小西 ひろのり 議員が一般質問を実施

質 問 日:令和5年6月13日(火)

質 問 者:小西 ひろのり議員(ひょうご県民連合)

質問形式:一問一答

 

1 学校業務の削減について

文科省が公表した「教員勤務実態調査(2022年度)」の結果によると、多くの教員の平日1日あたりの在校等時間が10時間近くまたはそれ以上となっており、前回調査から多少の改善はあるものの、依然として長時間勤務の実態は改善されていません。

現在、学校現場の業務は多岐にわたり、超過勤務が常態化しています。保護者対応や部活動の指導、子どもたちの生活指導が優先的に求められ、教員の本来の業務である授業準備は後回しになってしまっています。

県教委も「教職員の勤務実態調査」を実施し、その集計結果として「働きがいのある学校づくりに向けた現状と取組」が公表されました。結果から「全校種で休憩時間を十分に確保できていない」実態が明らかとなっています。休憩時間も満足に取得できず、やむを得ず業務を持ち帰らざるを得ない状態が日常化しており、休日出勤をしないと本来の業務である授業準備や教材研究にじっくりと取り組む余裕がないという状態もあると聞いています。

また、感染症法上の位置づけが2類から5類になったとはいえ、この3年間の生活が子どもたちに及ぼした影響は大きく、文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、不登校の子ども、心のケアが必要な子どもの数は増えており、その対応も必要となっています。

さらには、部活動指導も教職員の多忙化の大きな要因の一つとなっています。中教審答申を受け、2020年9月に文科省が示した「学校の働き方改革をふまえた部活動改革」に加え、地域人材の協力も得て、子どもにとって望ましい部活動の実現のためにも地域移行を早急に進めていかなくてはなりません。

一人ひとりの子どもたちとじっくり向き合い、「分かる授業」「楽しい学校」を作るべき教職員が疲弊してしまっており、教職員が魅力ある職業となっていません。結果的に、年度当初からの教職員の未配置問題にもつながっているのではないでしょうか。現在、臨時的任用教職員として働いている経験豊富な人材を正規採用とし、正規採用教職員を増やすことが必要であると考えます。

これまでから長年にわたって、様々な学校業務の削減・改善策に取り組まれていますが、実質の長時間労働の是正に至っていないことについて懸念しています。学校業務の削減は喫緊の課題であり、魅力ある職場づくりの推進や、福利厚生の充実、教職員の処遇改善が教育の質を高めることにもつながるのではないでしょうか。

学校業務の削減に向けた具体策について見解をお伺いします。

 

2 兵庫型「体験教育」について

感染症の影響からオンラインでの会議が増えたり、SNSの発信が盛んになったりしています。また、社会全体が効率化をめざし、デジタル機器の活用が優先され、本来大切にすべき人と人との「つながり」や「信頼関係」の構築が難しい状況となってしまっています。さらには、自己責任論や「自分さえよければ」という考え方が社会に拡がっていないか、私自身、不安を抱いています。

新しいツールを利用することも便利であり、大切ではありますが、想いが一方通行になり、ものごとの本意がうまく伝わらないことも増えているのではないでしょうか。情報機器を活用することで、便利な世界になっているのかもしれませんが、改めて人と人が直接対面し、対話を重ね、そこに生まれる空気や雰囲気をお互いに共有するからこそ、信頼関係が生まれていくことがこれまでの社会の良いところでした。

中央教育審議会の答申、次期教育振興基本計画における「今後の教育政策に関する基本的な方針」では、他者を尊重し、多様な人々と協働しながら持続可能な社会を維持・発展させていくこと、日本社会に根ざしたウェルビーイングの実現が求められています。

兵庫県においては、阪神・淡路大震災や神戸市須磨区の痛ましい事件を背景に、子どもたちの豊かな心を育む目的で兵庫型「体験教育」が推進されてきました。

現在の課題として、地域との連携の難しさがあげられています。「トライやる・ウィーク」の推進においては、先の風早先生のご質問にもありましたとおり、生徒のニーズ・想いに応えた事業にするため、各市町の「トライやる・ウィーク」推進協議会のさらなる活性化を推進していただきたいです。

一方、自然学校では、宿泊施設や子どもたちの活動場所の確保に加え、実施時期や日程の調整に苦労している学校が多いことも課題としてあげられています。特に、丹波少年自然の家は、事務組合の解散にともない、今月末で施設利用者の受け入れが停止となります。これまで利用していた学校は、新しい施設を探し、そこでの活動内容をゼロから計画するとともに、アレルギーや緊急時の対応についてもこれまでとは違った環境となるため、より丁寧な事前準備が必要となってきます。今回の事情に該当する学校はもちろんですが、自然学校における子どもたちの活動の充実の観点からも県としてのさらなるサポート体制をお願いします。

そこで、現状と課題を踏まえ、兵庫県が推進する兵庫型「体験教育」の今後の方向性について見解をお伺いします。

 

3 インクルーシブ教育システムの推進について

現状として、「インクルーシブ」という言葉自体がまだまだ浸透していないと感じています。兵庫県は、誰もが安心して暮らすことができるユニバーサル社会の実現を掲げています。真のユニバーサル社会をめざすためには、社会や県民に対して「インクルーシブ」が意味する理念や内容について、さらなる啓発をすすめる必要があると考えます。

また、これまでの記録によりますと、本議会においても、視察や調査研究を重ねてきています。しかし、昨年9月に国連の障害者権利委員会から日本政府に勧告が出された内容は、日本という国として、そして兵庫県としてもその内容に見合った政策が行われているのでしょうか。

現状として、各市町によって「インクルーシブ教育システム」の推進方法に大きな差があると感じています。一例として、同じ学年なのに、特別支援学級に所属していることから、靴箱やロッカーが通常の学級とは別の場所になってしまっていることをはじめ、不必要な分け方が行われていたり、「ともに生き、ともに学ぶ」観点ではなく「分離別学」の観点で日常的な教育が行われていたりしているようにも感じます。

よりよい教育を進めるうえでも合理的配慮のもと、一人ひとりの個性を尊重し、誰もが自己実現に向けて生活できるための諸条件の整備を進めなくてはならないと考えます。そこで、「生きる力」を育む教育の推進と、兵庫の教育においてこれまで大切にしてきた「ともに生き、ともに学ぶ」ことを基本理念とした教育施策をさらに充実したものにしていく必要があるのではないでしょうか。

現在、兵庫県で展開されている「インクルーシブ教育システム」は、地域や保護者、学校全体でしっかりと連携したうえで推進されているのでしょうか。また、現状と課題を踏まえ、「インクルーシブ教育システム」を推進していくために、兵庫県としての今後の具体的な方向性について見解をお伺いします。

 

4 放課後児童クラブの環境整備について

近年、男女共同参画の観点が拡がっていることもあり、いわゆる「共働き」世帯が増えています。また、ひとり親世帯をはじめ、子育てをしながら働く保護者や、介護や疾病等の理由によって子どもの養育が難しい状況にある保護者も増えています。

子育てをしながら働く保護者にとっての不安の一つに、「子どもがひとりで留守番ができるかどうか」という点があげられます。子どもを放課後児童クラブに通わせることで、放課後の時間も充実した生活ができることを保護者は願っています。放課後の時間帯に宿題を済ませ、異学年の友だちと安心して楽しく過ごすことができる環境は、子どもにとっても、保護者にとっても重要です。子どもたちの放課後が充実した生活となること、また、安全を守るためには、児童クラブの環境整備は喫緊の課題です。

しかし、放課後児童クラブへの入所に対して「待機」状態となる事例が阪神間を中心に多くあります。また、保護者は、生活を維持するために働かなければならないのに、放課後に子どもたちが安心して過ごせる場が確保できず、仕事に影響が及んでしまっている実態もあります。

子どもが小学校1年生になり、放課後児童クラブに入所できなかったある保護者の事例があります。民間の施設で放課後に子どもが過ごせる場をなんとか見つけることができたのですが、保育所に通わせていた時と比べると開所時間が短いため、子どもが小学校に入学したことで、これまで勤めてきた仕事を辞めざるを得ない状況になってしまいました。子どもの生活時間と働き方、学童保育のあり方がうまく合わず、転職せざるを得ない方もいます。

また、児童クラブの運営に関わっている指導者からは、「保護者の利用ニーズの高まりに施設の数や条件、職員の人数が追いついていない」という声も多数あります。実際の状況や課題として、向かい合わせに配置した長机に7~8人の子どもがすしづめ状態で座って宿題をしている、宿題を終えた子どもたちが一斉に外遊びに行く際、出入口が狭いため、ケガにつながらないか不安である、通年的に指導者を募集しているが、放課後児童クラブの特性上フルタイムで勤務できる指導者の人数が少ないため、仕事として児童クラブだけでは生活が成り立たない等、大きな課題を抱えながらの運営となっています。

放課後児童クラブにおける子どもたちの生活環境整備、指導者の確保が喫緊の課題となっています。地域で子育てできる環境づくりの観点も含め、県としての今後の支援策について見解をお伺いします。

 

5 地域と連携した災害への対応について

今月初めに四国から近畿、東海地方にかけて発生した線状降水帯により、広い範囲で記録的な雨量を観測しました。相次ぐ河川氾濫により、現時点において愛知県では1人が亡くなり、和歌山県でも1人が亡くなり2人が行方不明となっています。6つの県で11回も線状降水帯の発生情報が出されたのは初めてのことであり、まさしく想定外の事態だったと言えます。

また、本県においては、5月6日から7日にかけて降り続いた大雨により、伊丹市の天神川の堤防が長さ約30mにわたって決壊し、周辺の住家(じゅうか)12棟が床上・床下浸水、車数台が土砂に埋もれる等の被害が発生しました。被害に遭われた方々に対しましては、心からお見舞い申し上げます。

天神川の被害については、宝塚土木事務所だけでなく、県内の他の土木事務所からも応援を送りながら、懸命の作業が行われました。知事のコメントにもありましたが、調査委員会での原因究明を踏まえた補償と、一日も早い復旧を願うばかりです。

一方、災害対応として何よりも大事なのが県民のいのちを守ることです。今回の天神川のケースでも、「この時期としては想定外の雨量だった」と発表していますが、近年のような、局地的かつ想定を上回る大雨等に備えるためには、迅速な情報伝達はもとより、それに応じて住民一人ひとりが命を守る行動に移し、それを誘導していくことが重要です。

阪神・淡路大震災以降、兵庫県においても自主防災組織の育成強化に取り組んできましたが、最近では自治会の廃止、地元行事の衰退など、地域コミュニティの希薄化への懸念も指摘されています。地域防災力の維持・向上のためには、こういった現状や課題を乗り越え、地域住民一人ひとりの自覚、また周辺住民の協力が必要不可欠となります。

地域防災力を支える上で、地域と連携した災害対応について、県としての現状と課題をどのように認識し、取組を進めていくのか、見解をお伺いします。

 

6 化学物質過敏症への対応について

化学物質過敏症は未解決の部分が多い疾患ですが、アレルギー性と中毒性の両方にまたがる疾患、あるいはアレルギー反応と急性・慢性中毒の症状が複雑に絡み合っている疾患であると考えられています。

実際に、柔軟剤等の強いにおいに対して頭痛やめまい等の症状を引き起こし、日常生活においても支障をきたしている方がおられます。

化学物質過敏症は、現在、アレルギー疾患対策基本法の対象疾患には入っていませんが、発症メカニズムが明確になっていないため、誰しも発症する可能性があります。これまではまったく症状がなかったのに、花粉症と同様、ある時を境に突然、発症者になることもあります。他人事ではありません。

本県では、ホームページ等で化学物質過敏症の概要説明、症状の紹介、周知するためのポスター、窓口一覧を掲載していますが、十分な対応であるとは言えません。

そこで、本県においても、県民のいのちや健康に関する重要な課題としてとらえ、相談窓口機能の充実をはじめとした、より一層の具体的な対策を求めますが、当局のご所見をお伺いします。

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