宮本博美議員が一般質問を実施

第306回定例会(9月)一般質問
2010年10月1日(水)

1 加古川医療センターの現状と課題及び今後の方向性について

(1) 医師及び看護師等の医療スタッフの充実と育成について

 まず、私たちの念願でありました、播磨地域における第3次救命救急センターが、やっと昨年11月に加古川市神野町の見晴らしの素晴らしい場所に「兵庫県立加古川医療センター」として開院しました。
 知事をはじめ多くの関係者の方々に心より感謝申し上げます。
 当センターは、25の診療科と353病床数を持ち、基本的な機能としては、東播磨地域における三次救急医療、糖尿病等の生活習慣病医療、緩和ケア、感染症、神経難病などの政策医療を中心に提供するとともに、地域医療に対する補完機能を担う病院として、大いに期待されております。
 又、患者本位の病院として、外来部門の1階への集中配置やアメニティ向上への積極的な対応、さらに職員の接遇態度、環境に配慮したグラスパーキング等、今までの県立病院にはなかった施設運営となっております。
 特に、加古川医療センターの重要な機能の一つとして、東播磨・北播磨医療圏域の3次救急医療の提供があります。
 これまで、東播磨・北播磨地域は、約100万の人口を有するにもかかわらず、今まで高度診療機能を備えた重篤救急患者に対応する救命救急センターが設立されていませんでした。そのため、医療圏域内の重篤な救急患者は、県立姫路循環器病センター、兵庫県災害医療センター、神戸大学医学部附属病院など圏域外の病院に搬送されておりました。
 このような中、県医療審議会の答申を踏まえて、新病院の設立に当り。3次救命救急医療を担う「救命救急センター」を設置し、現在、ICU 8床、HCU 6床、救急科病床16床の併せて30病床を整備し、医師13名を確保して、24時間365日、重篤な救急患者の対応にあたっており、東播磨・北播磨地域の救急医療の一翼が担われております。
 そこで、開院して約11月が経過しましたが、救命救急センターの今後ますますの充実を図っていくためには、医師の確保あるいは看護師等のスタッフの資質の向上等を図っていくことは必要不可欠ではないかと考えますが、これらの課題に対して、どの様に取り組まれるのかお伺いします。

(2) 緩和ケア体制の充実について

 近年、国民の2人に1人が何らかのがんに罹り、3人に1人ががんで死亡する時代と言われております。平成19年4月にがん対策基本法が施行され、その中では、がんの予防、早期発見、がん医療の普及などがんに対する研究向上が謳われています。
 特にがん医療のなかで、緩和ケアがクローズアップされ、①がんの痛みをとってもらうことは、患者の権利であり、自宅においても科学的な根拠に基づいた医療を受けること。②緩和ケア関連施設として、一般病院、緩和ケア病棟、在宅医療関係施設が連携して、患者さん、ご家族を診ていくことが求められています。そして最も重要なことは、がん患者の多くは、がんと診断された時から身体的な苦痛や精神心理的な苦痛を抱えており、また、その家族も様々な苦痛を抱えていることから、治療の初期段階から緩和ケアが実施されるとともに、診断、治療、在宅医療など様々な場面において切れ目なく実施される必要があると言われています。
 兵庫県下では、緩和ケア病棟を有する病院は9病院ありましたが、東播磨・北播磨地域にはありませんでした。一方で、がん治療を専門とする県立がんセンターが明石市にありますが、同センターで、がんの診断・治療から終末期ケアまで一貫して実施するのは困難であります。そのような中、県立病院としてはじめて緩和ケア病棟を備えた緩和ケア体制が県立加古川医療センターに整備されたことは、今後、大いに期待するものであります。
 緩和ケアについては、医療的な治療だけではなく、精神面などからの心のケアも重要なことから、医療スタッフの他にも、ボランティアなどの支援も必要と考えます。また、緩和ケアは新しい分野であることから、緩和ケアに精通した看護師の育成も必要となります。
 また、自宅での治療を求められる方には、緩和ケアを扱える地域の開業医などとの連携も必要となります。
 そこで、これらの課題について、加古川医療センターとして、緩和ケアの現状をどのように認識され、今後どのように取り組まれるのか伺います。

(3) ドクターヘリの今後の展開について

 迅速な災害医療が行えなかった阪神・淡路大震災の教訓から生まれたと言われているドクターヘリは、全国に導入が進み、ある新聞社の調べでは、11年度内に26道府県に広がると報道されています。
 加古川医療センターもドクターヘリから搬送される救急患者の対応が可能なように、敷地内にヘリポートを設置しており、今までに8件の受入れを実施しております。
 本年5月に我が会派が同センターを視察した際、現場の医師からは、救命救急センターとしての機能と、ヘリポートを設置している当センターに、ドクターヘリ運航の要望の声を聞いたところであります。
 ドクターヘリは、医療スタッフが乗り込み、現場で初期治療したうえで搬送できるため、救命率の向上と重い後遺症を減らすことが可能となり、医療の信頼回復が期待されるものであります。今年4月に兵庫、京都、鳥取の3府県が共同運航するドクターヘリが公立豊岡病院に配備され、1日平均2.7件と全国的にもトップクラスの頻度の出動を行っているとの事です。
 瀬戸内側の人口密集地帯では、現在、神戸市と共同で運航している防災ヘリ3機を活用して、必要な場合に、兵庫県災害医療センターの医師を搭乗させて、ドクターヘリ的な運用を行っております。しかしながら、兵庫県災害医療センターについては、周辺が住宅密集地であることからヘリの発着回数に制限があるため、県災害医療センターの医師が、防災ヘリが常駐するポートアイランドへ移動するため、どうしても出発までの初動時間がかかってしまう課題があります。
 現在、救急科医師13名を配備し、ヘリポートを有する加古川医療センターに、ドクターヘリの基地を設置すれば、瀬戸内側の救命率の向上が図れると考えます。
 そこで、3次救急医療病院の役割を果たすため、県として、当センターにおけるドクターヘリの配置について、今後どのように考えているのか、ご所見をお伺い致します。

2 安全・安心のまちづくりについて

(1) 安全で快適な歩道の整備ついて

 平成20年に策定した、新行革プランにおいて、投資事業の整備の基本的な考え方として、県民の安全と安心の確保、整備の遅れている分野や時代の変化に対する分野への選択と集中を図り、県民生活に密着した社会基盤整備を重点的・効率的に推進するとしております。
 特に、歩道の整備については、歩道設置率は36.5%と全国で30位と整備の遅れている分野であり、県民の安全と安心を確保する重要な社会基盤であり、整備の促進が求められています。特に最近では、福祉のまちづくりの観点からも本当に利用しやすい歩道の整備が求められております。
 私の地元・加古川市においては、市内を2分する加古川を渡る相生橋や池尻橋は、車はもちろん、通学や通勤のために自転車等の交通量が多く、一部では人が歩くにも狭い歩道があるなど危険な状況であり、多くの県民から改善の要望を受けています。
 県下の歩道設置の状況を見ると、県が管理する道路では、歩道整備が必要とする道路のうち、69%が設置され、東播磨県民局管内でも59%と言われていますが、実感としてはもっと低いのではないか、また、この数値には幅員が狭いものも含まれており、今後かなりの整備が必要と考えます。
 人通りが多く、危険で、通学路となっている箇所から優先的に進めていくべきと考えます。
 そこで、東播磨県民局管内の歩道整備について、指摘した箇所も含めて、今後、どのように整備・改修を行っていこうとするのか、ご所見をお伺いします。

(2) 県下における無電柱化の取り組みについて

 道路の地下空間を活用して、電力線や通信線などをまとめて収容する電線共同溝などの整備や、表通りから見えないように配線する裏配線などにより、道路から電柱をなくす無電柱化が、最近、注目されております。
 これは、例えば、①電線が多すぎて景観が悪い。②電柱で道幅が狭くなり、歩行者には歩きにくく、自動車が来たときにも危険。③地震や台風などの災害で電柱が倒れたり、電線が垂れ下がったりする危険もあるなど、電線や電柱についての課題が指摘されています。道路の無電柱化は、こうした様々な問題の解決に役立ち、特に地震の多い日本では、防災面から、無電柱化は重要であります。
 こうしたことから、国は、「安全で快適な通行空間の確保」「都市景観の向上」「都市災害の防止」「情報通信ネットワークの信頼性向上」などを目的として、無電柱化を推進しております。
 しかしながら、欧米の主要都市では無電柱化がほぼ出来上がっているのに対して、日本の無電柱化率は市街地の幹線道路に限っても13%と、大きく立ち遅れています。また、兵庫県においても、県管理道路における無電柱化延長は、76.7kmに過ぎません。
 道路の無電柱化の推進にあたっては、確かに、電線管理者の経営環境や国・地方公共団体の財政状況の悪化等の大きな課題がありますが、快適な生活空間の確保や防災面、交通安全対策の必要性からも、道路管理者、電線管理者及び地方公共団体や地域住民の地元関係者が三位一体となった密接な協力のもと、より一層の無電柱化の積極的な推進が必要と考えます。
 そこで、今後、県下の無電柱化についてどのように進める方針なのか、ご所見をお伺い致します。

3 殺人事件における時効撤廃による捜査体制等のあり方について

 殺人など最高刑が死刑の罪については、25年の時効が廃止され、傷害致死など人を死なせた罪は時効期間が2倍に延長されるとともに、さらに時効が未成立の事件にも適用される刑事訴訟法が、本年4月27日に改正、即日施行されました。
 これは、「逃げ得は許さない」という犯罪被害者・遺族らの声が政府や国会を動かし、法改正につながったものであり、時効の壁で、犯人が見つからず、事件の真相も背景もわからないままになっていた遺族にとっては悲願だったと言えます。
 一方、これらの事案の時効が撤廃されたことにより、未解決事件についての捜査体制の継続が必要となります。本県でも現在、14件の未解決の殺人事件を抱えており、今後、新たな事件も発生していくことになりますと、捜査員の数に限りがある中で、捜査体制の継続や、莫大な捜査記録や証拠物の保管・管理、長期化による情報収集の困難が予想されるなど多くの課題があり、一方で警察の捜査は年々難しくなっております。捜査員の聞き込みで逮捕される割合は年々落ち込んでおり、加えて団塊世代のベテランの捜査員の大量退職期を迎え、一層捜査が困難になる恐れがあります。
 また、県下での未解決事件の一つに、平成19年10月に私の地元加古川市で発生した小学生女児殺害事件があります。容疑者確保に直結する有力な情報を提供した方に支払われる公的懸賞金制度の該当事件として取り扱われていましたが、適用期間2年間で、平成22年7月29日をもって終了したと聞いています。
 この事件については、前県警本部長の就任会見でも特に「証拠や捜査経過を検証し、方針を立てて解決に向けて努力する」と意気込みを語っておられました。事件の解決にあたっては、情報収集がもっとも必要であり、情報収集にかかる懸賞金制度の延長等も含めて検討すべきではないか、県民をはじめ多くの方々からの一層の情報収集を図るための新たな取り組みが必要と考えます。
 そこで、殺人の控訴時効が廃止されるなど刑事訴訟法が改正された後、県警における捜査体制や証拠物の保全などを、どのように取り組まれるのか、また、情報収集のあり方についての方針をお伺いします。

4 最低賃金制度への県としての対応について

 最低賃金制度とは、ご存知のとおり、国が法律に基づいて下限を決め、その金額未満で労働者を雇うことを禁止する制度であります。毎年、労使の代表と公益委員の3者で構成する中央最低賃金審議会が、都道府県別の引き上げの目安額を示し、その目安を受けて、地方の審議会が具体的な引き上げ額を決める方式となっております。
 しかし、最低賃金は、本来、労働者の生活水準を守るための制度であったが、生活保護の水準を下回るという「逆転現象」が起きており、つまり働いている人の所得が、働いていない人の所得よりも低いという異常な状態が続いていました。
 このため、平成20年に施行された改正最低賃金法では、この逆転現象の解消を義務付けるとともに、審議会では2~5年での解消を求めております。
 また、民主党は、本年6月の新成長戦略において「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円を目指す」と明記し、労使代表らによる「雇用戦略対話」でも合意を得たところであります。
 働いているのに、貧困から抜け出せない「ワーキングプア」の問題を解消するには、最低賃金の引き上げが必要とする労働者側と、景気回復はまだ弱く、経営状況の悪化や雇用を控える恐れがあるとする経営者側との激しい対立がありましたが、本年8月に、全国平均で現状の713円から728円と15円引き上げる答申を決め、兵庫県の上げ幅を10円と答申しました。8月末に兵庫地方最低賃金審議会は、生活保護との開きを解消するために、時給で13円引き上げ、兵庫県は734円にするべきと、兵庫労働局長に答申され、決定したところであります。労働者の就労意欲を刺激し、かつ所得向上に向け、大いに評価するものであります。
 最低賃金制度については、企業の遵守義務であり、罰則規定はあるものの、罰金が50万円以下と少なく、県としても労働局と一緒になって、この制度について、県下企業に遵守させるよう努力すべきであります。
 そこで、県が発注する公共工事や受託事業で受注企業に対して、最低賃金制度の趣旨を徹底させ、例えば、千葉県野田市では、市発注の公共事業の受注者に対し、市が定めた最低賃金以上の支払いを義務づける「公契約条例」を昨年に制定したと聞いております。
 県として、最低賃金制度についてどのように認識し、どの様に県下企業に周知徹底される考えなのかご所見をお伺いします。

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