性・条件を十分に考慮し、多様な主体を前提とした担い手育成への取り組みを行うこと。
3、Uターン・Iターン希望者や地元企業の農林漁業への新規参入に対する技術研修や財政的支援など、意欲と能力のある者の参入を促進する施策の充実を図ること。
4、新規就農対策については、課題を的確に把握して、現行の施策を検証しつつ、さらに実効ある支援策を立案し、実施すること。
5、一般企業の農業参入については、農地貸付期間を法人の事業計画に応じて長期に設定するなど、弾力的な対応をはじめ、市町を通じて参入を促すとともに、適切な技術指導に努めること。

(4) 林業の振興

1、作業路網の整備、高性能林業機械の導入を促進するとともに、拠点的な加工・流通施設、乾燥施設等の計画的な整備を通じて、素材生産から加工・流通までの効率化を図り、林業を通じた森林管理のサイクルが機能し、木材の安定した供給が行われる体制を構築すること。
2、県産木材の加工・流通体制の整備や原木の安定供給を推進するとともに、企業や市町に積極的に働きかけ、県産木材の活用を促進すること。
3、県民に対し、地球温暖化防止の観点からの県産木材活用への意識の醸成に努めること。
4、森林が有する多様な公益的機能を高める「新ひょうごの森づくり」と、県民緑税を活用した「災害に強い森づくり」を確実に推進するとともに、内容を県民に開示すること。

(5) 水産業の振興

1、資源管理型漁業を基本とする豊かな漁場づくりを推進するため、水質の保全を中心とした環境保全施策だけではなく、生物多様性の確保と水産資源の回復のための環境保全施策を強化すること。
2、藻場・干潟等の浅場の再生などの環境再生施策を推進すること。
3、産地の販売力強化と流通の効率化により、漁業経営の安定化を図ること。
4、第2の鹿ノ瀬構想等漁場の整備やマダイ等種苗の放流を推進することにより、水産資源の維持・培養を図ること。
5、ノリの色落ち被害の軽減を図るため、河川やダム等から供給される栄養塩を有効利用する方策を検討し、実施すること。
6、移動販売など漁業者による直接販売、新規販路の開拓、新商品の開発などの取り組みを積極的に支援すること。
7、ナルトビエイ等の有害生物への対策を推進するとともに、それによる漁業被害を防止・軽減するため漁業協同組合等が行う取り組みに対して助成する「有害生物漁業被害防止総合対策事業」を拡充すること。

(6) 畜産業の振興

1、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の発生、まん延を防止するため、職員の資質向上も含めた家畜防疫体制の強化を図ること。
2、伝染病対策という観点から、近隣府県等との広域連携による対策に取り組むこと。

3、総合的な農山漁村振興対策の推進

(1) 農地・農業用水の保全

1、農地や農業用水は、農業生産の基盤としてだけでなく、水源涵養等の公益的機能を有しており、これらの機能を維持する観点から、農地、農業用の水路、井堰、ため池等の整備・保全等の取り組みに対して支援を行うこと。
2、整備した優良農地を適切に確保するため、土地利用関係制度を適切に実施するとともに、公共事業実施に当たって、優良農地を安易に転用することのないよう取り組むこと。

(2) 総合的な活性化対策の推進

1、農山漁村における就業機会の拡大に努めるとともに、生活道路や情報通信基盤の整備等を図り、都市から地方への移住、都市と地方の交流の促進、集落の維持・活性化を推進すること。
2、集落の活性化につながるよう、農作業等を支援する農村ボランティアの活動を促進する取り組みを充実すること。
3、警戒ため池の改修など、農山村の防災対策を着実に進めること。
4、グリーン・ツーリズムについては、農林水産業と保養・治療・教育・福祉などを組み合わせ、農が持つ多面的機能を発揮し、体験活動の促進支援をはじめ多彩な交流に向けた取り組みを展開すること。
5、いわゆる限界集落については、その存続が県土保全にも大きな影響を与えることから、市町と連携し、地域コミュニティの再構築をめざし、集落活性化組織やリーダー人材の育成、生活交通システムの構築などについて、人的、財政的に支援すること。

Ⅷ 快適に暮らす社会環境づくりの推進に向けて

1 社会基盤の整備・保全

(1) 社会資本ストックの有効活用

1、環境に配慮した新しいふるさとづくりを進めるため、土地をはじめとする県保有資産や、これまで蓄積してきた道路などの社会資本ストックを有効に活用し、地域の魅力アップを図ること。
2、施設の耐久度を把握・評価し、将来の劣化を予測して維持管理・更新を計画的に行うアセットマネジメントの導入を進めるなど、「つくる」から「つかう」プログラムを推進すること。
3、社会資本ストックの維持・更新を着実かつ戦略的に進めていくため、民間の資金、経営能力、技術能力を活用した仕組み・手法を積極的に取り入れること。
4、多くの橋梁老朽化に対応するため、長寿命化計画を策定し、適切な維持修繕を進めること。
5、河川整備・改修における多自然型工法については、地域住民の意見を十分に反映させるとともに、河川の親水性や景観を保つため、整備後の維持管理も十分に実施すること。
6、企業庁所有の水道施設については、老朽化に伴う大規模な漏水事故を防止するため、計画的な施設の修繕、更新を進めること。
7、民間企業等で開発されたコスト縮減・環境対策等に資する優秀な新技術・新工法を公共工事で活用する「新技術・新工法活用システム」の拡充を図ること。

(2) 総合的な交通施策の推進

1、交通事故防止、交通量の削減、公共交通の利用促進、交通安全対策、高齢者の移動性確保など、地域の課題や政策と関連づけた総合的な交通政策を推進すること。
2、県民の社会参加の機会確保や、地球温暖化防止と低炭素社会実現に向けた公共交通のあり方などを踏まえ、CO2削減に配慮した交通政策を展開すること。
3、低公害車の導入支援、パークアンドライドによる公共交通機関への誘導など、環境に配慮した交通体系の確立を図ること。
4、「ひょうご交通10カ年計画」について公共交通分担率の目標達成に向けて、第2次行革プランの推進状況を踏まえた適切なフォローアップを行い、行政、交通事業者、地域住民が一体となって推進すること。
5、地域住民の日常生活に欠くことのできない地方バス路線の維持を図りつつ、廃止されたバス路線についてはコミュニティーバス等の代替交通手段の確保に努めること。
6、交通渋滞の原因となる「開かずの踏切」や「危険な踏切」等の問題踏切については、整備計画に基づき、着実に対策を推進すること。
7、環境に優しい交通手段である自転車の利用促進と自転車利用者の安全確保を図るため、自転車道の整備を促進すること。

(3) 情報基盤の整備

1、高速インターネット通信や携帯電話など、県域全体における情報通信基盤の整備を推進すること。特に、地上デジタル放送については、デジタル放送への完全移行が行われた中で、すべての県民が放送を受信できているか、県としても検証や対応を積極的に推進すること。
2、行政事務の効率化や情報セキュリティの強化、情報格差の解消などを的確に進めつつ、教育・産業・文化・医療・福祉などの各分野で積極的なICT活用を図ること。

2 都市の再生

(1) 都市機能の適正立地の推進

1、「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例」に基づく大規模集客施設の適正な立地を効率的に推進し、地域社会の健全な発展を図ること。
2、各地域で広域土地利用プログラムの策定を進め、ゾーニングを県都市計画区域マスタープランや市町都市計画マスタープランに位置づけることを通じて、大規模店舗等の立地を適切に規制・誘導すること。
3、市町合併の進捗や社会経済情勢の変化を踏まえ、地域の実情に応じた魅力あるまちづくりを進めるため、行政区域に限定せず、広域的な視点を取り入れた都市計画区域マスタープランを再整備すること。
4、明舞団地での住宅地再生の取り組みを生かし、県内各地のオールドニュータウン化したまちの再生に積極的に取り組むこと。

(2) 都市緑化・緑地保全の推進

1、県民まちなみ緑化事業の全県展開や、県立都市公園をはじめとする県民の憩いの場の整備・運営を通じて、緑あふれる美しいまちづくりを推進すること。
2、県民緑税を活用した県民まちなみ緑化事業については、県民の積極的な参画と協働が得られるように事業展開を工夫し、学校・公園・道路・河川・住宅密集区域内・駐車場などの緑化を通じた都市の防火や水害低減など防災性向上や、ヒートアイランド現象の緩和に向けた屋上緑化等が促進されるよう取り組みを進めること。

3、安心して暮らせるまちづくりの推進

(1) ユニバーサルデザインのまちづくり

1、年齢や障がいの有無などにかかわらず、だれもがさりげなく使えるユニバーサルデザインの普及・啓発に取り組むこと。
2、バリアフリー新法に基づき、幅広歩道の整備、歩道の段差解消、ノンステップバスの導入や、鉄道駅舎へのエレベーター設置など、公共交通・公共施設等における社会基盤の整備・リニューアルを進め、バリアフリー化を着実に推進すること。
3、民間施設における整備・リニューアルについても、高齢者や障がい者が安心できる公共空間のバリアフリー化を着実に推進すること。

(2) 生活安心住宅の確保

1、持続可能な安全かつ安心できる住生活が確保されるよう、長期優良住宅の普及促進をはじめ、「省エネ化」「バリアフリー化」「耐震化」を目的とした既存住宅の活用・改修を促進すること。
2、高齢者、障がい者、子育て世帯も住みやすい、優良な賃貸住宅の整備を推進すること。
3、介護サービス等を提供している高齢者専用賃貸住宅等について、入居者保護の観点から事業者への適切な指導を実施すること。
4、生活・住宅困窮者にとって、公営住宅は重要な「セーフティネット」であるため、効率的、効果的な県営住宅の整備を進めること。
5、県営住宅の管理運営については、新婚・子育て世帯の優先入居枠の拡大や、低所得者、高齢者への支援など、県民のニーズ及び少子高齢社会に対応した取り組みを進めること。
6、県営住宅の耐震化やバリアフリー化等の推進による安全安心の確保に努めるとともに、特に中層住宅へのエレベーター設置を進めること。

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