向山 好一議員が代表質問を実施

質 問 日:令和4年9月26日(月)

質 問 者:向山 好一 議員

質問方式:一問一答方式

 

1 2025年大阪・関西万博のレガシ―について

(1)神戸空港の国際化について

大阪・関西万博開催まで1,000日を切りました。来場者2,800万人、経済効果2兆円を見込んでいるこのビッグイベントを通じて兵庫県の今後の発展に繋がるレガシーを残すことは極めて重要です。

私は、この問題について今年3月の予算特別委員会総括質疑で知事に具体的提案を行いながら質問しました。その提案は、神戸空港の国際化、水素未来社会の提示、空飛ぶ車の運航、本格的な神戸ビーフ館の整備です。それに対し齋藤知事は、こういったレガシー作りには賛同し前向きな答弁を頂きましたが、あれから半年が経過し状況も変化していますのでそれを前提に2つの項目について質問します。

まず、神戸空港の国際化について伺います。先日の9月18日に関西3空港懇談会が開催され、2030年前後に国際定期便の運用を可能とすることが合意されました。私がずっと申し上げてきた万博が開催される2025年に間に合わなかったことは非常に残念です。2年半後は物理的に困難だったとしても、せめて「ワールドマスターズゲームズ関西」が開催される予定の2027年をターゲットにはできなかったのですか。なぜ、8年後というスケジュールになったのか、そしてその8年間にどんな準備をされようとしているのか質問します。

 

(2)「空飛ぶクルマ」について

万博開催時での「空飛ぶクルマ」のデビューに向けて、今後安全基準の策定や交通管理体制、離発着場の整備などが急ピッチで進んでいきます。いよいよ新たな移動手段が世界に先駆けてこの関西で誕生することが現実味を帯びてきました。このチャンスを逃がさず、兵庫県が「空飛ぶクルマ」の先駆的地域として新たな観光資源、関連産業の集積地をめざすことは非常に重要です。

一方で機体そのものは世界各国で開発が進んでいますが、動力の仕組み、搭乗人数、飛行距離などはまちまちです。そして、最も大切なことは「型式証明」を取得することで、機体型式ごとに取得する必要があります。

齋藤知事は、「HYOGO空飛ぶクルマ研究室」を創設し社会受容性の向上に取り組もうとされています。そして、万博開催時に会場と神戸空港のルート、それと淡路島ルートを目指されているようですが、残された日数が限られていることを考えれば、それに見合った機体を特定しそれに対応した準備をする段階に入っているのではないでしょうか。

兵庫県が「空飛ぶクルマ」のイノベーターになるためには失敗は許されません。これからの2年余りの期間にどのような準備プランをお持ちなのかお伺いします。

 

2 水素関連企業の育成について

我が国は2050年カーボンニュートラルという目標やウクライナ紛争等に起因する世界的エネルギー危機に直面し、国のエネルギー政策は大転換を迫られています。その主たるものとして天然ガスや石油から水素への燃料転換の加速化が挙げられます。

この水素社会への転換に向けて、兵庫県は私が以前から指摘しているとおり全国屈指の優位性を既に備えています。水素関連企業の集積、液化水素受入基地の存在とサプライチェーン構築実証による知見の蓄積などです。兵庫県はその優位性を活かすべく播磨臨海地域でカーボンニュートラルポート構想の検討を始めていますし、神戸市も神戸港をカーボンニュートラルポートにすることを目指しています。

私はこの2つの構想に限りないポテンシャルを感じています。姫路には関西電力と大阪ガスのLNG受け入れ基地があり、発電事業と都市ガス事業の拠点となっています。近くには製鉄所はじめ全国屈指の製造業が集積しています。そこに水素もしくはアンモニアの受入基地を建設し発電や製鉄の水素への燃料転換、メタネーションによる都市ガスの脱炭素化が図られればカーボンニュートラルに大いに貢献できます。神戸港は運輸分野の水素燃料への転換拠点へと整備すれば阪神間という人口密集地の立地にあわせた優位性を発揮することができます。

しかし、収支の問題や需要の喚起、技術的問題など数々の課題があり、このように時代を先取りした産業を育成し集積するためには、それに見合ったインセンティブが必要不可欠です。経済産業省も水素サプライチェーン支援制度を創設されるようですが、既存の特区制度の活用も一考の価値があるのではないでしょうか。すでに兵庫県は「関西イノベーション国際戦略総合特区」に指定されています。この播磨臨海地域のカーボンニュートラルポート構想をその計画の変更や地区の拡大によって組み込み、規制や制度の特例措置、税制や金融上の優遇措置を活かすことが、この構想の進展に拍車をかけることになるのではないでしょうか。

この関西イノベーション国際戦略総合特区の活用も含めて、立地企業に対する支援策を充実させるべきと考えます。

水素関連企業育成のために兵庫県としてでき得る支援としてこの私の提案に対し知事のお考えを伺います。

3 県内の地方ローカル鉄道の持続可能性について

今年4月にJR西日本が単独では維持が困難な路線として17路線を公表したことが波紋を呼んでいます。その中に兵庫県内でも4路線・6区間が含まれ、県も「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」を設置し関係者が集まり議論が始まっています。

このように、地方ローカル線が経営困難になっていることはJRに限らず神鉄粟生線はじめ民間鉄道の共通の課題です。これまでは黒字路線の収益で赤字路線の赤字を埋めることで何とか廃線の危機を逃れてきましたが、少子高齢化のさらなる進展に加えて新型コロナウイルス感染拡大による乗客減が追い打ちをかけ、このビジネスモデルが成り立たなくなっています。しかし、沿線自治体や兵庫県はこの構造的問題には手を付けず、あの手この手の利用促進策を検討しながら存続を事業者に求め続けています。県が設置したJR協議会でもあくまでも利用促進の焼き直しで、今なお民間鉄道に責任を押し付けようとしています。これではあまりにも無責任と言わざるを得ません。今後とも乗客増が見込めないという時代のトレンドの中で、住民の貴重な足、つまり公共物として存続を求めるなら自治体もそれなりの覚悟と責任をもつべきではないでしょうか。

国もようやく重い腰をあげて「公有民営」方式のスキームなどを導入するローカル鉄道への支援補助制度を創設しようとしています。この方式は自治体負担が伴うことになるので慎重な議論が必要ですが、廃線になれば人口流出やスクールバス・コミュニティバスの運行など移動手段の確保にコストが増えることになることを考えると、移動密度やトータルの経営状況など一定の要件を設定しながら、「公有民営」の導入で自治体も一定の責任を負うべきではないでしょうか。

知事は今なお利用促進で存続の危機を乗り越えるべきと思っておられるのか、或いは民間鉄道の努力の限界を感じ抜本的な対策を考えるべきと思っておられるのか、ご見解を伺います。

4 新型コロナウイルス対策の検証と今後の体制について

新型コロナウイルスの感染が始まってから丸3年が経過しようとしています。次々と変異株が現れその都度感染者が急増し長期戦を覚悟しなければいけない状況にあります。この間、給付金や資金の貸与、補助金の支給、イベント規制や休業要請など事業者向け・個人向けに数々の対策や規制を行ってきました。しかし、例えば飲食店には時間短縮や営業自粛の呼びかけなどで感染経路の根源のような扱いをしてきましたが、直近の国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料によると、9月12日の新規陽性者の感染場所のうち、飲食店の占める割合が全体の0.9%にとどまっているという結果が出ています。

私たちはこのコロナとの戦いで数々の経験をして知見を得ました。それを教訓として今後に役立てなければいけません。その意味で、ここで一度これまで実施してきた各種対策を検証し、何が効果的であって何が効果的でなかったのかを整理することが必要ではないかと思います。知事のご見解をお伺いします。

さらに、国は縦割り行政の弊害をあらためることも含め、来年度に感染症対策の司令塔として「内閣感染症危機管理統括庁」を創設するとともに法律で都道府県の権限強化を明記することを決めています。さらに、感染症対策の専門家組織として「日本版CDC」も創設することになっています。

縦割り行政の弊害は国だけの問題ではありません。現在、兵庫県でのコロナ対策の司令塔の役割は危機管理部が担っていますが、保健医療部や産業労働部との連携がもっと必要であったことが数多くありました。このような国の動きと連動し、兵庫県でも長期にわたるコロナ対策に加えていつ起こるか分からない新たなパンデミックにも対応できる権限の強い感染症対策を一手に引き受ける体制や専門家集団の兵庫県版CDCの創設を検討すべきではないでしょうか。知事のご見解をお伺いします。

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