池畑浩太朗議員が一般質問を実施

第309回定例会(6月)一般質問
2011年6月22日(水)

1 災害発生時の警察官の支援活動について

(1) 東日本大震災の被災地に対する本県警察の支援状況について

 質問の第1は、災害発生時の警察官の支援活動についてであります。災害発生時には、自衛隊、警察、消防、行政などが中心となって復旧復興活動に取り組みますが、今回は、警察官に焦点を当てて2点質問させていただきます。
1点目は、東日本大震災の被災地に対する本県警察の支援状況についてお伺いします。
3月11日に発生いたしました「東日本大震災」は,国内観測史上最大のマグニチュード9.0を観測し,東北地方を中心に広範囲にわたり,想像を絶する被害が発生しました。死亡者約15,500名、行方不明者約7,800名、の尊い命が一瞬にして奪われ、自然の力の恐ろしさとともに、自然の力に対する人間の無力さを改めて感じた次第であります。犠牲になられました方々に深く哀悼の意を表し,被災者の方々にお見舞いを申しあげるとともに,一日も早い復興をお祈りいたします。
さて、兵庫県警察では、地震発生後直ちに被災者の救援救助を目的とした「広域緊急援助隊」を被災県からの要請を見越して派遣したとのことで、発災から1時間以内に先発隊を派遣したと聞いています。
その後も、被害の大きい岩手、宮城、福島の各県で、被災者の安全と安心を目的として、機動捜査隊や機動パトロール隊による24時間のパトロ-ルや、女性警察官により編成された“のじぎく隊”による避難所訪問を通じた被災者の心のケアのほか、交通支援、身元確認、パトロールの強化など、積極的な支援活動を展開され、心より敬意を表する次第であります。
その一方で、派遣された警察官は、過酷な勤務環境に晒されることとなることから、過度のストレスや精神的ショックによりPTSD(心的外傷後ストレス障害)になることが懸念されます。また、福島第一原子力発電所周辺地域の警察活動に従事している警察官は、放射線の被ばくによる健康面も心配されるところでありますので、県警察としても、派遣の前後には肉体的、精神的ケアを講じていく必要があります。
今回の東日本大震災の被災地においては、阪神・淡路大震災を経験し、その教訓から得られた様々なノウハウを活かした、本県警察ならではの支援活動が展開されているものと認識していますが、その一方で、今回の東日本大震災は、阪神・淡路大震災に比べて規模が大きく、津波による被害が殆どであったことや福島第一原子力発電所の事故の発生など、被害状況が大きく異なることから、阪神・淡路大震災で得られた教訓やノウハウにはない、課題も新たに出てきたのではないかと思われます。
そこで、今回の東日本大震災の被災地における本県警察の復興支援の活動をどのように評価し、今後の災害支援活動にどのように活かしていくのか。これまでに派遣された各部隊の活動状況の概況と併せてお伺いします。

(2) 原発事故を想定した警察官に対する教育訓練の充実について

 次に、原発事故を想定した警察官に対する教育訓練の充実についてお伺いします。
東日本大震災では、巨大地震とともに発生した大津波により、東日本太平洋沿岸の街は壊滅的な被害を受けるとともに、福島第1原子力発電所においては原子力発電史上初めて、大地震が原因で炉心溶融事故が発生し、多量の放射性物質が外部環境に放出されるなど、震災から3ヶ月余りが経過した現在でも収束の目途がつかない状況であり、日本国内はもちろん、国際的な大問題として、世界中の人々に多大な影響と不安を及ぼしております。
日本は世界有数の地震災害多発国にも関わらず、全世界の原子力発電所の約13%が密集しています。今回の福島第1原子力発電所の事故においては、緊急時の電源が確保できなかったことや、使用済燃料プールへの冷却水を機動的に供給することができなかったことなどを踏まえ、現在判明している知見に基づき、他の原子力発電所に対しても緊急安全対策の実施が経済産業大臣より指示されるとともに、安全対策の実効性を担保するための省令改正が行われたところであります。
そのようななか、橋下大阪府知事が原発の新規建設の停止などを求めるという考えを関西広域連合の委員会で提案されたところ、「早急に方針を決定するのは『時期尚早』ということで、これから研究していく」と結論づけられました。私個人としても、「代替エネルギーの開発・導入は積極的に進めていく必要性は強く感じています。現在のところ、原子力発電に頼らざるを得えない状況である」と感じています。
いずれにしても今後のエネルギー政策の中で原子力発電をどのように位置づけて見直していくのか議論を進めていく必要があるのは言うまでもありません。
本県には、原子力発電所はありませんが、昨日のわが会派の徳安議員が行った代表質問にもありましたように、関西では、福井県内に14基の原発が集中しており、万が一、これらのいずれかで今回の福島第1原発事故と同様の事故が発生した場合やテロ攻撃を受けた場合には、本県にも被害が及ぶ事態が想定されます。
今回の福島第1原子力発電所の事故に対しては、本県警察も含め、各都道府県警察からの派遣部隊により、避難誘導、放水活動、行方不明者の捜索や警戒区域の検問、一時立ち入りの支援などの業務に従事されているところであり、業務に際しては、必要に応じて、防護服、防護マスク、線量計を着用することとなります。3月17日には、政府は、公務員が許される被ばく量の限度を定めた人事院規則が今のままでは、自衛隊や警察による十分な作業時間が確保できないことから、今回の地震の対応に限り、被ばく量の上限を今の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げました。人事院は今回の対応について「厚生労働省からは人体に影響が出ないぎりぎりの値だと聞いている」としていますが、取り返しの付かない健康被害を受ける可能性もあるのではないかと感じています。
そこで、今回の派遣では、時間的余裕が無かったこともあり、派遣者に対して、放射能の基礎知識の座学と防護服の着脱方法や線量計の使い方などの実技をそれぞれ1時間程度講習しかできなかったと伺っていますが、今後は原子力発電所の事故等に備え、警察官に対する教育研修や訓練を充実しておく必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

2 リスク分散対策を契機とした企業誘致の推進について

 質問の第2は、リスク分散対策を契機とした企業誘致の推進についてであります。
 今回の東日本大震災により自動車大手8社はサプライチェーンの混乱で製造ラインが停止するなど、各社とも前年同月比で3割から8割減と大幅な減産となり、さらに、福島第1原発事故による電力供給不足や計画停電により、部品等の生産が減少するなど、国内企業に大きな打撃を与えました。
 さらに、5月25日には経済産業省から、今後の大幅な電力供給不足に対応するため、東京電力と東北電力管内において、15%の節電を求める使用制限を発動しました。電力需要が高まる夏場に全国的な電力不足が懸念されることから、企業や自治体において、節電対策に取り組んでいるところです。
 需要のピークをずらすために土日勤務を検討する企業やサマータイムを導入する企業も現れはじめ、本県においても本日よりサマータイムが導入されました。また、保育園では、延長保育の拡大や休日保育の確保などの対応に追われたりしています。
 就業時間の変更やサマータイムの導入に加えて、生産拠点や本社機能を移転する動きも見られはじめています。帝国データバンクの調査結果によれば、電力不足への対応として首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川の1都3県)に本社がある企業のうち約8%(7.6%)が他地域に生産拠点を移すことを検討しており、移転先は、近畿が最も多くなっているとのことです。
 そのようななか、6月10日には関西電力も、管内の企業や家庭などすべての契約者に対し、7月1日から9月22日までの平日午前9時から午後8時まで、昨夏より一律15%程度の節電を要請するとの発表がありました。これは福井県が定期検査中の原子力発電所の安全対策の強化を求めて再稼動に難色を示していることによるものであり、地元自治体が納得できる新たな安全基準を政府に対して期待するところであります。
 既に、東日本大震災で被災された企業の皆様に対しては、引き続き国内で生産等の機能を維持していただけるよう、関西広域連合における関係構成府県が有する情報をもとに、用地やオフィス情報に関するポータルサイトを開設されるなどの取組をされているところですが、今後、被災されていない企業にあっても、リスク分散の観点から、本社機能や生産拠点を移転する動きが今後加速していくことが予想されるところであり、石原東京都知事も「東京に対する過度な集中集積というのは、私、ちっとも好ましいと思わない」と発言されています。
 そこで、企業のリスク分散対策や東京一極集中を打破の観点から、首都圏の企業を中心に、生産拠点や本社機能、本社のバックアップ機能の移転先としてもらえるよう、定期的に情報提供を行っていくなど、積極的な誘致活動を展開していくべきと考えますが、今後の展望についてご所見をお伺いします。

3 農業に関心を持たせる教育の充実について

 質問の第3は、農業に関心を持たせる教育の充実についてであります。
 我が国の農産業は、輸入農産物の増加や農業従事者の減少、耕作放棄地の増加をはじめ厳しい状況に置かれています。なかでも、農業の担い手不足は今後ますます深刻化していくことが見込まれます。
 全国の農業就業人口の動向では、2010年には、約261万人まで減少し、およそ6割減少しており、30年前と比べて約4割、10年前の約3分の2となっており、本県の動向についても、概ね全国の動向と同様となっています。
 一方、農業就業人口のうち65歳以上の高齢者数については、1985年から2008年までの間、1割程度の増減が見られるものの、ほぼ同水準で推移してきていることから、農業就業者については「高齢化」の問題ではなく、従事者数の「減少」が問題であることがわかります。
 さらに、最近はこの傾向が特に顕著に現れ、2008年から2010年のわずか2年間で、農業従事者総数、65歳以上ともに約1割減少しており、担い手不足は加速度的に深刻化していくことが予想されます。
 新規就農者の確保については、農業の担い手育成を一元的に進めるために設立された、兵庫県担い手育成総合支援協議会の中に設置している「ひょうご就農支援センター」や各地域に設置した「地域就農支援センター」では、幅広く学生から社会人、企業等を対象として相談から就農、経営確立までの一貫した支援を行っているほか、兵庫楽農生活センターにおいても、新規就農駅前講座や就農コースなど就農に関心がある方から、実際に就農や企業化を目指す人まで新たな担い手の着実な育成に取り組んでおられ、今後も引き続き積極的に取り組んでいただきたいと願っているところです。
 しかし、これらは、あくまで農業に関心を持った方を対象としているものであり、裾野を広げる観点から、都市化の進行により農業・農村の役割を認識・理解する機会が減少している児童・生徒に対して、学校教育において農業教育を充実させ農業に興味・関心を持ってもらう取組が必要ではないかと考えています。
 学校における農業教育には、スペシャリストの育成だけではなく、農業について興味・関心を高めたり、農業の社会的な意義や役割を正しく理解させたりする役割を担っていることから、今後は、学校教育において農業を職業として認知させていくことが、大きな役割の一つとして求められてきているのではないかと感じています。
 子どもたちには自然と触れ合う機会を持たせる事により、環境問題や農業へ関心が生まれまるだけでなく、自然のすばらしさ、偉大さを感じ、農業の大切さ、重要さを実感できるような体験が「豊かな心」を育む教育の観点からも大切であります。
 本県の小中学校における農業体験活動としては、小学3年生の環境体験事業や小学5年生の自然学校推進事業や中学2年生における「トライやる・ウィーク」などでわずかに行っている程度であり、十分といえるものではありません。
 そこで、農業体験活動は、農業に対する正しい理解を醸成していくうえで重要な場であることから、学校教育において小中一環の体験プログラムとして充実させるべきと考えますが、学校教育における農業体験活動の必要性についてどのようにご認識されているのか教育長のご所見をお伺いします。

4 踏切に起因する交通渋滞の緩和について

 質問の第4は、踏切に起因する交通渋滞の緩和についてであります。
 一昨年の9月、県会議員になって初めての定例会において、同じタイトルで一般質問させていただきましたが、今回も引き続きお伺いしたいと思います。
 最近では、有川浩さん原作の「阪急電車 片道15分の奇跡」が4月に映画化され、注目されることとなった“歌劇のまち宝塚”ですが、神戸・大阪からのアクセスが良いこともあり、閑静な住宅地として発展してしまったため、かつての観光要素が少なくなってしまった感はありますが、今でも歌劇を中心に、清荒神、売布神社、中山寺への参拝客や市内10箇所あるゴルフ場の利用客など、多くの観光客やレジャー客が宝塚を訪れています。
 なかでも宝塚歌劇場前交差点は、宝塚市内の交通の要所ともいうべき交差点であり、東西方向には国道176号が、南北には、市道川面宝塚線と県道明石神戸宝塚線が通っています。しかしながら、南北方向、東西方向ともに朝夕のラッシュ時はもとより、平常時でも断続的に渋滞が発生しており、通過する交通に大きく影響しています。
これまで同交差点の渋滞対策として周辺信号機と連動させて円滑な交通の確保や道路交通情報通信システムなど県警による各種対策が講じられてきましたが、一向に改善されていません。
 宝塚歌劇場前交差点が渋滞するのは、市道川面宝塚線を分断するJR福知山線の学校前踏切の遮断機が、長時間に亘って降りていることが原因しており、特に清荒神参拝時期の交通停滞はひどい状況となっています。
 一昨年の9月定例会の一般質問においては、当時の河野県土整備部長から、当該踏切が平成18年度に策定された「踏切すっきりプラン」において要対策箇所として位置づけられていること、市道561号の完成により、踏切を通過する交通量は減少し、踏切に起因する宝塚歌劇場前交差点の渋滞が緩和されるとのご答弁をいただきました。
 これは、市道561号の完成により、市道590号、新荒神橋を通り、国道176号の旧道及び国道176号によるネットワークの確保が図られることにより宝塚歌劇場前交差点の渋滞が緩和されるということで、学校前踏切を南から北に向かう車を中心に、ご答弁いただいたものと認識しています。
 しかしながら、踏切を起因とする渋滞は、南から北に向かう車だけでなく、北から南に向かう車にとっても深刻であり、特に、踏切の北側には、ニュータウン「ラ・ビスタ」があるすみれが丘や御殿山の住民にとっては、とりわけ深刻であります。朝の通勤・通学時には、1,2本早いバスに乗車しても学校や会社に遅刻したという声をよく聞きます。
 4月20日に市道561号が完成した後でも、宝塚歌劇場前交差点やネットワークを形成する交差点において学校前踏切を起因とする渋滞が発生していることもあり、渋滞対策としては、十分ではないと認識しています。
 そこで、市道561号完成後、学校前踏切を起因とする渋滞の解消について、県としてどのように認識、評価されているのか、今後の対応と併せてご所見をお伺いします。

5 宝塚市北部地域の未利用土地の有効活用について

 質問の第5は、宝塚市北部地域の未利用土地の有効活用についてであります。
 兵庫県においては、三木市新都市用地や淡路市多賀用地など、社会経済情勢の変化や今後の先行き見込み等から、当初の構想や計画の変更を余儀なくされたり、計画どおりに進捗していない土地があります。
 私の地元である宝塚市の北部地域においても、かつて新都市の用地として1,100億円余りの資金を投じて先行取得されたものの、当初の計画どおりに進捗していない13クラスターからなる約1,120haの土地があり、公共事業用地先行取得事業特別会計の保有用地として、現在は県土整備部の所管となっています。
 この用地は、昭和60年代の初め、ゴルフ場や住宅団地などの開発圧力が高まり、乱開発が懸念されたことから、秩序ある開発のため、宝塚市や地元住民からの強い要望を踏まえ、平成4年度に県において宝塚新都市の基本計画が策定されるとともに、用地の先行買収に着手されたものであります。その後、平成12年度に計画の見直しがなされ、平成13年度には、企業庁が整備に係る計画策定等の業務を行うこととされました。
 この宝塚新都市計画について、本会議、決算・予算特別委員会で過去3回質問させていただきました。直近では、昨年10月の決算特別委員会において、企業庁に対し、「宝塚新都市計画の今後について」質問したところ、「企業庁としては、独立採算制のもと、企業会計にて地域整備事業を進めており、事業の採算性の確保ということが重要な要素とならざるを得ない。現在の厳しい経済環境下にあっては、新たな開発の見通しが立てにくい状況にある。」とのご答弁をいただきました。
 私も現在の社会経済情勢、今後の土地需要を考えたとき、産業用地や住宅地の開発手法による地方公営企業としての事業では、採算性の確保が見込めないと思うところであります。
 また、宝塚市の北部地域は、平成9年度に「進度調整地」とされ、平成20年に策定された「新行革プラン」や本年3月に策定された「第2次行革プラン」において、「長期的な視点も踏まえ、適切な利活用を検討するが、現時点では直ちに利活用が見込めないため、水源涵養、CO2排出抑制など、森林の持つ公益的機能に着目し、環境林として県が計画的に取得し、適切な管理を行う。」対象用地の1つとして位置づけられています。
 しかし、クラスターの元の所有者やNPO法人など地元の方々からは、すぐに利活用できるような土地も数多くあるにもかかわらず、未利用になっている宝塚市北部地域の土地を有効活用できないのかという想いをよく耳にします。
 一方、現在、平成28年度の開通を目指して、鋭意工事が進められている新名神高速道路(高槻~神戸間)においては、宝塚市にスマートインターの設置実現に向けた検討も行われていると聞いています。
 こうしたことから、私は、宝塚市北部地域の活性化や地域交流の促進に向け、例えば、お茶等を栽培する農地に転用することやNPO法人等が運営する貸し農園として貸し出すこと、さらには、わが国の今後の大きな課題であるエネルギー政策として太陽光発電設備の設置など再生可能な自然エネルギーへの取組などに利活用できないかと思うものであり、実際に近隣府県などから地元へクラスター用地の利用に対する要望の声もあります。
 そこで、利活用に際しては、地方公営企業の事業手法では、事業収入をもって事業に要する費用を賄うという採算性の確保が大前提となるため、利活用方策に一定の制約をもたらすことにかんがみ、この際、全庁的な立場に立って、地域振興を図る観点から、当該用地の有効な利活用方策について、検討していただきたいと考えますが、地域の期待を込めて、当局のご所見をお伺いします。

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