栗山  雅史議員が一般質問を実施

質 問 日:令和3年12月8日(水)

質 問 者:栗山 雅史 議員

質問方式:一問一答方式

 

1 知事業務の見直しについて

斎藤知事は、知事のホームページのポリシーの欄に、特出しで掲載されています「長時間レクの廃止など、知事業務のあり方を見直したい」ということを、選挙時に訴えておられたと聞いています。11月2日の定例記者会見でも、記者からの質問に「強い思い」として「予算編成のあり方は大胆に見直し、知事との協議はできるだけ縮減していく方向でやりたい、知事がすべての事業を見てチェックするという時代ではない」と答えておられます。私はこの知事の方針を聞いて、「まあ、ええんちゃうか。井戸知事の時はエライ長いって聞いてたしなあ」とあまり深く考えずに、新しい人の、新しいスタイルでどうなるのかと見守ってきました。しかし、よくよく考えてみると、「ホンマにそれで大丈夫かなあ」という感情が芽生えてきました。

記者会見では、「特に大事な事業に絞ってヒアリングをしようと考えている」、「大きな方向性は示しつつ、部局にある意味任せていく」とおっしゃっていたようですが、これまで兵庫県で勤務されていた方ならまだしも、兵庫県でのご勤務の経験はなく、知事に就任してまだ1年目、今でやっと4ヶ月ちょっとです。もし私が知事だったら、というのは失礼かも知れませんが、自分が新参者として組織のトップになったならば、その組織がどういう事業をやっているのか、やろうとしているのか、どんな職員がやっているのかなど、全事業とはいかなくても、就任初年度ぐらいはできる限り多くの事業をヒアリングし、把握したいと思うのではないか、と想像しました。

私は県議会議員としては11年目ですが、それでもすべてを把握できていませんし、まだまだ勉強不足です。斎藤知事は総務省のご出身で、大阪府や宮城県などにも出向されていますし、財政課長さんをやっておられた方なので、都道府県が進めている事業なんて、どこもだいたい同じということでおわかりなのかも知れません。

さて、斎藤知事が見直されたものとして「政策会議」があります。これは井戸県政の時には2週間ごとにやっていたようですが、今では2ヶ月に1度程度という頻度に見直されました。議題についても「全庁的な情報共有が必要な案件等に限る」ことになったようです。これでは、これまでの政策会議でやっておられた「各県民局からの報告」は、まったく時間が取れないようです。

そして、これまで11月に実施されていた「重要施策ヒアリング」ですが、これは部局ごとに、翌年度に新規、拡充する主要施策について協議するもので、井戸知事時代は2週間ぐらいかけてやっていたそうですが、齋藤知事はこれを取りやめたとのこと。各部局長のマネジメントに極力委ね、重要案件等については適宜、副知事協議、知事協議を実施することになったと聞いています。これでは、あまりにも知事にとって情報量が少なくなり過ぎやしないかと感じました。小さな事業や細かいことは知事の耳には届かず、その手前の「新県政推進室」で止まり、そこで多くのことが判断されてしまうのではないか、と私も危惧しますし、職員からもそのような声が聞こえています。

もう一つ心配なのは、職員との信頼関係、そしてコミュニケーションです。「部局長、職員に任せていく」というのは、聞こえは良いですが、それほどの信頼関係が斎藤知事と職員の間に、そもそもあったのかどうか。先ほども申し上げたように、兵庫県でのご勤務の経験はなく、一部の方を除いて、どの職員もほぼ一からの人間関係づくりになったのではないでしょうか。

知事が今、話をする職員、頻繁に協議する職員はどのくらいいるでしょうか。「知事業務の見直し」によって、多くの職員と協議したり、報告を受けたりする機会がなくなり、職員を知る機会が少なくなってはいないでしょうか。そういう状況の中で、齋藤知事は今後どのような人事を行うことができるでしょうか。女性幹部の登用というのも公約にありますが、副課長クラス以上の女性職員を知ることは可能でしょうか?この点も心配をしております。

知事のお仕事、知事業務のあり方はそれぞれのスタイルでもあるし、何が正解かなんて私もわかりません。井戸知事のやり方が良かった、とも言いきれないと思いますし、齋藤知事が決められたのなら、そのやり方でやられたらと思っています。しかし、どちらも一長一短あるのではないか、と思っています。今後、やってみて修正すべきだなと思えば、これも大胆に見直されたらと思います。

「働き方改革の促進」という観点についても、斎藤知事は言及されていました。知事自身も仕事を早く切り上げて、帰宅されておられると聞きます。その働き方、観点はぜひとも職員にも広めていただきたいですし、職員も実践できるよう、環境を整えてあげて欲しいと思います。

以上、知事業務の見直しによる今後の県政運営への影響について、知事のご所見をお伺いします。

 

2 女性活躍のための、男性の家事・育児への積極的参加について

「共働きはキツイですわー」と、私のパパ友、ママ友がよく言っております。

私の妻もフルタイム勤務の民間サラリーマンをしておりまして、私は県議会議員をやらせてもらっていて、共働き夫婦です。夫婦ともども、日々様々な仕事をこなしながら、5歳と3歳の子どもの育児をし、掃除、洗濯、食事の用意などの家事をして、慌ただしい毎日を過ごしております。

共働き世帯は年々増加を続け、令和元年では、全国で男性雇用者と無業の妻、いわゆる専業主婦から成る世帯は582万世帯の一方、共働き世帯は2倍以上の1,245万世帯になっています。3分の2以上の世帯が共働き世帯となっています。兵庫県においても、女性の有業者は平成29年で121万人となり、5年前に比べて10万人増えています。特に、育児中の女性有業率は、この5年間で、全国で最も高い19.3ポイントの上昇となりました。

先ほどの質問でも触れましたが、知事は女性幹部の登用を公約に掲げられております。そして、この令和3年度から始まりました、第4次兵庫県男女共同参画計画「ひょうご男女いきいきプラン2025」でも、女性の登用や意思決定過程への参画促進を進めています。女性が職場でいきいきと仕事が出来ること、そしてその環境を整えていくことが、まさに今求められていることだと、私も実感しています。しかし、どうでしょうか。働く女性を、男性、つまりは夫が、あるいは職場が、十分に支えられているでしょうか。

総務省が実施している社会生活基本調査によりますと、平成28年における6歳未満の子どもを持つ夫の家事・育児時間は、1日平均83分となっています。一方、妻は1日平均454分、つまり7時間34分となっており、男性の5倍以上の時間を家事・育児に費やしています。前回の調査時よりも、男性の家事・育児時間は増加しているようですが、やはりまだ女性にずいぶんと負荷がかかっています。

私が思いますに、それぞれのご家庭のことだとは言え、お互いに同じように働いているのであれば、これはやっぱり是正していくべきと、半々の負担にしていくべきではないかと思っています。かく言う私は、妻が忙しく働くのを見て、現実的に家の家事・育児を誰かがやらねばならないという切迫感の中で、朝早くから起きて積極的に家事に勤しむなど、割合とすれば全体量の半分を上回るぐらいに頑張っているのではないかと自負しているところです。これは毎日、本当に疲れますが、やるしかありません。

さて、女性が活躍できるように男性、夫が家事、育児をがんばっていくべき時代となりました。働き方改革も進んでおり、今ではフレックスや在宅勤務、短時間・短日数勤務などの制度もありますが、社会全体が、まさにワークライフバランス、家事・育児バランスに大きな理解を示していかなければならないと思っています。

こうした中、「ひょうご男女いきいきプラン2025」では、男女共同参画計画としては初めて、「男性」に関する重点目標を新設されました。「仕事偏重から、家庭や地域とのバランスが取れた生活環境への転換による豊かで自立した生活の実現」、「夫の家事・育児への参画による家庭でのリスクヘッジ等の効果を期待する」と書かれております。

齋藤知事の奥様は専業主婦だと伺っておりますが、子育て世代でもいらっしゃいますし、働き方改革、そしてワークライフバランスにも大きな理解を示されていると聞いております。また、県庁においては、子育て中の女性職員への理解や、あるいは子育て中の男性職員にも「早く家に帰って家事・育児への参加を」と応援してあげて欲しいと思います。

県庁を含め、社会全体がワークライフバランス、家事・育児バランスに理解を示していくことが必要と考えますが、男性の家事・育児への積極的参加に対する知事の想い、ご所見をお伺いします。

 

3 知事公約の「県内GDP成長率 全国トップクラスの実現」について

今回の一般質問は、齋藤知事就任後、私にとって初めて斎藤知事にする一般質問なので、改めて斎藤知事の公約を確認し、前の9月議会では触れられなかった公約で、「これはいったいどういうことだ?」と思ったものについて、その真意を確認するために質問をします。

今回質問するのは、公約の5つの柱となっているものの1つで、「Vision3 県内GDP成長率 全国トップクラスの実現!」というものです。「県内GDPの“額” 全国トップクラス」ではなく、「成長“率” 全国トップクラスの実現!」と拝見しまして、本当に実現できる公約なのか?と思いました。そしてこれは、年次ごとの目標なのか、任期中の4年間通算で、という意味なのか、今はまだわかりません。

私は、この「県内GDP成長率」について、最近の兵庫県はどうだったのか、全国はどうなのかということを、担当課にお願いしてデータをつくってもらいました。国のデータからの引用だそうですが、最新のものは平成30年度で、それを含む直近3年の都道府県別の県内GDP成長率の数字をいただきました。それを見ますと、平成30年度は、兵庫県の成長率は-0.4%で、マイナス成長でした。全国42位でした。「トップクラスの実現!」ということですから、全国のベスト3までに入るくらいをトップクラスだとすると、平成30年度は佐賀県が6.3%でトップ、2位が富山県で4.2%、3位が山梨県で3.6%でした。それぞれ、兵庫県に比べて県内GDPの額としては小さい県でしたので、グッと伸びる大きな要素があると、成長率としては大きくなることもあるのでしょうか。

そして、平成29年度はトップが茨城県で6.3%、2位が山形県で5.8%、3位が滋賀県で5.5%でした。兵庫県はこの年、2.2%の成長率で27位でした。

平成28年度は、順位だけ申し上げると、トップから山口県、和歌山県、熊本県で、兵庫県は0.4%の29位でした。

各都道府県の総生産額は、人口の多寡によって、あるいは産業の大きさによってかなりバラツキがあり、小さな経済規模の県ほど何か大きな案件があると、率としては大きな成長率を示すこともあり得るのではないかと思っています。しかし、兵庫県ほどの大きな経済規模を誇る県内GDP、平成30年度では名目で21兆1778億円でしたが、規模が大きいほど「成長率トップクラスの実現」というのは難しいのではないでしょうか。また、トップクラスかどうかというのは、他の都道府県との比較の結果であり、相対評価なので、そもそもそれを目指すことに意味はあるのか?と感じざるを得ません。

いやしかし、総務省職員として全国でご勤務され、大阪府でも財政課長さんをやっておられたので、何か成長率が大きく伸びる秘策をお持ちなのではないか、あるいは相当な根拠があって示されている公約なんだろうと思っていますので、「県内GDP成長率 全国トップクラスの実現」のために、具体的にどのような取組を進めていかれるおつもりなのか、知事のご所見を伺います。

 

4 30歳代後半から40歳代の県内転入の傾向について

「兵庫県、全国ワーストの転出超過!」という報道が今年ありました。

この傾向はここ10年ぐらいでしょうか、特に20歳代前半において、年を経るごとに転出数が微増しておりまして、その状況を憂い、私も、多くの議員もこの問題を取り上げては、県の数々の対策・施策について、良かったとか効果が出ていないだとか、色々な評価をしてきたところです。そして、県は若者の県内就職をもっと増やそうと、地元企業を知ってもらうことや、地元企業の見学ツアー、若者が望む職種の企業誘致など、若者を引き留めようという方向性の施策を強く打ち出してきました。

しかし、私は以前の質問でも、「去る者は追わなくていい。来る者をもっと歓迎し、流入策を積極的に図るべきだ」と意見しておりまして、前の井戸知事の時にも、特に西日本各地からの「兵庫県への流入施策」についてご賛同をいただいていたところです。しかし、やっぱり毎年何千人という兵庫県の若者が東京や大阪へ転出してしまっていることには、担当課をはじめ、関係者の落胆の色は隠せないようにも見えましたが、私はもうそれは仕方がないことだと、ほぼ諦めておりますし、一方で優秀な人材を排出する誇りある県として、知事自身もそうだと思いますが、若き頃に野心を持ってチャレンジする行動について、むしろ応援したいと考えております。

そんな中、担当課から最近の転入出の状況を聞くと、令和2年では新しい傾向、兆しが感じられるような数値が出ておりました。それはタイトルにあるように「30歳代後半から40歳代」が、転入超過に転換したという数値でした。「30歳代後半から40歳代」は、これまで転出超過が続いていたにも関わらず、令和2年に至っては730人を超える転入超過となっていました。時期的にはコロナの影響なのか?と感じるところもありますが、これは嬉しい数値でありましたし、今後の明るい未来を予感させる兆しだと感じました。

担当課さんには「どうしてこういう数値になったのか、もっと分析を進めていただいて、この傾向をもう元に戻してはならない。20歳代で転出しても、結婚して家族が出来て、30代後半以降には故郷へ帰ってくる傾向になっているのかも知れない」とか、「テレワークなど、大都市にいなくても良くなったから、大都市を出て余裕のある地方へ来てくれているのかも知れない」と、申し上げたところです。

以上のようなことから、齋藤知事には改めて、兵庫県民のここ最近の転入・転出の動きについての受け止めと、ご紹介した「30歳代後半から40歳代の転入増」という新たな兆しについてどのように感じておられるかを伺うとともに、この新たな兆しを踏まえた今後の移住・定住対策についてご所見をお伺いしたいと思います。

 

5 鉄道の地方ローカル線の将来について

コロナ禍を受けて、JR西日本をはじめとする鉄道各社の経営が大変厳しいものになっていることはご承知のことかと存じます。JR西日本が11月に行った中間決算発表によると、乗客数は少しずつ回復傾向にあり、営業収益が昨年より増加するものの、最終決算において赤字見込みであると予想されています。

秋のダイヤ改正では、県内の神戸線、山陽線、赤穂線において減便が決定されました。新型コロナウィルス感染症によって、我々の生活スタイルや労働スタイルが大きく変わり、鉄道会社は利用者に応じた対応を取らざるを得ない状況になってきています。今後の鉄道利用については、以前のような状況に戻ることは難しいのではないかと言われております。

そして、現在も進行しております急激な人口減少も、鉄道経営には大変厳しい要素と考えられており、都市部の路線を除いて、県内のローカル線や地方鉄道などは、その活性化やあり方について、今後ますます厳しい状況が続くと思われます。また、鉄道設備や車両等の老朽化も進んでおり、安全・安定運行や利用者の安全確保を図るためには、地域住民の心情にも配慮したうえで、県や沿線自治体からのさらなる支援が欠かせないと考えるところです。

そんな中、JR姫新線において、平成27年度から5年連続で年間乗車目標300万人を達成されたと聞きました。沿線自治体の懸命な取組み、資金面での援助などが功を奏したと伺っております。

このような好事例を参考にしながら、県内の地方ローカル線や地方鉄道をしっかりと支えていく必要があると思いますが、兵庫県としてどのようなヴィジョンを描いていくのか、ご所見をお伺いします。

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