令和5年度当初予算案等に係る討論(賛成)/北上議員

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方 討論

ひょうご県民連合議員団を代表し、ただいま上程中の2023年度当初予算、関連条例等に係る第1号議案ないし第61号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。

ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過し、議会では2月24日に「ロシアによるウクライナ侵略の早期終結に向けた措置を求める決議」を全会一致で可決したところです。
原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰、それにともなう原材料費の高騰等、様々な分野で県民の生活は大きな影響を受けています。これらウクライナ危機がもたらす県民生活不安に対し、引続き適切な措置を打ち出して頂くことを冒頭強く要請致します。

新型コロナが広がりを見せてから3年が経過しました。
ようやく、経済活動を含めた人の流れが回復しつつあります。5月8日には、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けを2類相当から季節性インフルエンザ並みの5類に引き下げることが決定され、現在、具体的な内容の検討が進んでいます。本当の意味でのウィズコロナ時代を迎えるにあたり、これまでのコロナウイルス対策から経済成長への推進に大きく舵を切らねばなりません。

知事は予算案について「次世代産業への支援で新しい時代の力を育み、万博をチャンスと捉え人の流れを生み出したい」と強調されました。
歳入面では円安で輸入額の増加や輸出企業の業績向上が見込まれ、県税と特別法人事業譲与税の合計は過去最高の9037億円を計上されました。とはいえ、県財政の収支は依然厳しい状況が続きます。発生から28年が過ぎた阪神・淡路大震災の県債残高は依然として県財政に重くのしかかっており、28年度までの収支不足額は、経済成長率の低下や金利の上昇による影響で前年度の見通しから115億円増の255億円と大幅に悪化しました。これまで以上に選択と集中、持続可能な行財政基盤の確立が強く求められています。

本県の推計人口は2023年1月1日時点で、約27年ぶりに540万人を割り込み、転出超過は全国で5番目に多い5625人と、人口流出が止まりません。
人や企業に選ばれる兵庫県として人口減少、少子高齢化への対策をはじめ、大きな被害が想定される南海トラフ地震や近年頻発する風水害・土砂災害などの自然災害への対策も必要です。

変化の激しい社会情勢の中にあっても、県民が幸せに暮らし続けることができる基盤を整備することが今の県政に携わる我々にとって最大の責務です。
私たちひょうご県民連合議員団は、これまでも県政が抱える課題について、あらゆる機会を通じて指摘をし、その改善を求めてまいりましたし、本会議、予算特別委員会における質疑、質問を通じて、来年度予算案について慎重に審議を行ってまいりました。
以下、我々が考えるめざすべき社会に基づき、来年度当初予算案に対し、評価すべき点、積み残された課題などについて意見を述べます。

まず行財政改革の推進についてです。
財政基金の「見える化」により実態に即した財政状況を公表する姿勢は評価します。しかし、一方で社会保障費の増加などで今後更に予算は厳しさを増すことを考えると、時代の流れに対応した規制の見直しや仕事の中身の改革、新しい行政サービスの創出を目指すなど、より質の高い改革をより一層推し進める必要があると考えます。

次に、地域主権社会の確立です。
少子化、高齢化が進んでも、兵庫が活力ある地域であるために、「五国の魅力向上」に取り組まれることは評価します。さまざまな施策の効果が十分に発現されるよう、その絞り込みを行うとともに、地域創生の主役は、市町であり、市町の自主的、主体的な取組への一層の支援が重要です。

健康福祉社会の実現については、「ヤングケアラー支援体制の構築」「一時保護所の整備」などに取り組まれることは評価します。加えて「依存症に関する自助グループ等への活動補助」や「ひきこもり連携支援検討会議設置」等が、新たな施策として盛り込まれたことは、これらの課題が決して「自己責任」ではなく「社会的課題」であることから、今後の支援策に繫がるものと期待するものです。更に地域の医療連携の推進、がん対策の充実、介護サービス基盤の充実、障がい者・難病患者の就労支援、子どもを安心して産み育てられる環境づくり、児童虐待防止の更なる推進が求められます。

教育の充実、子供が輝く社会の実現については、「スクールサポートスタッフの全校配置」は、学校現場の実態に即した取組であり、高く評価するものです。奨学金制度の拡充やシチズンシップ教育の推進、いじめの未然防止、不登校児童・生徒への寄り添った支援、教職員の勤務時間の適正化への取組、平和の大切さの教育など引き続きの取組が必要です。 また、少人数学級の更なる推進は重要な課題であり、その実現を如何に図っていくのかが問われていることを改めて指摘しておきます。

危機管理型社会の実現については、来る大規模災害に備え、基盤整備とセーフティネットの構築、自治体職員の災害・復旧時の対応力の向上などが必要です。

産業活力社会の実現については、性別を問わず全ての人が働き続けられるための環境整備、正規雇用と非正規雇用の均等待遇に向けた取組など、雇用、就業環境の更なる整備、充実が必要です。

環境循環型社会の実現では、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、特に産業部門における実効性のある排出抑制対策と再生可能エネルギーへの転換促進が必要です。

このほか快適で潤いのある社会の実現、心豊かな共生社会の実現についても重要課題として着実な取組が必要です。

以上、我が会派が提言や申し入れなど、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項の実現には、県行政の更なる改革が必要ですが、上程されました来年度予算については、厳しい財政状況の中、これまで以上に選択と集中が求められる中にあって、それでもなんとか合意点を見つけ出し、必要な額を確保したものであり、人と企業に選ばれる兵庫県として、県政を取り巻く重要課題に向けた施策を多く盛り込んだ予算となっており、評価をいたします。

齋藤知事は、2023年度予算を「新時代挑戦予算」と強調されました。そして県内各地へ足を運び、当事者の声を反映させた予算とし、一人一人が尊重される社会づくりを強化、地域愛を深め県外への人口流出につなげたいと語られました。

これは私たちひょうご県民連合議員団が、これまでから掲げてきた、「全ての県民に居場所と出番がある社会、希望を持って暮らしていける社会」とも重なるものと考えております。

知事におかれては、この社会の実現に向け、多様な県民の声を真摯に受け止めながら、強力なリーダーシップと優れたバランス感覚を発揮されることを強く期待し、要望いたします。

最後に、私たちひょうご県民連合議員団は、県民の視点に立ち、議会が持つ行政への監視機能をしっかりと担いつつ、めざすべき社会の実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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