第2次新行革プラン(第1次案)に対する会派意見の開陳

 12月16日開催の委員会において、第2次新行革プラン(第1次案)に対する各会派の 意見が開陳されました。我が会派として、次のとおり意見を陳述しました。
 

第2次新行革プラン(第1次案)に対する
民主党・県民連合議員団の意見

 
 第2次新行革プラン(第1次案)に対する我が会派の意見を申し上げます。
 まず、このたびの新行革プランの3年目の総点検についての評価について申し上げます。
 我が会派は、行財政構造改革の推進に関する条例により、3年毎の行財政全般にわたる総点検にあたっては、安全・安心を求める県民の願いに応えてきたのか、それを支えるべき職員の定員削減や大幅な給与削減に対して、職員のモチベーションが維持できえたのかなど、県民へのパブリックコメント、きめ細やかな現場職員の聞き取り等を通して、課題、成果について見直しも含めて、今次の第1次案を提案するにあたり、しっかりと把握する必要があると主張してまいりました。
 総点検の結果について、財政面においては、経済・雇用対策など臨時的な課題にも対応しつつ、後年度の財政負担を極力に軽減しつつ積極的に対応してきたという評価はするものの、行政改革において、安全・安心を求める県民の思いに的確に応えてきたのか、定員削減や大幅な給与削減に対して行財政改革を支える職員のモチベーションが維持できたのかといった側面からの評価・課題等にさらに目を向ける必要があります。
 新行革プランの評価については、県民や職員から極力、生の声を聞くべきであると主張してきましたが、これまでから市町長や県民会議等で意見を聞いたとしておりますが、取り組みについて、さらにきめ細かく聴取する必要があり、これまでの行革の評価について県民の考えも把握していく必要があります。
 これまでから主張しているように、厳しい行財政改革を成功させるには、県民の理解と協力が不可欠なことは言うまでもありませんし、的確に改革を進めていくためには、県民や県民に一番近い距離にある現場の職員の声を反映して行く必要もあります。
 我が会派としても、県の厳しい財政状況や新行革プランの取り組みについて、地域懇談会等を通して、県民への認識度を調査したところ、「県では超過課税等の独自の目的税を財源に様々な事業へ財政支出を行っており、財政状況は潤沢ではないか」「財政状況が厳しいとは知らなかった」等の発言を多く聞いたところであります。これは、県民にとってこのたびの行革の目的・意義が正しく伝わっていない状況であり、理解・協力を得る県民に対して、県の財政状況を適切に伝える手法がが、不十分であったのではないかと考えます。
 今後、3年毎に総点検を実施することになりますが、その際は、県政の骨格を成す財政改革については、勿論、最重要な取り組みですが、数字的な達成にのみ固執することなく、政策的評価も含めて県民や職員の声を具体的に生かし、極力、県政の質を落とすことなく、実効ある行財政改革を進める必要があります。

 第2次新行革プランの策定にあたっての基本方針については、これまでからも主張してきたように、次の3つの視点が重要であると考えております。
 一つ目は、経済格差や地域格差が拡大、顕在化している中で、医療・福祉、教育、治安、そして投資事業も含め、今後も限られた財源の中で、社会状況・情勢の変化に対応した県民だれもが納得できる優先順位をとらえた改革とすることが必要であります。
 二つ目には、改革がより厳しくなる現状を見るとき、県民の理解と協力がより不可欠となります。今後とも、各部署、現地の事務所等でより徹底した協議を行うとともに、県民に一番近い距離にある現場の職員の声を反映し、その声を大切にした施策の策定、推進を行うことが必要であります。
 そして最後に、この新行革プランの策定・推進は、本来の目的である、県民の安心・安全を高めるため将来にわたり持続可能な行財政基盤を確立し、県民が納得できる改革とすることを改めて肝に銘じ、集中と選択をより明確にし、検討するべきと考えます。
 以下、これまでの議論を踏まえ、我が会派の主な意見を順次開陳します。

 まず、財政フレームについてであります。
 依然として、国の政策動向や経済成長など不安定な要素も多い中で、歳入の見積もりを適切に行わなければ、年度途中に歳出を絞り込む必要性が生じるなど、県民生活に大きな影響を与えることになりかねません。今後の財政フレームの策定にあったっては、歳入について、慎重に慎重をきし実態に即した見積もりとし、極力ブレが生じない財政フレームとするべきであります。

 次に、組織についてであります。
 本庁組織については、現行5部体制を維持し、時代の変化に伴う多様な政策課題に対して総合的かつ機動的に施策展開を図るとのことでありますが、現在、民主党を中心とする政権のもと政府が地域主権を進め、また、この12月4日に関西広域連合が設立し、関西における具体的な広域行政を進めようとして行く中で、地域としてどのように考え、行動していくかがさらに重要となってきます。そのためには、県政全般に関する政策立案を担当し、リーダーシップを担う企画県民部総合政策室の役割が重要となることから、本部体制の見直しを含め、人員の配置や権限の強化など更なる機能強化を図るべきと考えます。
 地方機関については、県民局は現状のままとするとのことですが、今後、地域主権が進む中、合併後の市町の行政体制の整備や政令市・中核市の状況等も踏まえ、中長期的に10県民局体制を含めて見直す必要があります。
 また、事務所については社会情勢等の変化や市町行政体制の状況を踏まえて見直しを行うとのことでありますが、前回でも指摘したように土木事務所や健康福祉事務所について、災害緊急時の対応や福祉サービスの充実など市町の連携に関して課題があったことから、事務所等の統合後の組織の機能が後退することなく、十分発揮できているかどうか、常に検証、検討を行う必要があります。また、地方機関の現地解決型の機能を発揮するため、管内市町の様々な行政サービスの課題を的確に把握し、住民サービスの格差解消への調整や、マネジメント能力の向上を図るとともに、本庁から権限や予算を委譲する必要があり、今後、地域主権が進み、国から地方へ事務が移管される中で、しっかりと議論して行く必要があります。

 次に定員についてであります。
 一般行政部門については、新たな課題に的確に対応しつつ、事務事業・組織の徹底の見直し、民間委託の推進などにより、定員の削減を着実に進めるとのことでありますが、削減ありきで進めるのではなく、事務等を見直した上で、毎年の事業量精査による必要な定員数を前提に決定する必要があり、業務に支障が生じることがない等に配慮する必要があります。
 また、県単独で配置している教職員及び警察官については、教育水準の維持や治安の確保のために必要として配置した人員であって、代替措置が困難であることから、一律の削減計画に基づく、安易な削減は行わないように配慮する必要があります。
 教職員の定員については、法令等により配置基準が定められている教職員は、基準に基づく適正配置を行うこととしていますが、様々な理由があるにせよ、臨時的任用教員が1割を占めている現状は、教育施策の推進にとって、大きな問題であり、ことから、定数内の臨時的任用教員の解消を早急に進めるべきであります。
 なお、早期退職の実施にあたっては、職員にとって強制とならないようするとともに、県政推進のノウハウを持った人材の損失により業務に支障が生じないように、人員配置や新規採用方法等について配慮する必要があります。

 次に給与についてであります。
 本年度、県の抑制措置に対して、管理職員に対する一定の緩和が見られたものの、依然として、新行革プラン策定以降、職員の給与の抑制措置が続いています。先の見通せない削減をこれ以上続けることは、職員の将来にわたる生活設計にも大きく影響し、さらに職員のモチベーションに大きな支障を来たすことは明白であり、これ以上職員の士気を損なうことのないように特段の配慮をするべきであります。
 また、現在の人事委員会勧告では、民間と公務員の給与格差について、自治体が抑制措置をとっているにもかかわらずに、減額される前の給与と比較して、民間より高いと報告されております。そもそも人事委員会勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置として、公務員に対して適正な給与を確保するものであり、能率的な行政運営を維持するものであります。しかし、その勧告は県職員の実態とはかけ離れたものとなっており、公務員に対して適正な給与を確保するものとなっていないことから、実態を考慮した勧告とするべきであります。

 次に事務事業の見直しについてであります。
 冒頭でも述べさせていただきましたが、前回の第1次新行革プランで見直された事業のうち、県民に不都合が生じている事業、また県の施策を後退させている事業については、もう一度見直すことも必要であり、支障が生じた部分に新たな措置を講じる必要もあります。
 また、これまでから我が会派が主張しているように、医療や福祉、教育、雇用などの県民生活と直結する分野については、県民本位の対応となるよう、より慎重に検討を行う必要があります。
 さらに、今回の第2次新行革プランで見直した事業について、行革を推進する過程において不都合等が生じた場合は、計画を推し進めるだけではなく、再検討を行う必要もあることも申し述べておきます。
 主な事務事業の見直しに対して意見について述べさせていただきます。
 まず、福祉医療の所得判定単位の見直しについてであります。
 我が会派は、医療や福祉、教育、雇用などの県民生活と直結する分野については、県民本位の対応となるよう、より慎重に検討を行うことを申入れしたところであります。今回の重度障害者、乳幼児等、こども医療費助成事業の所得判定単位の是正については、自立支援医療制度に準じた基準にするとの提案でありますが、これらの事業は第1次新行革プランでも見直された事業であり、変更にあたっては特に慎重な対応が必要であります。今回の見直しの対象者も多く、事務を取り扱う市町もシステムの変更や新たな予算措置が必要な場合もあり、市町の来年度の予算にも支障が生じる可能性もあることから、県民や関係団体等への十分な説明、周知を行う必要があります。
 次に、スクールアシスタント事業についてであります。発達障害児等が全国的に増加する中、教育現場や保護者から、その必要性の声を多く聞き、国に先駆けて兵庫県が独自に実施されてきたものであり、高く評価されているものであります。国の地方交付税措置ができたことから、県補助事業としては廃止し、市町事業へ移管することとし、経過措置として補助を行ってきたところです。しかし、市町の財政力が違うことから、スクールアシスタントの定員が確保できず、支援員や介助員で対応するなど、発達障害児等に対す対策が不十分であることから、市町との役割分担を踏まえた上で、支障が生じた部分に新たな措置を講じる必要があります。

 次に、投資事業についてであります。
 投資事業については、真に必要な事業に限定して実施すべきであり、これまで以上に選択と集中の徹底が必要であり、県民誰もが納得できる事業の必要性と優先順位を定めるとともに、選定過程の透明性を確保すべきであります。
また、限られた財源の中で「つくる」から「つかう」を基本に、社会基盤施設の維持・更新を着実かつ戦略的に進めていくためには、民間企業等で開発されたコスト縮減等に資する優秀な技術能力や民間の資金を積極的に活用すべきであります。
 ダム建設については、社会情勢の変化を踏まえ、常に必要性や緊急性を客観的に評価し、建設ありきではなく、工事途中での事業廃止も排除せず、事業計画を再検討が必要であります。

 次に公的施設についてであります。
 第1次新行革プランでは、「市町へ移譲が出来なければ、廃止」との方針を、第2次新行革プランでは「原則廃止」を前面に出し、移譲を促進しようとしています。しかし廃止を検討するCSR施設や都市公園などの公的施設の中には、地元の要望も受けて建設された施設もあり、また、市町が用地を地権者から借地し、表向き市町所有地として兵庫県と契約しており、地権者にとっては毎年の収入となっている施設もあります。そのため、今後、地権者と新たな条件について話し合いを行わなければならないという困難な交渉も予想されます。 また、兵庫県では、公的施設の移譲にあたっては、これまで約10年間の維持経費を一括して当初に渡した施設があることや、古くなっている施設については、リニューアル工事を行った上で、移譲するのかなど今後どのように取り扱うのかが大きな課題として残ります。しかし、廃止を検討する公的施設については、県下企業からの法人事業税超過課税で設置したものもあることも踏まえて、市町への移譲が円滑に進むよう、これまで以上に十分な説明、協議を行う必要があります。

 次に教育機関についてであります。
 まず、県立大学の法人化については、これまで、当面、他大学の法人化の成果や課題、県立大学の運営状況等を踏まえ、引き続き検討するとしていたものが、今次の第1次案において平成25年4月を目途に公立大学法人へ移行を検討するとの提案であります。しかしながら県立大学の法人化に向けては、県立大学が果たすべき役割、つまり地域社会への還元、社会貢献、県政との連携が確保できるのか、また、移行について学内におけるコンセンサスが十分取られているのか、法人化後の職員の身分はどうなるのかなど解決すべき様々な課題が考えられます。さらに、県立大学は、現在、附属中学校、高等学校を設置・運営していますが、現行法で、公立大学法人は、附属学校を設置できないことから、運営主体の見直しや法的な検討も必要と考えられます。これらの課題に対処するためにも、課題解決に向けて、期間も含めて慎重かつ十分に検討するべきあります。
 また、少子化という時代背景の中で、地域社会への還元、社会貢献、県政への連携といった視点に立ち、県立大学のあるべき姿を確認しながら自律的かつ効率的な運営に努めることが必要であります。特に、高齢化社会が進む中でもっとも重要となる看護・福祉分野で活躍する人材を養成する看護学部が重要となり、病院だけではなく地域における看護ケアを提供する専門看護師の養成などの学部の充実強化が必要であります。
 県立高等学校については、個性を尊重する多様で柔軟な高等学校教育を推進するため、学校の創意工夫を生かした特色ある取り組みや、学びたいことが学べる魅力ある学校づくりのための施策を積極的に展開し、特に、近年、生徒が急増している定時制・通信制高校については、多様化する生徒に対応するため、現状に即した高校づくりを進めるべきであり、統合する場合は、生徒にとって通学における利便性の確保等十分な手当てを講じることが必要であります。
 また、特別支援学校については、第2次新行革プランで、生徒数の増加等に対応するため、規模拡大校解消に向けた対策として県立特別支援学校の整備を推進する方向を示されたことは評価するものでありますが、卒業後も地域社会に溶け込むためにも、障害のある子とない子が一緒に学ぶ機会を拡大していくために、ノーマライゼーションの理念に基づく教育の推進に積極的に取り組む必要があります。

 次に公社等についてであります。
 第1次新行革プランにおいて、統廃合により5団体を削減するとともに、県派遣職員を25%削減、県財政支出を30%削減しており、第2次新行革プランにおいても引き続き職員、財政支出を削減することとなっております。
 しかしながら、国では特殊法人や公益法人について大幅な見直しが行われる一方、他府県においても、土地開発公社、住宅供給公社、道路公社などこれまで廃止するのは困難とされていた公社でさえ、廃止の検討が行われ、既に神奈川県や茨城県などでは廃止しているところもあり、本県の公社の見直しについては、第1・2次新行革プランに記載されている公社等のみならず、全ての公社等について政策面・財政面の両面からの根本的な仕分けを行い、更なる見直しを行うことが必要であります。
 また、公社等の経費、契約、職員給与等の実態が明らかにされているとはいい難い状況にあり、監査委員の監査対象とならない団体についても、監査体制の強化や、十分な情報開示を行い、透明性の確保と効率的な運営を図る必要があります。
 次に、個別の公社についてであります。
一つ目は、勤労福祉協会の「憩の宿」事業は、別法人に経営移管しても中小企業の福利厚生施設に資する施設であり、経営移管後に新法人の経営・運営が困難になることは、中小企業の福利厚生施策に大きな支障になることから、経営移管がスムーズに行くよう、県としても見守る必要があります。
 次に、職員互助会及び学校厚生会の負担金の廃止については、雇用者としての県の立場から職員や教職員の福利厚生面の必要性について検討を行い、法定外健康診断、メンタルヘルス対策、職場復帰支援事業など、本来、雇用者である県が行うべき事業については責任も持って実施するべきであります。
次に、新西宮ヨットハーバーについては、既にボートパークの管理する民間企業が育っている状況の中、民間経営のノウハウを活用するべきであり、公社等経営評価委員会の提案も踏まえた抜本的な見直しを進めるべきであります。
 次に、いきがい創造協会については、あらゆる世代の学習や生きがい創造ニーズに対応する組織であることから、若者を対象として事業展開を行う青少年本部と重複する事業もあることから、両財団の統合も視野を入れた検討が必要であります。
 次に、ひょうご情報教育機構については、ダブルディグリー・プログラムの定着にあわせ、廃止を検討するべきであります。
 次に、土地開発公社については、事業量の減少に応じた組織人員体制に見直すとともに、年限と金額を定めて返済の目標を立てるなど、早急に抜本的な改革を進めるとともに、改革が進まない場合は、存続の是非も含めた議論も必要と考えます。
 いずれにしても、県の将来負担比率に影響を与えるみどり公社、道路公社、土地開発公社、住宅供給公社の4公社の莫大な債務の軽減が必要であり、早急かつ抜本的な対策を求めるものであります。

 最後に、自主財源の確保についてであります。
 まず、ネーミングライツについては、多額な費用を掛けずに大きな収入を確保できるツールであると評価しますが、対象施設の選定方法や効率的にPRできているかについて疑義があることから、民間企業からネーミングライツを希望する施設を募集する「提案募集型ネーミングライツ」を取り入れるなど民間からの視点も取り入れて推進するべきであります。
 つぎに、課税自主権の活用について、我が会派が、かねてから法人県民税超過課税を、少子対策の充実のために活用すべきと主張・要望してまいりましたが、昨年、勤労者の仕事と生活の調和を推進する観点から、こども医療費助成事業やヒブワクチン予防接種支援事業など子育て世帯への支援など新たに少子対策事業に充当されたことは大いに評価するものであります。しかしながら、例えば、県民交流広場について、厳しい行革の中で、この財源や必要性が十分に周知されなかったため、見直しなどを求める声もありました。また、県民みどり税についても、都市緑化事業などの都市部への予算と「災害に強い森づくり」などにかかる郡部への予算の配分の割合についての課題なども指摘されております。
 従って、超過課税等の延長にあたっては、単に延長ありきではなく、本末転倒とならないように充当事業について、十分、県民の声を把握し、議論した上で、必要な充当事業がある場合にのみ、延長を検討するべきであります。

 今回は、第2次の新行革プランとなりますが、これまでも述べてきたように、 新行革プランの目標とする、県民の安心・安全を高めるため将来にわたり持続可能な行財政基盤の確立するための改革は、県民の理解がなければその目標は達成しません。
 厳しい兵庫県の行財政環境の中で、県民の理解を得て、“新しいひょうご”が県民にみえるような改革にしていただくことを要望して、民主党・県民連合としての意見開陳とします。

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