10年9月定例会

急激な円高への対策について

 我が国の経済は、2008年9月のリーマンショック後の急速な景気悪化から持ち直してきているものの、失業率は高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
 こうした中、急激に進む円高に伴い、景気が下押しされるリスクが強まっており、このまま円高が進行・定着すれば、日本経済を下支えする中小規模の製造業などがその影響を受けて生産を縮小せざるを得なくなり、本社や工場の海外流出が加速して国内産業の空洞化と失業率の悪化を招きかない。
 特に、中国等アジア向けの輸出の増加等を背景に、鉱工業生産や設備投資などの面で回復しつつある本県経済も厳しい環境が増すなど、地域経済に与える打撃は計り知れないものがある。
 こうした状況のもと、日銀は、去る8月30日に臨時の金融政策決定会合を開いて10兆円規模の追加金融緩和策を決定するとともに、政府においても9月10日に「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を閣議決定し、9月15日には6年半ぶりの為替介入に踏み切るなどの諸対策を進めつつある。
 しかし、引き続き予断を許さない円高からの脱却と、安定した経済成長を実現するためには、今後とも国が的確な情勢判断のもと一層のリーダーシップを発揮して、切れ目のない施策を実施していくことが肝要である。
 よって、国におかれては、下記の措置を講じられるよう強く要望する。

1.急激かつ長期的な円高は、経済・金融の安定上看過できない課題であることから、必要に応じて諸外国の合意と協力も得ながら、為替介入を含めた万全の措置を講じること。
2.日銀に対しては、引き続き、金融緩和策を含めた機動的な金融政策の実施や政府との連携強化を求めること。
3.円高がもたらす景気下押しリスクに対しては、我が国の成長基盤を強化するために、内需拡大効果、雇用創出効果の高い即効性ある具体的施策を速やかに実施すること。
4.円高に伴って経営が困難になっている地場産業を含む中小企業への影響を緩和するため、融資制度の充実など実効性ある支援を実施すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

児童虐待対策の強化について

 近年の少子化の進行にもかかわらず、都市化や核家族化の進展により児童や家庭を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、児童虐待に関する相談対応件数は依然として増加している。
平成21年度中に、全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は44,000件を上回る過去最多となっており、本県でもこども家庭センターと市町をあわせて、一昨年を400件近く上回る4,688件の相談が寄せられるなど、予断を許さない状況に陥っている。
 特に、昨年11月に本県三田市で発生した女児の死亡や、本年に大阪府や広島県で発生した幼児の死亡など、重大な事案が後を絶たない状況にある。
 そのような中、一昨年4月には、児童虐待防止法及び児童福祉法の一部改正法が施行され、児童の安全確認等のための立入調査や、保護者に対する面会・通信制限の強化といった措置が図られたところである。
 しかし、深刻化する児童虐待に適切に対応し、その防止を徹底していくためには、児童相談所機能のさらなる強化・充実はもとより、国・県・市町村が福祉、保健、医療、教育、警察それぞれの分野で十分に協力し合って、迅速な対応を進めることが肝要である。
 さらに、虐待により家庭で生活できなくなった児童については、児童養護施設において、十分なケアを図ることが求められる。
 よって、国におかれては、児童虐待対策の強化に向け、下記の措置を講じられるよう強く要望する。

1.虐待相談に対する十分な初期対応や、専門的できめ細かな相談・援助等を行えるよう、児童相談所職員の大幅増員や研修の充実を図るために必要な財政支援を行うとともに、対策指針の強化を図ること。
2.乳幼児期から就学に至るまで、継続かつ一貫した虐待予防を図れるよう国・県・市町村が福祉、保健、医療、教育、警察それぞれの分野で十分な連携を行うためのネットワークづくりを支援すること。
3.要保護児童が入所する児童養護施設において、十分な専門的ケアが行えるよう、職員配置の充実や施設環境の改善に向けた財政支援を行うこと。
4.身近な相談や通告の窓口である市町村が相談機能の強化を図れるよう、職員の増員と組織強化に関する基準を設けるとともに、必要な財政支援を行うこと。あわせて、中核市における児童相談所設置を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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