岡やすえ議員が質問(予算審査・健康福祉部)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(健康福祉部)
2011年3月3日(木)

1 自殺防止に向けたうつ病対策の推進について

 全国の自殺者数は、平成10年から急増し、毎年、3万人を超える状況が続いています。また、兵庫県内でも年間約1,300人もの人が自殺で亡くなっています。
 自殺者の約半数は30歳~50歳代であり、60歳以上も39%を占めていますが、その原因の多くは、うつ病などの疾病によるものや経済的困窮にあるとされており、また、家庭や地域、職場関係などの様々な社会的要因が複雑に関係しているとも言われます。
 中でも、うつ病等の心の健康問題やそれに起因する自殺の問題は、誰もが抱え得る身近な問題であり、この点を充分に認識することが、自殺予防にとって重要です。 
 うつ病については、国民の約15人に1人がこれまでに罹患した経験があるにもかかわらず、その4分の3は医療を受けていないとの調査結果が報告されており、うつ病が国民にとって非常に身近な問題であるとともに、その対応が適切になされていないことが明らかとなっています。
 中でも高齢者は、種々の身体・心理・環境の変化のために、うつ症状を持ちやすく、高齢者のうつ病では自殺率が高く、自殺例の背景を精神医学的に調べた結果によれば、7~8割はうつであったと考えられていると聞いています。
 こうしたうつ病の問題を県民一人ひとりが認識することは、自殺予防にとって極めて重要であり、その正しい理解の普及・啓発に力を入れることが重要です。
 知事は、去る2月15日に行われた提案説明にあって、県内自殺者を平成28年度までに1,000名以下に減らすことを目標に、「自殺予防に寄与できる人材を養成する」と述べておられましたが、
 うつ病対策に有効となるよう、具体的にどのような人材を養成しようしておられるのか、例えば「DV対策」や「児童や高齢者の虐待防止対策」、増加傾向の強いメンタルケア対策等との総合的な連携や、民間人も含めた幅広い取り組みが必要ではないかと思います。
 そこで、人材養成を含め、今後県として目標に向けた取り組みを具体的にどのように進めて行かれるのかについて伺います。

2 味覚の発達時期に特化した食育の推進について

 食生活の乱れから来る様々な課題は、各方面から数多く指摘されています。特に、ファーストフードで味覚を形成されてしまう子どもたちの将来や”切れる”子どもたちのアンバランスな食生活は長い人生の基盤である健康への影響が懸念されるところです。
 正しい食生活・食習慣を身につけるには、子どもの頃に何を食べるかが極めて重要であり、親の責任、学校給食の責任や地域ぐるみの取り組み等も必要です。
 食育を味覚の発達する時期に特化して推進することで、健康の基礎となる味覚形成が望ましい食習慣に結びつくことになればと考えています。
 おふくろの味といわれるように、幼児期の食習慣はその後の食生活を支配していくことは充分に考えられるところです。
 子どもの成長には大きく分けて2段階の重要な時期があるといわれています。
 すなわち、0歳から3歳までのスキンシップが大事な時期と、3歳から8歳までの食卓での躾が身につく時期です。
 そして、ヒトの脳の発達や味覚はだいたい10歳前後で完成してしまうとの指摘もあることから、良し悪しを判断する能力を身に付けさせる一番大切なそれまでに、重点的に食育を進めることが有効であると考えます。
 本県では、平成18年度に策定した兵庫県食育推進計画に基づく食育活動を推進していますが、来年度は、この計画の最終年度にあたり、課題を踏まえた計画の見直しを行うこととなっています。
 そこで、食育推進計画の見直しを契機に、味覚の発達する時期に重点を置いた食育をとりあげることで、メリハリのある事業としての話題性からも、その効果が期待できるのではと考えますが、どのような所見をもたれているのかお聞きします。

3 高齢者の肺炎予防ワクチン接種について

 我が国では、明治から昭和の初期にかけての死因別死亡率の第1位は肺炎でした。
 戦後、抗生物質の開発が進んで死亡率は急速に低下しましたが、今また増えつつあり、ガン、心疾患、脳血管疾患の三大死因に次いで、肺炎の死因別死亡率は第4位です。
 割合でみても亡くなる方の約10%は肺炎が原因で、しかも、肺炎がもとで心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの合併症を引き起す場合もあり、そして、肺炎で亡くなる方の95%は65歳以上の高齢者が占めており、免疫力が弱くなっている高齢者が特に注意すべき病気といえます。
 予防対策として重要とされるのは、手洗い・うがいやマスク着用、もう一つの重要な柱として、ワクチン接種があります。
 インフルエンザウイルスと肺炎球菌は、呼吸器感染症における代表的病原体で、肺炎球菌は肺炎のみならず敗血症、骨髄炎といった致死率の高い合併症をおこしやすいものの、この両者は呼吸器感染症の中ではワクチンによる予防が可能な数少ない病原体でもあります。
 欧米では、この両ワクチン接種が強く奨励され、高齢者、慢性呼吸器疾患、糖尿病等のハイリスクグループに対する接種率を伸ばそうとする取り組みが国家レベルで行われていますし、米国では65歳以上の高齢者の半数以上が、両ワクチンの接種を受けており、この点で先進諸国の中で日本のワクチン行政の遅れが指摘されています。
 ワクチン接種の向上には、その重要性の認識を更に徹底することと、公費助成等による社会的援助体制が欠かせません。
 高齢者に対するインフルエンザのワクチン接種が2001年より公的助成がなされている現状を踏まえ、これに肺炎球菌ワクチンを追加することにより、更に高齢者の肺炎による死亡、長期入院を減少させて医療費を削減し、県民の健康福祉の向上につなげることが期待されるのではと考えます。
 そこで、高齢者への肺炎球菌ワクチン予防接種への公費助成について、県の所見を伺いたいと思います。

4 県営住宅等を活用したグループホームについて

 県では、障害者が住まいの場を確保して、安心して地域生活を営むことのできるよう、障害福祉計画で平成21年度から23年度までに全県で1,694人分のグループホーム・ケアホームを整備したうえ、計2,795人分とすることを目標に、備品購入費や消防設備整備費、バリアフリー化改修経費などを通じた開設支援が進められてきました。
 グループホーム・ケアホームは、障害者の地域での自立した生活を進めるため重要な役割を果たしておりますが、とりわけ、低廉な家賃で入居できる県営住宅等は、障害者の地域生活の場として今後とも積極的な役割が期待されていると考えられます。
 しかしながら、県営住宅等におけるグループホーム・ケアホームとしての活用を促進するためには、健康福祉部における的確なニーズ把握はもとより、県土整備部との緊密な連携による空き住戸のマッチングが何よりも重要になってまいります。
 以前、県土整備部に対して、進捗状況を尋ねた際には、「健康福祉部を通じて施設設置者から希望をもらい、県営住宅や公社住宅に空室があれば、自治会等への説明等を行った上で、提供している。現在、県内6団地13室で実施しているほか、1団地5室で許可手続きを行ったところである。」ということでした。
 しかしながら、いったいどの程度の法人や関係団体がグループホーム開設の希望があり、県営住宅等への入居ニーズがどの程度なのか、そしてそれに対する県営住宅等の提供戸数をどの程度確保するのかといった情報交換を常に行っていなければ、真に適切なマッチングが成り立たたないことが懸念されます。
 そこで、県営住宅等におけるグループホーム開設促進に向けた、ニーズ調査やマッチングの状況及び住宅部局との連携について、課題を踏まえた今後の展開について伺います。

5 障がい者の被害防止に向けた消費者教育について

 近年、企業において働きながら、地域で生活する障がい者の増加に伴って、判断力や交渉力の不足する知的障がいや発達障がいのある方をターゲットにした悪質商法が横行し、被害者も目立つようになってきました。
 きっぱりと断ることが苦手である、悪質な手口の先を見通せない、騙されたことが自覚できない、被害にあっている自分の状況をうまく説明できないといった障がい者の特性によって、被害が潜在化し易く、自ら解決するための情報を得ることも難しいのが現状です。
 知的障がい者や認知症高齢者といった、いわゆる「判断不十分者」からの相談件数が、2000年度の4,067件から2009年度には10,370件と2.5倍に増えているという国民生活センターの統計にも表れているように、今後の被害の拡大が懸念されているところです。
 こうした問題の解決に向けては、まず何よりも、当事者が悪質商法の被害に合わないための知識を身につける教育が必要ですが、併せて周囲の支援者や地域住民などが、被害に気づいて防止する知識と能力を身につけるとともに、障害者団体や関係行政機関・特別支援学校などとも連携した情報収集や実効ある取り組みが欠かせません。
 そこで、障がい者の被害防止に向けた、消費者教育の今後のあり方について所見を伺います。

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