12年2月定例会討論

第312回定例会(2月)一般質問
2012年3月22日(木)

上野 英一 議員

第1号議案(平成24年度兵庫県一般会計予算)~第86号議案(関西広域連合規約の変更)について

 私は、民主党・県民連合議員団を代表して、ただいま上程中の平成24年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号議案ないし第86号議案に対し、賛同する立場から討論を行います。
 昨年3月11日に発生した東日本大震災の被災地で、私たち自身の足元を改めて見つめ直すことの大切さとともに、新たに解決を求められる課題が多くあることを学びました。
 今なお不自由な生活を余儀なくされている被災者の方々の一日も早い生活再建や被災地の復旧・復興を目指した取り組みが求められていますが、かつて阪神・淡路大震災を経験し、また関西広域連合で広域防災を担う本県としても、引き続き最大限の支援を行う必要があるとともに、近い将来に発生が予想されている東南海・南海地震をはじめとする自然災害への備えなど、様々な危機管理とともに、本県経済・雇用情勢の再生、県民のくらしの安全・安心を守ることなど、取り組むべき課題は山積みしています。
 一方、本県財政は極めて厳しい状況に直面しており、「第2次行革プラン」による取り組みを精査しながら、更なる施策の「選択と集中」を断行し、県民の生命と生活を第一とする施策への重点的な予算配分や、将来に希望を持つことのできる施策を示す必要があります。
 私たちの会派では、このような厳しい経済・雇用情勢を踏まえつつ、今定例会に提案された各議案に対し、本会議、常任委員会、予算特別委員会における質疑・質問を通じ、慎重に審議を行って参りました。
 また、昨年11月には、当初予算編成に対して88項目にわたる申し入れを行ったところであり、このような私たちの会派の主張や活動方針を踏まえ、以下、来年度当初予算案などに対し、県民の立場に立って、私たちの会派の意見を述べたいと思います。
 まず、「真の分権型社会の構築と県民の参画と協働の推進」の中から、「行財政構造改革への取り組み」についてであります。
 本県では、新たな行財政構造改革の推進に取り組み、昨年の2月定例会において「第2次行革プラン」を議決・策定しましたが、円高・デフレの長期化や海外経済の減速の影響も懸念される中で編成された当初予算案では、歳入面について、税制改正の影響や景気動向を踏まえつつ見込まれた県税収入は、前年度を95億円上回る6,323億円が計上されたものの、1,401億円の発行を見込んだ県債残高は過去最大の約4兆4,353億円に至り、「第2次行革プラン」の財政フレームに定められた財源対策を講じても、なお生じる780億円の収支不足について、行革推進債の追加発行、県債管理基金の追加取り崩しによる、特別な財源対策を強いられているところです。
 第2次行革プランの作成に当たり、私たちの会派は、県民の生命と生活に直結する医療・福祉、教育・治安等については、極力、行革の対象とすべきではなく、「選択と集中」によってメリハリのある改革を行うとともに、県民誰もが納得できる社会的に弱い立場にある方々に光を当てた公平感のある改革に取り組むよう求めてきたところであり、改革の対象となった各分野において、再検討も含め、残された課題は少なくないと考えます。
 県民・市町・関係団体等の声も踏まえ、県民誰もが納得できる県民本位・生活重視の第2次行革プランのフォローアップに取り組むべきことを強く主張いたします。
 次に、「健康福祉社会の実現」については、特に、少子化対策の推進に当たり、我が会派から申し入れた、多子世帯対策をはじめとする子育て家庭の負担軽減や、地域医療活性化センター(仮称)を整備して医師確保対策を力強く進めようとする点は評価できるところですが、この分野についてはさらに、小児科・産科・麻酔科等の医師の就労環境の整備や、助産師の確保対策等への積極的な取り組みとともに、不育症の専門外来設置や成育医療に対応する診療機能の充実、障がい者福祉制度の充実に向けた取り組みなど、私たちの会派があらゆる機会を捉えて指摘してきた課題がなお多く、より一層の積極的かつ効果的な施策展開が求められます。
 次に、「新たな兵庫教育の推進」については、ひょうごの未来を担う子どもたちを健やかにたくましく育むため、読み・書き・計算をはじめとする基礎・基本学力の確実な定着を図るとともに、特色ある高等学校教育の展開や、県立大学のあるべき姿を確認しながら自律的かつ効率的な運営を進める一方、特別支援教育については、障がいのある児童生徒1人1人のニーズに応じた対策を推進するなど、時代の要請に的確に対応しながら、兵庫ならではの教育の推進に、さらに前向きに取り組まなければなりません。 
 次に、「県民が安全で安心して暮らせる治安体制の充実と危機管理」については、東日本大震災の経験を踏まえながら、地震・津波被害や、風水害・集中豪雨等の大規模自然災害対策、感染症等の危機管理事案等に迅速かつ的確に対応できる体制を整備しておく必要があることは申し上げるまでもなく、東日本大震災被災地への支援拡充や、被災地支援を行うNPOやボランティア団体との協働のしくみづくり、県立大学等を活用した人材育成等を、より積極的に推進しなければなりません。
 次に、「産業の活性化、雇用対策の充実及び国際化の推進」については、中小企業の自立と地域経済・雇用の活性化を推進するとともに、中高年齢者や若年者、障がい者などが求める様々な就労ニーズへの対応や、中小企業も取り組みやすいワークライフバランスを進めるとともに、現下の経済・雇用情勢不安の中、中小企業経営に対するさらなる支援、そして多彩な地域資源を活かした交流人口の拡大による地域活性化への積極的な取り組み等を求めます。
 このほか、「環境適合型社会の実現」、「食糧自給率の向上と活力ある農産漁村づくりの推進」、「快適に暮らす社会環境づくりの推進」などについても、重要課題として、着実かつ強力な取り組みを期待します。
 以上、来年度当初予算案に対する評価、さらに一層の取り組みが求められる重要な県政課題等について述べてきましたが、上程された予算案等については、極めて厳しい財政環境の中にあって、現下の経済・雇用情勢や、少子・高齢化をはじめとする様々な実態を踏まえた必要不可欠な事業を選択し、重点的に実施するために必要な額を確保したものであり、県政を取り巻く重要課題の諸取組みに対し、その解決や推進への努力が窺える予算となっている点で、評価をいたします。
 しかしながら、私たちの会派が提言・申し入れ、あるいは本会議など、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項には、さらなる取り組みが必要な分野や精査すべき課題が少なからず残っています。
 開会日に行われた提案説明で知事は、「兵庫らしい将来像の実現に向けて、それぞれが役割を自覚し、責任を持って行動する姿を全国、世界に発信していこう」と述べられましたが、こうした取り組みこそ知事と議会が一体となって取り組まねばならないものであります。
 知事におかれては、今後とも、県民の声を真摯に受け止め、第2次行革プラン全体が実効あるものとなるよう最大限の配慮をなされるとともに、県民本位、生活重視、現場主義の県政を推進し、「創造と共生の舞台・兵庫」をめざした強力なリーダーシップを発揮されることを強く要望いたします。 
 最後に、私たち民主党・県民連合議員団は、厳しい財政状況のもとであっても、「県民の生活が第一」と位置づけ、安全に安心して暮らすことのできる元気な兵庫づくりに全力で取り組む決意であることを表明いたしまして、討論を終わります。

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