◆22年6月定例会 会派提案の意見書案 第116号

意見書案 第116号

石綿(アスベスト)健康被害救済法等の見直しを求める意見書

アスベストによる健康被害は拡大しており、アスベスト特有の癌である中皮腫による死亡者数は2020年には全国で1,600人を超え、石綿肺がんを加えるとアスベストによる年間死亡者数は約5,000人と推定される。
本県はかつてアスベストを扱った工場が多く、2005年に県内アスベスト工場の労働者や周辺住民の健康被害が判明し社会問題化した。それが契機になり2006年3月に石綿健康被害救済法が制定された。同法施行によりアスベストによる健康被害のうち労災補償の対象にならない周辺住民の環境被曝等の被害者が救済対象となり、加えて労災補償を受けずに亡くなった労働者の遺族には特別遺族給付金が支給されることになった。2011年の法改正では、特別遺族給付金の請求期限が延長されるとともに、支給対象が拡大されている。
2016年12月に環境省中央環境審議会環境保険部会石綿健康被害救済小委員会が取りまとめた「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」では、同制度の5年以内の見直しが必要であるとされた。昨年12月には取りまとめから5年が経過した。
治療環境の変化や新たな司法判断が示される等、制度を取り巻く状況は大きく変化しており、認定基準や療養手当・給付金の見直し、治療研究促進のための「石綿健康被害救済基金」の活用、労災時効となった遺族を対象とした給付金の請求権延長、昨年成立した建設アスベスト給付金法で創設された補償基金に建材メーカーからも拠出すること等が求められている。このことから、国では、石綿健康被害救済制度の評価・検討を行う、石綿健康被害救済小委員会を開催するなど、制度見直しに向けた動きが見られている。
よって、国におかれては、石綿(アスベスト)健康被害救済法等の見直しに取り組まれるよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和4年6月9日

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