栗山 雅史議員が質問(予算審査・産業労働部)

質問日:令和4年3月9日(水)

質問者:栗山 雅史 委員

 

1 新観光戦略における県内へのアクセスや周遊の手段について

2023年度以降の観光戦略を議論するため、「新観光戦略推進会議」を新たに設置し、新観光戦略を策定していくとの予算案がありました。この件については藤田議員の一般質問でもありましたが、違う観点からお聞きしたいと思います。

現在進行中の観光戦略は「ひょうごツーリズム戦略」で、2020年度から2022年度の戦略ですが、この期間はほぼすべてがコロナウィルスによって環境が変化してしまった期間であり、戦略通りにあまりできなかったと考えます。来月にはこのツーリズム戦略の最終年度を迎えますが、コロナの影響など社会情勢の変化を受けて、現在は戦略を見直されており、観光産業の再生と、ポストコロナの新たな観光モデルの創出を図るとしています。ぜひ頑張って欲しいと思っています。

さて、2023年度からの新たな観光戦略ですが、基本方針として想定されるキーワードとして、例えば「持続可能な観光地域づくりの推進」や、「歴史文化、ストーリーを通じて共感を生み出す本物志向の観光」、「近隣府県との交流と連携による広域観光圏の形成」などが掲げられていました。それに加えて、来年度はJR6社によるデスティネーションキャンペーンのプレイベントがあり、そして2023年のDC本番、そして2025年の大阪・関西万博を控えており、これらのイベントを意識した戦略になることは間違いのないところだと思います。さらにそれに加えて、齋藤知事という新知事を迎えて、知事の公約にある大阪湾ベイエリアの活性化、SDGsなどにも配慮した方向性も意識されていくと思います。コロナ後の変化を見極めつつ、大きなイベントをきっかけに、県内観光産業が再生し、国内外の方々にもっともっと兵庫県に来てもらえるような戦略を盛り込んでもらいたいと思っています。

私としては特に重要だと思っているのが、今まであまり触れられていなかった県内各地へのアクセスの課題、2次交通についてです。次の質問、「兵庫デスティネーションキャンペーン」にも関連しますが、例えば、現在JR西日本と協議進行中とあります五国を駆け巡る「観光列車」や、「ひょうごクルージングバス」など、県内周遊の利便性向上も含めてどのようにお考えか、当局のご所見をお伺いします。

 

2 兵庫デスティネーションキャンペーンについて

昨年10月に正式決定しました兵庫県でのデスティネーションキャンペーン。2009年以来14年ぶり2回目ということで、開催地に採択されるまでの関係各位の多大なる努力について敬意を表するとともに、本当に心から喜ばしく思っています。

さて、このデスティネーションキャンペーン、以下DCと言いますが、決まった限りは兵庫県の魅力を存分に伝え、またさらに発掘し、国内外の方々に多く来県してもらって兵庫を体験してもらわないといけないなと感じています。担当課からは、このDCのテーマは「テロワール旅」と決まって、世界に誇る兵庫県の食を味わっていただくとともに、それを育んできた自然、歴史、文化、産業や担い手と組み合わせたストーリーとして体験する機会を提供していくと聞いておりまして、今後の展開を大いに期待をしているところです。

さて、その前に初めてDCの開催地に選ばれた2009年のDC「あなたに会いたい兵庫がいます。」の実績について、どうであったのか振り返りたいと思います。この期間にどのような特別企画や取り組みがあったのか、そしてその実績はどうだったのか。期間中の延べ宿泊客数や経済波及効果、当時の良かった取組み、不十分だったことなどを振り返る中で、今年夏のプレイベント、来年の本DCにつなげてほしいと思っています。

昨年の4月から9月にかけて実施された「東北DC」の実績が公表されていましたのでご紹介しますと、実施結果として、1,361万人泊の延べ宿泊客数や、約185億円という経済波及効果が示されておりました。その他、各コンテンツの実績として特別企画のこと、デジタル観光素材集のこと、プロモーションの実績、JR東日本の取組に関する実績についても掲載されていました。なるほど、DCとはこのような実績があがってくるのだな、あるいはこれぐらいのボリュームの取組みが必要なんだなと、改めて大変な事業であることがわかりました。

兵庫DCの事業計画・予算案の取組内容を見ますと、大きく7つの柱がありました。「食・文化・産業」体験メニューの提供、プロモーションについて、環境に配慮した周遊利便の向上、「県民総参加」のおもてなし、ポストコロナに対応した安心旅の提供、そして兵庫観光のリブランディングなどでありました。どれも欠かすことのできない取組みでありますし、すべてを的確に、着実に進めていかないと、このDCを成功させられないと感じています。

この大事業を何としても成功させて欲しいと願っていますし、応援をしたいと思っておりますので、前回のDCについてどう捉えているか、また気になります「延べ宿泊客数や経済波及効果」の目標設定についてはどのようにお考えなのか。一般質問の答弁にもありました、新たな目標指標としての「脱炭素やフードマイレージ」など、持続可能な観光地域づくりの指標も含めて「数値目標」をお示しいただければと思います。

 

3 首都圏プロモーションについて

今回の予算案で、「観光・特産品の首都圏プロモーションの実施」という事業がありました。これは、今後のDC、大阪・関西万博を見据えると、本当に重要で、必要な事業だと感じています。

予算案では、1として兵庫ブランド向上事業の展開、2として兵庫ブランドをアピールする首都圏イベントの実施が掲げられています。コンサルティング能力を有する専門事業者と連携し、首都圏富裕層をターゲットとしたテストマーケティング、B to B販路拡大、首都圏の百貨店等でのプロモーションなどが具体的な事業となっています。

私がこの事業案を見て思ったことがいくつかあります。それは、「これまでに実施していた首都圏アンテナショップ支援事業を一新し、他県に負けないセンスがあり、効果的で興味を引く店舗もしくはブースの設営が必要であること」、そして「東京だけでなく、首都圏の神奈川、千葉、埼玉での複数のプロモーション機会を創出すること」、そして「プレDCのこの夏、また来年の本DCに寄与する取組みが必要であること」などです。加えて言うならば、本当は首都圏だけでなく、人口が集中している中京圏、九州・福岡、そして近畿圏内でもプロモーションを展開して欲しいところですが、いずれにしても「兵庫県の魅力ここにあり」ということを、全国に広くアピールしなければならないと考えています。

この「観光・特産品の首都圏プロモーションの実施」について、当局の想い、今後の展開についてお伺いしたいと思います。

 

4 大阪・関西万博を見据えた水上交通観光圏の形成について

この質問については企画県民部でも同様の項目がありまして、質問をさせていただきました。企画県民部でも言いましたが、この事業案、正直なところ、どこまで本気でやるつもりなのか、本当にやれるのかと心配をしております。財源的には全額地方創生臨時交付金ですから、懐が痛むものではないのでしょうが、これまでの本会議の代表・一般質問での知事などの答弁を聞いておりますと、水上、いわゆる大阪湾ですよね、そこで観光交通圏を形成するというのは、私は正直イメージできないのです。

「令和の北前船プロジェクト」と別名がわざわざ記載されておりますが、ということはやっぱり船での交通が基本になるんですよね?岡議員のクルージングMICEの質問に対する齋藤知事の答弁の中に、「民間事業者は定期航路での採算は取れないとの声がある」と言及されており、水上交通による観光は、正直難しいのではないかと推察しております。

これまでにも関空から淡路島・洲本の航路を中心に、何度も実施しては運航中止となってしまい、定着しませんでした。大阪・関西万博を見据えるとありますが、じゃあ万博会場である夢洲や天保山あたりから兵庫県への新たな定期航路ができて、兵庫県内の沿岸部各地を船で、まさしく北前船のごとく、周遊・観光することが果たして出来るのかどうか。来年度はテスト期間なのかも知れませんが、定期航路ではなくて、とても特別な、単発のクルーズばかりならば、こんなに大きく「水上交通観光圏の形成」などと言えるのかと、私は疑問であります。

本事業案の詳細、構想についての、当局のご所見をお伺いしたいと思います。

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