向山 好一議員が質問(予算審査・総括審査)

質問日:令和4年3月28日(月)

質問者:向山 好一 委員

 

1 ウクライナ危機等がもたらす県民生活への影響

(1)県内の物価高騰の現状について

まず、やはりこの問題に触れないわけにはいかないので質問します。

ロシアによるウクライナ侵攻で心を痛めていない人はいません。私は企画県民部での質問の際に、具体的支援行動の1つとして兵庫県公館をウクライナ色にライトアップすることを提案しました。当局の努力のおかげで正面のみとはいえそれが実現しました。県庁にあったLEDをかき集めたと聞いております。即時に対応して頂いたことを讃えたいと思います。また、難民の受け入れ、県営住宅の提供などの支援策も発表されていますが、それに止まらずさらなる支援をお願いします。

さて、この紛争は決して対岸の火事ではなく、兵庫県民の生活にも多大な影響を既に与えています。最も深刻なのが物価の高騰です。原油・天然ガスの原価はそれ以前も高騰していましたがそれに拍車をかけ、それがガソリン、電気代、ガス代に影響し、小麦などの食料品の高騰が続いていますし、輸送費のコスト増が全ての物価を押し上げています。これは全て生活必需品です。そして、これは一過性ではなく長期化する情勢にあります。

そこで、現状認識として、ガソリン代、電気・ガス代、小麦価格などの主要品目の兵庫県内の直近の価格が昨年同期比と比べどうなっているのかお答え下さい。

 

(2)消費者・事業者への緊急的支援について

この物価高騰は、特に低所得者や中小企業を直撃しています。それでなくてもコロナ禍で疲弊しているところに追い打ちをかけることになっているからなおさらです。兵庫県としてもこの緊急事態に鑑みでき得る支援を行なうべきです。

そこで、まず消費者対策として母子父子寡婦福祉資金貸付制度や生活福祉資金貸付制度の活用を、中小企業対策として県の中小企業等融資制度や国の経営環境変化対応資金や中小企業経営力強化資金などの活用等、現制度の運用を拡大することによって県民生活の安定を図るべきではないでしょうか。知事のご所見を伺います。

 

(3)半導体不足への対応について

さらに、これまでも深刻な問題だった半導体不足にウクライナ危機によってさらに拍車がかかることが懸念されています。それは、半導体製造に必要なネオンやパラジウムは、ウクライナやロシアからの輸入が含まれるからです。それだけに、半導体の国産化の拡大は経済安全保障上の観点からも産業界にとってこれまで以上に重要な課題となっています。

齋藤知事は、令和4年度予算案に「先端半導体等技術開発拠点推進協議会(仮称)」の設置費を計上されていますが、この協議会の最終到達点は研究拠点だけなのか、それとも大規模な製造工場誘致まで想定していることなのか伺います。

 

2 県政改革方針案について

(1)県政刷新への知事の信念、強い意志について

齋藤知事が県政刷新の具体的内容として取りまとめた「県政改革方針案」が提示されました。これは、12月に第一次案を発表するやいなや各方面からその一部の内容に異論が噴出し、あっさりと修正し今回の案に至っています。

例えば阪神県民局の統合は、関係者が長年議論を重ねた末に阪神北県民局と阪神南県民センターを、伊丹庁舎を改修したうえでそこに統合する計画を決定していました。それを第一次案ではコストのさらなる削減をめざし、統合先を宝塚にある現阪神北県民局に変更する案を提示しました。ところが説明不足だと反発されると、いとも簡単にその案を取り下げ、しかも統合そのものも一旦凍結するとなっています。

また、県政改革を見える化するために提案された「行財政の運営に関する条例」の改正案についても、代表質問や特別委員会で多数の疑義が出され、当局は今後の対応を検討すると答えています。

知事就任以降、県政改革に努力されているとは思いますが、スタートラインでつまずいているように見えます。マスコミからも「知事の本音が見えない」や「真意が伝わってこない」「総合的判断の言葉が多く、自らの言葉で説明すべき」と手厳しい評価のコメントが散見されます。

私も同じ思いをもっています。この一連の右往左往を見ると知事のリーダーシップや確固たる思いはどこにあるのかと疑問を感じざるを得ません。これからさらなる改革に期待している者として不安を抱かざるを得ないのです。

知事からすると議会やマスコミは厄介だなと思っておられるかもしれませんが、それを跳ねのける強い意志、揺るぎない信念、そして理解を得るための説明力こそが必要ではないでしょうか。

そこで今一度、困難な障壁があっても改革を断行するのだという知事の強い思いを本音でお聞かせいただけないでしょうか。

 

(2)三宮駅周辺再開発への補助金について

次に、県政改革方針案に示されている事業に茶々をいれるようで恐縮ですが、神戸市内で行われる新たな市街地再開発事業への補助について質問します。このことは、一般質問、予算特別委員会財政状況の際も、長瀬議員はじめ複数の議員から指摘がありましたが、私からも三宮駅周辺再開発事業に関し、大きな問題点があることを指摘します。

まず、現在進行形である都心・三宮再整備事業は、県庁所在地の表玄関の役割を担う三宮駅周辺を外訪者含め魅力的な街へ再生させる事業であり、この成果は兵庫県全体に波及する兵庫県としても重要なプロジェクトであり、単なる周辺地域の再整備ではないという点です。

2点目は、現在施行中の雲井通5丁目および関連する6丁目の事業は補助を継続するとのことですが、それは再整備事業の一部であり全体が完結して初めて目的が達成されます。つまり、今後の事業に悪影響がでてくることが懸念されます。

3点目、これが最も重要だと思いますが、知事は県庁舎再整備事業を一旦凍結し、元町全体のグランドデザインを描いたうえで再度検討する方針を示しています。元町全体のグランドデザインは神戸市の協力なくしてできるはずがなく、また雲井通5丁目・6丁目の事業後はサンセンタービル、ウォーターフロントへと再整備は西へ、つまり元町方面へと向かうことになり、これまで以上に県庁周辺再整備と密接に関連する事業が含まれることになり、県による一定の関与が今後の県庁周辺再整備のためにも必要ではないかという点です。

このように、兵庫県の発展に重要であり、県庁周辺再整備事業と密接に関連する三宮駅周辺再開発事業に、齋藤知事は何故補助の見直しを検討されているのか伺います。

 

3 大阪・関西万博開催を契機とした未来へのレガシー

この課題については、予算特別委員会の中で複数議員が取り上げ、わが会派の栗山委員は各部局に横串を入れて質問しました。そのやり取りを踏まえ総括的に質問します。

私は、大阪・関西万博2025の開催意義は何なのかについて議論したいと思っています。1970年に開催された前回の大阪万博のとき、私は小学生でした。月の石を見て感動し、見たことのないパビリオンの建物を見て驚き、人間洗濯機や電気自動車などの革新的技術に未来を夢見たものです。つまり、万博開催の意義は、非日常を体験すると同時に未来社会を具体的に提示することを通じて将来の発展の基盤を作ることだと思っています。

現に1970年大阪万博を契機に千里ニュータウンが誕生し、地下鉄は北へ伸び、その種のお陰で今や京都との境まで街は拡がっています。御堂筋は南一方通行となり今の梅田と難波という2大スポットの形成に繋がっています。

1964年の東京オリンピック開催も、それを契機に東海道新幹線、首都高速道路、名神高速道路が整備され首都・東京の骨格を形成し、現在の世界都市TOKIOに繋がっています。

この視点から、いま兵庫県がやるべきことは大阪・関西万博開催を契機として、どんな未来へのレガシーを作るのかが重要です。つまり、残された3年間で今後の発展に欠かせないインフラを整備することこそがリーダーの果たすべき責務だと思います。

しかし、齋藤知事がこれまで大阪・関西万博の効果を兵庫に取り込む政策は、フィールドパビリオン、水上交通、船上MICEくらいしか聞こえてきません。それ自体を否定しません。しかし、それは単なる観光コンテンツの開発、開催期間中の来客誘致には役立つかもしれませんが、兵庫の未来の発展へつながる社会基盤の整備という観点ではなく、発想があまりにも貧弱、単なる枝葉の議論をしているとしか思えないのです。

私の思い描く万博を契機に整備すべき社会基盤は、「アクセスの改善」、「未来社会の提示」、「目玉となりうる観光施設」です。その具体的内容は、アクセスは神戸空港の国際化、未来社会の提示はポートアイランドでの水素社会の実験場と淡路での空飛ぶ車の乗り場整備、目玉の観光施設はウォーターフロントなどでの神戸ビーフ館の本格整備です。この3つを大阪関西万博の開催までに整備することによって、期間中はもちろん開催後は新たな産業や観光振興等を通じて兵庫の賑わいに大いに貢献してくれるはずです。

齋藤知事、単なる万博で大阪のおこぼれを貰おうという対策ではなく、未来に繋がるレガシーを兵庫の地でもしっかり作ろうとする発想で、いま申し上げた3つの提案の実現に力を入れるべきではないでしょうか。

いま申し上げた社会基盤の整備を3年以内に形にして貰えるでしょうか。

 

4 「南芦屋浜防潮堤改修工事」に見る県政の課題について

私は、県土整備部への予算特別委員会部局審査で、南芦屋浜で行なわれた「アクリル板付き防潮堤工事」での私が感じる不可解な経緯を踏まえ質問致しました。その際、設置したアクリル板に最近不具合が発生したとの答弁がありました。私にとっては衝撃的でした。

その不具合の内容を質問後に確認すると、昨年秋ごろ、アクリル板に取り付けたゴム製パッキンが変形し正常に付着していなかったとのことでした。設置してから1年程度で不具合が発生する防潮堤で、本当に平成30年のときのような高潮が押し寄せても大丈夫でしょうか。南海トラフ地震が発生したら芦屋には最大3.7メートルの津波が押し寄せると兵庫県は予想していますが、このアクリル板はもつのでしょうか。

このアクリル板は、新設した13工区全て県土整備部が推奨した「シーウォール推進協議会」が納入したものです。推奨に至った経緯は予算特別委員会部局審査の際に詳しく申し上げたので、この場では申しません。しかし、結果としてそのことによって9億円という高額の税金による追加経費を支払いながら、逆に周辺の住民の皆様に不安を与えることになっています。

県は周辺住民の皆さまの不安を払拭するためにどうされるおつもりでしょうか。お尋ね致します。

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