◆22年12月定例会 会派提案の意見書案 第132号

意見書 第132号

建築物石綿含有建材事前調査・除去費用の国民への周知
と国民負担軽減措置を求める意見書

戦後輸入が再開されて以降、2004年までに約1,000万トンのアスベストが諸外国から輸入され、特に、1970年から1990年にかけては、年間約30 万トンという大量の輸入量となり、主に、建築物の建材に使用された。
そして現在、2006年9月1日(アスベスト全面禁止)以前に建てられた既存の民間住宅の解体・改修工事におけるアスベスト暴露による健康被害が問題視されている。国の補助制度として、社会資本整備総合交付金の「住宅・建築物安全ストック形成事業」があるが、1.対象建材が吹付けアスベスト等(レベル1)などに限定されている、2.補助金額が費用の一部(含有調査等上限25万円/棟、除去等:自治体実施は3分の1以内、民間業者は自治体の補助額の2分の1・かつ全体の3分の1以内)に過ぎない、などの理由により極めて不十分な制度となっている。また、一般住宅や小規模ビル等で使用されている石綿建材の多くは成形板(レベル3)であり、戸建てや小規模ビル等では使えない制度となっている。
アスベスト関連法のうち、大気汚染防止法、石綿障害予防規則が改正され、事前調査結果の報告は、80㎡以上の解体、100万円以上の改修工事となっていることから、大多数の解体・改修工事が対象になっている。国は規制の強化を打ち出しているが、調査・除去費用は工事価格に転嫁することで建物所有者(国民)が負担することとなる。また、費用の全てを工事価格に転嫁することができず解体・改修工事業者の負担が増すことが懸念される。さらには、アスベスト含有建材の調査や処分には多額の費用が必要となることから、その負担を避ける為に無届けや違法工事が横行するおそれがあり、国民や解体・改修工事従事者の健康被害が懸念される。
よって、国におかれては、アスベスト問題を国民全体の課題と捉え、下記事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 アスベストの健康被害やアスベスト関連法改正について、法改正の趣旨も含めその重要性や、法遵守について建物所有者(国民)に周知すること。
2 国土交通省「住宅・建築物安全ストック形成事業」にある「住宅・建築物アスベスト改修事業」について、一般住宅にも使えるよう、レベル3建材をはじめあらゆる石綿含有建材の調査・除去費用を補助し、事業の拡充を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和4年12月13日

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