小西 ひろのり 議員が一般質問を実施

質 問 日:令和6年2月22日(木)

質 問 者:小西 ひろのり(ひょうご県民連合)

質問形式:一問一答

 

1 兵庫県の災害対策における民間団体等への支援・連携について

能登半島地震をはじめ、これまでの災害において、多くの人命が奪われました。また、避難生活の長期化で体調を崩す方、「災害関連死」の疑いで亡くなった方もたくさんいらっしゃいます。

さらには、避難所運営だけでなく、自宅での避難生活を余儀なくされている方へも救援物資やインフラ状況等の情報が確実に伝わるような工夫が必要です。

6月定例会において、私は「地域と連携した災害への対応について」伊丹市の天神川で発生した堤防の決壊に関連した質問をさせていただきました。

その際の答弁は、「地球温暖化の進行などを背景に災害が頻発化、激甚化する中、公助には限界がある。自助・共助を強化して、地域防災力を向上することが重要」、「今後とも市町と緊密に連携し、自分の身は自分で守る、そして困っている人は地域で助けるといった地域や住民一人ひとりの防災意識を高め、災害に強い地域づくりにつなげる」という内容でした。

県が担う災害対応として何よりも大事なことは、県民のいのちや財産、生活を守ることです。

地域防災力を高めることも大切ですし、必要なことですが、兵庫県がとりくむ災害対策「公助」として、「どこまで備えができているのか」、「今後、どれだけ備えておく必要があるのか」について検証し、対応する必要があると考えます。ものごとには限界があることは十分に理解していますが、「公助の限界」を最大限高めていくために、今一度、各部局単位でできることにとりくんでいただきたいと考えています。

実際に南海トラフ地震発生の切迫性が高まっている今、想定外の事態であっても、それに対応する日常的な備えが必要です。具体的には、避難生活に最低限必要な環境整備や物資の確保をしておく総合防災公園の拡充、避難所での生活スペースとトイレの確保、人工透析治療を継続するための環境整備等、どのような生活環境におかれている方であっても、災害発生後の生活がしっかりとできるような対応策を県が「公助」として準備しておく必要があります。

また、津波対策をはじめ、道路や港湾等のインフラ整備の観点も重要です。

さて、これまで「公助」の必要性について述べてきましたが、今回の質問では、「共助」を担う民間団体への支援や連携についてお伺いします。

例えば、今回の能登半島地震の被災地支援では、西宮市の認定NPO法人「日本災害救援ボランティアネットワーク」をはじめ、県内のボランティア団体、社会福祉法人、青年会議所等の団体がいち早く被災地に駆けつけられました。各団体どうしの日常的なネットワークから、物資の保管やボランティアの宿泊所等の支援にあたる拠点をいち早く確立し、初期段階での炊き出しをしたり、和菓子をもって被災者に寄り添い、被災経験を共有することで心の安定をはかったりするなど、「心のケア」をおこなう活動をされました。

県が自ら県内の災害対策をおこなうことはもとより、今後の被災地支援にあたり、NPOやNGOをはじめとした団体や民間団体等への県としての支援や連携も必要であると考えます。

阪神・淡路大震災から、来年で30年を迎える兵庫県。これまでもその経験を活かし、民間団体等への支援をおこなってきたと思いますが、このたびの能登半島地震をふまえ、災害への備えという観点からも、民間団体等のとりくみへのより一層の支援や連携が必要だと考えますが、当局の所見をお伺いいたします。

 

2 不登校となっている子どもへの対応について

文部科学省における「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、小・中学校における不登校児童生徒数は過去最多となっており、近年の増加が顕著になっています。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合も増加しています。

不登校児童生徒の61.8%にあたる18万4,831人が、学校内外の機関等で相談・指導等を受けており、指導要録上出席扱いとされた児童生徒数は、3万2,623人、自宅におけるICT等を活用した学習活動を出席扱いとされた児童生徒数は1万409人でした。

しかし一方で、学校内外での相談を受けることができていない子どもたちが約11万4,000人もいます。その内90日以上欠席している児童生徒数が約5万9,000人とともに過去最多となっており、生活指導の観点からも喫緊の課題となっています。

兵庫県の公立学校においても、小学校で4,938人、中学校で9,239人、高校で1,400 人が不登校となっており、教育機会の確保や相談体制の充実等、対策を強力に推進していくことがもとめられています。

国においては、「こども大綱」が令和5年12月に閣議決定されました。

そのなかで、「『こどもまんなか社会』~全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会~」を目指すと記載されています。

また、文科省は、都道府県や教育委員会などに対し「不登校児童生徒への支援の在り方について」や、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」において、子どもたち一人ひとりのニーズに応じた体制を整備するとともに、保護者も含めた必要な支援を行うことが重要であるとし、子どもたちの居場所づくりや早期発見・早期支援にとりくむことで、不登校対策の速やかな推進をはかるよう通知を発出しています。

兵庫県では、「不登校は、どの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、児童生徒の最善の利益を最優先に支援を行うことが重要」、「支援に際しては、登校という結果のみを目標とするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」という基本的な考えのもと、『全県一丸となって進める「ひょうご不登校対策プロジェクト」の推進』にとりくんでいます。

現在、「不登校対策推進センター」の設置や「校内サポートルーム」への不登校児童生徒支援員の配置補助をはじめ、不登校対策について提案されていますが、校内サポートルームの運営方針、不登校児童生徒支援員の担い手の確保等について具体的にどのようにお考えでしょうか、県の見解をお伺いいたします。

 3 「ともに生き、ともに学ぶ」教育の推進について

2022年9月に国連障害者権利委員会から日本政府に対して、総括所見が出されました。

まずは国が対応すべき内容であることは理解していますが、国連の障害者権利委員会は特に、障害者の権利に関する条約第19条の「自立した生活及び地域社会への包容」第24条の「教育」の内容について、勧告の中で「特に支援を多く必要とする、あるいは偏見にさらされやすい人の権利が守られていない」と指摘されているのではないでしょうか。

どうすれば、みんなが幸せに暮らしていけるのか、どうすれば、同じ社会のなかで暮らしていくことができるのか、「生きづらさ」を抱えるすべての人にとってバリアをなくすこと、誰ひとり「取り残されない」社会をめざして「障害」を社会モデルとしてとらえることができる環境をつくることが急務であると考えます。

また、障害者差別解消法の改正にともない、令和6年4月1日から民間事業者においても合理的配慮の提供が義務化されます。

私個人の見解ですが、合理的配慮の「配慮」ということば自体が対等という意味を感じられず、同じステージに立ってものごとを考えようとする姿勢が不足しているのではないかと考えています。

しかし、合理的配慮の意味するところは、だれもが暮らしやすい、生活しやすい環境をみんなでつくっていくこと、建設的な対話をお互いに重ねていくことで、知事が『ひょうご人権ジャーナル「きずな」1.2月号』でも表明されていた「だれもが夢や希望を持って挑戦できる社会」にもつながるのではないでしょうか。

兵庫の教育においてこれまで大切にしてきた「ともに生き、ともに学ぶ」ことを基本理念とした教育施策をさらに推進していくことが必要だと考えます。本人や保護者の希望を尊重することは当然のことですが、「障害があるから」という理由だけで別の場所で生活や学習をするのではなく、学校においても、さまざまな個性のあるなかまの多様性を互いに認め、尊重し合う環境をつくらなくてはならないと考えます。

そこで、県として今年度策定する「兵庫県特別支援教育 第四次推進計画」における「ともに生き、ともに学ぶ」教育の推進についての考え方や、「インクルーシブな学校運営モデル」について県の見解をお伺いいたします。

 

4 県庁職員との対話、「4割出勤」・県庁舎の今後のあり方について

知事自身は、就任以前も含めて、これまでに在宅勤務、「4割出勤」を経験されたことはありますか?

県職員の在宅勤務の割合を増やすことで、業務の効率があがり、さらには、県民の期待に応える「攻めの県政」が推進できるとお考えでしょうか?

知事は、神戸新聞の「2024新春座談会」において、「大事なのは対話と現場主義です」とおっしゃっています。私が考える「対話」とは、パソコン等の機器を通したオンラインでの対話ではなく、同じ空間で同じ雰囲気を感じながら、お互いの顔をみあわせ、相談をしながらものごとをすすめることととらえています。

メールやLINE等の文字だけでのやりとりでは人の本意や真意は伝わりません。

また、実際にモデルオフィスを経験した職員からは、「在宅勤務では職員どうしのコミュニケーションの時間が減ってしまい、人財を育成する上で大きな課題となってしまう」といった今後の県政を懸念する意見もきいています。知事はモデルオフィスを経験した職員のアンケートを検証し、職員のみなさんと実際に対話は十分にされましたか。

県民サービスの充実や、県民のいのちをまもるとりくみを中心になってすすめる県の職員に必要なことは、在宅勤務ではなく、一人ひとりが県庁や県の機関内に「居場所」や「拠点」をしっかりともって県民と向きあうことではないでしょうか。そして、その場での「対話」を通して職員どうしが信頼関係を構築し、チームで県政を推進してはじめて県民の期待に応えることができる施策が実現すると考えます。

オンライン会議が拡がり、働き方や働くスタイルも多様化していますが、感染症の影響による現状は変化しています。また、自治体職員としての働き方やあるべき姿について、一度立ち止まって考えていただきたいのです。

1月19日付の読売新聞朝刊に、『「出社したい」オフィス拡大~テレワークから回帰~』と題した記事が掲載されました。記事によると、就職活動をする学生の8割以上が企業選びにおいてオフィス環境を重視しており、「社員同士が顔を合わせて意思疎通を図りながら創造性や生産性を高められる仕掛けを導入」する企業が相次いでいるとのことです。

県庁は民間企業ではありませんので、その役割のちがいはあるにしても、同じ空間で職場のなかまとコミュニケーションをとることで新たな気づきや刺激が生まれることは、「躍動する兵庫」を推進するにあたって、よい方向性にすすむことになるのではないでしょうか。

今、被災地の支援を継続的に、みんなでとりくもうとしているこの期、「4割出勤」・県庁舎の今後のあり方についてはやはり「この道を行くしかない」のでしょうか。知事の見解をお伺いいたします。

 

5 県立病院で働く職員の勤務環境の整備について

県立病院で働く職員は現在、人員不足という大きな課題を抱えながらも、患者のニーズに応えるため、必死で働いています。その結果、日常的な超過勤務が続き、疲弊している状況にあり、勤務環境の整備は喫緊の課題となっています。

令和6年4月より医師の時間外労働の上限規制が始まることから、県立病院における医師の働き方改革に資するとりくみを検討するため、「医師の働き方改革プロジェクトチーム」が設置されています。

では、同じ病院現場で働く、看護師、栄養士、臨床検査技師等の医療技術職、事務職員をはじめ、医師以外の職員の勤務環境の整備についてはどのようにお考えでしょうか。

医療現場では患者のニーズの高まりや医療の高度化により、医療従事者に求められる内容が増えています。看護師や医療技術職員をはじめとした病院職員からは、「看護補助者が十分に確保されていない」、「業務改善が進まないため、超過勤務が依然として多く、休憩時間がとれないほど忙しい」、「夜勤帯の看護師は誤嚥性肺炎や転倒による外傷を防ぐために、常に注意を払っており、精神的負担が大きい」、「多忙な病院ではゆとりのなさが人間関係にも悪影響を及ぼしている」等、数多くの厳しい現場の声をきいています。

また、私の地元西宮市では、令和8年度の開院をめざし、西宮総合医療センター(仮称)の整備がすすめられています。「兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編基本計画」にもとづき、西宮市域及び阪神圏域における中核的な医療機関として、高度急性期・急性期医療を担う新病院となる計画です。

その基本方針では、救急医療体制の充実、関連大学等との連携による先進医療への対応、感染症対応機能の充実・強化等が掲げられ、AI、ICTの活用をはじめとする医療技術の進歩に対応できるよう、将来の拡張性を考慮するともあります。県民が安心してかかることができ、職員にとっても働きやすい新病院の整備が期待されています。

現在、第5次病院構造改革推進方策(「公立病院経営強化プラン」)として3月の策定・公表にむけ、準備がすすめられています。

病院事業の今後の収支見込が非常に厳しい状況のなか、県立病院で懸命に働く職員にとって、働きやすく、魅力的な病院となるよう、どのようにとりくんでいかれるのか当局の見解をお伺いいたします。

 

6 高校生と県内企業とのマッチング支援のあり方について

近年、県内の企業において、就職後3年以内離職率が高いとききます。本県では、産業労働部が中心となり、奨学金返済支援制度の推進、理工系人材獲得の促進、UJIターンの支援、ダイバーシティ&インクルージョン等の対策にとりくんでいますが、とりわけ高校生と県内企業とのマッチング支援のあり方についてお伺いします。

今、どの業界も人財不足が深刻な課題となっています。厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によりますと、「学歴別就職後3年以内離職率」は、3割から4割でほぼ横ばいとなっています。そのうち高校生は、令和5年のデータで37%と大学生の32.3%を上回っています。

「県内高校の卒業者数減少も相まって人財不足が急速にすすんでいる」、「高卒者の離職をなんとか食い止めたい」との声も聞いています。この背景には高校生が就職する際、高卒者の職種が限られていることや、マッチングが上手くいっていないことが考えられるのではないでしょうか。また近年、普通科では就職希望者が少ないため、進路指導教員と企業との接点が少ないことが背景として考えられます。

例えば、就職を希望する高校生や進路指導教員に対して、労働基準監督署、ハローワークやひょうご仕事と生活センターとのさらなる連携をはかる等、在学中に進路情報が十分に提供できる機会をつくることが必要であると考えます。

高校生と県内企業とのミスマッチをなくし、どのように県内に就職する人財の確保に繋げていくのか、今後の県のマッチング支援のあり方について、見解をお伺いいたします。

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