11年2月定例会

腎疾患対策の強化を求める意見書(案)

 日本腎臓学会によると、専門医による治療が必要とされている慢性腎臓病の患者数は全国推計で1,330万人に達しており、「新たな国民病」とも言われている。
 近年の医療技術の進歩により、腎疾患医療は改善されてきたものの、末期腎不全による人工透析患者は、全国で約29万人、兵庫県内でも約1万2千人を数えるに至っており、その数は全国で毎年約1万人、兵庫県内で約500人が増加し続けている。
 慢性腎臓病は国民の生命や生活の質に重大な影響を与えうる重篤な疾患であり、重症化が進み、末期腎不全に達した患者への治療としては、人工透析と腎移植しかない。
 しかも、人工透析は、対症療法であるため病気の原因を完全に取り除くことができず、定期的な透析を永続する必要があり、さらに、根本的な治療方法としての腎移植に関しては、提供腎の絶対数不足などから、移植の数は極めて限られている。
 一方で、腎機能異常が軽度であるうちに、適切な治療を行うことにより進行を予防することも可能とされていることからも、一層の予防・治療対策が急がれる。
 よって、国におかれては、腎疾患を予防するとともに、患者が安心して充分な治療を受け続けることができるよう、以下の措置を講じられることを強く要望する。

1.腎臓病に関わる専門医の育成及び看護師等の増員を進めるとともに、腎臓病の予防、早期発見と継続治療及び、末期腎不全に対する透析治療と合併症治療から腎移植まで対応できる医療機関の整備拡充を図ること。
2.腎移植の推進を図るため、臓器提供意思登録制度の一層の普及、臓器移植ネットワーク組織の拡充及び移植コーディネーターの増員を図ること。
3.腎不全患者の生命維持に不可欠である人工透析を、災害時においても安定して継続することが出来る医療提供体制の確保に向けた取り組みを行うこと。
4.慢性腎臓病の予防、進行防止及び臓器移植に対する意識を普及啓発するための活動を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書(案)

 野生鳥獣による農作物被害額は、全国で年間約200億円程度に及び、本県でも平成21年度には約8億4千万円に達するなど深刻な状態にあり、その被害は経済的な損失にとどまらず、農家の生産意欲を著しく減退させ、ひいては農村地域社会の崩壊を招きかねないなど、深刻な影響を及ぼしている。
 このような状況を踏まえ、国においては、いわゆる「鳥獣被害防止特別措置法」に基づく鳥獣被害防止総合対策交付金の支給や、地方交付税の拡充、県から市町村への捕獲許可の権限移譲など、各種支援の充実が図られてきたが、本県でも被害農家を支援するため、来年度から「鳥獣害共済基金」を創設するなど、新たな試みを含めた対策を講じてきたところである。
 しかしながら、生息域の拡大を続ける野生動物による被害防止をより確実なものとするためには、ハード・ソフト両面による地域ぐるみの被害防止活動や、県域を越えて移動する鳥獣に対する広域的な取り組み、被害防止活動の地域リーダーや狩猟者の育成、被害農家へのより広範な支援などの対策の強化が不可欠である。
 よって、国におかれては、鳥獣被害防止対策の充実を図るため、下記事項を速やかに実施するよう要望する。

1.地域の被害実態に応じた的確な対策を行うことができるよう、鳥獣被害防止総合対策交付金を将来にわたる支援制度と位置づけ、平成24年度以降も継続・拡充するなどの財政支援を講じること。
2.鳥獣被害を防止するための防護柵設置事業への起債適用が円滑に進むよう取り計らうこと。
3.専門的な知識や経験に立脚した人材の養成を図るとともに、地域の取り組みに対する技術指導などを含めた人的支援を一層強化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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