北上 あきひと議員が質問(総括審査)を実施

令和4年度決算特別委員会 【総括審査】

質問日:令和5年10月18日(水)

質問者:北上 あきひと 委員(ひょうご県民連合)

 

1 兵庫県森林組合連合会への単年度貸付9億円について

今月17日、兵庫県森林組合連合会(県森連)に対し、県が貸し付けた9億円が回収困難になっていることが新聞で大きく報道されました。決算書にも2022年度に貸し付けた9億円が返済されず、利子も含め9億270万円が収入未済額として記載されているところです。県森連がバイオマス事業で継続して赤字を出していることを県は把握しておきながら貸付を重ねてきたのではないでしょうか。

単年度貸付の反復ですが、金額を年々次第に増額しておられます。2021年度決算では、県は将来負担比率の算定において、県森連の貸付金に係る一般会計負担見込額として2億1千万円を計上されておられます。これは、県の貸付が返済されない可能性があるとして引き当てたものであり、県が県森連の経営の悪化を把握していたことは明らかではないでしょうか。にも関わらず、2022年度には前年度比5千万円増の9億円を貸し付けられました。

返済が困難であることを承知しながら貸し付けたのであれば、県民に対する大きな背信であると考えますが、県のご所見をお伺いします。

 

2 若者・Z世代支援について

齋藤知事は「若者・Z世代応援パッケージ」の策定を表明され、高等教育の負担軽減策として「県立大学の授業料等無償化」を打ち出されました。しかし、この「無償化」を新年度から実施する案については多くの課題があるのではないでしょうか。本会議、決算委員会を通じて、我が会派からは様々な指摘をさせて頂きましたが、先ず限られた財源のなかでの優先順位の妥当性、次に県立大学以外の高等教育機関に進学する者とのバランス、そして施策決定・発表に至る庁内議論の熟度や透明性、少子化対策、教育政策全体のビジョンのなかでの位置づけの明確性等であります。

若者・Z世代支援を拡充することの必要性は十分に承知するものであり、県立大学無償化が県内若年者の一つの希望となることや国策としての高等教育無償化を牽引することに繋がることについても理解をするところですが、今後の施策遂行にあたっては、中長期的な視座をも備え、我々の指摘に十分配意して頂くことを切望するものです。

 

(1)若年・Z世代の労働環境改善について

先日の産業労働部の審査の際にも触れましたが、先月公表された厚労省の「労働経済白書」では、結婚や出産を希望しながら、賃金が低いことや雇用形態が不安定であることによって、結婚や出産を叶えられていない状況があることから、「少子化を克服していく観点からも、若年層を中心に賃金を引き上げていくことが重要だ」と指摘しています。「若者・Z世代応援パッケージのとりまとめ」には「少子化・人口減対策としてこれから結婚・子育てする若者・Z世代」を支援すると明記されていますが、ならば「若年世代の労働環境改善」は殊更に肝要ではないでしょうか。

フルタイムで働いているにもかかわらず、貧困状態にある労働者は「働く貧困層」「ワーキングプア」と呼ばれ、若年層を含む「ワーキングプア」はかねてより大きな社会問題となっています。本県における若者・Z世代支援策として、労働環境の改善についての取組を一層強めて頂きたいと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

(2)若年層をターゲットにした宝くじの販売促進について

本県においては、自主財源確保の一環として「宝くじ販売促進」に取り組んでおられ、その方策として「神戸市及びみずほ銀行と連携して若年層など潜在的購入層をターゲットにした広報活動を展開」することを掲げられています。「宝くじ」はもちろん合法であり、その売り上げの一部が県財政に寄与することは承知しますが、ギャンブルのゲートウェイとの指摘もある宝くじを県が若者をターゲットに熱心に販売促進をすることには、違和感を抱かずにおられません。本年7月に県が後援する「ギャンブル依存症セミナー」に参加しましたが、講師が「ギャンブルを始める年齢が若ければ若いほど、依存症に陥りやすい」「若者を取り込もうとするギャンブル業界の問題がある」と指摘されていたことが深く心に残っています。

若年層をターゲットにした宝くじの販売促進は、「若者・Z世代応援パッケージ」に込められた理念と相容れるのか疑問に思うところであります。が、若者・Z世代支援は全庁における政策展開において果たされるべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

3 県職員の勤務形態変更における県民の意向聴取と合意の形成について

県庁の新しい働き方を巡っては、生田庁舎においてモデルオフィスを実施し、各部交代勤務による出勤率4割のリモートワークを中心とした試行を行っておられるところです。果敢な改革マインドや柔軟な発想力には敬意を表します。

これまでの議会答弁によって明らかになってきた「4割出勤」の課題は、業務資料の電子化を如何に進めるのか、職員間の人間関係構築や意思疎通を如何に図るか、在宅勤務する際の環境整備は出来るのかなど、職員の業務効率や労働安全衛生に関わるものが主だと認識します。職員の意向を十分に聴取するとともに、職員・職員団体との合意に基づく丁寧な対応が求められていることは、既に我が会派の議員が指摘して参りました。

加えて、県民サービスへの影響について、そのメリット、デメリットの緻密な検証が必要ではないでしょうか。県民や事業者との意思疎通や情報伝達が円滑・適切に行われるのか、県民の個人情報や事業者の信用情報が職員の自宅等の庁外において取り扱われることへの懸念が払拭できるのか、緊急事態の対応において初動の遅れ等の瑕疵が生じないのかなど、検証するべき課題は数多くあると考えます。

コロナ禍における在宅勤務は緊急避難的な面があったと存じます。公的な権能を有する県職員の勤務実態については透明性が担保されねばならず、恒常的な職員の勤務形態の変更については、県民サービスへの影響を明らかにしつつ、県民の意向を十分に聴取し、県民の理解と合意のもとに進める必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 

4 5類感染症へ移行後のコロナ対策について

2020年3月に本県で新型コロナウイルスの陽性者が初めて確認されてから、3年半が過ぎました。医療や保健の最前線で奮闘頂いた皆様をはじめ、厳しいコロナ禍にあって各々の現場で最善を尽くしてくださった全ての皆様に、改めて感謝と敬意を表します。当局におかれては、県のコロナ対策について総括的な検証を行っておられるところだと存じますが、取りまとめに向けては、新たな感染症にも備え、県内市町からの意見も踏まえ多角的な視点からのより丁寧な検証作業が為されることを期待するものです。

 

(1)今後の感染拡大防止策と医療体制の確保について

本年5月8日より、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類感染症」になりました。それに伴い、例えばこれまで「患者負担ゼロ」としてきた新型コロナ治療薬の公費支援は見直され、10月からは所得に応じて患者が上限3,000~9,000円を負担する対応になりました。新聞報道によれば、新型コロナウイルス感染患者に、医師が新型コロナの飲み薬を出す「処方率」が、10月1週目(1~7日)に急減したことが明らかになっています。専門家は「10月に入り『お金を払うのであれば薬はいらない』という患者が増えてきている」、秋冬に懸念される再流行についても「ハイリスク者で薬を『使わない』選択をする人が増えると、医療負荷が大きくなる懸念がある」と警告を発しておられます。

様々な取組によって死亡や重症化のリスクは軽減しつつあると認識するものの、コロナ感染症は完全に終息したわけではなく、特に高齢者や基礎疾患のある方々は不安を抱いておられると推察するものです。本県における、今後の感染拡大防止策と医療体制の確保について、当局のご所見をお伺いします。

 

(2)罹患後症状(いわゆる後遺症)への対応について

WHOは後遺症について、「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの」と定義しています。 ここ最近、コロナウイルス感染症の治療や療養終了後も、倦怠感、味覚・嗅覚の異常、咳や痰等の症状が続くといった後遺症に悩まされる事例をお伺いすることが増えてきました。また、特に子どもの後遺症は、思春期特有のだるさや頭痛といった体調不良との違いを判断しづらい面があり、支援には丁寧な配慮が必要だとの指摘も聞くところであります。

コロナ後遺症については、正しい情報の提供や相談機関の充実、適切な医療的支援等が求められていると考えます。本県における、後遺症対応策の現状と課題について、当局のご所見をお伺いします。

 

5 県民の健康増進について

(1)スポーツ振興について

2011年に制定された「スポーツ基本法」では、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利」であるとされ、心身の健康保持や長寿社会の実現に寄与するスポーツの推進を図ることが定められました。それに呼応して、本県においては、2012年に「兵庫県スポーツ推進計画」を、2022年には第2期の計画が策定されています。

先日発表された、スポーツ庁の「2022年度体力・運動能力調査」では、週3日以上時間をかけてスポーツをする習慣があると、世代を超えて「大いに健康」と感じている割合や「生活の充実度」、体力が高いことが示されました。県民が生涯にわたり心身を健やかに保ち幸せに暮らすことが叶うよう、誰もが気軽にスポーツを楽しむことのできる環境を整備することが一層求められていると考えます。

また、子どもの頃の外遊びやスポーツ体験が、生涯を通じてスポーツに親しむことに繋がるとの研究報告があります。本県の「スポーツ推進計画」においては、子ども・ユース世代のスポーツ参画機会拡充のために、スケートボートやスポーツクライミング等のアーバンスポーツの環境整備に取り組むことが記述されています。子どもや若者の声を反映させながら、多様なニーズに応え得る未来志向の柔軟かつ効果的な環境整備を期待します。

そうした中、今年度からスポーツ行政を知事部局に移管し、体制強化が図られました。県民が一生涯、スポーツに親しむことができる環境づくりが重要です。本県の取組状況と今後の展開について、当局のご所見をお伺いします。

 

(2)「歯及び口腔の健康づくり推進条例」に基づく取組について

コロナ禍、学校や保育所で歯みがきやうがいを控えたことによって、子どもたちのむし歯の増加が危惧され、また施設等で高齢者の口腔ケアが行き届かないことによって肺炎の罹患や重症化のリスクが高まることなどが懸念されました。併せて、口腔内の細菌を減らすことは、コロナやインフルエンザ等の感染症予防に繋がる面があることから、口腔ケアへの関心が高まっているように感じるところです。

本県では2015年6月に口腔保健支援センターを設置、2022年4月に「歯及び口腔の健康づくり推進条例」を施行され、乳幼児期から高齢期までの生涯にわたる切れ目のない歯及び口腔の健康づくりと体制の整備に向けた種々の施策が展開されているものと認識するところです。本条例に基づく取組が、県民の健康増進と健康寿命延伸に真に寄与することを願うものですが、取組の現状と今後の展開について、当局のご所見をお伺いします。

 

6 本県における「盛土」対策の進捗状況と今後の取組について

2021年7月、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生し、甚大な被害をもたらしましたことは記憶に新しいところです。翌2022年5月に成立した新たな盛土規制法では、これまで十分に対応できなかった宅地造成を目的としない盛土も規制の対象に追加し、用途を問わず安全性確保策がより厳格に求められるとともに、命令違反等に対する罰則強化等が規定されました。本県においては、2022年11月に副知事をトップとする部局横断の対策チームを発足して頂き、また県と市町で構成する県宅地防災推進協議会に作業部会を設けるなど、「盛土」対策が的確に図られるよう、体制の構築に努めてこられたものと認識するところです。

2021年の盛土総点検では、県内646ヵ所の点検を実施され、その結果、是正措置等が必要な盛土が7ヵ所(神戸市2ヵ所、西宮市・川西市・猪名川町・佐用町・宍粟市各1ヵ所)あると発表されました。当該盛土近隣の住民は、日々盛土を目の当たりにされ、一刻も早い不安解消を願っておられるのではないでしょうか。

また、県内全域において新たな規制区域の指定が求められるなど、新法に基づいた施策の円滑な遂行が求められると推察するところです。

私は、昨年6月の本会議代表質問で「盛土災害は人災の側面が大きく、県のリーダーシップのもと速やかに対策を講じて欲しい」と訴えたところですが、7ヵ所への対応状況を含めた本県における「盛土」対策の進捗状況と今後の取組について、当局のご所見をお伺いします。

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