10年12月定例会

公契約基本法の制定によるディーセント・ワーク(人間らしい働きがいある仕事)の実現を求める意見書(案)

 近年、行政改革・規制緩和の進展により、主に公的支出の削減を目的として、国や地方公共団体が建物の建設や物品の調達のみならず、保育事業・ビルメンテナンス事業・医療事務などを民間企業に委託する動きが広がっている。
 公共業務の効率的遂行は、その財源が税金であることを踏まえれば極めて重要である一方で、民間企業の過当競争、過度の低価格契約により、国または地方公共団体が契約の主体となって発注や契約をする「公契約」の下で働く人たちの労働条件の悪化、非正規雇用化、教育訓練不足、さらには雇用の喪失等をもたらしている現状がある。
 本年6月に政府が閣議決定した「新成長戦略」では、「雇用の安定・質の向上と生活不安の払拭が、内需主導型経済成長の基盤であり、雇用の質の向上が、企業の競争力強化・成果へとつながり、その果実の適正な分配が国内消費の拡大、次の経済成長につながる」と述べ、そのために「ディーセント・ワークの実現に向けて取り組む」とされているが、現在の公契約を巡る状況は「ディーセント・ワークの実現」に向けては、まだ距離があると言わざるを得ない。
 こうした公契約を巡る現況を放置することにより、その下で働く人たちの労働条件の悪化などがサービスの質や市場価格の低下につながるとともに、デフレの長期化や税収減少を招き、さらなる公共支出の削減圧力につながることが強く懸念される。
 よって、国におかれては、こうした懸念を断ち切り、我が国の経済成長につなげるため、公正労働基準と労働関係法の遵守、社会保険の全面適用等を公契約の基準とすることなどを内容とする公契約基本法を速やかに制定し、公契約で働く人の「ディーセント・ワーク」を実現させるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

薬物乱用対策のさらなる強化を求める意見書(案)

 近年、麻薬等の薬物乱用は、世界的な広がりを見せており、人間の生命はもとより、社会の安定を脅かす極めて深刻な問題となっている。
 我が国においては、麻薬、覚せい剤事犯の検挙人員は横ばい状態にあるものの、大麻事犯は未成年者や20代の若者を中心に大幅に増加しており、薬物乱用の拡大が懸念される状況にある。
 特に、本県においては、今年1月に神戸市内の女子中学生が、10月には20代の現職警察官がそれぞれ大麻所持で逮捕されたほか、8月には神戸の海の家で10代から20代の大学生等が合成麻薬LSDの所持で逮捕されるなど、薬物をめぐる事案が多発している状況をかんがみると、若年者を中心にまさに県民の日常生活の中にまで薬物乱用が浸透し始めており、非常に憂慮すべき事態となっている。
 こうした中、本県を初めとして各地方自治体においては、薬物乱用防止に向けた普及啓発活動等に懸命に取り組んでいるが、携帯電話やインターネット等の急速な普及により、入手方法を含め薬物情報が非常に身近になる反面、その対策も広域的に行う必要が生じてきている現状にかんがみ、各地方自治体の枠を超えた国におけるより実効性のある薬物乱用対策の強化が求められている。
 よって、国におかれては、青少年等を薬物から守り、健全な社会を実現するため、本年7月に策定した薬物乱用防止戦略加速化プランに基づき、薬物乱用の根絶対策のさらなる強化に向け、下記事項に積極的に取り組まれるよう強く要望する。

1.取り締まりの一層の強化はもとより、国民に対する広報啓発活動や若者に対する指導・教育を充実すること。
2.薬物依存・中毒者の治療・社会復帰の支援等の充実により再乱用防止を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

NEWS

一覧を見る