木戸 さだかず議員が質問(予算審査・教育委員会)

質問日:令和4年3月14日(月)

質問者:木戸 さだかず 委員

 

1 臨時的任用教員の状況について

全国の公立小中学校と特別支援学校で、2021年4月の始業日時点に2,341人の教員が配置されていなかったことが、文部科学省が初めて実施した教員不足の全国実態調査で分かった。

教員の多忙化への敬遠が原因にあるとされており、これまでからもなり手不足については散々指摘されてきた。

兵庫県では、小学校は4.5%に当たる26校で69人、中学校は14.3%に当たる37校で79人、特別支援学校は10.0%に当たる4校で4人が不足していた。

こういった不足分は、教員採用試験を目指す教員免許保有者らを講師に臨時採用して補っており、各府県で臨時講師登録名簿を作成して管理している。

兵庫県では講師登録者数が令和4年3月8日時点で1,112人となっており、この人数については、この後、正規採用されなかった人が登録したりするので伸びていくことが想定されるということであるが、地域によっては人材確保に苦労している状況があるとも聞く。

また、昨年11月19日の東京新聞には、都内公立校の臨時教員が見つからない、半数は本来選考と違う「名簿外」、校長が元教員を探しているのが実情という記事が掲載されていた。

学校現場の苦労がわかる記事であり、同じように苦労されている自治体が多いと思われるが、臨時教員の確保について、わが県の状況と今後の取組について伺う。

 

2 教職員のメンタルヘルス対策について

人手不足の中、教職員の健康保持は大きなテーマとなっている。県教委では、公立学校共済組合と連携して、教職員の精神疾患未然防止のために、ストレスチェックや相談窓口の設置、メンタルヘルスアドバイザーの活用、セミナー、ストレスドックなど様々な取り組みをしている。

一方で、平成26年度から令和2年度までの教職員の病気休暇等取得者数の推移をみると、毎年200人を超えておりほぼ横ばい状態である。

これらの数値はどう見るべきか判断が難しいが、これまでの教職員のメンタルヘルス対策の効果について、県の所見を伺いたい。

 

3 兵庫型「体験教育」のフォローアップについて

コロナ感染拡大による子どもたちの心の状態について、県にはこれまで幾度もアンケート調査を実施していただいており、直近は令和3年11月に実施されている。

そのデータを見ると、ストレス反応の平均値2.6で、これまでよりも若干低い数値となっており、子どもたちにかかるストレスは意外に増えていないことが分かる。

一方で、いじめ認知件数を見ると、コロナ前と比べると中学校で3割ほど減少しておりこれは非常に大きな現象だと思われる。いじめが減っていることは喜ばしいことであるが、それだけ人とかかわる時間が減った、距離が生まれたということもあるのではとも考える。

わが県では、平成7年に発生した「阪神・淡路大震災」や平成9年に起こった「連続児童殺傷事件」などをきっかけに、小中高の発達段階を考慮しながら、時代の変化や課題に応じて様々な体験活動をすることで子どもたちの豊かな心を育む「心の教育」、兵庫型「体験教育」が実施されてきた。

また、大阪市生野区では、独自の教育プログラム「生きる教育」を小学校で展開されている。プログラムのポイントは、国語力の向上と、命や体の大切さを伝える「性教育」。これによって、校内暴力がなくなり、児童の学力が向上していることが報告されている。

このように、心の教育、生きる教育という情操教育は、子どもたちの発達にとって大切な取組である。

教育委員会として、兵庫型「体験教育」が十分に展開できない中で、フォローアップをどのような形で取り組み、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

 

4 金融教育について

令和4年度より高等学校において金融教育を含めた消費者教育が充実される。これまでも消費者教育としては家庭科や社会科において小学校から発達段階に応じて実施されてきたところであるが、株式会社インヴァランスが2020年8月に実施したアンケートでは、20代の7割が金融教育を受けた経験がないと回答している。これは記憶に残っていないということだろうと推察される。

また、2022年1月27日~1月31日に、日本トレンドリサーチが、全国の男女計1,250名を対象に「高校での『金融教育』必修化に関するアンケート」を実施し、金融教育は誰が授業を行うのが良いかという質問をしている。

結果は、全世代で「外部講師」と答えた回答が最も多く、次いで社会科の先生となっている。金融教育は家庭科の授業で行われるため、原則として家庭科の先生が担当するが、この辺りはニーズとのギャップがある。

さらに、昨今、金融詐欺、特に暗号資産詐欺が横行しており、昨年11月には、高利回りや好条件を謳い、650億円もの仮想通貨を集めた男が逮捕されたほか、本年2月には、「暗号通貨投資アドバイザー」を名乗る、これまで何十もの投資詐欺案件にかかわってきた男が兵庫県警に逮捕されるなど、詐欺案件が多発している状況である。

大学生が被害に遭うケースも増えており、大学によっては在学生や保護者向けに投資詐欺への注意喚起を呼びかけている。つまり、これまで金融教育を受けてきたであろう大学生もたくさん投資詐欺にひっかかっているのである。

こういった事実や、成人年齢が今年4月から18歳に引き下げられることも踏まえると、これからの金融教育は実学となることが求められると考えるが、金融教育の取組の現状と今後について所見を伺う。

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